ロクでなし魔術講師ととある特殊部隊員   作:藤氏

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ザイードとラザールを混同してしまう今日この頃。




69話

 

 グレンとルミアは、連れ立って歩き、会場に到着する。

 

 社交舞踏会はまだ開催前だというのに、会場はすでに大いに盛り上がっていた。

 

 すでに場を盛り上げるため、指揮者が指揮棒を振るい、楽奏団が演奏を開始している。

 

 それに合わせて、早くもダンスに興じている男女も多い。

 

 眩いシャンデリアから降り注ぐ光の雨の中で、着飾った生徒達のあちこちで談笑している。見慣れない顔も混じっているのは、それが他校の生徒だからだろう。

 

 遠くでは、生徒会長リゼが、到着した政府高官と挨拶を交わしているのが見えた。

 

「うっわ、マジかよ?こりゃすけぇな!?たかが学生行事だと舐めてたわ……」

 

 なにせ、パーティー参加者の主な年齢層が、十代の少年少女であること以外は、貴族の社交界にも引けを取らない豪華さと本格さだ。

 

 夢でも見ているような心地で、グレンが目を瞬かせていると……

 

「……ん?」

 

 グレンはリゼと挨拶を交わした一人の開襟のスーツ姿の男の存在に気付く。

 

 男はこちらをちらちらと何回か見ている。

 

(なんだあの男?俺達を何回も見て…まさか……ッ!?)

 

 グレンはこの時、あの男が天の智慧研究会の暗殺者、≪魔の右手≫ザイード、もしくは第一団≪門≫のメンバーか、どちらかだと思い、身構える。

 

 それにしては、かなりあらかさまな気がするのだが。

 

 すると、男は耳に当てて何かを呟いている。

 

(……いや、まさか天の智慧研究会ではない?だったら誰なんだ?ルミアだけではなく俺も見ているのはどういうことだ?)

 

 グレンはその男と組織はなんなのか、考える。

 

 すると、男はこちらを振り向き、自分の襟を見るように身振り手振りでグレンに促す。

 

(ん?まさか、この男は…連邦の外交官か……ッ!)

 

 グレンは男の襟、フラワーホールを見て、そう推測する。

 

 男のフラワーホールには連邦の国旗…星条旗を形どったバッチがつけられていた。

 

(と、なると…こりゃ、デルタの連中動いているな…にしても、まぁ、考えたな……)

 

 デルタ自体が入れなくても、連邦の外交官は入れる。デルタはこれを利用して会場の状況を外交官を通して確認できるのだ。

 

 利用出来るものはなんでも利用する。そして、成功に導く。連邦のやり方にグレンは内心舌を巻いていた。

 

「よう!先生!」

 

 グレンを見るなり、一部の生徒達が、グレン達の元へ、わらわらと集まってくる。

 

「聞いたぜ?アンタ、ルミアと一緒にダンス・コンペに参加するんだってな?学院の野郎どもの『夜、背後から刺すべき男リスト』に、先生の名前が載ってたぜ?」

 

 そう言って、太陽のように笑った少年は、カッシュ…グレンの担当クラスの男子生徒達のリーダー格の少年であった。その身に纏う燕尾服は、恐らく学院側が貸し出した衣装なのだろう、微妙にサイズが合っておらず、大柄な少年の身体には少々小さいようだ。

 

 因みにジョセフも『夜、背後から刺すべき男リスト』に入っている(主にウェンディ派の男子生徒の要望により)。しかし、グレンとは違い、反撃されたら、ほとんどの確率で返り討ちに遭うため、『夜、背後から刺すべき男。そして、最も危険な男』というとんでもないカテゴリーに入れられていた。

 

 そして、これをカッシュはジョセフに伝えたら――

 

「――え?」

 

 おう、とりあえず俺をそのリストに入れた奴、呼んでこいやと言わんばかしの表情で、目が据わった状態のリアクションだったという。

 

 この時、カッシュは思った。こいつを怒らせたら、その先にあるのは間違いなく”死”が待ち受けているだろうと……。

 

