デジタルモンスター Missing warriors   作:タカトモン

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人間界編
一話 《デジタルモンスター 》


人間はいつだって目標のために生活している。

それは仕事であり趣味でもあり、夢でもあるもの。

言わば生きる為の理由。特に夢なんてものは小さい子供がよく夢に見るものだ。空想を夢見て、そして現実を見つめ直して成長する。

中学生なんてまさにそんな時期だろう。

夢に、目標に向かって進む。

……いつか来るかもしれない明日の為に毎日を過ごしていくのだろう。

……だけど、ナニカが欠けた自分に明日はあるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

目覚ましが鳴り、僕は重い瞼を開けた。

毎朝七時には起きるが特に決まった理由がない。別に夜更かししなかったわけじゃないし、朝起きて何かをすると言う理由があるわけでもない。

ただいつも”そう“なのだからしょうがない、一々疑問を浮かべても返って来るのはいつもそれだ。

寝間着から制服に着替え、殺風景な自室から出る。寝癖を直し顔を洗う、一連の動作を終えて僕はリビングへと向かった。

今日は月曜日、なら目玉焼きにベーコンが出るだろう。

おじいちゃんと暮らし始めて何年も経つが、もう何が出るかは考えるまでもないまでに当たり前になって来た。

 

「お、おはようタツヤ。今日も時間ぴったりじゃないか」

「おはよ。別にワザとじゃないよ。いつもそうなってるだけ」

 

そう言いながら僕は席についてテレビを見る。画面に映ってるのはニュース番組だ。どうやらまたネットのサーバーの不具合らしい。近頃そう言った事が多くておじいちゃんも不満顔だ。現にまたかとおじいちゃんも渋い顔になっている。

 

「まったく、これじゃあ通信販売もできやしないじゃないか。早く直ってほしいものだねぇ」

「今はネットショッピングだよ。…ご馳走さま。じゃあ僕学校に行くから」

「ああ、行ってらっしゃい。たまには遅く帰って来てもいいんだよ」

「それ中学生に言っていい言葉じゃ無いよね?」

「なあに、若いうちは冒険するもんじゃて」

 

 

 

チャイムが鳴り、騒がしかった教室が段々と静かになる。

今日の先生は来るのが遅いな、いつもはチャイムと同じタイミングで来るのに今は卓上に居ない。周りもいつもの感覚に任せていた為静かだった教室の中に騒がしさが出てくる。

と、教室のドアが開いた。それと同時に静かになる同級生達。

そうだ、これがいつもの風景だ。いつもの朝の挨拶といつもの宿題の回収、そして……。

 

「えー、今日からこのクラスに転校生が来ることになった。みんな、仲良くするように」

「せんせーい、男ですか?女ですかー?

「女子だ。男子はあまり迷惑をかけないように。じゃあ、入って来てくれ」

 

先生が声を掛けるとドアが開く音がする。

いつもと違う事もあり、僕は少し間の抜けた顔をしていただろう。

だけど、次の瞬間、僕は、いや、僕達は目を見開いた。

頭の上にカチューシャ、薄い紫色のロングヘアーをなびかせながら歩き、教壇に立つのは紛れもなく美少女だ。彼女が笑えばどれだけの男を虜にできるだろうと誰もが思っただろう。だけど不思議と髪よりも濃い紫の瞳からは何も感じる事は出来ない。彼女はニコリとも笑わず口を開いた。

 

「…才羽 ミキ。よろしくお願いします」

「才羽さんは帰国子女だから日本の事に慣れていない。分からない事があったらみんなで才羽さんに教えてあげなさい」

「「「はーい」」」

「そうだな、席は……浪川の隣が空いてるな」

「えっ」

 

急に名前を呼ばれて思わず声を上げる。

と同時に僕に視線が突き刺さった。特に男子のが凄まじい、僕を串刺しにして晒し者にでもさせるんじゃ無いかとばかりに睨んで来る。正直気まずいので辞退をしようとしたが、才羽さんは、はい、と一言言うと僕の席の隣へと座った。

