ロクでなし魔術講師ととある特殊部隊員   作:藤氏

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魔術競技祭の練習で、二組と一組が中庭で揉めた時のグレンとハーレイのやり取り。

グレン「お前、グルメサイトのホットペッパーってタダ?」

ハーレイ「タダや言うてるやないか、さっきから何回も」

グレン「……すっごいやん」

ハーレイ「すっごいよ、クーポンマガジンのホットペッパー!」

リクルートから


54話

 ……謎の『扉』の向こうへ、セリカとジョセフは消えた。

 

 この緊急事態に、グレンは一旦、生徒達をまとめ、野営場にまで戻る。

 

 不安に揺れる生徒達を各自の天幕に押し込み、グレンは事情を聞くため、ルミアとシスティーナを自分の天幕内に招き入れた。

 

 当然、リィエルも親鳥の後を追う雛のようについてきたが、リィエルも聞いておくべき話になるだろうことは予想がついたので、問題はない。

 

「……先生?」

 

「多分、必要になると思ってな……」

 

 グレンは天幕内の四方に魔晶石を配置し、音声遮断の結界を張った。

 

 これで、万が一にも天幕内の会話は、外には漏れない。

 

「さて、お前らがあの天象儀装置に何をしたのか…話してもらおうか?」

 

「は、はい……」

 

 そして。

 

 システィーナとルミアの話をまとめると……

 

「……やっぱりな」

 

 グレンはため息を吐いて、そう呟いていた。

 

 セリカの調査結果に納得いかなかったシスティーナは、ルミアの能力アシストをこっそり受け、黒魔【ファクション・アナライズ】で天象儀装置を魔術分析したらしい。

 

 ルミアの能力は『感応増幅能力』――触れている任意の相手の魔力を一時的に超増幅させ、結果として魔術を強化する異能だ。ルミアの能力で自身の魔術を強化し、何か少しでもセリカが見落としたことが発見できれば…その程度の気持ちだったらしい。

 

 だが、それはとんでもない誤算だった。

 

 ルミアの能力を受けたシスティーナは、あの装置の裏に走る得体の知れない術式が、今までまったく見えなかったものが、急に全て見えるようになったのだという。

 

 動揺したシスティーナは、つい操作モノリスに触れてしまった。

 

 すると――今までなかった機能が、偶然、発現し――あの『扉』が出現した。

 

 ことの次第は、つまりそういうことらしかった。

 

「先生、やっぱり、とは……?」

 

「ルミア。お前の『感応増幅能力』…何か、違うと前々から思っていたんだ」

 

 内容が内容だけに、グレンは思わず声のトーンを抑えて吐露する。

 

 思えば、先の遠征学修旅行先の事件。

 

 ルミアは、とある外道魔術師に囚われ…『Project:Revive Life』の儀式に、術式の一つとして組み込まれ、能力を強引に使わされたことがある。

 

 だが、先述したが『感応増幅能力』とは、本来、触れた相手の魔力を一時的に増幅させ、結果的に相手が行使する魔術を強化するだけ――それだけの能力なのである。

 

 だから、どれだけルミアの能力を酷使させようが、元から理論的に達成が不可能であった『Project:Revive Life』を、成功に導けるわけがなかったのだ。

 

 だが、あの時、『Project:Revive Life』は――成功した。成功してしまった。

 

 今回の件も――恐らく、それと同じだ。

 

 恐らくシスティーナが見たという術式は、近代魔術では解析が不可能だった古代魔術の術式なのだろう。だが、ルミアの能力がそれを可能にしたのだ。

 

 ルミアの能力には、不可能を可能にしてしまう『何か』があるのだ。

 

 そして、それこそが――恐らく、天の智慧研究会の狙い――

 

 だが、そんなことは今はどうでもよかった。後で考えるべきことだ。

 

 当面の問題は――現れた『扉』の先へ、なぜか我を忘れて、取り憑かれたかのように跳び込み…そのまま消えてしまったセリカと、それを止めようとして一緒に入ってしまったジョセフだ。

 

「ごめんなさい…ッ!ごめんなさい、先生…ッ!わ、私が勝手にあんなことしなければ…こんなことには……」

 

「ううん、システィは悪くない…軽い気持ちで力を使った私が……」

 

「ばーか。お前らのせいなもんか」

 

