ロクでなし魔術講師ととある特殊部隊員   作:藤氏

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 それでは、どうぞ(笑)


大きさ?形?どちらがお好き?5

 

 

 

 前からアリッサが突然抱きつき、胸を押しつけ、後ろからテレサがこれまた突然抱きつき、胸を押しつけている中。

 

(テレサさぁああああんッ!?貴女、一体、何してるのぉおおおおお――ッ!?)

 

 ジョセフは今までに食らったことのない超強力な精神攻撃に絶賛大混乱中であった。

 

 いや、アリッサはこういうのはやりかねないとは思っていたが(だが、本気でやるとは思わなかった)、まさかテレサがこういう暴挙を止めるどころかやるとは思わなかったのだ。

 

(く、苦しい……二人とも、とにかく離れて……って、多分聞く耳もってないだろうなぁ、チクショウッ!ウェンディ、止めてッ!ウェンディさん!?)

 

 前後から十五、六の少女にしては立派に成長している二人合計四つの果実が、ぎゅむぎゅむとせめぎ合っている。軍人とはいえ、同い年であるジョセフにとってこれはある意味地獄である。

 

「んんんん――ッ!んんんんんん――ッ!?」

 

 酸素の濃度がさらに低くなっている気がする。ジョセフはとにかく酸素を求めてもがくが……

 

「ちょっと、テレサ。そんなにくっついたら、ジョセフが気絶するじゃない」

 

「あらあら、それだったら、貴女が離れた方がいいのではなくて?ジョセフの顔を完全に埋めているじゃない?」

 

 ジョセフのことなどそっちのけで、なにやら言い合っている。そして、競うように胸をジョセフの顔に更に押し付ける。

 

(俺から言わせれば、二人とも離れて!でないと、ヤバいッ!年頃の男の子にはこれはヤバいのよ……って、押し付けるなぁあああああああッ!?)

 

 ジョセフが心の中で離れるように願うが、その願いも虚しく、さらに押し付ける紫髪おっとり(今はおっとりではない)巨乳少女と金髪肉食巨乳少女。

 

「ていうか、テレサが私の肩を掴んでいるから離れたくても離れられないのよ(嘘)」

 

「あら、そうなんですの?だったら、こうすれば問題ないわよね?」

 

 すると、テレサはアリッサの肩から両手を離し――ジョセフの胸部辺りに両腕を回して改めて抱きしめた。

 

(違ぁああああああああああああああうッ!そうじゃない、離れて欲しいんですけどッ!?位置を変えるんじゃなくてぇええええええ――ッ!?)

 

 状況が良くなるどころか、さらに悪化したことに、ジョセフは心の中で泣き叫ぶ。

 

「むぅ……意地でも離さないのね……」

 

(だから、お前も離せッ!?)

 

「そういう貴女も意地でも離さないじゃない」

 

(テレサさんも、離してッ!?)

 

「テレサ。貴女が離せば、私も離すわ(嘘)。だから、離れて?」

 

「それならば、貴女から離れたら、私も離れるわ(嘘)。どう?なにも難しい話じゃないわ」

 

(どっちも離せぇえええええええええ――ッ!)

 

 ジョセフは心の中でそう叫ぶが、そう言い合いながらぎゅむぎゅむとさらに押し付ける二人娘には残念ながら届くことはなかった。

 

 

 

 

 と、そんな痴話が繰り広げられている中。

 

「…………」

 

 ウェンディはというと、完全に固まってしまっていた。

 

 アリッサならまだしも、まさかテレサまでそうするなんて…………

 

 この行動だけでもうわかる。この二人は……本気だ。

 

 本気でジョセフのことが好きで、なんとしても自分の方へとジョセフを誘惑している。

 

 自分はあんなことが出来るのかというと、絶対にできない。そもそも、そんな勇気がない。

 

 ウェンディもすでに自分の気持ちに気付いている。ジョセフのことが、もうどうしようもなく好きであることに気付いている。

 

 フェジテ最悪の三日間の決戦前夜の時に、弱っていたジョセフを抱きしめてからはその気持ちが日増しに募り始め、今はもうどうしようもなくジョセフのことが好きなのだ。

 

