緋弾のアリア 〜Side Shuya √IF 相棒となった狂戦士〜   作:希望光

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どうもお久しぶりでございます。
希望光です。
前回投稿からとてつとなく時間が空いてしまったことを謝罪いたします。
では、本編をどうぞ。


再始動(リスタート)02 Killer of DA(武偵殺し)

 キンジがこの場に現れたことにより、俺の胸騒ぎが予感から確信へと変わった。

 

(——マズイ……このフライトで確実に何か起こる……ッ!)

 

 俺は直感的にそう悟った。しかし、どうすることも出来ない。何が起こるかが予想がつかないから……。

 このような時は基本的に対策を練るものだが、今の状況はそれができない。やろうにも情報が少なすぎるのである。それでもなんとかしなければならない。俺は切り替える為に、自身の中で武偵憲章10条を思い返す。

 

(——諦めるな。武偵は決して、諦めるな)

 

 どんな状況下に置かれても、俺たち武偵は諦められない。否、諦めてはいけない。俺はそれを頭の片隅に置く。その直後キンジに話しかけられ現実に戻される。

 

「なんでお前がここにいるんだ?」

「なんでって——俺がコイツ(アリア)のパートナーになったから」

 

 そう言った俺に対してキンジは少し困惑していた。そういえばキンジはこの事まだ知らないんだっけか? 

 

「……本当かそれ?」

本当(マジ)の話だ」

 

 ——本気(マジ)で知らなかったご様子で。

 

「しかし……さすがはリアル貴族様だな。これ、チケット、片道20万ぐらいするんだろ?」

 ダブルベッドの方を見ながらそんなことを言うキンジを、アリアは睨みつけていた。

 

「——断りもなく部屋に押しかけてくるなんて、失礼よっ!」

 

 アリアがキンジに文句言ってるよ。確かに部屋に押しかけてきてるってのは間違いじゃ無いけど。

 

「お前に、そのセリフを言う権利は無いだろ」

 

 何か心当たりがあるらしいアリアは、うぐ、と怒りながらも黙った。ハイキンジ君論破。これには流石の双銃双剣(カドラ)さんも反撃できないご様子。というか根暗でもやるときはやるのな。

 

「「お前(あんた)変なこと考えてるだろ(考えてたでしょ)?」」

 

 何故そこでハモる。というかそこで意見を合致させるな。

 

「そのようなことがあろうはずが御座いません」

 

 何処ぞの親父ィ宜しく返答しちゃいましたよ。これもうあれだ、人生選択失敗(プレミ)だね。え、もう既に選択失敗(プレミ)? それは1番言われてることだから。

 

「……本当かしら」

 

 アリアさんが凄い疑いの目を向けてきてるよ。怖い怖い。

 

「で、キンジ。お前はこんなところに何しにきたんだ?」

「そうよ……なんでついてきたのよ」

 

 俺の疑問に続いてアリアがキンジに問い掛ける。あー、アリアは分かってないのな。

 

「太陽はなんで昇る? 月はなぜ輝く?」

 

 ——コイツ、アリアの台詞をパクリやがったな。まあ、知りたきゃ自分で考えろってことなんだよな。俺に関してはその辺の推測はできているんだが。

 

「うるさい! 答えないと風穴あけるわよ!」

 

 アリアの方は……相変わらず分からないらしいな。キンジにセリフをパクられてカッとなってるみたいだし——お、スカートの裾に手をやった……って、抜かないのかよ。まあ、こっちとしてはその方がいいけどね。

 

「武偵憲章2条。依頼人との契約は絶対守れ」

 

 ……なんだ、核心の方を話すんじゃないのか。まあ、確かに付いて来た理由を聞かれた訳だしね。

 

「……?」

 

 アリアは未だに訳がわからないと言った感じで首を傾げている——アリアはね……すいません、これ以上は何も考えないんで睨み付けないでください。

 そんな感じの俺を他所に、キンジが口を開いた。

 

「俺はこう約束した。強襲科(アサルト)に戻ってから最初に起きた事件を、1件だけ、お前と一緒に解決してやる——『武偵殺し』の1件はまだ解決していないだろ」

「なによ……何もできない役立たずのくせに!」

 

 がう! と小さいライオンが吠える様にアリアは、キンジに対して犬歯を剥いた。アリアの言い分……キンジが役立たずだっていうのも無理はない。

 だが、それはこちらのキンジであり、()()()のキンジになれば話は別だ。正直なところ、今の俺はコイツに賭けている。

 さっき俺は、キンジが来たことによって事件が起こることが確定したと感じた。

 それは同時に、キンジがいることにより、その事件は確実に解決できるとも感じた。だがまあ、キンジが()()()になれればの話なんだが……。

 そんな事を考えつつ、俺は席を立った。

 

