東方刀物語   作:クロノヒメ

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前回までのあらすじ

「イノシシ」


#12 前触れ

 

「ん?おい、そこのお前、止まれ!」

 

「はい」

 

今は、さっき見つけた村の正面の入り口にいる。

 

「お前、どこの者だ?」

 

「旅人です」

 

「年齢は?」

 

いるか?この質問。

 

「24歳(450歳以上)」

 

「獣を狩ったりは?」

 

「やりますねぇ!」

 

「うむ。いいぞ、入れ!」

 

いいのかよ。

後半ふざけただけなのに。

 

門をくぐり、村の中に入る。

 

「おお」

 

つい声に出してしまった。

広い村だが、メチャクチャ人がいる。

しかもみんな笑っていて、とても居心地はよさそう。これはもはや、村というより国だ。

 

もっとも。

 

「チッ、うるせぇな」

 

零は気にいってないが。

 

(おい零。もう少し楽しくいこうぜ?)

 

『勝手にしろ。……にしても、なんだ?』

 

零が何か違和感を感じてるらしい。

 

(どうした?なにかあったか?)

 

『 いや、何でもない』

 

(そうか。なんかあったら言ってくれよ?)

 

ずっとそこで突っ立ってたら、ガタイのいいおっさんが話しかけてきた。

 

「よう兄ちゃん!この村はどうだい?」

 

「みんな笑顔で、とてもいい村だと思います」

 

「ガッハッハ!だろ?なにせこの村を守ってくれる、守護神様がいるんだからな!みんな安心してんのさ!」

 

「神様、ですか」

 

「おうよ。あそこの丘の上に家がたってるだろ?あそこが神様の家なんだよ。もしよければ、後で行って顔を出してくんねーか?」

 

「分かりました。では、早速行ってみます」

 

そういい、その場から立ち去る。

 

「……零」

 

「さあな?どんな奴が神を名乗ってんだろうな?」

 

――どんな奴なんだろうな?

と、聞く前に答えられてしまった。

 

「流石に長い間一緒にいると、分かるんだよ」

 

「ハッハ、そうだったな」

 

そして、俺達知らなかった。

この先、あんなド肝を抜かれることが起きるとは…

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「結構近いな。もう少し時間がかかると思っていたが…」

 

さっきの場所からだいたい10分後。

俺達は神様の家とやらに着いた。

 

(まぁ、ノックでもするか…)

 

トントン

 

「ごめんくださーい、神様いますかー?」

 

「はーーい」

 

トットット

 

歩いてくる音がする。

 

カラカラカラッ

 

扉があき――

 

「「はっ?」」

 

零とハモる。

なぜならそこには――

 

 

「ん?どーしたの?お兄さん?」

 

 

幼女がいた。

 

……もう一度言うが、幼女がいた。

 

間違いだと思い、聞く。

 

「えっと…君が神様かな?」

 

「うん、そうだよ!」

 

マジかよ。

なんで神様は幼女が多いんだ。

ツクヨミ様も幼女だったし…。

 

「で、なんのようかなー?」

 

「いや、挨拶だ。俺は旅をしてる身でな。村の人から神様に顔を出してと言われたんだ」

 

「へぇー!旅人なんだ!ねぇ、なにか面白い話ってないかな?」

 

「いいぞ。その代わりこの村のことを話してくれ」

 

「うん、いいよ!」

 

そして、俺は旅先で起こったことを話した。

この女の子…あ、名前聞いてなかった。

 

「なあ、名前はなんて言うんだ?」

 

「私の名前は洩矢 諏訪子(もりや すわこ)だよ。気軽に諏訪子って呼んでほしいな」

 

「分かった。俺の名前は白憑 天だ。天って呼んでくれて構わない。よろしくな」

 

「こちらこそ、よろしくね!」

 

「それで、諏訪子。この村のことを教えてくれないか?」

 

「うん。この村は諏訪の国って言って、私が治めている国なんだよ」

 

「あぁ、だから守護神って言われてたのか」

 

「うん。この国の人達がこの国を栄えさせるかわりに、私がこの国を守るっていうね」

 

と、俺が諏訪子と話してた時だった。

 

「諏訪子様!濃尾の奴らから文が!」

 

「っ!分かった!・・・読み上げて」

 

どうやら慌ただしいが、読み上げてと言っているので俺もおとなしく聞いてみる。

 

「はい」

 

男がそういい、ふところから手紙をだす。

そして読もうとして、顔を青ざめた。

 

「なっ……!」

 

「どうしたの?早く言って」

 

諏訪子に促され、男が喋り出す。

 

「はい……紙には『明日、貴様らの国を奪いにくる。せいぜい覚悟しておくんだな』、と……」

 

