エントランスホールを抜け、旅籠本館の表玄関口から外に出る。
ひんやりとした夜気が、グレンとジョセフを出迎えた。
「待たせたな。もういいぜ」
そして、グレンは前庭の一角で、腕組して佇んでいたアルベルトへ声をかける。
すると。
「何も言ってやらなくていいのか?」
アルベルトは顎を軽くしゃくり、とある方向を指し示す。
その方向の少し離れた場所には……
「…………」
グレンのクラスの生徒達が何人か寄り集まり、不安げにこちらを見ていた。
「……お前ら」
思わず声を詰まらせながら、二人は生徒達に向かって歩いていく。
「……ったく、こんな夜遅くまで何やってんだ?さっさと部屋に戻って寝ろ」
だが、グレンのそんな言葉に誤魔化されるわけもなく――
「な、なぁ…先生、ジョセフ…どこに行くんだ…?一体、何が起きてるんだよ……?」
生徒達の先頭にいたカッシュが、硬い声で聞いてくる。
「リィエルちゃんは帰ってこないし…ルミアも消えたし…ジョセフはもの凄い形相で旅籠に走って行っていたし…システィーナ達の部屋は、なんかボロボロだったし…先生もさっきまで半死人みたいだったし……」
多感な年頃だ。漂う不穏なこの空気に気付かないはずもない。
「あの長髪の怖ぇ人…先生の友人…なんだよな?あの人が『関わるな』って言うから…事情はさっぱりわかんねーけど…でも、何かあったんだろ……?」
不安げに生徒達が目を伏せる。
そんな様子の生徒達に、グレンはふっと笑いかけた。
「なぁ、お前ら、リィエルのこと、どう思う?」
「……え?」
深刻に沈んでいる自分達とは裏腹に、まるでいつも通りなグレン。
生徒達は戸惑ったように、顔を見合わせる。
「……どうって…言われても……」
「お前らとリィエルは、まだまだ短い付き合いだけどさ。その短い間なりに、あいつのこと…どう思った?」
「それは……」
一瞬口ごもりながら、生徒達は各々自分の思いを少しずつ言葉に変えていく。
「最初は…変なヤツだなぁって……」
「わ…私は…ちょっと…怖かった…かも……」
「初日のやつが、あれは俺もビビった。『うわ、ヤッベェのが来ちまったなぁ』って」
「……でも、まぁ、実際はそう悪い子ではなかったみたいですし……」
「むしろ話してみると、素直な良い子でしたわ」
「ちょっと…ていうかむしろ、かなり無愛想なやつだけどな……」
すると皆、常日頃のリィエルの奇行を徐々に思い出し、段々と饒舌になっていく。
「でも、話しかければ、ちゃんと答えてくれるよ」
「ん、とか。そう、とか…一言一言、やたら短いけどな!」
「いつも眠そうで無表情だけど、慣れると案外、表情豊かな子に見えてくるしね」
「カードゲームとか教えてあげると、あの眠そうな表情は相変わらずでしたけど、結構、夢中になっていらっしゃいましたわね……」
「うん、なんか…心なしか目もきらきらしてたような…気がしたよね…眠そうだったけど……」
「そういえば、ビーチバレーの時も普段のリィエルちゃんから考えれば、かなりノリノリだったのかもな!」
「あはは…でも、あの殺人スパイクだけは勘弁して欲しかったなぁ……」
昨日のことを思い出したのか、生徒達がくすくす笑い始めた。
「確かにあの殺人スパイクはな、腕が死ぬかと思ったで」
ジョセフも、苦笑いする。
そして、ジョセフはこの中に混じらず植樹の幹に背を預けているギイブルを見、そしてグレンを見る。
「先生、充分ですよね?」
「……ああ、充分だ」
突然、二人はそんなことを言い出した。
「え?」
「命を張るにゃ充分だ、と思ったのさ」
「……え?先生、今、なんて……」
「おっと、なんでもねーよ。ガキは早く寝ろ」
グレンとジョセフは踵を返して、生徒達に背を向ける。
ジョセフはアルベルトの方に向かっていき、グレンは。
「安心しな。明日には全部、元通りだ。…俺を信じろ」
己の肩越しに、グレンは力強く生徒達へ微笑む。
