まぁ、十五章の前哨っていうことで(笑)
追記:R-18作品である、『淫れていく三人娘』を投稿しました。
スノリアのアリッサでの情事などが書かれておりますので、是非、見てください(笑)
第2話を投稿しました。是非、見てください(笑)
今回はテレサです(笑)
「……、……ん?」
ふと、目を覚ます。
胡乱な頭で周囲を見渡せば、ここは二年次二組の教室内。
教壇では。
「先生っ!先生っ!先生って!先生ったら!もうっ!いい加減、起きてくださいってば、先生っ!」
寝ているグレンにキンキン声で怒鳴るシスティーナと。
「……、……んだよぉ……?」
観念したように、教卓に突っ伏していた頭を上げ、眠い目を擦っていたグレンがいた。
「勘弁してくれよ……俺はここんとこずっと、超忙しかったんだぞぉ……?」
「先生が忙しかったのは知ってますけど!でも、ちょっとだらけすぎです!」
グレンの鼻先に突きつけられる、たおやかな指。視線を上げれば、陽光をきらきら跳ね散らす銀髪と、鮮やかな翠玉色の瞳が、グレンの目と魂とを刺した。
システィーナは、その妖精のように可憐な美貌を、不機嫌そうに歪ませている。
「まぁまぁ、システィ。先生にはこれから大変な役目があるんだから……」
「ん。グレン、かわいそう」
そして、そんなシスティーナを宥めるようにルミアが苦笑いしており、その後ろでリエルが眠たげにぼそりと零す。
他にもカッシュ、アリッサ、ウェンディ、ギイブル、テレサ、セシル、リン、ロッドにカイ……いつものメンバーが、いつものようにグレン達を見つめ、やはりいつものように呆れ、苦笑いをしている。実にいつも通りの光景だ。
「ははは、先生、しっかりしてくれよ~?」
「まったく、カッシュさんの言うとおりですわ!これから、他校の方々もいらっしゃるのですよ!しっかりしてくださいまし!」
そんなカッシュとウェンディの言葉に。
「ホント、ワンパターンだな、おい」
ジョセフは相も変わらずの光景に、苦笑いしながら頭を上げた。
まぁ、とりあえず元に戻ったようで良かった。
随分と離れてしまっていたもんだから、久しぶりの(時間的には全然久しぶりではない)光景に顔が綻んでしまうジョセフ。
と、そんな時。
「ジョセフ?」
「ん?」
ふと、ウェンディがこちらを見て、何か不思議そうな顔をしている。
「どしたん?」
「いえ、なんか、さっきから嬉しそうな顔をしていらっしゃったので、なにか良いことでもあったのかなと……」
「良いこと?うん、まぁね」
そう言うと、ジョセフはポンとウェンディの頭に手を乗せ、撫でる。
「ちょっと、ジョセフ?」
「いやぁ、お前が代表選手候補に選ばれて、おいちゃん嬉しくてなー……(……盛大にドジれるとこ見れるからな)」
「……最後、何か言いました!?」
「いいえ、何も言ってませんよ~?」
「いや、今、何か言いましたわよね!?ドジとかなんとかって!?」
「……いいえ、ケフィアです」
「わけわかりませんわよ!なんですか、ケフィアって!?」
「ケフィアです」
「だから、そのケフィアって――」
たちまち、教室の席の一角でぎゃあぎゃあ騒ぎ始める幼馴染組。
そんな二人のやり取りを、他の生徒達は穏やかそうな表情で見つめるのであった。
――――。
そして――いつもどおり始まった交流歓迎会にて。
「あまり余裕ぶってると足を掬われますよ?」
「ええ、肝に銘じておきましょう。しかし、貴女も、私の底をこの程度だとは思わないでください。代表選手団の最高名誉たるメイン・ウィザードの座……是非とも、貴女と正々堂々、競い合いたいものです……それでは」
最後にそんなやり取りをして。
レヴィンは悠然とその場を去り、クライトス校の生徒達が集まるテーブルへと戻っていくのであった……
「ふぅ~~……」
レヴィンの姿が見えなくなると、システィーナは額の汗を拭って脱力した。
「システィ、大丈夫?」
「……ん、システィーナ、すごく緊張してる」
「正直、自惚れてたわ……まさか、あれほどの実力者が私達の同世代にいるなんて」
そんなシスティーナ、ルミア、リィエルの下に、周囲の生徒達がわっと集まってくる。
皆、口々にシスティーナの卓越した立ち回りを賞賛する。
「お前、ちょっと見ないうちに腕上げたのかよ!?ずるいだろ!?」
コレットが対抗意識をめらめらと燃やして。
「わたくし達も頑張って相当に強くなりましたのに、まるでカマセに……うぅ……」
フランシーヌが涙目で乾いた笑みを浮かべていた。
「やれやれ……相変わらずの展開……これで最後にして欲しいよ、まったく」
ジョセフは、呆れたようにそんな見慣れた光景を流し見ながら、会場を見渡す。
ジョセフの視覚の端、会場の一角にゲイソンの姿が見えた。
「なぜだ、なぜ、竜頭がない!?エレンに渡すつもりだった時計は、一体、どこへ消えたんだ!?これでは……ッ!クライトスの栄光が……くそぉ……くそぉっ!」
ゲイソンは人目もはばからず、大慌てで身体中をまさぐっていた。
まぁ、放置でいいだろう。
ル=キルの時計。あれさえなければ、ゲイソンは何もできない。ただの小物だ。
だた、クライトス家におけるエレンの処遇については、後でグレンと相談しておこう。
まぁ、グレンはもうすでに手があるかもしれないが。
そんなことをジョセフが考えていると――
「久しぶり……システィーナ……また、会えて嬉しいよ……」
「えっ!そうなんだ、エレンも代表候補に選ばれたんだ!?凄いじゃない!」
「うんっ!システィ。私じゃ、相応しくないかもしれないけど……でも、頑張ったんだよ?えへへ……」
「そう、じゃあ、お互い代表入りを目指して頑張ろう!エレン!」
「うん、頑張ろうシスティ!」
会場の一角で、システィーナがエレンとそんな会話をしているのが見えた。
(……あれが、本来のエレンの姿か)
どうやら、この時空間の歪みが修正され、繰り返しが終結したと同時に、エレンもあの繰り返しの記憶を全て失っているようだ。
可愛いじゃん、と。ジョセフはそう思って、グレンを見る。グレンはジョセフに振り向き、やれやれと肩を竦めた。
この選抜会の裏で何があったのか……それを認識しているのは、ジョセフとグレンの二人(グレンはあと一人かなり怪しいのが一人いる)……そういうことだ。
「ジョセフ……何、他の女性を見ているんですの?」
ふいに、背後に黒いオーラを発しているウェンディがジョセフを逃がさないように裾を掴んでいた。
……最近ウェンディさん、こういうこと多くないですか?