 だが、ああも露骨にではなくても、身体をジョセフに寄せたりすることが出来ない。

 

 ジョセフにどう思われるのかわからないし、そもそも、好きな気持ちが抑えられないかもしれない。

 

 それで、”幼馴染”という心地良い関係が壊れるかもしれないし、ウェンディの素直じゃないところもあって、中々、アプローチができないでいた。

 

 だが、今はもう躊躇している暇はない。

 

 なにせ、テレサとアリッサという、親友であり強敵が、暴走しているとはいえ自分の目の前でジョセフを自分の方に手繰り寄せているのだがら。

 

 今、行動しないとヤバい、手遅れになる。ウェンディの女の勘がそう告げている。

 

 そして、ウェンディはフラフラともがいているジョセフと、前後から誘惑しているアリッサとテレサの元へ向かうのであった。

 

 

 

 

(こ、この子……かなり手強いわね……)

 

 一方、アリッサはジョセフを自身に引き寄せるように抱きしめ胸を押しつけながら、テレサに対して物思っていた。

 

(こういう行動って、私でも勇気がいるから、あの二人には真似できないと思っていたけど……おっとりしている割には本当にやるわね、テレサ)

 

 実際に、ウェンディは顔を真っ赤にして固まっていたし、テレサも固まっていたからこれはいけると思っていたのだ。このままいけば、少なくともこの二人にリードできると。

 

 だが、そう思った矢先にテレサが後ろからジョセフに胸を押しつけるなんて思いもしなかった。

 

 今は余裕そうにしているアリッサだが、正直、危機感はある。特にテレサに対しては今までにないくらいに危機感を芽生えさせていた。

 

 間違いない。テレサはジョセフのことがもうどうしようもなく好きになっている。

 

 テレサが今までにも、二人きりになった時にはジョセフに寄り添うように近寄っていたことはアリッサも知っていたが、こうやって張り合うとは思っていなかった。

 

 だが、今はそのテレサがこうして堂々と張り合っているのだ。しかも、こっちがジョセフを引き寄せれば、テレサはさらにジョセフに強く抱きしめてきている。

 

 余裕がない。下手したら形成逆転する可能性がある。

 

 だが。

 

(負けてたまるものですか……私はスノリアでジョセフと関係を持ったの……初めてを彼に捧げたのよ。ここで引き下がるわけにはいかないの……ッ!)

 

 好きで愛しいジョセフとすでに関係を持っているアリッサ。

 

 持ってしまったからには、なんとしてもリードしなければいけない。

 

 一方でテレサも、もうここまで来てしまったからには引き下がるわけにはいかなかった。

 

(私も……私もジョセフのことが好きなの……もうどうしようもないくらいに好きで、彼じゃないともうダメなの)

 

 アリッサに対抗するように強く抱きしめるテレサ。

 

 ウェンディのように幼馴染だからとうわけでもなく、アリッサのように戦争で助けられ、境遇が似ていて、見捨てることがあったわけではない。

 

 テレサがジョセフのことが好きになり始めたのは、一目惚れだった。最初にジョセフを見た時に、一目惚れしてしまっていた。

 

 でも、時が経つにつれ、ウェンディが段々とジョセフのことが好きになっていることに気付いたし、一目惚れだけで好きになってしまった自分が付き合っていいのかと思い、諦めかけていたのだが。

 

 結局、諦めることが出来なかった。それがわかった途端、今まで抑えていた気持ちが噴き出して、ジョセフの唇に自身の唇を重ねた。そして、それからジョセフに対する想いは、あの時とは比べ物にならないぐらいに募っている。

 

 もう、好きと言ってしまったらコントロールできないくらいに。

 

(あの時はジョセフが寝ていたとはいえ、最初に唇を重ねたのは私……もう引き下がれない。だから、ウェンディにもアリッサにも負けたくないの……ッ!)