そして、きょとんとした表情の生徒達を残し、グレンは再びアルベルトの下へ戻っていった。
「もういいぜ」
「ふん……」
連れ立って、三人は歩き始める。
「……存外、立派に教師をやっているようだな」
「どーゆー意味だ、そりゃ」
「お前に教わる若者達の将来が不安で仕方なかった、という事だ」
「……酷ぇ言いぐさだな、オイ。…あんまり否定できねーけど」
すっかり暗くなり、人気のなくなった外を歩く三人は、二人は遠慮なく口を叩き合い、一人はそれを見て苦笑いする。
「……まぁ、それにしても…お前とこうして組むのは本当に久しぶりだよな?」
「へぇ、二人ともよく組んでたんですね。あまりにも正反対な性格ですけど」
「ふん、俺はお前と組むなぞ、もう願い下げだったのだがな。お前と組むと常に厄介事ばかりで嫌になる」
そうこうしているうちに、三人は街の外に辿り着いていた。
目の前には鬱蒼と茂る樹海が広がっている。
ここからは観光用に整備されている場所とは違う。人跡未踏の領域だ。
「……行こうか。頼りにしているぜ、相棒」
「抜かせ、誰が相棒だ。寝言は寝て言え」
『じゃ、お先に失礼します、先生』
グレンを置き去りするように、アルベルトと『黒い悪魔』ことジョセフは風のように駆け出す。
グレンも地を蹴って、その後を追った。
北東沿岸部の街を発ったグレンとジョセフは、アルベルトに導かれるまま、サイネリア島中央部に向けて、鬱蒼と茂る樹海の中を疾走していた。
「どうした?息が上がってるぞ、グレン」
「うっせぇ!こちとら病み上がりじゃボケ!」
ややグレンがバテ気味、遅れ気味だが、三人は傍から見ていれば惚れ惚れするような体捌きで、激しく起伏する樹海の木々の隙間を、ひらりひらりと身軽に走破していく。
その様はまるで林立する樹木の間を駆け抜ける一陣の風のようだ。
「しかし、アルベルト。行く先はどこだ?」
駆けながら、グレンが先を行くアルベルトの背中に問いを投げた。
「バークスが黒幕っつーなら、白金魔導研究所に殴り込みをかけるんじゃねーのか?」
駆けながら、ちらりと周囲を見回す。
鬱蒼と茂る樹木がどこまでも連なっており、その隙間を続くかのような闇が満たしている。微かに霧が出ているのか、空気は重く、湿っぽい。いがらっぽい緑の匂いは、足を進める都度、どんどん濃く強くなっていく――
「こっちだと微妙に場所がズレているような…それにわざわざ、こんな道なき道をと通らんでも……」
『先生……』
「阿呆か、貴様は。白金魔導研究所はあくまで帝国の公的機関だ。誘拐した王女など連れ込んでみろ。一発で露見するだろうが」
「ぐ…。そ、そんなん分かってるよ!言ってみただけだ!」
「どうだがな」
『本当はわかってなかったんじゃないですか?』
グレンは舌打ちしながら、さらに問う。
「そもそも、お前、ルミアの居場所がわかるって言ったな?一体、どうやって?」
「簡単な事だ。俺はいざという時に王女の居場所を探知できるよう、王女に魔力信号を発する術を予め付呪しておいた。強力な魔力隠蔽性を持たせる術式を組み込んでな」
『なるほど、だからシーホークでルミアに接触をしてたのか』
ジョセフはシーホークでアルベルトがナンパ男に扮してルミア達に接触してきたことを思い出す。
「なるほどな、じゃあ、ルミアから発せられる魔力信号を辿れば……」
「戯け、そんな物、とっくに敵側に探知され、解呪されている」
「って、おい!?それ駄目じゃねーか!?」
グレンがずっこけそうになる。
「当然だろう?誘拐対象が魔力探知されないように注意を払うのは、誘拐する側としては当たり前だ。それはオトリだ」
「……オトリ?」
意味のわからないアルベルトの言に、グレンが鸚鵡返しに問い返す。
ジョセフは何かピンと来たらしくグレンの疑問に答える。
『本命はエレノア=シャーレットだな?』
「……エレノア?そいつって、この間の魔術競技祭の時の騒動で…それにさっき、お前を足止めしたと言ってたやつか?」
