ISだが、機体は岩男でも問題ないよな?   作:暁楓

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 IS イグイッション・ハーツを発売日に買いました。Vita版。
 適当にやってたらなんだかんだで最初の個別ルートが簪になってた(マジ)。簪かわいいよ簪。
 前はシャルロッ党だったけどなぁ。考えって変わるものなんだなと思う今日このごろ。
 こっちにもパラレルストーリーとして書くのも悪くないかな?


第十二話 普段やらないキャラをいきなりやるとそりゃすっごい違和感

 九月三日。二学期最初の実戦訓練における俺の最初の相手は、シャルロットだった。多分、第二世代同士ということもあるのだろう。

 

「このっ……!」

 

 左手の連射型で弾丸をばらまくが、それが縦横無尽に駆け回るシャルロットを捉えることはできていない。

 それどころかシャルロットは弾丸の合間を縫うように距離を詰めていき、物理ブレードで斬りかかってくる。

 

「はああっ!」

 

「うおっ、と!」

 

 斬撃を回避し、充填完了状態で待機させている右手の集束型を向ける。――が、すでにシャルロットの姿が遠い。ご丁寧にグレネードの置き土産付きだ。

 

「ああ、くそっ!」

 

 爆発する前に退避。また連射を再開する。

 夏休みのほとんどを費やしてやり続けた訓練のおかげで、回避については何とか代表候補生の標準レベルに追いついている。証拠にシールドエネルギーはまだほとんど削られていない。

 が、攻撃はまだ全然だった。弾種選択、発射タイミング、周辺状況からの発射角調整、相手の隙の見極め、相手の隙の作り方などなど、まだまだ甘い。というかまだほとんど着手していない。

 当然そんな攻撃が代表候補生に当たる訳がなく、ただいたずらにXカノンのエネルギーが消費されていく。

 ――そして、しまいには、

 

「――げ!」

 

 ……バカスカ撃ちすぎて、弾切れ。

 こうなると、例え後付け装備があろうがもはや詰みだ。

 しかも弾切れ時の空白というのは、相手にとっては恰好の隙となる訳でだ。

 

「もらい!」

 

「げ――ぐへぇっ!!」

 

 ここぞとばかりに出してくる第二世代最強武器《灰色の鱗殻(グレー・スケイル)》、通称が『盾殺し(シールド・ピアース)』。がっちりと掴まれ、回避もできなくなった状態で撃ち込まれる。

 防御の薄いエックスは、数発撃ち込まれるだけでシールドエネルギーがMAXから0に落とされるのであった。

 試合終了。……当然ながら、俺の負けだ。

 

 

 

   ◇

 

 

 

「ちくしょう……勝てねえ……勝てる気がしねぇ……」

 

「当たり前よ。アンタの場合、露骨なぐらい経験不足だもん」

 

 テーブルに突っ伏して自分の敗北ぶりに嘆いていると、一夏の奢りの食事を食っている鈴音がバッサリ言ってきた。

 

「でも、回避制御はすごく上手だったよ。確かエックスって、フィッティング後はマニュアル制御になるんだよね?」

 

 そう言うのは、今回の対戦相手であったシャルロット。隣ではラウラが自分の食事をシャルロットに分けていた。

 

「マニュアルであそこまで飛べているのであれば、私達代表候補生に近いレベルですわね。誰かに教えていただいてますの?」

 

「え? ああ。ルームメイトの一つ上の先輩がコーチしてくれてる」

 

 ……? なんだ、急に静まり返ったぞ。俺なんか変なこと言って……あ。

 

「えええええっ!?」

 

 周囲の名も知らん女子達が立ち上がると同時に凄い叫び声を上げた。耳が痛い。

 

「え、聞いた!? 颯斗くん、一つ上の先輩がルームメイトだって!」

 

「ウソ〜! 颯斗くんの方もすでに抜け駆けされてたなんて〜!」

 

「ちょ、誰か情報洗い出して! その人の名前、進展状況、その他全部!!」

 

 ……しまった。一夏ほどではないにしても、こういう情報には気をつけるべきだった。

 しかしもう遅い。女子の情報網は一度漏らせば最後、瞬く間に全体へと広がっていく。今回の情報については明かされてもそれほど困ることでもないのが救いか。いや、困るのか?

 

「ね、颯斗」

 

 ヒートアップしている女子達に油を流さない配慮かこちらに顔を近づけてシャルロットが話しかけてきた。

 

「そのルームメイトって、ひょっとして更識楯無さんなんじゃないの?」

 

「え? そうだけど……え、なんで知ってんの?」

 

「ちょっとした出来事で知り合ってね。このメンバーの中では、一夏以外はみんな知ってるよ」

 

 そうなの?

