東方刀物語   作:クロノヒメ

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はい、黒ノ姫です。
前回、3日で一話と言いましたが、早くもそれができなくなりそうです。
思ったより暇じゃなかったよ、受かっても。
悲しいレウ。





#9 変化

目の前に、見慣れない天井がある。

 

目を覚ました時に、一番最初に考えたことがそれだった。

 

「…起きたかしら?」

 

視線をずらすと、白衣を見に纏った永琳がいた。

 

「永琳……」

 

「体に異常はないわ。それに、もう動けるわね?」

 

「んっ…あぁ、大丈夫だ」

 

「そう……」

 

永琳との長続きしない会話。

少しうつむいていて、どこか不機嫌そうだ。

……怒らせたか?

 

「なぁ、永琳。もしかして怒ってる?」

 

「いえ、怒ってないわよ。ただ――」

 

「ただ?」

 

「感謝してるわ」

 

「感謝?なんでだ?」

 

「あなたが今回殺した妖怪は、一昨日言っていたたちの悪い妖怪のことなのよ。本来なら軍の人達がやることだったんだけど、あなたが解決したから、これ以上被害者が無くなったのよ」

 

ここで、遅まきながらも違和感に気付いた。

 

「…なあ、永琳。喋り方変わってないか?」

 

「これが素よ」

 

「さいですか…」

 

「まぁ、詳しいことを言うと、あなたを信用してなかったから、あんな口調になったのよね」

 

「へーー。そうなのか…」

 

「これからはこの喋り方でいくわよ」

 

「分かった……なぁ、永琳」

 

「何かしら?」

 

「その…俺がいたところに刀って置いてなかったか?」

 

危ない危ない。零のことを忘れかける所だった。

 

「刀…?なんのことかしら?」

 

「え?見てないか?」

 

「えぇ。特にそういったものは見てないわよ」

 

永琳の顔を見ても、隠しているような顔じゃない。

 

「そうか。ありがとう」

 

「お礼を言うのはこっちよ」

 

「そうか……」

 

「そしてね、天」

 

「ん?なんだ?」

 

「あの…謝ることがあるのよ」

 

「謝ること……?」

 

そう言う永琳は、とても申し訳無さそうな顔をしていた。

 

「実はあなた……

 

 

 

 

 

 

不老不死になっちゃったの」

 

「は?」

 

何言ってんだミカァ!

 

「いやいや……不老不死って……どうした?頭でも悪いか?」

 

「その…あなたに飲ませる薬を間違えちゃって……本当にごめんなさい」

 

「それってそんなに謝ることなのか?」

 

「大問題よ。長く生きると、辛いことや悲しいことといる時間が多くなるの。しかも、死にたくても死ねないのよ」

 

「確かに…でも、いいよ」

 

「?なんで?」

 

「そのぶん、色んなこと、人と出会うことができるだろ?なら、俺にとってはいいことだ」

 

「天……」

 

以外かも知れないが、不老不死って案外楽しそうだし、それに、後悔はしないって決めた。

 

「……あっ、そうだ。忘れていたわ」

 

永琳が何か思いだしたようだ。

 

「ツクヨミ様から、天を連れてくるように言われていたのよ」

 

「ツクヨミ様が?なんでだ?」

 

「軍についての話らしいわ。私も一緒に行くわよ」

 

「じゃ、早速行くか」

 

ベットから起き、背筋を伸ばす。

 

「ふんっ――ハァ」

 

どうやら、かなりなまってるようだ。

 

「よし、それじゃあ行くわよ」

 

ドアを開け、俺は永琳についていった。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ツクヨミ様。天を連れて来ました」

 

「うむ。入ってよいぞ」

 

「「失礼します」」

 

ツクヨミ様の部屋に入り、椅子に座る。

 

「まずは天。今回はよく頑張ってくれた。お主のおかげで、命が救われた。とても感謝している」

 

「いえ。俺は自分ができることをしたまでです。」

 

