ロクでなし魔術講師ととある特殊部隊員   作:藤氏

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昨日、見てみたら、アクセス数がどえらいことになっていた件について。

何があったんだ?


虫歯がある帝国の脳筋少女と連邦の脳筋少女がぶつかるとこうなります(笑)2

 

「あ、あはは……これは立派な虫歯ですねぇ……」

 

 学院の医療室にて。

 

 リィエルを診療台に寝かせて口を開けさせ、小さな歯鏡でその口内を診察していたセシリアが苦笑いをしていた。

 

 リィエルの右奥歯の一つに、大きな黒い穴――虫歯ができていたのだ。

 

「リィエル……お前、苺タルトの食べ過ぎだ。この馬鹿ちん」

 

「気がつかなかったわ。そう言えば、リィエルの歯磨きって、やけに速いなって、ずっと思ってたのよね……」

 

「きっと、歯磨きが不充分だったんだね……私達がもっと気をつけていればよかったね」

 

 呆れ顔のグレン、溜息を吐くシスティーナ、心配そうなルミアを前に、リィエルは、むぅ……と悲しそうに呻くだけだった。

 

「虫歯は放っておくと、結構、ヤバいんだ。ここで、きちんと治療しとかねーとな。……って、セシリア先生、コレ、法医術で治療できます?」

 

 グレンの問いに、セシリアがにこりと微笑んだ。

 

「はい。私、歯科治療もできますよ」

 

「おおっ!マジっすか!?さっすがセシリア先生!法医術に関しては、マジ万能っすね!?」

 

 グレンは素直に尊敬の目を、セシリアへと向けた。

 

「具体的には、どうするんすか?」

 

「はい。虫歯になった歯と神経は、現代の法医呪文では再生できないので、これは削って取り除きます。その後、その削った部分に、粘土状の疑似歯質で詰め物をし、法医儀式でそれを歯と同じ成分に変換して馴染ませます。そうすることで、虫歯があったとは思えないくらい綺麗に治るんです」

 

「なるほど、そんな治療法が……」

 

 グレンとシスティーナが、感心したように頷いた。

 

「あー、でも、歯を削るって……そこは変わらないんですね」

 

 何を思い出したのか、システィーナが青ざめ、ぶるりと身震いする。

 

「アレって、噂ではもの凄く痛いって聞くんですけど……昔、街の歯科医院の傍を通った時、身の毛もよだつ悲鳴が外まで聞こえてきて怖くて怖くて……あのゼンマイ駆動式ドリルで歯を削るなんて、想像しただけでもう……」

 

「???」

 

 リィエルは、よくわからないらしく、きょとんとして、頭に『?』を踊らせている。

 

「わたしにはよくわからないけど……そのムシバ?治すの……痛いの?」

 

「大丈夫ですよ。私は良い麻酔薬を持っていますし、魔力駆動式ドリルなら、素早く削れます。全然、痛くないですよ?」

 

 セシリアがリィエルを安心させるように、微笑みながら言った。

 

「おい、白猫。リィエルを無駄にビビらせんじゃねーよ。怖がって、逃げちまったらどーすんだよ?」

 

「あ……ご、ごめんなさい……」

 

 すると。

 

 そんなグレンの物言いに、リィエルは少し、むっとしたらしい。

 

「子供扱いしないで。わたしは平気。痛みには強いし」

 

 どこか憮然とそう言った。

 

「はいはい。……てなわけで、セシリア先生。さっそく、こいつの虫歯の治療、始めちゃってくれませんか?」

 

「はい、わかりました。それでは、リィエルさん、もう一度仰向けになって、大きく口を開けてくださいね」

 

「ん」

 

 こうして、リィエルの虫歯治療が始まるのであった。

 

 セシリアはまず、小さな刷毛で麻酔薬を、リィエルの口内の虫歯周辺へ慎重に塗った。これだけで痛覚を完全に遮断できる優れものらしい。

 

 麻酔が効果を発揮する時間を充分にとって、そしていよいよ……

 

「はい、いきますよ?怖くないですよ~、痛くないですからね~?」

 

「ん……」

 

 魔力で駆動する小さなドリルを、セシリアはリィエルの口内へと慎重に運び、その虫歯に近づけて……虫歯の掘削が始まった――その瞬間。

 

 

 

 

 

「んあああああああああああああああああああ~~ッ!?!?!?」

 

 

 

 

 

 学院校舎内を震撼させるような、リィエルの絶叫が響き渡り――

 

 どんっ!がらがらがっしゃあああああああああああああああんっ!