 

 今でも募り続けているその気持ちに身も任せるような感じで、テレサはジョセフを抱きしめ、意地でも自分から離さないと決意する。

 

 アリッサの当初の余裕はなく、最早、意地となり始めている争奪戦(二人とも、暴走しているのだが)。

 

 だが、そんな争奪戦を終わらせたのは、彼女だった。

 

 突然、アリッサとテレサの片方の二の腕に、がしっと、誰かが掴んできていた。

 

 誰かというと、この展開に完全に出遅れていたウェンディだった。

 

 そして。

 

「「え……?」」

 

 ウェンディはそのまま、アリッサとテレサをジョセフから強引に引き離す。

 

 普段のウェンディからは、想像もつかない力で二人ともジョセフから引き離される。

 

「……っはぁ……ッ!ウェ、ウェンディ?」

 

 引き離されたジョセフは、息を整えながらウェンディを見る。

 

 前後からの二組の中で一位と三位の大きさを持つ少女達から解放されたジョセフは――

 

「さ、サンキュー、ウェンディ」

 

 礼を言う――

 

「助かっ――」

 

 ――のだが。

 

「…………」

 

 ウェンディはぐいっと、ジョセフを自分の元に引き寄せ――

 

「――へ?」

 

 ジョセフを自身の胸元に埋めさせ、両腕をジョセフの首に回し、ガッチリホールドした。

 

「「…………」」

 

 この予想外の展開に、テレサとアリッサはウェンディを見ると。

 

 ウェンディは顔を真っ赤にし、目をぐるぐるしてジョセフを抱きしめていた。まともな判断力を持ち合わせていないことが一目でわかる。

 

 時が再び止まる。しばらく時が止まったら。

 

「んんんんんんん~~~~~~~ッ!?(ウェンディいいいいいいいいいいい――ッ!?)」

 

 再び襲いかかってきた精神攻撃に、ジョセフは逃れようともがく。

 

「ダメッ!離れちゃダメですのッ!」

 

 すると、ウェンディはジョセフが逃げないように、さらにきつく抱きしめる。

 

 テレサとアリッサとは違い、服の上から見ると”出ている”わけではない。そのため貧乳に見えるかもしれない。

 

 だが、それはウェンディが着痩せするタイプであり、実際はある。

 

 柔らかくて、弾力のあるウェンディの双丘に顔を埋められたジョセフ。しかも、彼女の鼓動まで感じてしまっている。

 

「貴方は、わたくしの幼馴染でしょう!?離れた時期があったとはいえ、幼い頃からの付き合いがあるでしょ!?」

 

 目をぐるぐるしながらのたまうウェンディ。

 

「だから、貴方はわたくしだけを見ていればいいんですの!他の女性には目をくれなくていいんですの!」

 

 さらりと爆弾発言しているのだが、ウェンディは気付かない、気付く余裕がない。

 

「だから、わたくしの方がいいに決まっているんですのッ!そ、その……ッ!胸……ッ!わたくしの……胸のほうが……ッ!い、いいに決まってるんですのッ!」

 

 普段は絶対に口にしないであろうことを顔真っ赤、目ぐるぐるで口走る。

 

 まぁ、そんなことを口走っているのだが。

 

「あの……ウェンディ?」

 

 アリッサがウェンディに声を掛けるのだが。

 

「そうですのッ!そうに決まってるんですのッ!ただ、大きいだけが好みなわけないんですのッ!でなきゃ、困りますわッ!」

 

 アリッサの声は全然ウェンディに届かない。

 

「というか……なんか個人の願望が入っていそうな……じゃなくて、ウェンディ。あの、その……」

 

 テレサもウェンディに声を掛けるのだが。

 

「ジョセフッ!何か言ってくださいましッ!このままじゃわたくし、気になって……ッ!ジョセフッ!」

 

 テレサの声は全然ウェンディに届かない。

 

「ウェンディ」

 

 再度、アリッサが声を掛ける。

 

「何ですの!?また、わたくしからジョセフを引き離そうと――」

 

 目をぐるぐるしてウェンディが捲くし立てるのだが――

 

「……ジョセフ、気絶してるわ」

 

 テレサが、ウェンディの胸元を指差し、ウェンディが見下ろすと。

 

 先ほどまでじたばたともがいていたジョセフは、ぐったりとして気絶していた。

 