「ああ、その通りだ。あの場で始末する心算だったが、あの女も中々やる。まんまと一杯食わされた」
忌々しそうにアルベルトが顔をしかめる。
「だが、只では終わらせん。あの交戦のどさくさに紛れて、王女に付呪したものよりも更に強力な魔力隠蔽性を持つ術を付呪しておいた」
「うわぁ…抜け目ねぇー」
誘拐する側としては、非常に見抜きにくいルミアの魔力信号付呪を見抜いた時点で、してやったりと悦に入ったことだろう。一応の安心を得てしまったがために、それ以上の警戒は人間の心理的にどうしても雑になってしまう。
「魔力発信の付呪がエレノアのみだったならば、もしくはエレノアの潜伏場所が組織の支配下にある場所だったなら通じなかっただろう。だが、エレノアにとって、今の潜伏場所はアウェーだ。その辺りの警戒は心理的に絶対とはいかなくなる。…あの時、俺にまんまと一杯食わせることに成功した…そう思わせたのも大きい」
「お前、最初からこの展開、わかっていたのか?」
「そんな筈、あるまい。只、俺はあらゆる事態を想定して、常に幾つもの布石を打ちながら行動している。…その一つに偶々引っかかった。それだけだ」
「……だが結局、大体お前の目論見通りってわけなんだろ?仕留めるつもりでエレノアとやらと戦っておきながら、同時に二重、三重に予防線を張っていたのかよ…うへぇ…俺、お前だけは絶対、敵に回したくねぇ……」
感心したような、呆れたような顔でグレンは頬を引きつらせていた。
「つまり、お前が向かう先にルミアがいるわけだな?一体、どんな場所なんだ?」
「それは、白金魔導研究所に流れる資金の齟齬を追う過程で薄々予想は付く。奴はどうも極秘で秘密の地下研究所を造っていたようだ。確かにエレノアからの魔力発信は地下から発せられている」
「地下だと!?それじゃ場所がわかっても、どうやって進入するんだ!?まさか、この樹海の中から入り口を探すのか!?冗談じゃねえぞ!?」
ぎょっとした声を上げるグレン。
「お前は本当に窮地に陥らないと頭が冴えない男だな」
呆れたのか、アルベルトの眉が、また少し吊り上がった。
『先生、バークスの研究分野が特殊な環境を必要としている事は知っていますよね?』
「そ、そりゃあな…他の研究所と同様に土地に通う霊脈なんかもそうだが、白金術は特に水が必要で、それゆえに研究所内は水路だらけで…そうか!」
「理解したか。研究分野の性質上、バークスの秘密研究所には必ず地下水路が必要になる。別に樹海の何処かに魔術的な手段で厳重に隠されているであろう入り口から、ご丁寧に進入する必要は無い。研究所内に通じている水路から進入すればいい。大まかな場所が判明し、大規模な水路を用意出来る場所、土地の高低差、そして霊脈の条件。それだけ揃えば、必然的に進入路は絞られる」
と、その時。
三人の行く先に立ち塞がる樹海が尽き、視界が一気に開けた。
そこに広がるのは、周囲を深緑の樹木や山岳に囲まれた広大な湖だ。透き通った冷たい水を湛え、鏡のような水面に銀月が淡く映っている。日が高ければ、その湖畔を是非、釣竿や弁当を持って散策してみたい絶景だが、今はそれどころではない。
その岸辺で、三人は一旦、足を止めた。
「この湖の南西方面に、バークスの秘密研究所に繋がる地下水路の入り口がある筈だ。不自然な水の流れを辿れば容易に見つかるだろう」
「へいへい、じゃ、野郎三人の色気ない海水浴と行きましょうかね…湖だけど」
そして、三人は黒魔【エア・スクリーン】の呪文を唱える。
三人の周囲に圧縮空気の膜が球体状に形成される。そのまま、三人が湖の中へ足を踏み入れると、周囲の水が球体状に三人を避けていく。
そして、三人は空気の膜に守られたまま、湖の中に姿を消した。
しばらくの間、湖の底を探索していたグレン、アルベルト、ジョセフの三人は、程なくして不自然な水の流れが行き来する横穴を発見する。