 涙を浮かべて憔悴する二人を前に、グレンがため息を吐く。

 

「確かにルミアの力を使うなら、一言相談してほしかったがな…お前ら、ここが人里離れた場所で、周りに仲間しかいないからって、少々うかつだぜ?」

 

「ごめんなさい…私…焦ってて……」

 

「まぁ…元々、俺達は遺跡に残された、ああいう謎を探していたんだ。別にお前らがアレを発見したこと自体は悪いことじゃない。悪いのは――」

 

 がんっ!苛立ち混じりに、テント内にあったテーブルを拳で叩くグレン。

 

 その剣幕に、ルミアとシスティーナがびくりと肩を震わせる。

 

「……あの、耄碌ババアだッ!あいつ、一体、何考えてやがんだ!?一人で勝手に突っ走りやがって……ッ!」

 

「……グレン。…セリカとジョセフ、どうするの?」

 

 まるでいつも通り無表情のリィエルが、ぽつりと呟いた。

 

「無論、連れ戻しに行く」

 

 即、グレンは断言した。

 

「ヤな予感がしやがるんだ…セリカのやつ、何か様子がおかしかった…なんでかはわかんねえが、普通じゃなかった…放っておけるわけねえじゃねえか……ッ!それに、ジョセフもだ。いくらここにいる連中の中でセリカの次に強ぇヤツだとしても、病み上がりな今、安心できる状態じゃねえ……ッ!」

 

 常に淑女然とし、人を食ったような態度と余裕を崩さない…それがセリカのはずだ。

 

 あんなに動揺して切羽詰まったセリカなど、グレンは見たことなかった。

 

 それだけじゃない。

 

 よくよく考えれば、こんな辺鄙な場所へ急に同行を申し出たり、昨夜、グレンにあんな憂いの表情を見せたり…セリカは最初から、どこかおかしかったのだ。

 

「白猫、ルミア、よく聞け。お前達があの『扉』の開閉を頼む。そして、リィエル、俺がいない間、残った生徒達はお前が守るんだ…わかったな?」

 

 グレンが荷物から銃弾や火薬やらを取り出しながら、三人に告げる。

 

「俺は、今からあの『扉』の向こう側へ行く。明日の朝に一回、最後、夜にもう一回、二人であの『扉』を開いてくれ。それで俺とセリカとジョセフが戻らなかったら…そのまま、俺達を置いてフェジテに帰れ」

 

 ルミアとシスティーナの息を呑むような雰囲気を背中に感じながら。

 

 グレンは拳銃の状態を点検し、後ろのベルトに押し込んだ。

 

「幸い、他の連中は、お前達が偶然『扉』の開閉法を見つけたと勘違いしている。ルミアの能力がバレないよう、口裏合わせて上手くやれよ……?」

 

 グレンが天幕の外へ出ようとしていた…その時だ。

 

「先生。私も行きます」

 

 ルミアがそんな事を言い始めた。

 

「先生の授業で習いました。古代人の遺跡には、別フロアに移動するためのテレポーターやワープゲートが設置されていることが多々ありますが…それが一方通行であることは、ほぼありえないと…当然ですよね?この手の遺跡は古代人が利用していたのですから。一方通行で戻れない『扉』なんて、古代の人が困っちゃいます」

 

 ルミアの目には、覚悟を決めた者特有の強い意志の光が宿っている。

 

「つまり『扉』の向こう側にも、あの『扉』を開くための装置が必ずあります。私の『力』があれば…その装置を使って向こう側から『扉』を開き、ここに戻って来れます。その方が確実に先生も教授もジョセフ君も帰ってこれます…そうですよね?」

 

「そ、それは…確かにその通りだが……」

 

「危険なのは分かっています!でも…私、覚悟は出来ています!だから、どうか、私にもアルフォネア教授とジョセフ君を助ける手伝いをさせてください!お願いします!」

 

「だが、しかし――」

 

 グレンがそれを拒絶しようと、口を開きかけると。

 

「……せ、先生…わ、私も行くわ……」

 

 今まで迷っていたかのように俯き、押し黙っていたシスティーナも顔を上げ、緊張に肩を震わせながらも、力強く言った。

 