 

 極限まで絞られた発条が弾けるような挙動でリィエルが跳ね起き、診療台とセシリアを吹き飛ばし、医務室の扉をぶち破って、猛然と逃走していくのであった。

 

「「「セシリア先生――ッ!?」」」

 

 壁に叩き付けられて血を吐き、白目を剥いて倒れる戦死寸前のセシリアへ、慌ててグレン達が駆け寄る。

 

「し、しっかりしてください、セシリア先生――ッ!?」

 

「ごふっ……う、迂闊でしたぁ……あの麻酔……本当の本当に希なケースですが、体質の関係で効きが悪い人が、いまして……リィエルさんがそうだったみたいですげほっ……」

 

「あちゃー……なんて運が悪い……」

 

「べ、……別の麻酔……使えば……問題ありませんが……でも、リィエルさん……逃げちゃって……」

 

「そ、そうだ!こうしちゃいられねえ!リィエルを追わねえと!」

 

 グレン達は、セシリアの介抱を手早く済ませ、逃走したリィエルを追って医務室を飛び出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、領事館では――

 

「お前な……菓子、食いすぎや。馬鹿ちん」

 

「むぅ……」

 

 呆れて肩を竦めるジョセフと、頬を膨らませるアリッサは医務室に向かうため、廊下を歩いていた。

 

「まぁ、見た感じ、虫歯は一本だけだし、さっさと治療すれば大丈夫だろうし」

 

 そう言った途端、アリッサの顔が急に青ざめる。虫歯の治療と言えば大抵、ドリルで削るのが一般的だからその痛みを想像してしまったのだろう。

 

 帝国、連邦、王国……国は違えど、虫歯の治療はとにかく恐怖しかないのは共通していることだった。

 

「……いや、確かに気持ちはわかるけどな……このままにするのは危ないんやで?」

 

「わかってるわよ……もう……」

 

「とはいえ、麻酔を効かせてから削るだろうし、一回、医務官に見せて向こうがどう判断するかによるからな。下手したら削る必要は――」

 

 気休め程度だが、ジョセフがそう言った――その時。

 

「おっと、そこにいるのは、アツアツのカップルのジョセフとアリッサではありませんか」

 

「なんや、アリッサ。お前、虫歯になったんか?」

 

 背後から二人組の男の声がした。

 

 振り返ると、そこにはガタイのいい男と、黒い肌の男の二人組がニヤニヤしながら立っていた。

 

 フランクとティムだ。

 

「あのですね……俺達は付き合ってないって言ってるやないですか……」

 

 ジョセフはジト目でそう返す。

 

 スノリアの一件以降、アリッサがジョセフに積極的になっていたため、領事館内では専ら二人はデキていると噂になっていた。そして、ジョセフはそれを否定するのだが、アリッサが――

 

『そう否定するけど、そう遠くない内に、一緒になると思うわ』

 

 ――と。爆弾を投下したため、付き合っているとう噂が消えるこどころが、盛り上がってしまったのだ。

 

「そう言っている割にゃ、満更でもない顔してんじゃねーか、ん?このプレイボーイ」

 

 ニヤけながら、フランクが言うと。

 

「それにしても、アリッサ。お前、いくらジョセフが好きで好きでたまらなくてもな~あんま菓子ばっか食うと、いかんでございまっせ?」

 

 ティムがアリッサにそう言う。

 

 ――なぜか、アリッサのある部分とある部分を見ながら。

 

「……何よ?」

 

 先ほどジョセフが呆れながら言われ、今度はティムに言われ、むっとするアリッサ。

 

「いや、だって、お前、食べれば栄養があそこにいくだろうから気にせんだろうけどさ……」

 

 あの、フランクさん。貴方、さらりとセクハラ発言してますよ?