「……な、なんなんだよ、その怖いリスト……」

 

「そりゃそうだろ~?だって、先生、学院中の野郎どもの憧れの天使ちゃんを、給料日前の小遣い稼ぎのためにかっさらっちゃったんだからなぁ」

 

「ていうか、ほんっとうに相変わらずですわね、貴方……」

 

 高級ドレスに身を包んだツインテールの少女ウェンディも、ジト目で嘆息している。大貴族のお嬢様は伊達ではなく、その佇まいは実に華やかで美しく、堂に入っていた。

 

「まったく…せっかくわたくしに相応しい格式高いパーティーなのに、参加する男性の質は最悪ですわ。皆、作法もデリカシーもなく、わたくしを強引にダンスへ誘うばかり…淑女の扱いというものを心得てからお声をかけていただきたいですわね!」

 

 つん、とそっぽを向くウェンディに、ルミアは苦笑いし。

 

「……お前な…いくらジョセフを誘うことができなかったからって、拗ねるなよ……」

 

 カッシュも苦笑いしながら、そう言う。

 

「な――ッ!?」

 

 するとウェンディはその言葉にかなりの反応を示すかのように、カッシュに振り向く。

 

「そ、そそそ、そんな、わたくしは、す、す、すす、拗ねてなどいませんわ!あ、あれは、ジョセフを誘う人がいないと思ったから、し、仕方なくこ、このわたくしがですね、誘おうと――」

 

 あれは仕方なく誰にも誘われてこないジョセフが可哀想だから、誘ってやろうとしただけだとウェンディは慌てたように言っているが……

 

「あれ?ジョセフ君って、確か女子生徒達から引く手数多だったような……」

 

 ルミアがジョセフが女子生徒達に誘われてそれを断りまくったことを思い出す。

 

「~~~~~~~~~~ッ!」

 

 ウェンディは顔を真っ赤にし、カッシュを睨み付ける。カッシュはどう、どう、と宥める。

 

 本当は、社交舞踏会に誘おうとジョセフを待ち構えていたら、他の男子生徒達に誘われて逃げて――

 

 見つけたと思ったらジョセフを誘う女子生徒達がいて、いなくなるのを待ってたら、なぜかジョセフは突然逃げ出して――

 

 ウェンディは男子生徒の誘いの手から逃げながら、二組の教室に入ったら、そこにジョセフがいたので、傍に寄り、誘おうとしたら――

 

 ――まさかの用事で参加しないというジョセフからの非情な宣告をくらったのである。

 

 まぁ、要するに拗ねていた。

 

「ところで、先生よ。アンタがダンス・コンペで小遣い稼ぎするってんで、俺もちょいと一計を案じてよ……」

 

 カッシュが悪戯坊主のように口の端を吊り上げながら、グレンに耳打ちする。

 

「なんと!二組の生徒全員に呼びかけて、俺達二組はほぼ全員、ダンス・コンペに参加することにしたんだぜ!」

 

「なっ……ッ!?」

 

「名付けて『任務・先生を金銭的に乾そうぜ!INダンスパーティー』ッ!」

 

 よ、余計なことしやがって…と、苦虫をかみつぶしたような顔になるグレン。

 

 グレンもジョセフと思ったのと同じ、『お前、何のために参加してんだ、空気読め!』ということだ。

 

「いやぁ、我ながら英断だったね!なんだかんだで皆、盛り上がっちゃってさぁ!カップル決めは基本くじ引きとはいえ、カイとロッドとか、女の子と生まれて初めて手を繋げる~とか、泣いて喜んでたぜ?ジョセフが悟りを開いて魂が飛んでいたのは気になったけどよ」

 

「……悲し過ぎるだろ、それ」

 

 どこまでも呑気なカッシュ達に、最早、ジョセフと同じため息しか出ないグレンであった。

 

「あーあ、これで、あと、アルフォネア教授もいてくれたらなぁ~」

 