「何処に行くの?」

「喉乾いたから、1階のバーに行ってくる。すぐ戻るさ」

 

 俺はそう言い残して、部屋を出た。……さて、この先鬼が出るか蛇が出るか。

 内心を一蹴しながら、俺は1階のバーに踏み込む。中は……人気がない。怖いぐらい静かだ。

 周囲を警戒しつつ部屋の真ん中まで行き、懐に手を突っ込んだまま立ち止まる。

 

「——後方にはattention please(お気をつけ下さい)で、やがります」

 

 次の瞬間、俺の後頭部に銃口が突きつけられ、そんな言葉が投げかけられる。

 

「……逆だ。後方を警戒してるからこうなったんだ」

 

 軽く口角を釣り上げ、背後にいる人物へと告げる。予想通りの行動をしてくれたこの人に。

 

「……で、なんの真似だい。峰理子さん——いや、()()()()さん」

 

 俺はそう言い放つと同時に、感覚のみを頼りに右肘で肘鉄を打ち出すが、俺の右腕は空を切った。

 

「くふっ。シュー君よく気づいたね。理子が武偵殺しだって」

 

 いつのまにか俺の盲点に入っていたらしい理子は、キャビンアテンダントの格好をしていた。

 

「そりゃあねぇ。この飛行機で、直接対決するんだろうなと言う予測は立ってたからな」

「ふーん。それはわかったけど、どうしてこの格好で理子だってわかったの?」

 

 理子は首を傾げながら俺に尋ねてくる。あー、自分じゃわかりにくいのよな。

 

「あんだけ戦闘力さらけ出してる客室乗務員なんて、そうそういないだろ」

「アレ? 隠せてなかったかな?」

「隠すも何も無いよ。そもそもの話をすると、お前の変装が1番わかりやすかったからな」

 

 俺の言葉を聞いた理子は、怪訝な表情を浮かべていた。

 

「お前の変装は上手すぎる。だがな、それが仇になってたんだよ」

「ふーん……あの2人は欺けても、シュー君は欺けないってことか」

「そういうこと」

 

 理子は、若干不満そうに頷いていた。探偵科(インケスタ)Sランクってのも、伊達にやってるわけじゃないからね。

 

「さて、大人しくお縄についてくれると嬉しいんだけど」

「……理子がそんな風に見える?」

「——I can not see(見えないな)

 

 俺はそう言うと、ホルスターからDE(デザート・イーグル)を抜き、理子へと向ける。同タイミングで、どういうわけか理子はこちらへ向かって走り込み、地面を蹴って飛び上がる。

 それを見た俺は、空かさず間合いを保つためにバックステップを踏むが、理子は俺の予測を上回る勢いで襲いかかってくる。……まずい、回避が間に合わない。

 迎撃する方針に切り替えた俺は、DEを理子の方へと向け直す。その時、俺の右腕が()()()

 

「……ッ?!」

 

 突然の症状に、俺は動揺するも即座に立て直しをかける。だがその隙を見逃さなかったらしい理子は、俺の眼前に着地する流れで自身の持つワルサーP99で、俺の手元からDEをはたき落した。

 

「しまった……!」

 

 銃口を改めて突きつけられた俺は、両腕を上げ佇むことしかできない。しくじった……。

 

「くふっ。シュー君弱いなぁ。そんなんじゃ、理子が楽しめないじゃん」

 

 不敵な笑みを浮かべる理子。……楽しむ為、だと? 

 

「どう言うことだよ」

「そのまんまの意味だよ。シュー君推理が得意なら、自分で考えてみなよ」

「……お前の家系、なんかあるな」

 

 俺は直感的に思ったことを理子に伝えてみたのだが、どうも正解らしいな。

 

「……そうだよ。理子は、フランスの大怪盗の末裔だよ」

「大怪盗……?」

 

 フランスの大怪盗か……。自身の記憶という名の箪笥を隈なく探っていく。

 

「大怪盗の末裔で、且つアリアと関係がある家柄……」

 

 記憶の中にある情報を、1つ1つをジグソーパズルのピースの様に組み替え、当てはめていく。……繋がってきたぞ。

 

「理子……お前は、フランスの大怪盗『アルセーヌ・リュパン』の末裔だったのか……」

「そうだよ。理子の曾祖父様はアルセーヌ・リュパン本人」

「つまりお前は……リュパン4世ってことか」

「うん。私は理子・峰・リュパン4世。なのにね——」

 