「…………」

 

 ウェンディがぱっと手を離すと、ジョセフはその場で力なく倒れた。

 

「「「……………………」」」

 

 沈黙。

 

 今までの痴話展開が一変して、沈黙が流れる。

 

 しばらくの沈黙の後。

 

「……遺棄するか」

 

 アリッサがそうのたまった。

 

「駄目に決まってるでしょ!?ていうか、勝手に殺さないでくださいまし!」

 

 ド正論に突っ込むウェンディ。

 

「さて……私は退散するわ。あとはごゆっくり――」

 

 なにか嫌な予感がしたアリッサが、逃げるように玄関に向かうが。

 

「……アリッサさぁん?」

 

 背後から異様に怖い声がアリッサの背後から聞こえ、がしっ!っと。アリッサの両肩を掴む者がいた。

 

「あ、あらぁ、ジョセフ、もうお目覚めになったのね。じゃ、私は――」

 

 ジョセフに気圧されたアリッサが、脂汗を垂らしながら振り返ると。

 

「死ぬ覚悟はできてますかなぁ~?」

 

 ニッコリ笑顔で背後からどす黒いオーラを出すジョセフ。

 

「え?ちょ、ま――」

 

 アリッサは逃げようとするが、ジョセフはアリッサの背中に組み付き、アリッサの頭にヘッドロックをかけた。

 

「お前は一体、何しとんじゃ!?いきなり抱きついて、殺す気か!?この、この、このぉッ!」

 

「ま、待って、ジョセフ!私は、ジョセフのことが気になって――って、あだだだだだだだだ――ッ!ごめんなさい!ごめんなさいぃいいいいい――ッ!?」

 

 涙目のアリッサを、ひたすら締め上げるジョセフ。

 

 どたんばたんと何かが始まったデルタ組を、二人はぽかんと見守る。

 

 こうして、三人娘の暴走によって始まった突然の痴話展開は、こうして終わりを告げるのであった。

 

 

 

 

「はぁ……なんだったんだ……ったく」

 

「そ、その……お騒がせしましたわ……」

 

 あの後、三人娘に夕飯を振る舞い、アリッサにテレサを送るように帰らせた後、ジョセフとウェンディは二人でまったりしていた。

 

 ソファにウェンディが腰掛け、ジョセフはウェンディの膝の上に頭を乗せていた。

 

「三人とも、放課後の時から様子がおかしかったし……一体、どうしたんだ?」

 

 ジョセフがそう問うと、ウェンディはしばらく押し黙る。

 

 しばしの沈黙が流れる。

 

 なにか言いたそうな顔をしているが、これを聞いてもいいのかという顔をしている。

 

 ジョセフはウェンディが口を開くのを待った。

 

 そして。

 

「……ジョセフは、その……す、好きな人とかいますの?」

 

 やがて、意を決して、ウェンディは口を開いた。

 

「好きな人?」

 

 予想外の問いに、ジョセフは目を瞬かせて、ウェンディを見る。

 

 ウェンディはそんなジョセフを真っ直ぐ見下ろす。

 

 それだけは絶対知りたい、そんな目でジョセフを見つめている。

 

「……それは……」

 

 ジョセフはウェンディを横目で見る。

 

 そして、しばらく考え込むように黙って。

 

「……ご想像にお任せします」

 

「はぁ!?」

 

 ふっと、目を閉じてそう答える。

 

「ちょ、ご想像って……そこは教えないんですの!?」

 

「ご想像にお任せします」

 

「お願いだから、教えてくださいまし!」

 

「さぁて、そろそろお嬢様をお送りしましょうかね」

 

 ウェンディの質問に答えることなく、身を起こすジョセフ。

 

「無視しないでくださいまし!ちょっとジョセフ!?話聞いているんですの!?ちょっと――」

 

 身支度を整えるジョセフに、慌ててソファを立ち、玄関に向かうジョセフを追うウェンディ。

 

 ジョセフが身を起こし、身支度をして玄関に向かう時。

 

 ジョセフが声を出すことなく、”ウェンディ”と口を動かしていたことを、彼女はまったく気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 








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