「カッシュさん、あまり無茶を言うものではありませんわ。教授は未だ療養中の身なのですから…それよりも!」

 

 あれから立ち直ったウェンディがびしっとグレンに指を突きつける。

 

「わたくしという至高の淑女がいるというのに、『妖精の羽衣(ローベ・デ・ラ・フェ)』をみすみす他人に渡すのも癪ですからね!わたくしも挑戦させていただきますわ!おーっほっほっほっ!」

 

「ちなみに、先生。ウェンディのパートナー、俺な?くじで決まった」

 

「……た、戦う前に負けていましたわ……」

 

「ひっでぇなぁ!?」

 

 ウェンディが諦めたように顔を覆って嘆き、カッシュが頬を引きつらせる。

 

「いや、そりゃあ、ジョセフと比べたら下手だけどよ、これでもあいつから仕込まれまくって上手くなってんだからなッ!」

 

(げぇっ!?マジかッ!?なんてことしやがんだあいつは……ッ!?)

 

 ジョセフが男子生徒達をダンスを仕込みまくったということを聞き、グレンは内心頭を抱えた。

 

 ジョセフはもうどうにでもなっちまえ…と言わんばかしの半ばヤケクソ気味になってカッシュ達にダンスを教え込んでいたのだ。

 

 

 

 

 

 

 それは、二組の教室でカッシュの企みが始動した直後のこと。

 

 ジョセフはこの時、通しでウェンディと組んでカッシュ達に見本として見せたのだが。

 

「――まぁこんな感じや。主導権をどちらが握るかはっきりさせた方がやりやすいかもな。ダンスに自信があるなら、自分から主導権を握るもよし。自信がないなら、相手に委ねるのも一つの手や。ここで見栄をはったり、ぐいぐいいってもうたらダメやで?相手がいるからこそのダンスや、相手に合わせるように。相手がしくじったらさりげなくフォローできたらええ。さっきウェンディが躓きそうになった時とかな」

 

 おおお…っと、男子生徒達が感服している中、ジョセフはそう解説する。

 

 ジョセフのダンスはグレンのように荒々しくはなく、どちらかというと貴族的な踊りだったが、主導権はウチや見たいな、はっきりとしたダンスだった。優雅かつはっきりと力強いそのダンスは、パートナーが惹かれるようなダンスで、事実、ウェンディは最初は貴族然としたすまし顔が、今はふやけたような、陶然と夢見るような顔でジョセフにもたれかかっていた。

 

「まぁ、ここまで出来るには、かなり練習しなければいけないんやけど…まぁ、そこを抑えてからやるか~。…って、あの…ウェンディ?」

 

 見本と解説を一通りやったジョセフは、早速、実践させようと動こうとするが、ウェンディがさっきから離れない。

 

「あの~、ウェンディさん?ウチ、動けないんやけど?離れてくれませんかね?」

 

 ジョセフは離れるように言うが、ウェンディは離れない。

 

 大丈夫か?息してるよな!?死んでないよな!?

 

 ジョセフが内心焦り始めた、その時。

 

「……て………と、………なさい」

 

「……はい?」

 

 ウェンディが、なにやらぼそぼそと呟いたのを、ジョセフは聞き取れなかった。

 

「……用事など後回しにして、当日、わたくしと踊りなさいッ!」

 

「……断る」

 

 ウェンディのあまりにも我が儘な誘いにジョセフは断り、動こうとするが……

 

 ギュウゥウウッ!

 

 ウェンディは離すまいと、ジョセフの腹部に腕を回し、抱きつく。

 

「ちょッ!?ウェンディ、離してくれやッ!」

 

「嫌ですわ!うんと言うまで、離しませんわ!」

 

「せやから無理って!どうしても外せんってッ!」

 

 我が儘もいい加減にしろや!

