東方刀物語   作:クロノヒメ

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二章最終話です。


#19 不安

 

想定外だった。

いや、俺の勘違い?というか詳しく言わなかった神子が悪いと思う。

 

・・・開幕から意味の分からないことを言ってしまった。

しかし、これにはちゃんとした訳があるのだ。

 

それは、神子が答えを出した所に遡る。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「私は――

 

 

 

 

不老不死に、なります」

 

神子がそう宣言したとき、俺はどんな顔をしていたのだろうか。

悲しい顔か、怒りの顔か、失望の顔か。

ただ、これは後で思ったことだが、俺自身、子供だと言うことを認識した。

 

「そうか・・・・・・」

 

その時ふと、何故か恥ずかしくなり、思わず能力を使ってしまった。

目の前の女と神子に直接触れてはないが、ある程度自分の霊力を出す。そして、二人の体に霊力を纏わせる。

声を上げるが、直ぐに顔が驚愕に染まる。

 

「「えっ?・・・・・・ッ!!!」」

 

二人に『動くことを封印』し、神子の顔を見据える。

 

「神子」

 

「ッ!!」

 

ただ、もういいと思った。

 

「今日でお前の師匠をやめる。あと、泊めてもらったり世話になった」

 

「・・・・・・」

 

そう言い、関係を一方的にきる。

 

「もう神子には干渉しない。・・・・・・そうだな、不老不死になるんだったら――」

 

左手を前にだし、零をかかげる。

二人はポカンとしてるが、青い方は俺がやることに気付いたのか、目を大きく見開いた。

 

「覚悟、しろよ?」

 

スパン――ドタッ

 

「ッッッ!!!」

 

「痛・・・久しぶりだな、このレベルの傷は・・・・・・」

 

地面に転がった左手を見て、毒づく。

神子の顔は様々だった。

何をしてるんだと赤くなり、大丈夫かと青くなり、生々しい血や肉をみて白くなったりと・・・。

 

「まぁ・・・これくらいなら」

 

手がない左腕を上げ、

 

「すぐ治るけど、な」

 

振り下ろす。

すると、振り下ろした後には元通りの左手があった。

 

「さて、相談は終わったし出ていきますか。じゃあな」

 

扉をあけ、部屋を出る。

そのまま歩くスピードを段々上げ、神子の家から出る。

夜の寒い空気を浴びながら、深い森の中に入っていった。

 

その後、一週間がたった。

 

その間特に何もせず、何も考えず過ごし、ただボッーーとしてた。

 

自分では普通のつもりだったが、余程心にきていたのか、零に「そんなシケた面すんな。こっちまで嫌気が差してくる」と文句を言われるレベルだった。

 

このままじゃいけないと頭では分かっているのだが、やはりなんとも言えない感情が邪魔をし、何も出来ないままでいた。

 

だが、それも瓦解する。

 

ある日の朝、森の中を歩いていると、村の猟師に出会った。

 

「おーい、お前さんよー。お前さん、太子様の家に住んでたひとだろー?」

 

「どうも、ご無沙汰してます」

 

「お前さん、1人でか?」

 

「そうですが・・・」

 

そう言うと、猟師はどこか納得したような感じて頷いた。

 

「だよなー。太子様が、あんなになってっから、お前さんも嫌で1人なんだろー?」

 

「あんなとは何ですか?」

 

「むぅ?お前さん、知らねぇのか?」

 

「はい。最近は村に帰ってなくって・・・」

 

「なら仕方ねぇか・・・太子様、病気で倒れちまって、今日が峠で、おいお前さん!?どこ行くきだい!?」

 

気付いたら俺は走り出していた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

すぐ村に戻り、神子の家に向かった。

が、村の人達がたむろっているの目視し、裏手から回る。

そのまま跳んで柵を越え、どうするか考えた時。

 

ガタガタガタ・・・

 

目の前で木製の扉が開いた。

これは明らかに誘っているが、今そんなことで足踏みをしてる場合じゃない。

 

迷わず中に入り、神子の部屋の方に早足で進んでいく。

 

「おい、天。分かってると思うが・・・」

 

零が一応と言わんばかりに言ってくる。

 

「あの青い女は殺すなよ?お前、今そんな顔をしてるぞ?」

 

「・・・分かってるさ。少なくとも、このことが終わるまでな」

 

神子の部屋の前に立ち、扉に手をかける。

 

「スーー・・・ハァーー・・・」

 

自分を落ち着かせ、扉を開ける。

 

「ッ・・・」

 

部屋を見た瞬間、息を飲み込んだ。

部屋は一週間前と変わらず、神聖な雰囲気があったが、床には布団がしかれ、そこに神子・・・と布都、屠自古が横になっている。そして――

 

「あら〜やっと来たかしら〜?」

 

「・・・」

 

昨日見た、青い女がいた。

 

「そんな怖い顔しないでよ〜。私は」

 