 

「あ、えっと、よろしく。僕は浪川タツヤ…」

「知ってる」

「え…」

「さっきそう呼ばれてた」

「あ、えっと……先生が呼んでたんなら当たり前か」

 

一瞬ドキッとしたが、僕は正面を見る。

なんて事は無い。彼女は帰国子女らしいからこういう言動もあるのだろう。僕は正面を向き直して一息つく。どうせ時間が経てば僕に興味が薄れて他の人に関心が行くだろう。

そう、放課後まで我慢すればいいだけだ。

 

 

 

「だと思ってたんだけどなぁ…」

 

放課後の教室で僕は溜息を隣の美少女に一切気にせずに吐く。溜息なんていつ振りだろうか、というくらいに吐いた。そう、席が隣ならついでに学校の案内もさせられる、ほぼほぼ決まっている事だが気乗りしない。

才羽さんは昼休みや授業の合間の小休憩の時に他の同級生に話掛けられたが、その対応は良いとは言い難かった。

出身地を聞かれても、好きなもの、嫌いなもの、入りたい部活などがあっても、言う必要はないの一択で返していた。周りもそんな彼女に苦笑いを浮かべながらも一人、また一人と席へと戻って行く。以下、その繰り返し。

僕はそんな彼女を冷たいだなんて思わないけど、でも少し苦手意識は持っていた。だけど僕の中の良心か、それとも義務感かわからないけど僕は彼女に声を掛ける。

 

「それで、学校の案内なんだけどさ。行きたい所とかある?」

「特に無い」

「えっと、じゃあ無難に図書館とか?」

「そこでいい」

「あっはい」

 

あまり会話が続かず数分感教室から出ていない。これが帰国子女って奴なら僕は人生で関わる帰国子女は彼女だけで十分だ。そう思いながらも図書室に向かおうとすると、突如教室のドアが勢いよく開かれた。周りは驚くが僕はそうはならない。なぜかと言えばこれと同じ現象を数年間繰り返しているからだ。

 

「よーう、タツヤ!そいつが噂の転校生か?」

「そうだけど……まさか面白そうだから来たとか?」

「まーな!」

「誰?」

「ああ、才羽さん。コイツは…」

「よう転校生!俺、立向居 城太郎。コイツの幼馴染ってやつだ!よろしくな!」

「…腐れ縁の間違いでしょ」

「ガーン!」

 

わざとらしく膝から崩れるのは立向居 城太郎。小学生からの付き合いで自称幼馴染。ツンツンの髪に鼻に絆創膏、健康的に焼けた肌は体育会系男子だと物語っている。

長所は運動神経とポジティブな所、短所はうるさい、人の話を聞かない、話が長いetc.

 

「それよりこれから学校案内すんだろ!?ここは俺っちに任せな!なんたって俺はこの東条中のありとあらゆる名所に迷所を案内するエキスパートなんだからな!まぁ遠慮すんな、この俺にかかれば卒業までの青春の1ページや2ページ簡単に埋めてやるぜ!というわけで俺の名所No.1!体育館に行こうぜっていなーい!」

 

 

 

今頃教室では城太郎が騒いでいるだろうけどいつもの事だから気にはしない。僕は才羽さんを連れて図書室へ来ていた。リクエストは無かったので来てみたのはいいけど彼女は棚に置いてある本のタイトルを一瞥するだけ。

連れて来る場所を間違えたかな…。

僕は才羽さんを連れて別の場所に行こうとした、

…その瞬間だった。

 

 

『うわぁぁぁぁぁん…』

 

 

「えっ?」

「…何?」

「いや…今、声が」

 

才羽さんに目を向けるが彼女は何も聞いていないようだ。

僕にしか聞こえない声、一瞬何かの冗談のように思えたけど今も声は聞こえている。声…というより泣き声は図書室の外、というか倉庫から聞こえて来た。周りには予習をする生徒と純粋に本を読んでいる生徒しかいない。