 

 そう思いながら、ジョセフは振りほどこうとウェンディの腕を引き離そうとするが、今度はジョセフの腕を巻き込むように回し、がっちりとホールドする。

 

「ちょちょちょちょちょッ!?マジで離せってッ!もういい加減に…って、アカン、アカン!そない絞めたら義手が壊れるってッ!?」

 

 たちまち、二人はギャーギャーと騒ぎ始める。

 

 しかも、傍から見たら組手を組んでいるような、そうでないような中途半端な体勢で。

 

((((……二人とも何やってんだよ……))))

 

 片や離れようともがき、片や離すまいと抱きつく。そんな光景を周囲は呆れ返りながら見ており――

 

 一部は殺意剥き出しでジョセフを睨み――

 

((((あぁ、ウェンディが暴走しちゃってるよ……))))

 

 ウェンディの心情を察していた、主に複数の女子生徒達はそれを遠巻きに眺めていた。

 

 

 

「……いや、二人とも何やってんだよ、マジで……」

 

 そんな二人の一部始終を、カッシュから聞いたグレンは呆れていた。

 

 そんな呆れ返っているグレンの周りには……

 

「まったく…なんで僕まで…忙しいのに……」

 

「ま、まぁまぁ…人作りも魔術師には大事なことだと思うよ……?」

 

 後ろの方では、恐らくカッシュあたりに強引に引っ張ってこられたのであろうギイブルが不満たらたらでぼやき、それをセシルが宥めており……

 

「うふふ、本日のコンペはお手柔らかにお願いしますね?先生。実は、私もダンスには結構、自信があるんですよ?そう簡単には負けませんわ」

 

「あっ…あの…先生…も、もし良かったら…その…コンペが終わった後…わ、私と踊…なっ…なんでもない…です……」

 

 相変わらずいつもニコニコ笑顔のテレサや、小動物的なポニーテール少女リン。

 

「こらぁ――っ!そこの生徒達ッ!待ちなさいぃ~~っ!」

 

「うっわ、」やっべ、見つかった!?逃げるぞ、ロッド!」

 

「お、おうっ!」

 

 テーブルに並ぶ料理を勝手に摘み食いして、運営側から追いかけられているカイにロッド。

 

 他にも、アルフ、ビックス、シーサー、アネット、ベラ、キャシーなど、グレンの担当クラスの主だった生徒達は、皆、今回の社交舞踏会に参加しているようであった。

 

「……ん?主だった、と言えば……」

 

 いつもやかましい白髪の説教鬼と、ナチュラルボーン破壊戦車の姿が見えない。

 

 グレンが二人の姿を探しかけた…その時である。

 

 おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――ッ!

 

 会場の一角から感嘆の声が上がり、どよめきが会場中を伝播していく。

 

「……なんだ!?」

 

 そのどよめきの発信源、今、会場中の視線を一心に集めている方向へ目を向ける。

 

 その中心では、一組のカップルが楽奏団の演奏に合わせてダンスをしていた。

 

 そのダンスカップルの片方は遠目にもわかる…システィーナだ。その流れるような銀髪に、空色を基調とした華やかなドレスが映えている。その佇まいは妖精のようで、ルミアに負けず劣らず、否応なく人の目を引き付ける美しさだ。

 

 システィーナのダンスの相手を務める方は、見知らぬ小柄な少年であった。鮮やかに青く長い髪をうなじで三つ編みに纏めた、男のグレンから見ても一瞬、目を見張ってしまうほど絶世の美少年である。その少年はまるで着せ替え人形のように、きっちりと折り目正しい燕尾服に身を包み、表情一つ揺るがさず、機械のような正確さでシスティーナに合わせ、ダンスを淡々とこなしている。

 システィーナのリードの巧みさもあるが、その少年のダンスの技量は相当のものだ。その動きはとにかく正確無比。やや無機質で人形じみてはいるが、その少年のまさに人形のようなクールな美貌と相まって、一種の禁忌的な魅力を醸し出していた。

 

「きゃああああああああああ――っ!」

 

「す、ステキッ!誰!?あのステキな殿方は一体、誰なのぉっ!?」

 