ジョセフは頬を引きつらせながら、ウェンディに振り向く。
「……ウェンディ、お前、最近どうしたんだ?」
「…………」
ジョセフがそう言った途端、ウェンディは突然、裾を引っ張って、ぐいぐい外に出るのであった。
「ちょ――ッ!?お前、マジでどうしたん!?」
ジョセフは、なにがなんだがわからず、引っ張られるままに外に出て行くのであった。
「「…………」」
二人の少女が、こちらをじーっと、見つめていることを知らずに。
学院の裏側にて。
「お、おい、ウェンディ。一体、どうしたん?」
ウェンディに引っ張られるままに連れてこられたジョセフは、意図がわからず、困惑していると。
「ジョセフって、わたくしのことどう思っていますの?」
「へ?」
どう思うって、どういうこと?
ジョセフはウェンディの要領を得ない質問に、答えられずにいると。
「どう思っているのかって聞いているんですの」
いや、だからそれがどういうことなんがわからないんだけど?
「いや、どう思うって……まぁ、お前のことはなんだかんだで頼りになるし、お前がいるからなんか安心するというか、なんていうか……」
とりあえず、そう答えると、ウェンディは溜め息を吐いた。
「……そういうことじゃないんですの。それは”幼馴染”としてでしょう?」
そう言って、ウェンディが顔を上げる。
「わたくしが言いたいのは、わたくしを一人の女性としてどう思うのって言っているんですの!」
「……え?」
ウェンディからの口からそう聞き、ジョセフは目を瞬かせる。
女性としてってそれって……
「ウェンディ……お前……」
ようやく、ウェンディの意図を察したジョセフが何か言おうとした、その時。
どんっ!とウェンディがジョセフに強く抱きしめる。
背中から腰にかけて、彼女の白い細腕が回り、抱きしめてくる。
そして――
「――好きですわ、ジョセフ。わたくし、貴方のことが好き。もう、幼馴染の関係じゃ物足りないですの。ずっと貴方といたいんですの」
そう言って、ウェンディは顔を上げると。
その顔は、頬に赤みがかかっており、青い瞳は熱っぽく潤んでいる。
今まで、見たことない彼女の姿がそこにあった。
「ジョセフ。貴方はどう思っているんですの?わたくしのこと、好きですか?」
そう言って――
そう言ってさらに抱きしめるウェンディ。
「……ウェンディ」
そう言って、ジョセフは考え込む。
――しばらく考え込む。
(――そうだな。そうかもしれない)
そして、しばらく考えて。
「ウェンディ」
「なんです?」
そう言って、ウェンディが顔を上げると。
その瞬間、ジョセフはウェンディの顔に近付けた。
そして、唇と唇を重ねた。
「――ッ!?」
突然のことに一瞬、硬直するウェンディ。
だが、それが自分のことを好きだと思った時、ウェンディは身体を密着し、首に細腕を回し、さらにキスをした。
(あぁ、ジョセフ……)
愛しい。好きで愛しい。
そう思うたびに、ウェンディのキスは激しくアツく情熱的になる。
激しくなり、やがて彼女の身体も熱っぽくなり、吐息も熱っぽくなる。
(アツい、アツいですわ。ジョセフ……)
思考が奪われる。理性が本能に埋もれていく。
でも、止められない。それどころか、段々激しくなっていく。
お互い唇を重ねる。
やがて、お互いに離れて。
「お前……激し過ぎ……」
「だって好きなんですもの……」
「お前なぁ……」
そう言い合うが。
「ジョセフ」
瞳を熱っぽく潤ませながら上目遣いでみるウェンディ。
もう、何を求めているのか、ジョセフは察した。
そして――
「――好きやで、ウェンディ。俺もお前のことが好き」
そう言って。
ジョセフとウェンディは誰もいない裏庭で情熱的に唇を重ね合うのであった……
「……ジョセフ」
……物陰から見ていたモデル並みの少女はそれを見て、複雑そうな表情をしているのであった。
これで十四章は終わりです。
次は十五章に突入します。