 その、『ちょっとした出来事』ってなんだ、と訊きたいが、なんか訊いたらいけないような気がするのはなぜだろうか。気のせいであってほしいが、まあ訊かなくてもいいか。

 

「まあ楯無さんが訓練内容を回避特化にさせたおかげで、回避だけは代表候補生として恥ずかしくないくらい強くなったよ」

 

「へえ、そうなのか」

 

「ただ、特化した分他のところがほとんど手付かずでなぁ。エックスは射撃型だってのに射撃技術はあの様だ」

 

「納得」

 

「納得ですわ」

 

 と、鈴音とセシリア。仲いいなこの二人。

 今月から射撃技術も本格的に鍛えていくって楯無さんの話だけど、この調子だとオメガが来る前に一勝できるのか微妙だ。

 オメガが来てから本気だと言えるのかもしれないが、エックスでも最低一回は勝ってみたい。一時的とはいえ専用機なんだから、この機体でも勝ったという思い出を残したい。あと、負けてばかりだとモチベーション下がるし。

 

「はぁ……どうやったら経験値の差を跳ね返して勝てるんだ……」

 

「はぁ……どうしてパワーアップしたのに負けるんだ……」

 

 おお、仲間がいた。しかも男。まあ一夏なんだがな。

 

「一夏の場合は燃費悪すぎなのよ、アンタの機体。シールドエネルギーを削る武器が二つに増えりゃなおさらでしょ」

 

「うーん……」

 

 そこから箒が自分と組めばいいと言ったのを皮きりに、話は誰が一夏とペアを組むかに変わっていった。

 

「一夏は誰とペア組むんだ?」

 

「でも最近、ペア参加のトーナメントなんてないじゃん」

 

「仮の話だ。ひょっとしたらあるかもしれないじゃん」

 

 実際近い未来にあるんだがな!

 

「その時は――シャルか颯斗かなぁ」

 

「は!?」

 

「え!?」

 

「シャルとは前に組んだし、颯斗とは男同士で組んでみたいから」

 

 一瞬で上げて落とされたシャルロットは虚ろな目になった。

 

「そんなことだろうと思ったよ……はぁ……」

 

「ど、どうした? シャル」

 

「今のはお前が悪い」

 

 シャルロットの変わりように戸惑う一夏に俺はそう言った。箒達もうんうんと頷いていた。

 

 

 

   ◇

 

 

 

 午後の実習も終わり、教室でSHR。

 そういやアトラスさん、いつ来るんだろうか。原作とは違って楯無さんによる一夏へのイタズラもなかったし。とりあえず今日か明日だとは思うんだけど。

 

「それではSHRを終了しますね。皆さん、また明日!」

 

 山田先生のその一言で、教室は一気に賑やかになる。

 ――が。

 

 バターンッ!

 

「織斑一夏はいるかぁ―――――!!」

 

 噂をすればなんとやら、アトラスさん登場である。

 いきなりのドア全力開放&大声に、クラス中がびっくりする。俺だってびっくりする。

 

「……アトラスさん、みんなびびってます」

 

「おぉ、わりぃ。隣にいるのが織斑一夏で間違いねえよな?」

 

「ええ。合ってますよ」

 

「え、え? 颯斗、知り合いか?」

 

 状況が未だ呑み込めていない一夏がとりあえず俺に訊いてきた。

 

「話を聞けばわかる」

 

 俺はそれだけ言って、アトラスさんに任せる。

 アトラスさんは一夏の前に移動し、一夏を見て勝ち気な笑みを浮かべた。

 

「織斑一夏だよな? 俺はアトラス・テイタン。ギリシャ代表候補生。リボン見りゃわかるだろうが、三年生だ」

 

「は、はぁ」

 

「早速だが本題だ、織斑一夏。今日からお前のコーチになってやる」

 

「……はい?」

 

 沈黙。

 しばらくして、意味を理解した女子達が、一斉に叫んだ。

 

「はああああああああっ!?」

 

 本日二度目の揺れを観測した。

 そしていつもの連中が、当たり前のように異議を唱えた。

 

「却下だ!! 一夏は私が教えている!」

 

「そうですわ! 一夏さんはわたくしと特訓してますの! どこの誰とも知れない方が出る幕はなくてよ!!」

 

「一夏は私の嫁だ。ゆえに私がコーチだ!」

 

「ちょっと待ったぁぁぁっ!! 一夏はあたしが教えてんの。なんで一夏と面識のない三年生がいきなり一夏のコーチになるのよ!」

 

 鈴音まで入ってきた。タイミング良すぎだろ、スタンバってたのか。

 というかこいつら、揃いに揃って自分『だけ』が一夏のコーチだと主張してやがる。協調性というものはないのか!

