東方刀物語   作:クロノヒメ

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この神話には、本来の神話ではなく、フィクションの神話があります。


#6 神話

「あ、あの」

 

「なんじゃ?」

 

ツクヨミ様が神話を話す前、俺はあることを聞いた。

 

「永琳さんは、ツクヨミ様が神様だと言うことを知っているんですか?」

 

「うむ、しっておるぞ」

 

「それなら、永琳さんも同席でよかったのでは?」

 

「あ」

 

…ツクヨミ様って、結構おっちょこちょいなのかな?

 

「か、勘違いするのではない。の、飲み物がほ、欲しくてだな…」

 

「そ、そうですか…」

 

「まぁいいのじゃ。さて、では神話を語ろうかの」

 

そう言うと、ツクヨミ様は不思議そうな顔をした。

 

「…どうかしましたか?」

 

「…そういえば、お主はどれぐらい神話を知っているのじゃ?」

 

神話か…

神様の名前なら一通りわかるが、物語となると何も分からないからな…

 

「名前ぐらいしか知りません。」

 

「そうか。なら、全部話すことにするかの」

 

そういうと、ツクヨミ様が語りだした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「むかしむかし、とある二人の神様がいた

 

「その名は、イザナギとイザナミと言う名前だっ

 

「この二人の神は、今わしらが住んでいる日本と、そこにいる神々を産み出したといわれているのじゃ

 

「二人は仲良く、とても幸せだった

 

「だが、そんな二人にある悲劇が襲いかかるのじゃ

 

「それはイザナミが火の神・カグツチを産んだときのことじゃ

 

「産まれてきたカグツチの火に焼かれてしまい、火傷をおったイザナミが死んでしまったのじゃ

 

「イザナギはとても悲しみ、イザナミが死んだ原因である、カグツチを殺してしまったのじゃ

 

「だが、カグツチを殺しても、イザナギの悲しみが癒えることはなかったのじゃ

 

「生きる理由がなくなったイザナギは、いっそのこと死んで、死者の国に行こうと考えた

 

「そして気づいた…いや、気づいてしまったのじゃ

 

「死者の国…またの名を『黄泉の国』に行けば、愛しのイザナミに会えると

 

「イザナギはすぐに準備を済ませ、黄泉の汚れから身を守るためお守りをもって黄泉の国へむかったのじゃ

 

「黄泉の国に行き、イザナミに会おうとしたが、イザナギはまだ生者なので、黄泉の国に入ることはできなかった

 

「しかし、黄泉の国の門の前に立ち、声をかけると、イザナミの声がした

 

「イザナギはイザナミに一緒にまた国作りを再開しようと言うが、イザナミはそれを断ってしまうのじゃ

 

「共食

 

「イザナミは黄泉の食べ物を口にし、もう二度と現世に戻ることはできなくなっていたのじゃ

 

「だが、イザナギは諦めなかった

 

「それほど、イザナミと一緒にいたかったのだろう

 

「イザナミはこう提案する

 

「『黄泉の神々に戻れないか相談する』と

 

「イザナギは喜び、一緒に行こうとしたが、イザナミに強く拒絶されてしまう

 

「『まだ私のことを見て欲しくない。まだ、その、準備が出来てないから…』

 

「『だからお願い。私がいいと言うまで、この門を開けないで』と

 

「イザナギはその言葉を聞き、ひたすら待った

 

「しかし、いつになってもイザナミが出てこない

 

「心配になったイザナギは、約束を破り門を開けてしまう

 

「中はとても暗く、何も見えなかったと言う

 

「頭に刺していた竹のくしを燃やし、中に進んでいった

 

「そして、見てしまったのじゃ

 

「イザナミを――否

 

「『ソレ』を

 

「『ソレ』はイザナギが大好きな人の声を発した

 

「そこには、目が落ち窪み、体中が腐り、ウジの沸いたイザナミがいた

 

「ここからが本番じゃ

 

「わし以外の神が知ってるのは、そこでイザナミが驚いたイザナギに気づき、約束をやぶり、自分の姿を見られ、イザナミは激怒するのじゃ

 

「追ってくるイザナミを退けつつ、イザナギは現世に戻り、黄泉の国とこの世をつなぐものをふさいだ、と言う話じゃ

 

「じゃが、これは間違っている

 

「本当の神話は、違うのじゃ。

 

「ここからは、主に直接見せようかの。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目を開けると、そこには何もなかった。

ただただ、暗闇が広がっていた。

(ここは…一体?)