「謙虚じゃのう。それと、あの刀のことじゃが――」

 

「零は無事なんですか?」

 

「アイツめ…もう名乗りおったか」

 

ツクヨミ様は困った顔をする。そして――

 

「なんだよ、うるせぇな…って、天じゃねぇか。何やってんだこんなところで」

 

「この声…零だな。本当に」

 

零が卓上に現れた。

永琳がメチャクチャ驚いているが、今はそれどころじゃない。

 

そして、ツクヨミ様が大事なことを話始めた。

 

「すまぬ、天。頼みごとを聞いてはくれぬか?」

 

「頼みごと…ですか?」

 

「うむ。軍に入ると、お主には戦闘職についてもらうと思っている」

 

「そこでだ。コイツがどうしてもお前と一緒がいいって聞かなくてだな……」

 

そういうツクヨミ様は零を指しながら言う。

 

「まぁな。コイツぐれぇだ、月子並みにぶっ飛んでるのは」

 

「その名で呼ぶな、零」

 

「なんだよ?まだ気にしてんのか?おい」

 

だんだんヒートアップしていくのを、永琳が止めた。

 

「お二方、話が進みませんよ?」

 

「……フン。だが、そういうことだ」

 

「なるほど…だからあの時これからよろしくなっ、て言ったのか」

 

「クハハ、そういうこった」

 

「そんな訳じゃ。任せたぞ、天」

 

「はい…あ、零」

 

「なんだ?」

 

「そういえば、この刀の名前はなんて言うんだ?」

 

「…そうだな…おい、月子」

 

「だから、その名で呼ぶなと」

 

「お前が言え。いいな?」

 

「ハァーー。まったく。そういうところは変わらないんじゃからな、まったく」

 

ツクヨミ様が俺の方を向き、その名を呼ぶ。

 

「この刀の名は霊刀(れいとう)月詠(つくよみ)じゃ。大事に使えよ?」

 

「月詠…」

 

「神の名を冠する刀だ。安心しろ、お前なら使いこなせるさ」

 

「そろそろお開きにするかの」

 

「わかりました。よし、帰るぞ、天」

 

「わかりました……行くぞ、零」

 

「ちゃんと腰に巻き付けとけよ?」

 

「分かったよ」

 

キイイイイイイ――

 

 

バタン!

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

軍に入ると、様々な奴らが俺を歓迎してくれた。

どうやら俺は有名人になったらしい。

 

軍では、主に体力作りと村の防衛を行っていた。暇な時間ができたら、零の修行をやっていた。

やはり殺す、ということには慣れないが、それでもやるしかないっ、てのは気が滅入ることだった。

そんなことも、仲間達と一緒だったから乗り越えることが出来たと思うが。

 

さて、そんな青春(?)を楽しんでた俺に変化が訪れる。

 

女の子を助けてから、百五十年がたった時だった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

それは、俺が永琳と紅茶を飲んでいた時だった。

 

「月に移住する?そりゃまたなんで?」

 

そう。月に移住するということが決まったのだ。

 

「最近、妖怪達が多くなってきてるだろ?」

 

「……確かに」

 

「それでツクヨミ様が、「穢れ」がない月に移住するということに決めたらしい。」

 

「穢れ?」

 

「私達にとって、穢れとは寿命を縮めるものだ。まぁ、私やツクヨミ様には耐性があるが、村の人にはない」

 

「なるほど」

 

「あぁ。ちなみに、月にはロケットで行く」

 

「すごいな…」

 

「ふふん、すごいだろ」

 

「いつ移住するんだ?」

 

「あぁ、一週間後だ」

 

思ったよりも短いな…

 

「なぁ、永琳」

 

「なんだ?」

 

「ツクヨミ様って、いつもの屋敷にいるんだよな?」

 

「いるが…どうした?何か用事か?」

 

「ちょっと、な」

 

「そうか…」

 

「大丈夫だ。すぐに戻ってくる」

 