「そもそも私のせい、だし…先生は無茶するから背中を守る人がいるし…それに、お祖父様には敵わないけど…私だって、これまで魔導考古学を必死に勉強してきた…扉の向こうで私の知識が何か役に立つかもしれないし…だから……ッ!」

 

 すると。

 

「わたしも行く。セリカとジョセフを助けたい」

 

 当然、と言わんばかりに、リィエルもそんなことを言い出した。

 

「お、お前ら……」

 

 ルミア達をちらりと一瞥し、グレンは苦悩する。

 

 リィエルはともかく、ルミアやシスティーナにはやはり危険だ。

 

 どんな低級の遺跡でも、未探索領域では何が起きるかわからないのだ。

 

 恐らく大丈夫だろう…その甘い見通しで、探索中、偶然に発見した未探索領域に杜撰な計画で踏み込み…ついぞ帰ってこなかった遺跡探索隊の逸話など山とある。

 

 案外、あっさりとセリカとジョセフを発見し、帰れるかもしれない。

 

 だが、その逆パターン――扉の先がとんでもない魔境で帰ってこられない――も充分にありうるのだ。過去の例を挙げれば、枚挙に暇がない。

 

 そんな危険性のある場所に…ルミア達を連れて行ってもいいのか?

 

「……くそ」

 

 ……判断が出来ない。どうすればいいのか…わからない。

 

 しばらくグレンは熟考し…リスクとリターンを天秤にかけ……

 

「やっぱり、駄目だ。お前らは残れ。『扉』の開閉だけ頼む」

 

 そう結論した。

 

「先生!?」

 

「そもそも、俺がいない間、残された生徒達を誰が仕切る?誰が守る?お前らを連れていくわけにはいかねーよ。だから……」

 

 話は終わりだと言わんばかりに言い捨て、ルミア達に背を向ける。

 

 そして、グレンが外の空気を吸おうと天幕の外に出ると――

 

「な――ッ!?」

 

 天幕に押し込めておいたはずのカッシュやウェンディ――生徒達一同が、物言いたげな表情でそこに集まっていた。

 

(今までの話、聞かれたか!?…い、いや、大丈夫だ…天幕内には音声遮断の結界を張っていたんだ…問題はねえ……)

 

 思わぬ事態に、グレンが動揺を押し殺していると。

 

「……なぁ、先生…アルフォネア教授とジョセフのこと…どうすんだよ?」

 

 しばらくの重苦しい沈黙の後、カッシュがそんなことを聞いてくる。

 

「……せ、セリカとジョセフか?大丈夫だ、俺が今から連れ戻しにいくから安心しろ」

 

「一人でか?」

 

「ふっ…当然。こんな楽勝ミッション、俺一人で充分だっつーの」

 

 すると、システィーナとルミアが天幕から、慌てたように出てくる。

 

「せ、先生!?またそんなこと言って――」

 

「そうですよ、私達は……ッ!」

 

「ええい、お子様のお前達は黙らっしゃい!」

 

 システィーナ達の言葉を、グレンが一喝して封じるが……

 

「ふうん……?」

 

 カッシュはグレンの背後のルミア、システィーナ、リィエルを見やる。

 

 彼女達の何か物言いたげな表情と、グレンを交互に見比べて……

 

「なるほどね…なぁ、先生よ……」

 

 すると、カッシュが軽く助走して――グレンに向かって跳躍して――

 

「バッキャロォオオオオオオオオオオオオオオオオ――ッ!?」

 

「ぎゃあああああああああああああああああああ――ッ!?」

 

 グレンへと猛烈に跳び蹴りをカマす。

 

 吹き飛ばされたグレンはゴロンゴロンと転がり、背後の天幕をなぎ倒していた。

 

「ったく…アンタのことだ。どーせ、ルミア達や俺達のことを案じて、一人で…なんて言ってるんだろうけどよ…今、そんな意地張ってる場合じゃねえだろ!?」

 

 ずびしっ!とカッシュが無様に倒れ伏すグレンに指を向ける。

 

「俺が言うのもアレだが、アンタは強ぇけど魔術師としちゃ三流なんだ!アンタには助けが要るはずだ!そうだろ!?」

 

「そ、それは……」

 

 カッシュの指摘はド正論過ぎて、反論できない。

 

 グレン一人では、たかが狂霊一匹を相手取ることにすら苦労するのだ。

 

