「力を貸してくれ、か・・・」
目の前の妖怪から敵意を感じないので、刀を鞘に仕舞う。
「その前に、なんでこんなことをしたか教えてくれないか?」
そう言うと、妖怪は少し俯きながら答えた。
「・・・私には・・・やりたいことがあるの・・・」
「ふむ?やりたいこととな・・・?」
轟鬼が首を傾げながら口に出す。
「貴方達に聞きたいのだけど――」
「――人と妖怪の共存は、出来ると思うかしら・・・?」
「「人と妖怪の・・・共存?」」
天と轟鬼が同時に喋る。
「それは文字通りの意味かのぅ?」
轟鬼が一応と言わんばかりに確認する。
「・・・えぇ。文字通りの意味よ。妖怪達にも、人間と仲良くしたい者が沢山いるの」
そこまで言って息を吸い、さらに言葉を紡ぐ。
「私は、人と妖怪達の架け橋になりたいの。今すぐに、簡単に出来ないことは分かってる」
「だから、貴方達に力を貸してほしいの」
「私1人だと、何十年、いや何百年かかるか分からない・・・でも、もし協力してくれる人が、妖怪がいたら・・・共存はすぐに出来るのよ」
彼女の目を見る。
恐らく、嘘はついてないであろうと天は感じた。
「お願い・・・私に力を貸してくれるかしら・・・」
そこで彼女は頭を下げた。
相手がまだ敵対しているかもしれないのに、みずら隙をだしたのだ。
天はそこで目を閉じ、天の、彼なりの答えを告げる。
「無理だろ」
明らかな否定。
「・・・どうしてそう思うの?」
彼女の声は震えていた。
悔しいような、悲しいような声で、問いかけた。
「妖怪は人を襲う。そして、人はその妖怪を・・・妖怪達を憎む。そんな今までの関係が、覆ると思うのか?」
例えだが親を妖怪に殺された子供が、その妖怪と手を取り、笑い合えるだろうか?
「・・・っ」
誰に聞いても、答えは否だろう。
「現にさっきあんたは妖怪達を操って俺たちに攻撃を・・・敵対したよな?それでホントに共存ができるのか?」
「・・・」
彼女は完全に沈黙する。
「・・・なんてな」
天が軽く呟く。
「やったことの無い事を無理って最初から決めつけるから出来ないんだよな 」
「人と妖怪の共存。一筋縄ではいかないことだ。」
「でももし・・・そんなことができるなら・・・」
――どれほど良いか。
「えっ・・・それじゃあ・・・!」
彼女が顔を上げ、その顔に笑みを浮かべる。
「いいぜ。その話、乗った」
天が声を高らかに上げ叫ぶ。
「この白憑 天、あんたに力を貸す。その代わり、あんたのその願いを、望みを絶対に叶えろよ」
「カッカッカッ!ふむ!やはりお主は面白い男じゃの、天!」
そこで今まで喋らなかった轟鬼が笑いながら言う。
「よし!儂も力を貸すかのぅ!カカカッ!」
「良かったな。大きな目標への第一歩だぞ」
「・・・ありがとう。こんな夢物語に付き合ってくれるなんて・・・」
「夢物語じゃないだろ。叶うんだからな」
「!・・・えぇ、そうね!」
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妖怪との共存は簡単じゃない。
だけど、出来ないわけじゃないと俺は思う。
今日(昨日)俺と轟鬼が、例え短い時間でも仲良く出来たんだ。
全員が全員、素直になるとは思えない。
だが、それでも時間をかけてゆっくりと良くしていけばいいと思う。
「よし!そうと決まれば飲み直すぞ!天!」
轟鬼がそう提案する。
「そうするか。今から飲み直すのも、まぁ悪くないな」
そこで後ろに振り向き――
「・・・そういえば、あんた名前はあるのか?あるなら教えてくれ」
「私の名前は
「スキマ妖怪・・・?初めて知ったな・・・。ま、とりあえず酒でも飲みながら話そうぜ、紫」
「えぇ。貴方達の話も聞かせてね?」
「あいよー」
そんなこんなで。
不死人と鬼とスキマ妖怪という面子で酒を飲み直す。
まだまだ夜は長い。
短いけど許して“〇| ̄|_
久しぶりに書いたし、リハビリ程度にこれぐらいの長さにします。