東方刀物語   作:クロノヒメ

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はい、と言うわけで序章最終話です。


#10 新天地へ

輝夜と自己紹介し、その日の晩御飯にて。

 

「永琳、今日のご飯はなんだ?」

 

「カレーよ」

 

「おぉ、よし。永琳のカレーはうまいぞ、輝く夜」

 

「ホントに?なら期待しちゃおっかなー?」

 

「フッフ、腕によりをかけてつくるわよ」

 

「どれくらいかかる?」

 

「そうね…三十分ぐらいかしら?」

 

「そうか…なぁ、輝夜」

 

「なーにー?」

 

「なんかで遊んだりしないか?」

 

「ん!遊ぶー!」

 

無邪気な輝夜を見ると、こっちまで微笑んでしまう。

 

「なにして遊ぶのー?」

 

「そうだな…輝夜は何がしたい?」

 

「んー…将棋!」

 

この年代で将棋か…まだ若いはずなのだか。

 

「そうか、分かった。じゃあやるか」

 

そういい、押し入れから将棋を出す

 

「ルールは分かるか?」

 

「分かるよ!天は?」

 

「分かるぞ」

 

「じゃあ、負けたら罰ゲームね!」

 

「罰ゲームか……何にする?」

 

「うーーん…負けた方がアイスをおごる!」

 

「よし、それにするか」

 

駒を並べて輝夜と打ち合う。

 

パチッ

 

「……」

 

パチッ

 

「……」

 

一言も喋らず、俺達は打ち合ってた。将棋をやっていると、様々なことを考えなきゃいけないが、それがまた楽しいと俺は思う。

 

「……」

 

パチッ

 

「ねぇ、天」

 

パチッ

 

輝夜が話しかけてきた。彼女のわりには真剣な声で。

 

「ん?どうした?」

 

パチッ

 

「天はさ、永琳と結婚してるの?」

 

パチッ

 

「ん?いや、してないぞ」

 

パチッ

 

「え?じゃあなんで同じ家に住んでるの?」

 

「うーーん……そうだ、俺の昔話でもするか?」

 

「うん!聞きたい聞きたい!」

 

将棋を中断し、俺は永琳と初めて会った時のこと等を話した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「へぇー、天にそんなことがあったのね」

 

「まぁ、そのおかげで今俺がここに居るんだし、悪いことではないかな」

 

「ふーーん……」

 

「姫、天。カレーが出来たわよ」

 

「はーーい!」

 

「今行く……姫?」

 

「あっ、それ私ね?」

 

「へぇー、輝夜は姫って呼ばれてるのか」

 

「うん、そうだよ」

 

居間につくと、永琳が座って待っていた。

 

「二人共、何の話をしていたの?」

 

「昔話さ。俺のな」

 

「そう。それじゃ、ご飯をたべるわよ」

 

「手をあわせて」

 

パンッ

 

「「「いただきます」」」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ロケット発射前日

 

時が過ぎるのは早いな、と感傷に浸っていたが、やることをやらねばと思い、放送のスイッチを入れる。

 

ピンポンパンポーン

 

「あー、あー、マイクテスト、マイクテスト」

 

今俺がいるのは軍の施設。

大事なことを伝えるため、皆を外にある演習場に呼ぶために、放送を使っている。

 

「今いる人は全員演習場に来てくれ。繰り返す、今いる人は全員演習場に来てくれ」

 

放送をきり、俺も演習場に向かう。

 

「おう、天。なにするつもりだ?」

 

俺に話しかけてきたのは、俺と同じ時に軍に入った心樹(しんき)っていうやつだ。

周りのやつからも慕われていて、とてもいいやつだ。

 

「ちょっとな。みんなに言わなきゃいけないことがある」

 

「お前がか?珍しいな」

 

「あぁ。お前も早く来いよ」

 

「はいよー」

 

 

五分後……

 

「あーあー、全員、聞こえるか?」

 

演習場に集まった仲間達に問う。

 

「聞こえるぜー!」

 

一番後ろにいる心樹が反応する。

 

「よし、それじゃあ今から大事なことを言うから、よく聞いてくれ」

 

 

俺が地上に残ると聞いたみんなの反応はバラバラだった。

 

泣く人、怒る人、お前らしいと笑う人。

みんながみんな、俺のことを思ってくれていて、とても嬉しいが、その分俺も悲しくなった。

 

「それと、もうひとつ――」

 

同じぐらい大事なことをみんなに伝えた。

 

みんなに伝え終わった後、心樹が俺に近づいてきた。

 

「いいのか?本当に?」

 

「いいんだよ。あ、心樹。お前に頼みたいことがあるが、いいか?」

 

「いいぜ。幼馴染の最後の願いなら、聞いてやるさ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

永琳side

 

 

 

ロケット発射当日

 