そういい、俺は席を外す。

玄関から外に出て、走り出す。

俺の今後のために。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

コンコン

 

「む?天か。入れ」

 

「失礼します」

 

「うむ。珍しいの、お主から来るのは」

 

「少し話しがしたく、ただいま来ました」

 

「ふむ。して、用件はなんじゃ?」

 

前々から、いや、あの話を聞いた時から、ずっと心にあった、言うなれば俺の望みだ。

 

「ツクヨミ様。俺を――

 

 

 

 

 

 

地上に置いていってください」

 

 

「ほう?なぜじゃ?」

 

「…はい。理由は、やりたいことがあるからです」

 

「ふむ。やりたいこととな?」

 

「はい。俺は、イザナミを助けたい」

 

空気が変わった。

ツクヨミ様が睨むように俺を見る。

 

「死んだものには会えん」

 

「それでも俺は、会いに助けたいです」

 

「ほう?なら、お主には助けれるのか?」

 

「助けます。絶対に」

 

「なぜじゃ?お主には関係なかろう。それに、簡単には会えぬことぐらい、解っておろう?」

 

「確かにそうです。でも、あの時ツクヨミ様に話してもらった時から、俺は助けたいと思いました」

 

「だが駄目じゃ」

 

ツクヨミ様は折れない。

駄目だとはわかってる。でも、俺はやってみたいんだ。

……やっぱり、諦めるか……

だが、そこで以外な奴が助け船を出した。

 

「おい、月子。俺様からもお願いするぜ」

 

「……零」

 

「別にいいだろ、それぐらい。暴れてなにもかも壊すような奴じゃねぇしな」

 

ハァーー

 

ツクヨミ様がため息をつく。

 

「まったく。そこまで言うなら仕方がないが…」

 

「っ、本当ですか!?」

 

「うむ。……じゃが、わし以外にも言うべき人がおろう?」

 

「ウグッ」

 

「…ちゃんと言えよ?」

 

「わかりました……ツクヨミ様」

 

「なんじゃ?」

 

「今までありがとうございました」

 

「……ふん。もうよいであろう。帰れ」

 

「失礼しました」

 

キイイイイイイ――

 

 

パタン

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「よかったのか?」

 

「……あぁ。」

 

ツクヨミ様の部屋から出て誰もいない中、零と話す。

 

「そうか。なら、もう何も言わねぇ」

 

「……なぁ、零」

 

「なんだ?」

 

「俺って、正しいことをしたのかな…?」

 

「…」

 

零が沈黙する。が、すぐに言う。

 

「知るか。テメェが正しいって思うんなら正しいだろ」

 

「フフッ」

 

「あ?なに笑ってやがる」

 

「いや、零らしいと思ってな…」

 

「フン。早く帰るぞ」

 

「あぁ」

 

そういい、走る速さを上げた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさーーい!」

 

え?

 

「おかえり」

 

「おい、永琳。この子は誰だ?」

 

目の前には永琳と、黒く美しい髪の女の子がいた。

 

「お前…誰の子だ?もしかして、お前の――」

 

パシンッ!

 

「いた!?冗談に決まってんだろ!?」

 

「…フン。どうだか」

 

「変なのー!」

 

「で、誰だ?」

 

「ツクヨミ様に言われて、この子の教育係になったのよ」

 

「へーー。名前は?」

 

輝夜(かぐや)よ」

 

「へーー…え?」

 

かぐやって、あの?超有名な?

 

「…永琳」

 

「なによ?」

 

「大切にしろよ」

 

「当たり前でしょ。なに言ってんのよ」

 

「そうだな…おーーい、輝夜」

 

「なにーー?」

 

「俺の名前は天。今日からよろしくな」

 

「よろしく!」

 

 

 

 

これが俺と輝夜の初めての出会いだった。

 

 

 

 

 




ギリセーフ…いや、アウト……?

次回

「序章最終話」

by黒ノ姫
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