 ちなみにだが、唯一声に出して主張してなかったシャルロットだが、彼女もかなり怖いことになってる。笑顔が真っ黒。

 

「お、こいつらが織斑のコーチか。強そうだなー」

 

 アトラスさんは呑気にそう言うと、五人にこちらへ来いと手招きした。

 専用機持ち八人、すなわちIS八機が一カ所に集まっているというかなりすごいことになっている中、アトラスさんが口を開いた。

 

「お前らは、俺が一夏のコーチになるのは反対か?」

 

「「「「「当然だ(です)!!」」」」」

 

「んー、なら、勝負しねーか? ISで。勝った一人が一夏の専属コーチだ」

 

 さらに、とアトラスさんは付け足した。

 

「専属コーチになった奴は一夏と一緒の部屋に住める。俺が生徒会長に頼んでやる。どうだ?」

 

「!!!」

 

 効果は抜群だった。別に倒れる訳でもないしそもそもHPが削られる訳でもないが。

 五人の返答は勿論イエス。これで急遽、一夏の専属コーチ枠&相部屋を賭けたバトルロワイヤルが決定された。

 

 

 

   ◇

 

 

 

 あれよあれよという間に専属コーチ決定戦の開催が決定され、開催地である第二アリーナへと移動中。移動しているメンツは今回戦う箒達五人に渦中の人である一夏、そしてついでについていっている俺の七人。アトラスさんは先にアリーナへと行っている。

 

「どうしてこうなった……」

 

 自分の意見を言う間もなく決定されたことに、一夏はげんなりとしていた。

 

「諦めろ一夏。第一こうなったのはお前のせいなんだし、この騒ぎも元はお前のためなんだからな」

 

「は!? これのどこがだよ!?」

 

「というか、颯斗はこのこと知ってたの?」

 

 シャルロットがやや怖いジト目で睨んできた。まあ知ってたと言えば知ってたので、俺は仕方なく頷く。

 

「依頼人は生徒会長の更識楯無さん。楯無さんは俺とはルームメイトなんで詳しい話までは聞けなかったがある程度は知ってる」

 

「あの女……また邪魔をするか……!」

 

 ラウラがなぜか修羅になってる。一体、何があったんだ……。

 

「……それで、楯無さんはどうしてあの方を差し向けたんですの?」

 

 かなり不機嫌、というか、キレる一歩手前であろうセシリアが訊いてきた。まだ怒っていないのは、一応俺にキレるのはお門違いだとわかっているからだろうか。なお、キレる一歩手前なのは他の奴らも同じようだ。おかげで一夏は少し引いてる。

 

「今から話す。……一夏、現在俺とお前は言ってしまえば圧倒的レベル不足だ。そこはわかるな?」

 

「いや、颯斗はそうかもしれないけど、俺はそこまで弱くないぞ」

 

「お前の場合は機体が強いだけだボケ。チートじみた機体乗ってる割に勝率が低いだろ。それは燃費が悪いんじゃなくてお前が弱いからだ。第一、飛行制御なんて後から来た俺に完全に抜かされてるだろ」

 

「うぐ……」

 

「強くなるには特訓が不可欠だが、時間は限られてるし、他の奴らもお前と同じ時間で同じく特訓するんだから時間で経験値の差を埋めるのはまず不可能。だからアトラスさんだ。三年生かつ元生徒会長という強い奴と質の高い特訓をやってとっととレベルを上げろってことだ」

 

「……ん? 三年生ってのはわかるけど、なんで元生徒会長だから強いんだ?」

 

 そうすっとぼけた質問をする一夏を思わず殴った俺は悪くない。原作でこいつの無知っぷりを知っているが殴った俺は悪くない。

 

「生徒会長=生徒最強なんだよ。つーか知ってろよ、俺より学園生活長いんだろ! ……ゴホン。現会長である楯無さんは俺のコーチやってるから、お前には元会長をつけることになったんだよ。元という字はつくが、楯無さんに言わせればアトラスさんのIS操作技術は楯無さんとほぼ互角だそうだ」

 

「そ、そうか」

 

「あんたさぁ、それあたし達が弱いって言ってんの?」

 