 何かあるかわからない未探索領域に一人で挑むのは無謀の極み、ヘタすれば犬死にだ。

 

「……カッシュ、お前……」

 

「先生!ルミア達が覚悟を決めて同行を申し出てんなら連れてってやってくれよ!それで、より確実に教授とジョセフを助けてやってくれ!俺達なら大丈夫だ!」

 

「こう見えて貴方には鍛えられていますからね。実戦にも大分慣れましたし、安全な野営場内に留まる限り、万が一、危険な魔獣がやってきても、どうとでもできますよ」

 

「教授は、先生の大事な御方なのでしょう?形振り構うなんてらしくありませんわ。ですので、教授といつも一人で無茶しまくるあのバカを連れ戻してきてくださいな」

 

 カッシュ、ギイブル、ウェンディが次々に言う。

 

「先生…お一人でなんて…そんな、無謀な真似は…おやめください……」

 

「いくら先生でも、それじゃ教授やジョセフを助けられませんよ……」

 

「ふふ、先生なら教授含めて皆、無事に帰ってくれると信じてますから」

 

 見れば、リンもセシルもテレサも…同じ思いらしい。

 

「お、お前ら…?いや…どうして、そこまでセリカやジョセフのことを……?」

 

 呆けたようなグレンの、間抜けな問いかけに。

 

「だって、仲間じゃん!」

 

「……あ」

 

 カッシュの単純明朗な叫びに、ようやくグレンは気付いた。

 

 かつて、この生徒達がグレンを受け入れてくれたように。

 

 彼らは――セリカやジョセフも受け入れてくれたのだ。

 

 ジョセフが聞いたら「お前らホンマ、アホやなぁ」と言うだろうが。

 

「お前ら……」

 

 しばらく、グレンは胸が熱くなる思いで、自分を見つめてくる生徒達を眺め……

 

「……わかった。ルミア達を借りていくぜ。だが、約束する。こいつらは必ず無事に連れて帰る…セリカもジョセフも一緒に、だ」

 

 そして――覚悟を決め、グレンが背後を振り返って、言った。

 

「頼む…力を貸してくれ、ルミア、システィーナ、リィエル。セリカは、俺がガキの頃から一緒にいてくれた、俺の唯一の家族なんだ…ジョセフもなんやかんや世話になってる…だから……」

 

 そんな、グレンの懇願にも似た言葉に。

 

 三人の少女達は力強く頷き返すのであった。

 

 

 

 今にも落ちてきそうな星空の下で。

 

「アルフォネア教授ー?」

 

 ジョセフは歩きながらセリカを探していた。

 

 どれくらい歩いたかわからないが、先にはセリカ曰く、この≪星の回廊≫の出口だと思われる光の扉が見えた。

 

「マズいな…早く連れ戻さないと、ヤバいことになる気がする」

 

 ジョセフは、『扉』が出現した時、セリカの様子が一変したことを思い出す。

 

 あれは、止めないとマズい。直感がそう告げていた矢先、セリカが『扉』に向かって駆け出した。

 

 ジョセフは、そんなセリカを止めるため、猛然と駆け出したが、あと一歩及ばず『扉』に入れてしまった。

 

 ジョセフも勢いで入ってしまい振り返ると、出口にもあった光の扉は閉ざされてしまい、とりあえず教授を探し一緒に脱出するしかないとジョセフは進みながらセリカを探していた。

 

「もしかして、もうこの扉をくぐり抜けたとかじゃないよね?」

 

 ジョセフは、セリカを結局見つけられず光の扉を見る。

 

 あの向こう側は…ヤバい。

 

 少なくとも、人間が入るべき場所ではない。

 

「……ホンマ、先生も教授もなんでこう……」

 

 ジョセフはため息を吐き、光の扉を見る。

 

 セリカを連れ戻すにはどうやらここをくぐるしかない。

 

 セリカは少なくともこの扉の向こう側を知っている。

 

「行きましょうかね」

 

 どっちにしろ、入り口が閉じられた今、進むしかないので、ジョセフは光の扉をくぐり抜けた。

 

 そして、くぐり抜けた先には――

 

「!」

 

 眼前に広がる光景に、ジョセフは眉にしわを寄せる。

 

 そこには干からびた死体――無数のミイラがそこかしこに転がっていた。

 

 しかも、皆一様に恐怖と無念の形相に、その顔を歪ませて。

 