「いやあんっ!あんな御方、この学院にいたかしらぁん!?」

 

「や、やばい…お、俺…何か新しい境地に目覚めそう……」

 

「や、やめろ、ルーゼル!?戻って来い!それは修羅の道だぞ!?」

 

「だって、あんな可愛い子が女の子のはずがない……」

 

「ルーゼルぅうううううううううううううううううううう――っ!?」

 

 おかげでその美少年は、メロメロの骨抜きになった会場中の女子生徒達の熱い視線と黄色い声、そして、ごく一部の男子生徒達の悶々とした葛藤の的だ。

 

 やがて、システィーナと少年が華麗にダンス・フィニッシュを決めて。

 

 会場中の拍手喝采を浴びながら、システィーナは件の美少女の手を引いて、呆気に取られたグレンの元へとやってくる。

 

 間近で見て、グレンはようやくその美少女の正体に気づいた。

 

 

 

 

 

「……あーあ。こじらせ度全っ開じゃん。システィーナ……」

 

 一方、フェジテの某所にある地下墓所に向かっているジョセフは深層意識野に外交官に通して展開されている映像を見て、苦笑いしながら、向かっていた。

 

 映像ではシスティーナがグレンに挑戦的な目で流し見ている。

 

「めっちゃやる気MAXやんけ…こじらせもMAXやけど…子供か……」

 

 システィーナは一方的にグレンに宣戦布告した後、リィエルの手を引いて、意気揚々と中央舞台へ向かっていく。

 

「チラッチラッ見て、もうホンマに不器用やな……」

 

 笑いながらその映像を見ると、途端に真面目な顔つきになる。

 

「着いたで。ここやな?」

 

 ジョセフは地下墓所に通じる、地下の入り口を見つけ、立ち止まる。

 

「さて、ここで何をしてたのかな?」

 

 後ろにフランクが到着し、懐中電灯を照らす。

 

「さぁ、残留思念が残っていれば、何か掴めるかもしれない。まぁ、連中が残していればの話だけど……」

 

 っと、その前に、先生に一応、連絡を取るか。

 

 ジョセフは、耳に仕込んでいる通信機で、グレンに連絡を取る。

 

『ジョセフか?』

 

 しばらくすると通信機からグレンの声が聞こえてきた。

 

 因みにグレンは念話で通信機を介して、連絡を取っているため、周りには聞こえていない。

 

「先生、どうです、会場は?」

 

『かなりの盛り上がりだ。まだ始まていないがな…お前んとこは?』

 

「これから、連中が潜伏したとみられる地下墓所に入り、調査します。地下墓所から三名、動いたので先生も警戒を怠らないでください」

 

『くそ…動きやがったか…って待て、三名?残り一名は?』

 

 グレンが舌打ちした後、残りの一名の動きを尋ねる。

 

「恐らく、すでに学院内に潜入していると思われます。どうか警戒を」

 

『了解だ』

 

「それと、先生。外交官のことお気付きになられました?」

 

『あー、あれか。まさか、外交官通してなんてな…お前らホントになんでもやるよな……』

 

「それが連邦です」

 

『ああ、そうかい』

 

「それと、何かあったら些細な事でも構いません。こちらに連絡をください。こちらで解析、情報を送りたいと思います」

 

『マジか?そこまでしてくれるとはな…助かる』

 

「ほんなら、切りますよ。また連絡します」

 

 そう言うと、ジョセフは通信を切る。あまり長く話すとイヴに気づかれる恐れがある。

 

「んじゃ、全員揃ったな」

 

 気付いたら、後ろにはティムとダーシャとホッチンズがすでに到着していた。

 

「じゃ、入るぞ。一列だ。隊列を乱すな」

 

 フランクがそう言うと先頭に立つ。

 

 ジョセフは二番手につき、その後ろにダーシャ、ホッチンズ、ティムが後ろを警戒するように最後尾に立つ。

 

「行くで」

 

 そして、薄暗く気味悪い地下墓所へ入っていったのであった。

 

 

 


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