俺は腹を裂かれた。次代の王候補として戦っていた俺が、あと一歩という所で死ぬのか…。悔しいな…。
「アルカド…。死ぬなよ…」
そんな顔、するなよ。カナン…。俺が死んでも、お前がこの世界を治めればいい。
「アルカド…。すまなかった…。同じ王候補にやられるなんてな…。俺の不注意だった」
俺の方こそ、自分の身は自分で守るべきだった…。自分の力を過信した結果だ…。教授が謝ることじゃない。
どれもこれも伝えたかったが、声を発することが出来ない。
…と、ここで俺の命の糸が事切れた…………。
「ヤバい。遅刻だ…」
「学校で予習復習をしたかったんだが…。この時間だとそんな時間はないな…。くそっ!昨日遅くまで起きているんじゃなかった…!」
彼は俗に言うガリ勉だ。前日も夜遅くまで勉強をしていた。
「郷也!朝ごはんは?!」
母親が叫んでいる。
「何か途中で買って食う!」
「そう…」
「行ってきます!」
母親が何かを言うよりも早く、彼は外に駆け出して行った。
(電車は…あと3分…。ここから駅までは走って2分くらいだから、ギリギリ間に合うか…!)
大量の教科書、ノートが入ったバッグを背負い、全速力で駆けていく。
(そこの角を曲がればあとは直線…!)
目の前には交差点があり、右折すれば駅に直線の道となる。
彼が角を曲がろうとした直前、誰かが顔を覗かせた。
「うおっ!」
恋愛少女マンガよろしく、豪快に激突した。
「いってて…。…大丈夫か?」
彼と同じような姿勢をとっていたのは、同い年くらいの少女だった。
「大丈夫です。すみません…私の不注意で…」
彼女が顔を上げると、かなりの美少女であることが分かった。これもベタだ。
(たまたま角でぶつかった女の子が可愛いなんてことあるんだな)
こういう娘は仲良くしておいて損は無いだろう。
「いやいや、とんでもない。君も急いでいたんだろう?」
「あっ!そうでした!
「双鳴?だったらなんでこんな所にいるんだ?あと4つくらい隣の駅だぞ?」
何しろ、彼もそこに向かっている。
「えっ?!ホントですか!?私、この辺に引っ越してきたばかりでまだ分かってないんですよ」
「へえ、じゃあ転校生なんだ。だったら、俺もそこに行くから、案内してあげるよ」
できる限りのキメ顔でそう言った。
かわいい娘には好かれたいという感情が身体中から溢れ出ていることだろう。
「あっホントですか!?助かりますっ!」
かくして、彼と、ぶつかった彼女(名前は