 

「なッ!」

 

……なるほど。

確かに、この時代では多かった出来事だ。

 

「……」

 

諏訪子が黙り、真剣に考えている。

……書類仕事を泣きながらやるツクヨミ様とは大違いだ。

 

「みんなを集めて」

 

「はっ!分かりました!」

 

男が今来た道を走って帰る。

 

「ごめんね、天。こんなことになっちゃって」

 

「謝ることじゃないさ。……どうするつもりだ?」

 

「もちろん、この国を守るよ」

 

一種の決意を浮かべながら、諏訪子は言う。

そこで、俺も霊力を半分くらいだして言う、いや問う

 

「俺もやろうか?」

 

諏訪子が目を丸くする。

そりゃあ、ただの人間だと思ってた人がかなりの霊力を持ってたらびっくりするよな。

 

「え!?天ってこんなに霊力があるの!?」

 

「まぁな。それで、俺も手伝おうか?諏訪子だけだとキツいだろ?」

 

「いや、でも」

 

「大丈夫だ。俺、けっこう強いから」

 

「う~~ん………」

 

諏訪子がメチャクチャ悩んでる。

 

「……ごめん、天。気持ちはうれしいけど、やっぱりダメ」

 

「・・・何でだ?」

 

あの時、零はこんな気持ちだったのだろうか。

感情じゃなく、論理的でもなく。

ただ、自分のしたいことを、正義を見極めるため、あの時俺に聞いたのか。

 

「うん…。これは、私の、この国の戦いだから。それに天を巻き込みたくないんだよ」

 

真っ直ぐに。

俺の目を見ながらいう。

 

「そうか。……頑張れよ」

 

「うん。頑張るよ」

 

そして少し時間がたった時

 

「諏訪子様ー!」

 

さっきの男だ。

 

「みんなが集まりました」

 

「分かった。ありがとうね」

 

「いえ、お気になさらず」

 

「それじゃあ行くよ、天」

 

「はいよー」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

国のみんなが集まる中、諏訪子が喋り始める。

 

「みんな、聞いてほしいなことがあるの」

 

シーーン……

 

「明日、濃尾の奴らが攻めてくるんだ」

 

ザワザワ…ザワザワ…

 

反応はさまざまだった。

驚きに声を上げる者、周りの奴と話し合うもの、俺のように黙ってるものなど。

 

諏訪子は続けて言う。

 

「だから、私が戦うから、みんなにはこの国を守っててほしいんだ」

 

「待ってくれよ、守護神様」

 

そこで、あのガタイのいいおっさんが待ったをかける。

 

「それはつまり、一人で戦うってことか?」

 

「うん、そうだよ。みんなを危険な目に合わせたくないから」

 

「でも……!」

 

そこで、別の若い男が言おうとするが、おっさんに止められる。

 

「守護神様が言うんだから、守護神様の言うことを聞け。その代わり、俺達はこの村を死んでも守るぞ」

 

「お頭……」

 

「それでいいか?守護神様」

 

「……ごめんね。この国を任せたよ」

 

周りを見ながら、諏訪子が言う。

 

「それじゃあ解散!各自明日の準備をしてね」

 

「よし、お前ら!そうと決まれば俺達の出来ることをやるぞ!」

 

おっさ……お頭はそういい去っていった。

諏訪子も歩いて戻ってくる。

 

「なぁ、諏訪子」

 

「なあに、天」

 

「お前にある言葉をおくりたい」

 

「……」

 

真剣に俺の方を見る彼女に、俺が知ってる名言を言う。

 

「『王は民のためにある者。民無くして王はありえない』」

 

「?……それって、どういう意味?」

 

「王ってのは、民をまとめる人のことだ。この場合、神だけど。そして、王ってのはな。民がいなきゃいないんだよ」

 

「……?」

 

「分からないか。王がいるから民がいるんじゃない。民がいるから、お前()がいるんだ」

 

「!」

 

「お前は一人じゃない。みんなの思いを背負ってるんだ。だから、必ず勝ってこい」

 

「……天」

 

「帰ってこいよ」

 

「うん、帰ってくるよ。絶対に」

 

そういい、諏訪子は家のほうに帰った。

 

「なぁ、天」

 

「ん?なんだ、零」

 

「さっきの言葉……なかなかいいな」

 

「だろ?俺もそう思う。……あと、零」

 

「わかってる。みなまで言うな」

 

「ハッハ、敵わねぇな」

 

 

 

 




天のあの言葉は『鋼の⚪️金術士』に出てくる名言です。
私、結構この言葉好きなんですよね。
……一番は『有り得ないことなんて有り得ない』ですが。


次回予告

「雑魚は任せろ」
by 零
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