「ここは……」

 

 ジョセフは周囲の様子を改めて確認する。

 

 そこは天井、床、壁、全てが石造りの丁字路の真ん中であった。石のブロックを積んで建築されているため、タウムの天文神殿内ではないことは間違いない。

 

「どうやら別の場所に飛ばされたらしいな。どれ」

 

 ジョセフは足下のミイラを検分する。

 

「朽ちかけた衣装と、杖…魔術師か?しかもここに転がっているやつ全員…それに、この傷は……」

 

 謎のミイラ達は例外なく、焼け焦げていたり、身体の一部を欠損していたりと外的損傷が激しかった。

 

「どうやら、その外的損傷が致命傷で、誰かに殺られた、ということか……」

 

 ふむっと、ジョセフは立ち上がる。

 

 どうやら、ミイラ達の死体から察するに、ここで魔術戦があったのは確かだ。

 

 現に、ここは空気が悪く、濃厚な『死』の匂いが漂っていた。明らかに北部戦線の戦場の『死』よりも濃厚な匂いが。

 

 一言でいうなら――ここは地獄だ。北部戦線以上の。

 

「さて、教授はどこにいるのか…はぁ、さっさと見つけて――」

 

 ジョセフが早く見つけようとした…その時だ。

 

「――ッ!?」

 

 ずる、…り…、と。足下に転がっていた両足の無いミイラが、ジョセフに向かって這いずりながら近付いてきた。

 

 そのミイラの眼窩には眼球がなく、無限の闇色が湛えられている。

 

「……マジかよ……」

 

 ジョセフが面倒臭そうな顔をしたのを皮切りに。

 

 ガササササササササ――ッ!

 

 ミイラが両腕を物凄い勢いで動かし、ゴキブリの如き挙動と素早さで這い寄ってくる。

 

 そして、ジョセフに向かって、両腕で跳躍し――

 

 銃声が鳴り響いた。

 

 銃弾を頭部にくらったミイラは、頭部は粉々に粉砕され、胴体は地面に叩きつけられる。

 

「……うへぇ、まだ生きとったんかいな……」

 

 いつの間にか構えていた拳銃でミイラを倒したジョセフは、その銃声を皮切りに周囲のミイラ達が動き出したのを視認していた。

 

「うっわ…起こしてもうたわ……」

 

 ジョセフはざっと数え、とてもではないが、拳銃やショットガンなどの銃火器ではキリがないと悟る。

 

 にも拘わらずジョセフは平然としている。

 

「……しゃーない。アレで片付けるしかないな……」

 

 そういうとジョセフは、右手を虚空にかざし、何やら口で何かを唱える。

 

 すると、ジョセフの目の前の空間が歪み、巨大な鎌が出現した。

 

 白い柄に、白い刃。黒を好んでいるジョセフにしては珍しい色合いの、巨大な鎌。

 

「さーて、パーティの始まりやでー。お手柔らかになー」

 

 ジョセフは鎌を構えると、ミイラ達にそう言い。

 

 その声を皮切りにミイラ達はジョセフに襲いかかっていった。

 

 





今回はミシシッピ州です。

人口298万人。州都はジャクソン。主な都市にジャクソン、ビロクシ、ガルフポートです。

愛称はマグノリアの州で、20番目に加入しました。

州名はインディアン部族オジブワ族の部族語で、「大きな川」を意味するミシシッピ川から取られています。

南北戦争では南部連合に属したため、州旗には南軍旗が描かれています。

黒人比率の高い州です。農業も盛んでしたがプランテーションによる奴隷労働の拠点でもあったことから、綿花で財を成した、いわゆる綿花御殿(の成れの果て……)がたくさん残されています。

エルビス・プレスリーゆかりの地でもあります。

海外資本の誘致や自国ベンチャーの停滞などで発展が遅れており、アーカンソーに代わり、今日では最も貧しい州と言われていました。

そこでカジノを合法化したことで、今日ではネバダ州に次ぐカジノ州として知られ、チュニカを筆頭に、ビロクシ、ガルフポート、ナチェズなどいくつものカジノリゾートがあり、南部随一のリゾート州として復活しつつありました…と、思っていたのかとばかしに度々起こるハリケーンや洪水、竜巻に邪魔されています。ミシシッピェ……

以上!!

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