「黙れ。神子に何をした」

 

そう冷たく言い放つ。

 

「・・・随分嫌われちゃったわね・・・でも、あなたには全部話すわ・・・でも、その前に・・・」

 

そういい、女はニコリと笑ってくる。

 

「私の名前は霍 青娥(かく せいが)。あなたの名前は〜?」

 

「・・・白憑 天」

 

「天・・・ね。いい名前ね〜」

 

「世辞はいい。早く言え」

 

「昨日も言ったけど、不老不死にしたのよ〜?」

 

俺はその時、半分以上の意識を、必死に右手に向けた。

そうじゃないと零を抜き、苦しむ間もなく殺すところだったからだ。

 

「もちろん、理由はあるのよ〜?彼女、今の政治に不安があったのよ〜。それで、仏教の他に道教を進めたのよ〜」

 

そこで一拍置き、言い続ける。

 

「道教ではね、超人的な力・・・不老不死を身につけるために、一度死ななきゃいけないの」

 

死ぬ、だって?

ここまでは理解出来た。我慢が出来た。

だが、次の一言が。

その一言が、俺の逆鱗に触れた。

 

「まぁ、私に取っては――

 

 

 

 

自分の力を、他人に見せたかっただけどね〜」

 

ガシッッッッ!!!

 

「っ!?」

 

(おい天。止めろ)

 

俺は青娥の襟を左手で掴み、零を吐息が触れそうな距離で止めた。

 

「ふざけるなよ・・・!お前の都合で、人の生き様を変えるんじゃねぇ・・・!」

 

「・・・確かに、そうかもしれないわね〜」

 

「!だったら!」

 

「でも」

 

青娥は俺の目を見据えて言う。

 

「それはあなたにも言えることでしょう?」

 

「ッ!」

 

「戦い方を教え、生き方を教え・・・」

 

でも、と青娥は続ける。

 

「結局、無駄になってしまったわよね?」

 

認めたくなかった。

 

「俺は・・・」

 

何が出来たんだろうか?

 

否、何も出来なかった。

絶望に打ちひしがれている時、青娥は笑いながら言う。

 

「フフッ、悲しいわね〜」

 

 

あぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、「黙れよ」

 

 

 

 

「え・・・?」

 

 

 

 

 

 

鮮血が舞う。

 

俺の思考が止まった。

 

(今、なにをした!?)

 

体が勝手に動いた、と言えばしっくりくる。

 

「うっ・・・・・・」

 

驚いた途端、気持ちが悪くなり、さらに俺の視界は徐々に暗くなっていき――

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

気がつくと朝になっていた、つまり、初めの俺に戻ったって訳だ。

 

なお、ここからは零から聞いた話だ。

曰く、あの後俺は倒れ、癪だか青娥が布団を用意して寝かせたらしい。

 

今は寝起きだが、頭がスッキリしている。

ネガティブでは無いけど、ポジティブともいえない。

・・・何が忘れているようだが、上手く思い出せない。

・・・?血?何でだ、何で今、頭に過ぎった・・・?

 

「なぁ、天。これからどうすんだ?」

 

頼もしい零が聞いてくる。

 

「そうだな・・・旅でもするか」

 

「分かった。お前も少しは変わらないといけないからな・・・」

 

「変わるってば、何をだ?」

 

「これからの特訓内容だよ。肉体的じゃなく、精神的の方を強化しなきゃいけねぇな・・・座禅でもやらせるか」

 

「そうか・・・・・・なぁ零」

 

零を・・・月詠を見て、言う。

 

「俺は・・・あの時、正しいことをしたのか?神子を止めたほうが良かったんじゃないか・・・」

 

後悔。

だが、零は言う。

 

「知るか。俺様はお前じゃねぇから分からねぇ。・・・でも、そうだな・・・」

 

「?」

 

「あどばいす?とやらを言うなら、俺様はこう言うぜ。『正しきこと、それすなわち悪しきこと』、だな」

 

「・・・は?矛盾してるじゃねぇか」

 

正しいことが悪い?何が言いたいんだ・・・?

 

「意味はテメェで考えな。・・・ほら、そうと決まれば早く出るぞ」

 

「・・・分かった」

 

そう言い荷物をもち、部屋から出る。

 

不安、後悔、疑問を抱えた俺の心を表すかのように。

 

空は深い灰色で覆われていた。

 

 

 

 

(ク、クク・・・あと少しだな・・・でもこれなら・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もっと面白くなりそうだぁ・・・!)

 

 

 

 




バットエンド・・・?
それでは、次章予告です。

妖怪。
天にとっては積極的に殺すものとは思っては無いが、敵対したら殺す程度に捉えていた存在だった。
だが、世は広い。
彼は会ったことが無かった。
心優しき妖怪達に。
そして、残虐な妖怪達に。

次章「妖怪達の時代」

――物語は加速する。

次回もお楽しみに!
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