東方刀物語   作:クロノヒメ

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・・・どうも、お久しぶりです。


#24 狐の里

 

 

 

「キツネの・・・里?」

 

そう呟き、目の前の人型の狐に問う。

 

「そう、ここは狐の里!私たちの住処で・・・」

 

そこで言葉を切り、首を傾げた状態で止まる。

 

「うん、住処だよ!」

 

さてはこの子アホの子か?

 

「なぁ、なんで俺をここに連れて来たんだ?」

 

見たところ耳や尻尾、狐の部分を残しながらも人の形をしている目の前の妖怪?と言えばいいのか。

 

普通、こういうのは自分たちの故郷に入れないものじゃ無いのか?

 

「えーっと、それは」

 

と、言う前に遠くから歩いてくる音がする。

 

「あ!へきねぇー!どこいってたのー!」

 

見るとこちらもまた少し垂れてる耳、くるっとした目で目の前のへきと呼ばれた少女を見る男の子がいた。

 

「かえりがおそいって、おさがしんぱいしてたよー?」

 

「うん、分かった。後で会いにいくよ」

 

「そこのおとこのひとは?」

 

「えーっと、私の命の恩人さん!」

 

そういうや否や、目と口を大きく開く男の子。

 

「え!?だいじょうぶ!?」

 

「うん、平気だよ」

 

「おさにつたえてくるー!」と言いながら走り去って行く背中を眺めつつ、今の状況を整理する。

 

狐を助けた→連れてこられた(今ここ)

 

うん、分かりやすいな。分かりやすすぎて分かんないな。

 

「それで、なんで俺をここに連れてきたんだ?」

 

「助けて貰った人間を里に連れてくる。私たちの狐の長が決めたことなんだよ!」

 

「へぇ・・・」

 

いったい何時からこの地にこの文化が根ずいたのだろうか?

少なくとも、ここ数百年で思い当たる記憶は無い。

 

「私も長に会いに行かないと行けないし、もう少しだけ私に着いてきて!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

彼女の名前は(へき)と言うらしい。

なんでも、この里の長に付けて頂いた名だと言う。

確かに、彼女の目はとても澄んだ緑色だ。

 

「なあ碧、さっきから気になっていたんだがここの長はどんな人なんだ?」

 

前にてくてくと進んでる史希は後ろに振り向き、器用にも後ろ歩きをしながら天の質問へ答える。

 

「長はねー、とっても優しいの!私達と遊んでくれるし、面白い話もしてくれるの!」

 

碧は随分嬉しそうにハニカミながら笑う。

なるほど。それほど人望、もとい狐望が厚い狐なのか。

 

「あ、着いたよー!ここが長の御屋敷だよ!」

 

人になれるとしても狐、だが建築技術は充分高いようだ。

神子の屋敷程ではないが、外からでも長い年月が立っているのが分かる。だが、隅々まで手入れをされているようで充分大きい。

 

まだ外にいる故に全貌は計り知れないが、余程凄い狐なのだろうか。

 

などと天が考えていると、碧は両手を口にあて、息を吸い込むと大声で長を呼ぶ。

 

「長ー!碧、ただいま戻りましたー!」

 

すると、屋敷からドタバタという音が聞こえ、こちらへとどんどん近づいてくる。

 

数秒後、玄関の扉からドンッ!と盛大な音を立て、1人の男が出てきた。

 

「あ、長!ただいまー!」

 

「ハァ、ハァ・・・。ただいま、じゃないだろう?一体どこに行ってたんだい?」

 

顔に優しい笑みを浮かべ、男は優しく怒る。

やがて天を見ると目を丸くし、すぐさま先程より細める。なるほど、狐だな。

 

「・・・ふむ、珍しいお方だね。あの子から聞いてるよ。碧を助けてくれたんだろう?」

 

不思議な男だ。優しい目だが、こちらの奥底まで見られているような視線を感じる。

 

「長!その目は嫌われるって前も言ったでしょ!」

 

「あ、すまない。里に人が来るのは久しぶりでね。近頃は物騒な妖や人が増えたと聞いてね・・・」

 

そういうと、すぐさま人懐っこい笑みを浮かべる。

 

「それじゃあ、屋敷にどうぞ。見るところ、旅の方だろう?今日くらいゆっくりしていってくれないかな?」

 

「・・・そうだな。それに気になることがあるしな」

 

天は薄く笑う。

目の前の男は、どうやら中々キレ者らしい。

 

あぁ、と呟く男は未だに口を緩ませ言葉を放つ。

 

「名を言うのがまだだったね。僕の名は白銀(しろがね)空岸(うかん)。皆からは長と呼ばれているんだ。好きな方で呼んでね」

 

「俺の名前は白憑 天。短い間だが、世話になる」

 

そういい、手を出す。

天は握手を求めただけだが、空岸は首を傾げる。

どうやら握手を知らないらしい。

 

俺は出した右手で空岸の右手を掴み、手と手を繋ぐ。

 

「握手って言うんだ。挨拶みたいなもんだ」

 

「あくしゅ・・・。ふふ、やはり僕が知らないことはまだまだ多いらしいね」

 

「はは」

 

――嘘はつくなよ。

 

2人は笑う。

 

片方は知的さを思わせる目付き。

 

片方は面白さに笑いを堪える目付き。

 

「これからよろしくな、空岸?」

 

「ええ、こちらこそ。短い間ですがね、天」

 

似たもの同士は笑う。

 

まだ日は真上を過ぎていない。

 

「それじゃあ、今日は僕の屋敷に泊まりなよ。碧、叔母様方に伝えて来てくれるかな?明日会いに行くとね」

 

「わかりましたー!」

 

そういい、碧は去っていく。

 

「それじゃあ、歓迎するよ」

 

 

ようこそ、狐の里へ。




この小説、3ヶ月ぶりの更新ってマ?

悲しくなってきた( ◜௰◝ )
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