 

「……あ?」

 

 一体、何が言いたいのか、察したアリッサがこめかみをひくつかせる。

 

「あ、あの……フランクさん?それ以上は――」

 

 これはアカン展開が待っていると察したジョセフが、ストップをかけようとするが――

 

「そうそう。このままだと余計な肉がついて、ジョセフが離れるぞ~?」

 

「……あ?」

 

 ティムが続けてセクハラ発言し、アリッサがさらにこめかみに青筋を浮かべ、ひくつかせる。

 

「……おい、この脳筋バカども……」

 

 火に油をそそぐこの二人に、ジョセフがジト目になる。

 

「それにあんま太ると、あの学院の制服、確かへそ出しなんだろ?」

 

「そうそう、痩せとかないとあれ、酷いことになりそうだしな」

 

「「あっははははははははははははは――ッ!」」

 

 フランクとティムのセクハラ発言が止まるところを知らない。

 

「…………」

 

 こめかみをひくつかせ、肩を震わせるアリッサ。

 

「お、お二方……?そろそろ、止めないと……」

 

 これから、ヤバい展開が待っていると直感したジョセフが脂汗を垂らしながら止めにはいるが。

 

「……貴方達ね……」

 

 しかし、時すでに遅し。

 

 歯が痛いせいか、ただでさえ不機嫌なアリッサ。

 

 その上、二人の自身の体形が太るとか女子には口が裂けても言ってはいけないことを言われてしまったのだから――

 

「……いい加減に」

 

 アリッサは背後に無数の剣を召喚し、あれやこれや言っては笑っている二人に向け。

 

「そのまま串刺しされてろぉおおおおおおおおおおおおお――ッ!」

 

「「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ――ッ!?」」

 

 アリッサが無数の剣を飛ばし、フランクとティムは廊下の奥まで吹き飛ばされた。

 

「ふぅ~、仕事も一段落ついたし、遅いけどお昼にしましょう?ホッチ、お疲れ――」

 

 その時、ある部屋から扉が開き、小麦色の肌をした妖艶な美女――ダーシャが出てくると――

 

「「ぁああああああああああああああああああああああ――ッ!?」」

 

 次の瞬間、目の前から二人組の男が廊下の奥まで吹っ飛ばされ、無数の剣がダーシャの顔を掠めていった。

 

「…………」

 

 一体、何があったのかわからず、フリーズするダーシャ。

 

「おいいいいいいいい――ッ!?アリッサ!?お前、危うく姉さんに当たるところやったやろ!?」

 

 ダーシャが声がした方向に顔を覗くと、ジョセフがアリッサの両肩を掴んでがくがくとシェイクしていた。

 

「…………」

 

 背後に巨大な?を浮かばせるダーシャ。

 

「えっと……二人とも、何があったの?」

 

 脂汗を浮かべながら、ダーシャが二人の下に向かい、事情を聞くと。

 

「えーっとですね……」

 

「あの二人が――ッ!」

 

 ジョセフが事情を言おうとすると、アリッサが涙目でダーシャにまくし立てる。

 

 すると――

 

「……ふーん」

 

 ダーシャが背後にどす黒いオーラを浮かばせてにっこりと微笑む。

 

「あ、あの……お姉様――」

 

「ジョセフは黙ってて」

 

 そして、ナイフを取り出して――

 

「ちょぉーっと、あの二人に女性の扱いを教えてくるだけだから。行くわよ、アリッサ」

 

 

 そう言って、ダーシャとアリッサは吹き飛ばされた二人に追い打ちをかけていくのであった。

 

 それから間もなく廊下の奥で、二人の男の悲鳴と、盛大な破壊音が領事館内に響き渡るのであった。

 

 

 

 

 

 

 






ここまでで(笑)
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