「とうとうこの日が来たのね……」

 

昔では考えないことをやった天才、八意 永琳はそう呟いた。

 

永琳は今、ロケットの発射するところで、最終チェックをしている。

 

あらかた必要なものをのせたし、いつでも発射出来る。

 

「そろそろ天を呼びに行かないとね」

 

天から「もしロケット発射の準備ができたなら、俺を呼びに来てくれ」と言われていた。

 

しかし、聞き忘れたのが天の場所。

 

どうしようかと迷っているところに、一人の男が永琳に近づいた。

 

「おっす、永琳さん。なにかお困りですか?」

 

「心樹か。いや、天の居場所を忘れてな」

 

「あぁ、アイツなら確か、ツクヨミ様のところにいくって言ってましたよ。たしか、 もうロケットに乗ってるはずです」

 

「そうか……では、行ってくる」

 

「分かりました」

 

永琳が言ったあと、心樹はため息をつく。

 

「ハァ…まったく。アイツ、これでいいのかよ」

 

 

ポチッ

 

 

――ロケットが発射します。繰り返します。ロケットが発射します。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ロケットが発射することに驚きつつ、永琳はツクヨミ様の部屋まで走る。

発射して困ることはないが、やはり、どこか緊張するものだ。

ツクヨミ様の部屋まで来た。

 

「失礼します」

 

そういい、ツクヨミ様の部屋に入る。

 

「む?永琳か。どうした?」

 

「はい。その、天は居ませんか?」

 

「は?」

 

「え?」

 

驚くツクヨミ様。

 

「待て。……永琳。天から何も言われてないのか?」

 

「天から、ですか?」

 

特に思い当たる節はない。

 

「いえ、特に何も……」

 

「……」

 

ツクヨミ様が黙りこんでしまった。

 

「天はな。儂に地上に残ると言ったぞ?」

 

「えっ……」

 

息を飲む。

 

「なっ、どういうことですか!?」

 

「あやつがやりたい事があるとな」

 

「ですが!」

 

「あやつが決めたことだ。それに口を出すのは、いささか筋違いじゃぞ?」

 

「っ……」

 

確かにそうだ。

天が決めたことに、口を出すのは。

でも……

 

「まぁ、そう慌てるな。あやつなら、自分の力で月まで来そうじゃがの?」

 

「……失礼しました」

 

「待て。どこに行くつもりじゃ?」

 

「少しやることができました」

 

「ふむ……そうか」

 

 

バタンッ!!

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

自分の部屋から弓と矢を持つ。

矢に手紙をくくりつけ、ロケットの窓に立つ。

 

「永琳さん、あそこの山です」

 

「分かったわ…それにしても、なんで?」

 

「俺は、アイツが納得しても、俺が納得出来ないからです」

 

意外なことに、永琳に天の場所を教えたのは心樹だった。

 

偶然見かけた心樹に、天が行く場所を聞いたら教えてくれた。

 

「アイツ、ロケットが発射するところが見たいって。だから、あそこの山で見るって言ってました」

 

「そう……。……!見つけた!」

 

弓を引き絞り、山目掛けて射つ。

 

この思いが届くようにと、願いを込めて。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

天side

 

 

「おい、お前。本当に良かったのか?」

 

零が聞いてくる。

 

「いいんだよ。それに永琳に言ったら、ついてくる、って言いそうだからな」

 

「お前がいいならいいが。……そろそろか」

 

視線を空に移すと、ロケットが飛んでいくのが見えた。

…みんなと、お別れか。

 

「天!避けろ!」

 

「あ!?」

 

零に言われ、バックジャンプする。

 

 

ズドオォン!

 

数秒まで俺がいたところに矢が刺さっていた。

 

「なんだ!?敵襲か!?」

 

「いや、違うな」

 

よく見ると、矢の上の方に、紙が巻きついてある。

 

「なんだ…?」

 

矢から紙を外し、中を見ると、そこには――

 

 

『天へ

 

また会うときまで、絶対に死ぬな。

 

永琳』

 

と、書いてあった。

 

「心樹のやつ、言いやがったな」

 

それに、紙が所々濡れている。

……泣きながら書いたのだろうか

 

それに死ぬな、か。

誰だよ、俺を不老不死にしたのは。

 

「行くぞ、零!」

 

後悔はある。名残惜しすぎる。

でも、また会えると。

天はそう、確信した。

 

 

ここから始まる、一人の人間と、刀の物語。

その先に何があろうとも。

 

「まずは、大きな村を目指すぞ」

 

決して、折れない。

そんな彼の心を表すかのように、

 

空は遥か彼方まで澄んでいた。

 

 

 




これにて序章は終わります。
では、次章予告です。


次章

神がまだいた時代。
そして、人が栄え始めた時代。

次章「神の時代、人の時代」

次回もお楽しみに!
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