 瞬間、場の空気が変化した。これは……理子が発した威圧(プレッシャー)だ。

 

「どいつもこいつも4世4世言いやがって! 私には『理子』って言うお父様とお母様からつけてもらった可愛い名前があるのにさ!」

「……で、それがこの一連の出来事とどう関係してるんだ?」

 

 俺は自身の思考力では補いきれなかった事柄を人が変わったように叫ぶ理子へと尋ねる。

 

「……シュー君は『イ・ウー』って知ってる?」

「逆に聞くが、お前は俺の経歴を知ってるか?」

 

 理子は、俺の言葉に対して頷いた。だよね、武偵殺しさん。そこまでは予想済みだよ。

 

「もちろん。シュウ君がどこの出身で、どんな体質なのかもきっちり抑えてるよ」

「そうか。そこまで知ってるなら、さっきの質問は答えなくてもわかるよな?」

「知ってるんだよね」

「もちろん」

 

 俺の脳裏には、あの日——イ・ウーに襲われた日の記憶が過ぎる。俺の、忌まわしき記憶が。

 

「……ッ。で、そんな『イ・ウー』がなんだって言うんだ?」

「理子は『イ・ウー』のNo.3——」

「『無限罪のブラド』、か」

 

 俺は、No.3の名前を告げる。イ・ウーのNo.3無限罪のブラド。奴らについて調べている内に名前だけ明らかになった奴。何者なのかについてはわからないが、1つ言えることがあるとすればとても強い奴、ということだ。なにせ、あの組織のNo.3というぐらいだからな。

 それで、理子とそんな奴がどんな関係性があるっていうんだろうね。

 

「うん。ブラドに、言われたの。理子がパートナーを持ったホームズ4世を倒せば、本物だと認める、って」

 

 俯いたまま述べた理子は、両手を強く握りしめる。……なるほどね。つまりは、お前はブラドの言いなりってことか。

 

What are you doing Riko(理子はどうしたいんだ)?」

 

 突然の俺の台詞に、理子は少し驚いていたがすぐに口を開いた。

 

「——I will be me(私は私になる)

「わかった」

 

 俺は理子の台詞に対して、少し笑いながらそう返す。そして、落ちていたDEを拾いホルスターへと戻す。

 

「お前が自分になるのを手伝ってやるよ」

「え……でも」

「これは、ある意味では俺のやりたいことだ」

「シュー君の?」

「俺は、誰であろうと困っている人の味方だ。それが俺、樋熊シュウヤという武偵。だから、お前のやろうとしてる『自分になる』っての、手伝ってやるよ」

 

 嘘偽りの無い本心を彼女に対して吐露する。さて、理子はどうするのかな。

 

「……本当に?」

 

 恐る恐る、と言った様子で問い掛けてくる理子。その瞳は、こちらの様子を伺っていた。

 

「ああ。ただし、アリアとの対決の時は、俺はサポートに回る程度だ。ただ、お前に対して不利な事があれば、それは勿論お前を助ける。それでいいか」

「どうして……理子の為にそこまで……」

 

 理子は、俯きながらそんなことを尋ねてくる。

 

「言ったろ。俺は困ってるやつの味方だって。それに——理子が助けて欲しいって顔してたから、かな」

 

 俺はそう言って、背を向ける。誰かに助けを請うような顔されちゃあ、ね……。

 

「で、やるのか?」

 

 切り替えた俺は振り向きながら尋ねる。対する理子は、俺の言葉に首を縦に1回振る。

 

「なら、2人をここに呼び出すぞ?」

「お願いするよ」

 

 俺は頷くと、インカムを開く。周波数は確か……ここだったかな? 

 

「……アリア」

『どうかしたの?』

「キンジと、1階のバーに来てくれ」

 

 俺はそれだけ言うと、インカムを切る。これで準備は整った。後は、理子次第だよ。

 

「さてと……俺はこの裏で待機してるとするよ」

「分かった」

 

 短く言葉を交わした後、俺はカウンター裏に、理子はカウンターの前の座席の1つに座る。そしてしばらくすると、足音が2人分聞こえてきた。来たみたいだ。

 

「シュウヤ? 何の用なの?」

 

 アリアが、そう言った。声からして、間違いないことだった。

 

「……来やがりましたね」

 

 理子は、そう言って変装を解いた。

 

「……ッ! 理子?!」

 

 驚いた様に彼女の名前を口にするのはキンジ。初見だとそういう反応しちゃうよね。特に親しいやつだと。

 

「くふっ。どう? 驚いた?」

「なんでお前が……」

「……あんたが、武偵殺しなのね」

「正解! 理子が武偵殺しでした!」

「ところで、シュウヤはどうしたの?」

 