さっきまでツクヨミ様から話を聞いていたはず…

 

とても暗く、そして寒い。

 

「イザナミ……なのか……?」

 

声のする方向を見ると、そこにはイザナギがいた。

遅まきながら、ツクヨミ様が言ってた意味を理解する。

これは記憶だ。多分イザナギの。

 

「なんで入ってきたの……?……こんな姿……見られたくなかったのに……」

 

そして、今喋ったのはイザナミだろう。

 

「そんな…イザナミ……」

 

イザナギが嘆いている。

(ここでイザナギが逃げるのが、偽の神話なんだよな…)

 

俺は、ツクヨミ様の話を思いだしつつ、その時を待った。

 

しかし――

 

「よか……った……!」

 

(!?)

 

イザナギが泣いていた。

ゆっくり、イザナミに歩んでいくと、そのまま抱き合った。

 

「な……んで……?」

 

イザナミは困惑している。

醜い自分を見て、驚かないイザナギを見て。

 

「当たり前……だろ?」

 

泣きながらイザナギは言う。

 

「僕は君をずっと愛するよ。たとえ、君がどんな姿になろうとしても……絶対に」

 

「……っ……イザナギぃ……!」

 

「イザナミ!!」

 

そのまま二人は強く抱き合っていた。

 

だかそこで――

 

不思議なことがおこった。

 

イザナギがみるみる光の粒子になっていくのだ。

 

「!?」

 

「……え?イザ……ナギ?」

 

「分からない!体が……」

 

「嫌だ!」

 

イザナミは叫ぶ。

 

「嫌だ!嫌だ!」

 

俺は目を逸らそうとした。

が、体が動かない。

 

「イザナミ!」

 

イザナギが言う。

 

「絶対に、必ず!また会うから!会って見せる!だから――」

 

――それまで待ってて

 

そういい終わる前に、イザナギが消えた。

 

一人残されたイザナミは、泣きながら呟く。

 

「私……待つ……あなたを……ずっと、ずっと、ずっと……待ちつづける……」

 

気づけば俺も泣いていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「―――ら。―――きる――――い」

 

今のは、一体…?

 

「――そら!――起きる―――おい!」

 

頭に衝撃を感じた。

 

「こら天!いい加減おきるのじゃ!おい!」

 

そこには、俺を見下ろすツクヨミ様がいた。

 

「ツクヨミ様……」

 

「まったく。起きるのが遅いぞ!」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「まぁ、仕方ないかのう。あれほどの情報を一度に休み無しで聞いたのじゃから」

 

「……あの」

 

「む?」

 

「あのあとイザナギはどうしたんですか?」

 

ツクヨミ様は答えた。

 

「あぁ――

 

 

 

 

まだ見つかっていない」

 

「なっ!?」

 

ということは…

 

「ずっと、待っておるのじゃろうな…」

 

「!…やっぱり、そうですか…」

 

「じゃが、イザナギは生きている」

 

「え?」

 

なんでわかるんだ?

 

「それわの、わしがイザナギの子だからじゃ。しかも、わしが生れたのは、イザナギが黄泉の汚れを川で洗ったときに産まれた、三つ最高級の神がいるのじゃ」

 

息を吸い、ツクヨミ様が言う。

 

「一人は天照大神≪アマテラスオオカミ≫。もう一人は須佐之男命≪スサノオノミコト≫そして――」

 

どや顔でツクヨミ様が言う。

 

「このわし、月読尊≪ツクヨミノミコト≫じゃ」

 

えっへん!

 

…と言わんばかりに何もない胸をはっている。

 

「む?そろそろかの」

 

コンコン

 

「ツクヨミ様、天、お茶を持ってきました」

 

「一旦休憩にするかの」

 

「コクコク」

 

疲れすぎて頭が動かない。

さっきまでは平気だったのに、急に疲れてきた。

よし。

早くお茶でも飲むか。

(それにしても…)

考えてしまう。

イザナギのゆくえ、謎の言葉、この世界。

俺がいたはずの世界なのに、どこか違う世界。

分からないことばかり増えていく。

 

「ほら天、お前には紅茶だ。疲れただろう?砂糖を入れておくからな」

 

「ありがとう、永琳……」

 

なぜか永琳さんの顔が赤くなったが、多分気のせいだろう。

 

 




結構疲れた……
この神話が気になる人は、「古事記 イザナミ」
など入れれば出てきます。


次回予告


「ここはどこだぁぁ!?」
by天
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