先生の誰かがいたら怒られそうだが僕は倉庫へと歩き出す。

 

『やめてよぉぉぉぉ…』

「やっぱり、ここから…」

「入るの?」

「うわっ!?才羽さん!?」

「中に入るの?」

 

才羽さんが後ろから声をかけて来る。気配がしなかったので上擦ってしまったが、その質問に僕は戸惑う。まるで彼女は忠告しているような、試しているような気がして…。

 

「入る…よ」

 

僕は答える。そこに理由は無いし根拠も無い。だけど、もしかしたらこの先にあるのかもしれない。

 

この先に、僕の欠けたものがあるかもしれないから…。

 

 

 

倉庫の扉を開ける。あまり使われて無いからか埃っぽさが目立ったが、僕は気にせず奥に進んだ。あるのは古びた本に錆びた脚立、年季の入った額縁。

そして不自然に、電源が着いたパソコンが一台置いてあった。とても古いタイプだ、おそらく僕が幼稚園の時から使われていたものだろう。

電源がついた画面にはノイズが走っている。さっきの声はここから聞こえたのだろうか?

と、その時、

パソコンの画面はノイズから一転、眩いまでの光を放ち始めた。

「なっ…!?」

「っ」

咄嗟に腕で顔を隠すが、隣に才羽さんが居たことを思い出し急いで腕を取る。

今の状況は異常だ、せめて巻き込んでしまった彼女に危害が無いようにしたいとは思ったが、既に遅かった。

浮遊感、地面から足が離れるような感覚と共に僕はうっすらと目を開ける。

するとどうだろうか……倉庫の薄暗い景色とは真逆の、七色の景色が広がった。海、荒野、砂漠、樹海……少なくとも僕の住んでる町ではあり得ない光景が広がっていた。

まるで渦にでも巻き込まれているような…でも不思議と不快感がしない。僕は息を飲んでその光景を見ていたがそれは一瞬にして終わりを告げる。

 

 

 

 

「痛っ!」

 

背中への突然の衝撃。下手に打ってはいないが痛いものは痛かった。僕は数秒悶えるとハッとなり辺りを見回した。まず目に映ったのは教室にいた時と変わらない才羽さんの顔。そして次に見たのは…森だった。

正確に言えば、森の中にある木々だ。どうやら僕達は今、森の中にいるらしい。上を向いて太陽の位置を確認すると今は昼頃だろうか………いや、そんなはずはない。僕が図書室にいた時は既に放課後、夕方に差し掛かる直前の筈だ。だったらこれは一体…。それになぜ僕達はここにいるのか、さっきのパソコンはなんだったのか、疑問が尽きることが無いが今は才羽さんとこの状況を整理するのが先だ。

僕は才羽さんに声を掛ける…その瞬間、

 

 

 

「このバカチンが!バカチンが!バカチンがぁぁぁぁ!よりにもよってあんなタイミングでコケやがって!」

「うわぁぁぁん!?叩かないでよぅ…」

「うっせ、このアホンダラが!」

 

真後ろから声が聞こえた。と同時にポカポカと…いや、カンカンと金属を叩くような音も同時に聞こえる。振り返るとそこには三頭身ほどのぬいぐるみが二個動いていた。

……いやいや、おかしいでしょ。なんで森の中にぬいぐるみがあるの。というか動くはずないでしょ。

口には出さないが心の中でそう呟いていると、その内の一つというか一匹?……少し大きめの兜を被った爬虫類のようなぬいぐるみがこちらを向いて口を開いた。

 

「だ、誰ぇ…?」

「うわっ、喋った」

「アアン!?何驚いてやがんだ?デジモンなんだから当たり前だろうがよ!…ってお前ら人間か?」

「?ニンゲン?ニンゲンってなぁに?」

「で、でじ……なんて?」

「デジモン」

 

才羽さんがここに来て初めて口を開いた。

デジモン…?聞いたことが無いな、もしかしてこの二匹の事なのかな。僕はデジモンと名乗り出した頭に赤いバンダナを巻いた狐のような、でも少し違うような黒い獣…デジモンとさっきの爬虫類のデジモン?を見てある結論に至った。

 

ここは地球じゃない。というかこの二匹が喋ってる時点でどこか別世界に来てしまったのだと思う。普通だったらパニックになるのだろうけど、嫌に僕は冷静だった。……こんな状況で慌てない事に少し冷めた気持ちになる。

やっぱり僕はどこか欠けているのだろうか…?