 激しい剣幕で理子へ問い掛けるアリア。呼び出した当人が見当たらないとそうもなるよね。

 

「あー、シュー君なら理子がやっつけたよ」

「「……!?」」

「さっき1人でここに来て、理子が奇襲したら倒れちゃって」

「シュウヤを……どこにやったの……!」

「くふっ。理子に勝てたら教えてあげる」

 

 直後、ホルスターから拳銃を抜く音がした。今のは、ガバメントの音だな。それに対抗するように、別の銃が対抗するように抜かる音が聴こえてくる。こちらはワルサーの音。つまりは、理子だ。

 

「キンジ、近接拳銃戦(アル=カタ)で勝負をつけるわ! 援護して!」

「ああ!」

 

 その会話の後に、発砲音が鳴り始める。……始まったか。俺はカウンターの陰から、そっと様子を伺う。

 その途端、アリアのガバメントが弾切れを起こす。アリアの使うガバメントは理子の使うワルサーよりも弾数が少ないが故の事態だな。

 

「キンジッ!」

 

 アリアは、理子の腕を押さえたまま顔だけを振り向け、キンジへと叫んだ。キンジは、その言葉に反応してベレッタを抜く。

 それを確認した俺は、キンジよりも早くDEを抜きキンジのベレッタを撃ち落とす。

 

「……なっ!」

「……遅いぜ、キンジ」

 

 ちょうど西部劇のガンマンのように、構えた銃の上に手をかざした状態の俺は、カウンターの裏から立ち上がる。

 

「なんで……あんたが……」

 

 アリアは、赤紫色(カメリア)の瞳を目一杯見開く。キンジも同様に、ありえないと言った表情をしていた。

 

「お前、どういうつもりなんだ……」

「多分、2人が思っている通りだよ」

 

 俺はDEを持った右手を下ろしながら告げる。こちらを見て唖然としている2人に俺は注意を促す。

 

「そんな事より、よそ見してる方が危ないんじゃないか?」

 

 俺がそう告げると、アリアはハッとした表情になり理子と対峙する。

 

「アリア……理子とアリアは似てるよね」

「……?」

 

 首を傾げるアリアの手前、理子は言葉を続ける。

 

「キュートなところもそっくりだし、なによりも『双銃双剣(カドラ)』って名前も」

 

 不敵に笑った理子はワルサーの銃口を2人へ向けたまま続ける。

 

「でも、アリアの『双銃双剣』は、完璧じゃない」

 

 そう言った理子の髪が、重力に逆らって動き出す。……あー、なるほどね。だから理子は余裕ぶってたのか。

 

「……超能力(ステルス)……か」

 

 目の前の現象を眺めながら俺は零す。ヨーロッパにいた時、何回か見た光景だ。

 などと考えている俺の視界の中で、理子はそのツーサイドアップのツインテールを器用に動かしナイフを抜く。そして、髪でナイフを構えアリアへと斬り掛かる。

 

(勝負あったな……)

 

 俺そう確信しながら、2人を見守る。アリアは、1撃目を躱すが反対側からの攻撃を喰らい、深く斬り付けられた。

 

「……アリアッ!」

 

 叫ぶキンジの手前、斬りつけられたアリアは鮮血を散らしながら倒れる。そんな彼女に駆け寄るキンジと、再度ナイフを構える理子。

 

「これで……これで私は私になれる!」

 

 その言葉と共にトドメの1撃を振りかざそうとする理子。カウンターを飛び越えた俺は、袖口からフォールディングナイフを抜き出し理子の刃を抑える。

 

「もう決着は付いた。十分だろ?」

「まだ、私は私になれていない! コイツを倒して初めて曾祖父様を超えたことになる!」

 

 鋭い視線で此方を睨みつける理子。……チッ、こいつマジか。

 

「それより、何で私の邪魔をした!」

「……俺は殺しの手伝いをするとは微塵も言ってないぞ?」

 

 理子とキンジ達の間に割って入る様にして立ち塞がる。そして俺は、キンジの方へと振り向く。

 

「オイ、アリアを連れて行け! ここは——俺が食い止める」

 

 数瞬の後、その俺の背後ではキンジが走り去る足音が聞こえてくる。——行ったか。

 さて、ツケは高くついたみたいだが、やるか。

 

「理子・峰・リュパン4世、お前を殺人未遂の容疑で逮捕する」

 

 鋭い視線で彼女を見据え、まっすぐとその言葉を突きつけた。




今回はここまで。
次回投稿は、未定です。
宜しければ感想・評価等宜しくお願い致します。
次回もどうぞ、お楽しみに!
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