 鈴音が眉を顰めながら訊いてきた。この質問は来るとは思ってた。

 

「楯無さんがどう思ってるかは知らん。だけど個人的意見だが、俺はこいつにはとっとと強くなってもらわなければ困る」

 

「え、なんで?」

 

「……一夏。俺がギリシャ所属になったのは、日本が男性操縦者を独占する状況に各国が抗議したからなんだが、そこでお前ではなく俺が差し出された理由を言ってやろうか」

 

「それは……」

 

 一夏はなにやら知ってるようだが無視して言う。

 

「俺よりお前の方が期待値が高いからだよ。つまり政府はお前を守るために俺を売っ飛ばしたんだよ。そのおかげで俺は強制的に日本人じゃなくなるわ、お偉いさん達の長話を延々と聞かされるわ、そういう目に遭った。まあ、逆にそのおかげで破格の待遇も受けれたし、色んな人にも出会えた。今更お前を恨むつもりはないがな――」

 

 俺はそこで一夏の両肩を掴んだ。手に力を込め、並々ならぬ視線を一夏に向ける。その視線を受けて、一夏は若干怯んだ。

 

「お前、頼むぞ。俺が身代わりになっただけの価値は示してくれよ……!?」

 

「あ、ああ……」

 

 そのまま数秒。それから両手を一夏から離し、ガラリと雰囲気を一転させた。

 

「――とまぁ、冗談はここまでにしてだ」

 

「って、冗談かよ!」

 

 一夏のツッコミと共に何人かがずっこけた。こけなかった人も「えー……」というような表情をしている。

 俺は片手を軽く上げた。

 

「俺がこんな重いキャラな訳ねーだろ。だけど嘘は言ってねーぜ? 政府は一夏を優先して守るために俺を外国に突き出したことも、それで良いことも悪いこともあったのも、俺が特に恨みを持ってはいないことも全部事実だ」

 

 そう言ってまた一夏の肩を掴む。しかし今度は片方だけで、軽く置いた。

 

「ま、お前は政府やら身代わりやらその他不特定多数、色んなものに守られて日本人でいられてるってことを、意識まではしなくていいから理解はしてくれ。でもって無理をしない程度にお国の期待に応えられるよう努力をしろ。それが俺のお前に対する望みだ」

 

「……ああ、わかった」

 

 そう答える一夏は期待できそうだった。

 

「――あと、お前らについてもだ」

 

 一夏から視線を外し、箒達の方を見る。

 

「(一夏に)近づいてくる奴に感情的になるのが全部いけないとは言わないが、真面目な理由と目的があって(一夏に)近づいてくる奴もいるのは当たり前な話だ。その辺の分別はつけなきゃいけないってのは、お前らよくわかってるよな?」

 

 ()のところは声に出してはいないがわかっているはずだ。一夏以外は。

 うっ、と五人全員が声に詰まった。理解はしているようだ。

 

「感情的になる前に、一旦は考えてみるこった。真面目にしてる奴に対してデレデレしてるのは一夏が全面的に悪いとして」

 

「……わかった」

 

「いや、颯斗何言ってんだ!? それとみんなも納得するなよ!?」

 

 とりあえず話は一件落着して、足を止めていた俺達はアリーナへと少し急いだ。……騒ぐ一夏を適当に黙らせてから。

 なんとなくだが、楯無さんの影響を受けてきてるんじゃないかなぁと思う今日この頃だ。




 シリアスに入ったと思ったら自らシリアスをぶち壊す颯斗くん。余計にシリアスは作りません。ちなみに颯斗のお前頼むぞ……! は、進撃の巨人のジャンの台詞が元です。彼は雰囲気ぶち壊しはしてませんが。
 ところで、今更な話ですがこの作品は小説の原作を元にしています。
 とある部分がアニメの描写でしたがそこは気にしないという方針で。作者はアニメ第二期を見てませんが、なにやら調べると第六巻の話がまるごと蒸発していたり、アニメオリジナルの話とかがあったりしてるみたいなのでちょっとなーと思ってたり。キャノンボウル・ファストがある設定を崩すとかなり前の話から書き直す必要がでてきますし、何より速さ特化のエックスが涙目に。というわけで小説基準にします。なんか学園祭準備期間短すぎねっていうツッコミを聞いたことがありますが、ここでは気にしない方針で。
 次回一夏争奪戦……結果だけなら、みんなももうわかるよね!(オイ
 戦闘の描写はいれますよ。今までみたいに、対してうまくもありませんが。
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