 

「っ!?ってこんなとこで突っ立ってる場合じゃねぇ!おい人間、お前らも逃げるぞ!」

「…え?」

「え、じゃねぇよ!あいつが追いかけてくんだよ!」

 

獣のデジモンは腕をブンブン回して僕達に話しかける。あいつって一体…そう思った瞬間だった。森の奥から木々が倒れる音…まるでブルトーザーのような音が響き渡り、しかしブルトーザーよりももっと早く近づいて来る。

そして目の前の木が倒れた瞬間、僕達の目の前には圧倒的な脅威が姿を現した。

五メートルを越す赤い体に4本の腕、そして巨大な二本の顎……クワガタのような化け物がそこにいた。

今の僕はどんな顔をしているのだろう…多分ポカンという言葉が一番しっくり来るんだろうな。そんなバカみたいな考えを巡らしていると、クワガタの化け物の顔が一瞬で近づいて………そして遠退いた。

 

「へっ…?」

「こっち」

「ギシャアアアアアアアア!!」

「うわぁぁぁっ!た、食べられるぅ?!」

「馬鹿野郎!その前に死ぬぞ!畜生、お前がクワガーモンの住処でこけなけりゃこんな事にならなかったのによォォォ!」

「ごめぇぇんっ!!」

 

いつのまにか才羽さんに手を引っ張られて二匹と一緒に逃げていた。わかった事は三つ、あいつはクワガーモンって言う名前という事、そのクワガーモンは爬虫類のデジモンが起こした事が原因で追って来ているという事。

そして…追いつかれると死ぬって事だ。

今は僕のこの冷静さに感謝しよう、そうしないとパニックになってもう既にクワガーモンの餌食になっていただろう。

木の枝に鞭打たれようが耐えて森の奥へと逃げる。一緒に逃げてる才羽さんとよくその足で早く走れるなと思えるほどのスピードを出しているデジモン二匹と共に前へ進んだ。

前へ前へ、必死に前へ、そしてたどり着いた先は……絶望だった。

 

 

「そ、そんな…」

「う、嘘だろ…」

「崖…」

 

才羽さんの言うように目の前には断崖絶壁。下に川はあるが飛び降りると言う行為には絶対に及ばないであろう高さがあった。よほどの自殺志願者でなければここから飛び降り無いだろう。目の前の現実に思考が停止しかかっていた矢先、僕達の後ろから地鳴りが聞こえた。後ろを振り向けばそこにはガチガチと顎を鳴らし威嚇するクワガーモンの姿が。

この状況、どうやら絶対絶命らしい。

逃げ場を失った僕達の選択は、一か八かで後ろの川に飛び込むか、それとも元凶に戦いを挑むか。

正直どちらも生存率は限りなく低いだろう、

自分達はここで死ぬんだろう、才羽さんは転校初日で飛んだ目にあったななどと考えていると爬虫類のデジモンが前へ出た。

 

「く、くく、来るなぁ!それ以上来ると、僕がゆるひゃないぞぉ!」

「なっ…!このバカデジモン!すっこんでろ!お前が出てどうなるってんだ!」

 

獣のデジモンが叫ぶ。正直僕も今の爬虫類のデジモンは見ていられなかった。足も声も震え、兜の下に隠れる目の端からは今にも涙がこぼれ落ちそうだ。

…だけど、なぜか僕は目が離せなかった。

逃げ道を考えるべきなのに、僕は彼のその背中から目を背けられない、いや、背けてはいけない気がした。

 