確信と共に、三人はその岩肌をの横穴を進んでいく。
真っ暗闇の中を、指先に灯す魔術の光を頼りに進んでいく。
……どれくらい歩いただろうか。
やがて二人は水中に不自然に開けた場所に出た。四方は明らかに人工的に石垣を並べて作られた壁。頭上を見上げれば、揺らめく水面が見え、淡い光が差しているようだ。
三人は【エア・スクリーン】の魔術を調節して、水の底から浮上する。
「よっと」
そして、水上に出たグレン達は傍にあった通路状の足場に飛び乗った。
周囲を見渡すと、そこは貯水庫のような場所だった。グレン達が今やってきた、一際大きなプールを中心に、水路と水路を挟む通路が、大小様々なプールとプールを繋ぎ、延々と迷路のように複雑に絡み合っている。所々に水生系の樹木が林立し、あちこちにヒカリゴケが群生しているその様は、白金魔導研究所の風景と酷似していた。
「……ビンゴ、だな」
「ああ」
『さて、これからどうします?』
ジョセフがアルベルトに問うと。
「≪我が招致に応じよ・鋭き眼差しと・雄々しき翼の盟友よ≫」
アルベルトは召喚【コール・ファミリア】の呪文を唱えていた。
すると、虚空に開かれた門から一羽の鷹が翼を広げて現れ、アルベルトの肩に留まる。
「こいつを『目』として、先行させ――」
と、不意にアルベルトが押し黙る。
「な、なんだ?どうした?」
アルベルトの様子にグレンが訝しんだ、その時だ。
「……来る」
「え?」
『お出迎えが来ましたよ』
突然、目の前の水路から大量の水が天井へ巻き上げられ、盛大な水柱がそびえ立った。
「どぉわぁああああ――ッ!?なんだぁああああ――ッ!?」
グレンが慌てて身構え、アルベルト、ジョセフは素早い身のこなしでその場所から跳び下がる。
水柱の中から巨大で硬質な影が現れ、グレンの前に立ちはだかっていた。
そのシルエットは一言で表せば、蟹だった。
人の倍以上の身の丈を持つ、冗談のような巨大な蟹。
川辺や磯辺で見かける普通の蟹と決定的に違う点は、通常、蟹のハサミは左右の一対だけだが、その巨大な蟹は三対もの、いかにも凶悪そうなハサミを持っているところだ。
「何、この生物の進化過程構造をガン無視しちゃった、クリーチャーッ!?」
その巨体に見合わぬ俊敏な動作で、蟹が一斉にそのハサミの群れを振り下ろした。
「ぉわぁあああっとぉおおぅッ!?――危ッ!?」
グレンは狭い通路上を側転、跳躍、周囲の少ない足場を俊敏かつ正確に飛び回り、連続で振り下ろされる蟹のハサミを次々とかわしていく。
「ちぃッ!?」
狭い足場を蹴って蟹から距離を取ったグレンは、着地と同時に背中の銃を抜いた。
抜き手すら霞む神速の早撃ち。旋風のごとく旋回する銃口。
刹那、咆哮する銃声、一発。
長い火線が蟹の関節部へ、正確無比に殺到し――
かん。
間抜けな金属音を響かせた。
「ですよねー。これ、普通の弾だもん」
まったく無傷な蟹の姿を前に、グレンはため息混じりに硝煙の上がる銃を眺めていた。
魔銃≪ペネトレイター≫を持ってきてくれたことには感謝するが、どうせならイヴ・カイズルの玉薬も持ってきて欲しかった。あの専用の魔術火薬がなければ、この銃は魔銃とは名ばかりの、ただ再装填に手間がかかるだけの骨董銃なのだから。
だが――
「下がれ、グレン!」
「あいよ!」
アルベルトの一喝に、グレンが申し合わせたようにその場から跳び離れる。
ほんの一瞬前、グレンが居た場所へ振り下ろされたハサミが突き立ち、石の通路を破壊して――
「≪吠えよ炎獅子≫!」
アルベルトが黒魔【ブレイズ・バースト】を一節ルーンで詠唱していた。
アルベルトの左手から投げ放たれた火球が蟹に着弾。
渦巻く爆炎が蟹を飲み込み、業火の火柱が天井を焼き焦がす。
やがて炎が収まった頃には、そこに蟹の丸焼きができあがっていた。
「おおー、この至近距離で俺を巻き込まずに…相変わらず凄ぇ魔術制御精度だぜ」
