「あんたはこれから転生する」
「は?」
いきなり何言ってんだこの人。
目の前に映るのは真っ白い空間。それといかにも神様が羽織っているような服を来た男。
どこなのここ。夢か? 夢の中でテンプレ転生物語でも見てるのか俺。
「残念ながら夢じゃねーよ」
頭ん中見んなよ。
……って、夢じゃないの? それって俺、もう死んだの? 神様のミスで事故ったの?
「いや、死んでねーけど」
「は?」
本日二度目。死んでないってどゆことっすか?
「確かにミスはしたよ? ちょっとお前の書類を運悪く踏んづけてグシャってやっちゃったよ? そのおかげで予定外の事故で死にかけたよ」
「ぅおい」
「最後まで聞け。でも私神じゃん? 神様って何でもできるじゃん? なんか下の世界の奴らはそういうミスを修復することはできないとか言ってるけど、それはそいつらの勝手な想像だから。だからちょっと手ぇ加えて修正して元通りにしたよ」
「あ、そうなんですか。……じゃあなんでここにいるの俺?」
「魂コピった」
「そんなことできるの!?」
それと軽いな! ノリが!
「って、なんでそんなことして転生させるんですか」
「神の気まぐれってやつ」
やだ、こんな神。
「まあ取りあえず転生だ。行き先とかある程度の設定は完了してるから、後はあんたが自由に設定できるところを決めるだけだ」
「その行き先は?」
「インフィニット・ストラトス」
女尊男卑の世界じゃないですかやだー。
それはともかくとして、ISねぇ……今度アニメ再開するとは聞いていたけど、俺は絶版型の一〜七巻しか知らないんだよなぁ。八巻は買ってないし。
「決まってる設定は?」
「ISを操縦できる。専用機つき。前世の記憶引き継ぎ。中一スタート。家族は父、母の三人家族。経済力普通。容姿はそこそこ。ヒロインあり、ただし行動により変化の可能性。他etc」
「ヒロインありってなんぞ」
「要は一夏ラバーズ」
「ハーレムはやだなー」
「そこは行動次第だな」
ところで俺も口調が軽くなってきてるな。これいいのか?
「他に質問は?」
「他の転生者いるの?」
「いや、転生者それぞれが別の似て非なる世界に飛ばされるからそれはない。敢えて転生者がいる世界に行きたいっていうならそうしてやってもいいけどな」
「いや、いいわ」
「だよな。じゃ、最後に専用機を決めてくれや。それで設定は完了になるから」
「専用機決めるって、どんな風に?」
「何でもいいぞ。ガンダムでもマクロスでも、好きな機体言うのもありだし、自分で自由に考えてもいい。どんな感じとか、そういうおおざっぱなイメージだけってのもアリだ。ただ一つ言うなら、あくまでISの世界だから、デザインが変わるのは理解してくれ」
なるほど、モチーフを決めろってことだな。
しかし困った。モチーフにすべき機体がない。
ロボットアニメって見ないんだよなぁ……ガンダムもマクロスも、コードギアスもロボだっけ? とにかく知ってるのはタイトルだけで詳しいところは全くわからない。強いて言うなら初代ガンダムとザクがなんとなくわかる程度だ。これは酷い。
ロボットでよく知ってるって言ったらロックマン系統だけど、あれは人間大だし、ISとしては向かないだろうし……あ。
……これ、いけるか?
「……何でもいいんですよね?」
「おう」
「じゃあ、ロックマンゼロのオメガっていけます?」
俺が考えられる限りで現実的なのはもうこの辺りしかない。
ロックマンゼロシリーズのラスボスは大体人型で、かつ浮遊できるものが多い。他にもコピーエックス第二形態とか、エルピス第二形態とか、バイル第一形態とか。
オメガ(第一形態)は上記三つよりもちゃんとした人型だし、何よりカッコいい。
「ロックマンゼロのオメガ? ちょっと待ってググるから」
うわあ。
さっきからそうだったけど、全く神様の言葉には聞こえない。もはや神様のコスプレをした人だ。
ところでググるとか言っておきながら、パソコンないけど。
「脳内でググってる」
あ、さいですか。
「よし、把握した。お前が言ってるのはロックマンゼロ3、オープニングステージ、及びラスボスのオメガのことでいいんだな?」
「あ、はい」
「了解した。こっちで詳細な仕様設定をしておく。あ、ちなみに言っておくが、必ずそれを手に入れなきゃならんって訳じゃない。気が変わったらここで設定したIS以外の機体を選ぶってのも手だからな?」
「選べるの? そもそも」
「まあその辺はこっちで色々やるから」
じゃ、いってらー。と手を振りながら軽いノリで神が言い。
俺の意識は遠のいていった。
◇
「ん? ……夢か」
寝ぼけ眼のままベッドから起き上がる。
二月の朝は寒い。寒いからまたベッドの布団に潜りたい欲求に駆られるが我慢する。いつも通りの朝だ。
制服に着替えて、必要な物を入れた鞄を手に部屋から出て、階段を降りてリビングへ。
リビングに入ればいつも通りに父さんが新聞を読んでて、母さんは朝ご飯を作ってる。
「おはよー」
「おう、
「颯斗、おはよう。朝ご飯もうすぐできるわよ」
両親と言葉を交わしながら席に着く。
なんとなくテレビを見るとニュース番組が放送されていて、ニュースキャスターの声が聞こえてきた。
『――女性にしか反応しないISを男性である織斑一夏が起動させたニュースの続報です。男性操縦者が現れるという異例の事態を受け、政府は全国の男性を対象にしたIS適性検査を実施することを発表しました』
「適性検査かぁ。颯斗も受けることになるだろうなぁ。交通費とか国が持ってくれるんだろうな?」
父さんが面倒くさそうに言いながらコーヒーを飲んでいる。
――俺が、
俺がニュースに出るのはもう遠くない未来となっていた。