「ツクヨミ様。天となにを話していらっしゃったのですか?」
「ああ、言い忘れておったの。永琳」
俺は今、ツクヨミ様と話を聞いていた場所で、永琳さんとツクヨミ様、そして俺の三人でお茶会(?)をしていた。二人はお茶だが、俺は紅茶を飲んでいる。
たぶん、永琳さんが気を使ってくれたのだろう。程よい甘さでとても美味しい。
「あれじゃ、えーと、何年か前に話した神に関する事じゃ」
「ああ、思い出しました」
どうやら永琳さんもあの話をツクヨミ様から聞いていたらしい。
実際のところ、永琳さんとツクヨミ様の間にはなんというか、部活の先輩と後輩みたいな間柄な気がする。
「しかし、ツクヨミ様」
「む?なんじゃ?」
永琳さんが何か疑問に思っている。それにしても、この紅茶本当にうまいな。さっきから飲む手が止まらない。
「なぜその話を天にしたのですか?関連性がなさそうですが…」
あ、確かに。そういえば聞いてなかったな。
…というか紅茶全部飲んじゃった。
「永琳さん、紅茶おかわりお願いします」
「天…君は…」
永琳さんが声色を変えて、俺に注意してくる。
「まったく、少しは話に参加したらどうだ?そんなに紅茶が美味しいのか?」
「美味しいです。今まで飲んだもので一番美味しいです」
「そうか…お茶はツクヨミ様に出すが、紅茶は誰かに出したことがなかったからな…お世辞でも美味しいと言ってくれてありがとう」
「いえ、お世辞じゃないです。本当に美味しいですよ?」
「そ、そんなにほめるな…照れるじゃないか(ボソッ」
「?何か言いましたか?」
「な、なんでもない!」
「…ゴッホン!」
「「あ」」
「お主ら、ちょっとは真面目に聞かんか」
「「すいません…」」
「まったく…さて、なぜ天に話したか、じゃの。話す気はなかったが、天に神の因果関係…つまり、この先いろんな神に合う未来が見えたのじゃ」
「え?」
「しかも、かなり力が強いな。わしか、もしくはそれ以上の力を持った神とな。たぶん、わしを含めた三つの神か、もしかしたら…」
そういうツクヨミ様はどこか遠くを見つめていた。
しかし、すぐに俺の顔を見て、こう告げる。
「いつか関わる時が必ずくる。今日かもしれぬし、死ぬときかもしれぬ。そのときに備えるために、そうじゃの…」
そこで視線を永琳さんに変え、
「永琳。明日、天を連れて防衛軍に連れていけ。なんの能力かは知らんが、まあ、能力者ならすぐに隊長クラスになれるじゃろ」
「???」
防衛軍?隊長クラス?
「防衛軍というのは、この村の平和を守っているものだ」
分からなかった俺にわかりやすく永琳さんが教えてくれた。
「隊長クラスとは?」
「防衛軍には二つ種類があってな。私のような医師や学者、ほかにも様々な職業がある。これらは生産職と言われている。もう一つは村の平和や、外にいる妖怪たちを殺す戦闘職だ」
「ふむふむ…ん?」
あれ?今さらっと殺すって言わなかった?
「そして、隊長クラスとは、まあ、戦闘職のトップだ。今は20隊ぐらいあるな」
「なるほど、大体わかりましたが…」
そこで俺はツクヨミ様に聞いた。
「なぜそこに俺が行くんですか?」
「言ったじゃろ?備えるためじゃ」
「備えるって、まさか神様にですか?」
「うむ。まあ、頑張るのじゃ」
「は、はあ…」
こうして。
俺の今後が決まった。
「おっと、もうこんな時間か。永琳、天。もう今日は帰るのじゃ。明日から忙しくなるぞ?」
「はい、ツクヨミ様。天、家に帰るぞ」
「わかりました。…あの、ツクヨミ様」
「む?なんじゃ?」
「もし良かったら、また来てもよろしいですか?」
「もちろんいいぞ。じゃが、その時はお菓子かなにか持ってくるのじゃ。いいの?」
「はい!」
「それではツクヨミ様。失礼します」
「あ、永琳。ちょっとくるのじゃ」
「?」
ツクヨミ様と永琳さんが二人でなにか喋っているが、声が小さくて聞こえない。
しかし突然永琳さんが、「つ、ツクヨミ様!からかわないで下さい!!」と、頬を赤らめて言った。
「もう!帰ります!」
「そんなに怒らんでもいいと思うがの」
そういうツクヨミ様だが、顔はすごいニヤニヤしている。
「まあ、また来るまで楽しく待っておるぞ。じゃあの」
「はい。今日はありがとうございました」
俺がそういった瞬間、扉が閉まった。
「まったく、行くぞ天」
「はい、永琳さん」
「…永琳でいい。さっきもそう言っただろ」
「え?言いましたか?」
「…その敬語もやめろ」
「わ、わかりま…わかった」
ーーーーーーーーーーーーーーー
ツクヨミ様の屋敷を出て、今は家に帰る道中だ。
「そうだ、そういえばこの店に用事があったんだ。すまない、天。少し待っててくれないか?」
「わかった。ゆっくりどうぞ~」
「じゃ、行ってくる」
そういうと、永琳さんはお店の中に入って行った。
お店の壁に背をつけ、空を見上げる。
「それにしてもなあ」
思わず声に出してしまう。
朝起きたら昔の地球(多分)にいて、しかもゲームの中みたいに能力があるし、神様や妖怪?もいるらしいし。
「ありえない」ことが普通。
俺にとっては非日常なのに、周りにとっては日常。
なんか、調子が狂うな。
「はあ」
「おにいちゃん、どうしたの?」
――視線を横にずらすと、小学生ぐらいの女の子がいた。
暗いことを考えていたら、いつに間にかうつむいていたらしい。
「だいじょうぶ?おにいちゃん、迷子になっちゃったの?」
「大丈夫だ。心配してくれてありがとうな」
「だいじょうぶなの?」
「ああ。大丈夫だぞ」
「ならいいの!えへへ!」
見ているこっちもついつい笑ってしまう。
「またね、おにいちゃん!バイバイ!」
「おう、じゃあな」
女の子が走りさって行くのを眺める。
元気いっぱいなその背中を見届けようとしたとき。
お店と向かい側の間の路地裏から手が伸び、女の子の腕をつかみ、そのまま引きずり込んでいった。
「え?」
数秒後、遅まきながら女の子が危険なことに巻き込まれたと悟る。
急いで路地裏を確認したが――
「なッ!!」
あったのは、とても暗い裏路地だった。
少なくとも、何かがいるとは思えない。
(女の子は!?)
迷わず足を踏み出したが――
(あれ?)
そこに地面がなかった。
そんなことを知らない俺は必然的に――
「うああああああああ!!」
情けない悲鳴を上げながら、落ちていった。
はい、ということでお知らせです。
この時期になればいろんな作家様があとがきに書くことです。
……まあ、もったいぶらずに言うと、受験です。
なので、次の更新は2月中旬になると思います。
え?もし落ちたらだって?
……。
じ、次回予告です。
「何だこの刀は……?」
「お前か?俺様の封印を解いたのは」
by 天&???