「ふん。そういうお前も、銃の腕はまだ錆び付いてないようで、何よりだ」
「はっ、冗談。≪隠者≫のジジイが見たら、銃口にハエが留まるとか言われるだろうよ」
「さあな…だが、最初の不意討ちに対する反応は確実に遅い。相手が相手なら、既に二度は殺られている。平和呆けしたな」
「……ほっとけ。俺はお前みたいな生粋の職業軍人とは違ぇーんだよ」
憎まれ口を叩き合う二人。
だが――
(この二人は気付いていないが、連携が凄い。一年のブランクがあるとは思えない)
この二人は気付いてないが、グレンが前衛、アルベルトが後衛。グレンが敵を引きつけ、アルベルトが強力な呪文で敵を仕留める…魔導士時代、二人で組んで戦う時によく行っていた、連携。
一年ものブランクがありながら、何も打ち合わせることもなく、自然とその連携ができていた事に、ジョセフは内心、驚愕していた。
「ま、それは措いといて…だ」
グレンは背中のベルトに銃を押し込みながら、巨大な蟹の残骸を見た。
「こいつは一体、なんだ?魔獣…にしちゃ、いくらなんでも生物構造を無視し過ぎだな…となると、やっぱり……」
「その昔、軍事用に研究されていた合成魔獣だろう。合成魔獣の兵器利用に関する研究は現在では凍結・禁止されているのだが…昔の研究成果が残っていたのか、あるいはバークス=ブラウモンが禁じられた合成魔獣兵器の研究を続けていたのか……」
アルベルトも何の感慨もない氷の瞳で、蟹の残骸を一瞥する。
『どちらにしろ、どうやらこの区画、不要になった合成魔獣の廃棄場所みたいやな』
「つーことは、だ。バークスの野郎…予想以上にキナ臭いやつだな」
その瞬間。
グレン達がいるこの区画の、あちこちで水柱が上がった。
蟹だけではない。巨大な烏賊、半魚人のような化け物、ゼリーの塊のような不定形生物…多種多様な怪物が次から次へと姿を現し始める。そのどいつもこいつもが、どこか歪な姿の出来損ないだった。
「うへぇ…団体様のおでましだぁ……」
『……ダイバーシティか、ここは……』
うんざりするグレンと、呆れるジョセフは自分達ににじり寄って来る怪物達を眺める。
どうやら連中は、自分達を完全に餌と認識しているらしかった。
「突破するぞ」
「ったく、仕方ねえなぁ!」
『了解、さっさと進みましょうかね』
三人は口早に呪文を唱えながら、通路を駆け出した。
今回はジョージア州です。
人口1021万人。州都はアトランタ。主な都市にアトランタ、オーガスタ、メーコン、コロンバス、サバンナ、アセンズ、オールバニです。
愛称はピーチステート、もしくはエンパイアステート・オブ・ザ・サウス。
独立13州の一つで、4番目に加入しました。
ジョージア植民地として1732年に設立されており、13植民地の中では最後の植民地でした。
1861年1月21日に合衆国からの脱退を宣言し、アメリカ連合国建国7州の一つになりました。
1870年7月15日に合衆国に復帰しますが、連合国加盟の州の中では最も遅い州となりました。
ジョージアといえば缶コーヒー、そこの製造元はコカ・コーラ。つまり、コカ・コーラの本社や、今、トランプ大統領と絶賛喧嘩中のCNN、デルタ航空本社に、アフラックの本社があります。
世界最大級の空港がアトランタにあります。
アトランタは南部最大の拠点都市であり、「風と共に去りぬ」の舞台としても有名ですが、作者がKKK信者のであるため、黒人が多いこの街で、黒人にこの話題を振るのはNGです。また1996年にはアトランタオリンピックが開催されました。
沿岸にサバンナという綿花の積み出しで栄えた歴史的な町並みが残る港町があります。なのに、名前がサバンナという海とは縁も無さそうな名前って……
また、オーガスタはゴルフの三大タイトル、マスターズが開催れる地として有名です。
メーコンは30万本のソメイヨシノが植樹され、世界最大を謳っています。
以上!!