「で、でもぉ…」

「でももクソもねぇんだよさっさと後ろに…」

「だって、だってワレモンはボクの……友達だから…!」

 

その言葉に獣のデジモン…ワレモンは口を閉ざす。意外だったのかそれとも考える事があったのか、彼は背中越しに語る爬虫類のデジモンを見つめる。

爬虫類のデジモンは震える足を前に出す。震えた声で言葉を繋ぐ。

お世辞にもカッコいいとは言えない、だけど僕は目を背けない。

 

「それに、ボクはまだ…」

 

 

「…まだ、明日の自分を見ていないんだ!」

 

 

ドクン、と心臓が高鳴った。この状況で心拍数が上がった訳ではなく、文字通り心臓が、心が高鳴った。まるでこの瞬間を待っていたかのように、この時の為にあるかのように。

すると腕を掴まれる感触に意識を戻される。

振り返ると僕の腕を掴んでいたのが才羽さんだと気づいた。

 

「行くの?」

「…行くよ」

「さっき出会ったばかりの彼を助けても意味はない」

「そうだね。でも––––––」

 

見返りが無くても、その行いが無意味でも、誰にも評価されないとしても、僕には意味がある。

彼の涙を見て同情したわけじゃない、巻き込まれたから一緒に抵抗する訳でもない。

ただ単に、彼の“勇気”と”友情“に魅せられた。それだけだった。それだけで僕の心は高鳴った。

そうだ、この衝動に身をまかせるなら…理由として口に出すのなら…

 

「–––僕が彼を助けたいと願ってるんだ」

 

 

僕は一歩踏み出していた。わからない、と初めて表情を変えた彼女から目線を正面へと戻す。才羽さんの手は離れ、一歩、また一歩と進み、僕は彼の隣に立った。そして目を足元に向けると、兜の下から不思議そうに見つめられる。

ああ…そういえばまだ肝心な事を聞いてなかった。

 

「ねえ」

「?」

「僕はタツヤ。浪川 タツヤ。君の名前は?」

「ボ…ボク、は……ボクはカケモン…」

 

まだ恐怖から抜け出していないが、彼は…カケモンは僕に名前を教えてくれた。口元が緩むのを感じる。いつぶりだろうか。僕は笑っていた。

そしてその事実に気付いたのと同時にクワガーモンは僕達目掛けて飛んできた。カケモンは突然の事に硬直している。このままだと僕共々強靭な顎の餌食になるだろう。そんな状況で僕はカケモンを抱き締めていた。失わせない、殺させない

 

 

…守りたい。

 

 

目の前が輝いた。この世界に来る時とは違う光、まるで命が輝いているかのように…。

ガキィン、と何かがぶつかりそして、遠くへ飛んで行く音がした。

光が収まり、咄嗟に目を瞑っていた僕は目を開ける。僕の腕の中にいたカケモンは姿を消していた。いや、消えた訳じゃない。顔を上げ、そして前を向いた。

 

そこには、騎士(かれ)がいた。灰色の鎧を身に付け、右腕にはこの世界の文字が刻まれた剣と小型化された大砲が掛け合わさったような武器が、左肩には裏地が赤の純白のマントが。鎧の隙間から見える手脚は竜人を思わせる。

僕がそんな彼を見上げていると振り向いた。前と変わらない兜、口元を覆うバイザー……そして何よりも、瞳の色は変わっていなかった。

 

…この物語は此処から始まる。

 

 

 

これは未知なる世界をその世界の生物と共に冒険する子供達の物語ではない。

 

 

 

これは空想の存在だった生物と共に成長する子供達の物語ではない。

 

 

 

これは奪われた大地を取り戻す為に新天地へ進む子供達の物語ではない。

 

 

 

これは二つの世界の均衡と秩序を守る者達の物語ではない。

 

 

 

これは数多の戦場で想いと出会いが交差する軍団の物語ではない。

 

 

これは、

 

––––欠けたもの同士が、まだ見ぬ明日を掴み取る物語である。

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