ISだが、機体は岩男でも問題ないよな?   作:暁楓

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 サブタイの設定がなかなか難しい。


第十四話 割と忙しい一日……いつものことか

 翌日。朝から全校集会である。内容はもちろん今月行われる学園祭について。

 

「それでは、生徒会長から説明をさせていただきます」

 

 その言葉で全校の女子達の騒がしい声が静かとなり、壇上に楯無さんが上がっていく。

 

「なあ颯斗、あの人が更識楯無さんか?」

 

「ああそうだ。そして静かにするべきだと思うぞ」

 

 一夏がわざわざ訊いてくるので、そう返して壇上に立つ楯無さんに集中する。

 楯無さんは自己紹介した後……学園祭の特別ルールを大々的に公表した。

 

「名付けて、『各部対抗織斑一夏争奪戦』!」

 

「はあああっ!?」

 

 その内容に、女子達のホールが揺れるような叫び声に紛れて一夏の声が聞こえた。本人の近くだからなんとか聞こえた。

 

「な、なんだこれ、どういうことだよ!?」

 

「楯無さんから説明があるんだが、先にさらっと言っちまおう。お前が所属する部活をこれで決めようということだ」

 

「なんだそりゃ!? というか、なんで颯斗がそれ知ってるんだ!? てか、お前はどうなんだ、お前は!」

 

「そりゃ、俺も生徒会役員だから」

 

「いつから!?」

 

「一学期中」

 

 夏休みに入る前に、楯無さんに勧誘されてそのまま入ることになったのである。まあ現在はIS特訓優先で名前だけと言えるが。なお、役職は庶務。

 

「ちなみにこの企画を見せられた時、俺は賛成票を入れた」

 

「お前も共犯か!!」

 

 楯無さんに逆らうこと自体が無理だし。なんだかんだでこれで一夏も生徒会に入るのが良策だと知ってるんだし。

 まあそんな感じで学園祭のメインイベント、一夏争奪戦の幕が開けた。

 

 

 

   ◇

 

 

 

 同日の放課後、早速一年一組の催し物を決める特別HRが開かれているのだが……

 

「えーと……『織斑一夏&傘霧颯斗のホストクラブ』『織斑一夏&傘霧颯斗とツイスター』『織斑一夏&傘霧颯斗とポッキー遊び』『織斑一夏&傘霧颯斗と王様ゲーム』……全部却下」

 

 ええええええ〜!! と大音量のブーイング。

 女子って、ノリはすごいんだよなぁ。……しゃーない、俺も正直御免なので、ここは一夏の援護に回るか。

 

「悪いが俺も反対だ。個人的にもだが生徒会役員として、さすがに容認できない」

 

「おお! やっぱり、こういうのはダメだよな!」

 

 味方がいたことに喜ぶ一夏。しかし女子からはまたブーイングが来る。

 

「ええ〜? 傘霧くんってばお堅〜い」

 

「……あのなぁ。この学園祭には招待制で一般客も来るんだぞ? その客に対して目に見えて不健全な印象を与えて良い訳がないだろ」

 

 それでもブーイングが続くが、俺はある二人を視界に収め、はっきりと二人の名前を呼ぶ。

 

「――ですよね! 山田先生に布仏さん!」

 

「ええ!?」

 

「おおう!? いきなりの指名きた〜!?」

 

 呼ばれた二人――山田先生に布仏本音、通称のほほんさんは突然大声で呼ばれたことにビクリと反応した。

 

「え……? 山田先生はまだわかるとして、なんで布仏さんなの?」

 

「同じ生徒会だから。――二人とも、露骨に不健全な印象を与えるようなものはいけないですよね?」

 

「いや、その……わ、私はポッキーなんかいいかと……」

 

「か、かっきー、私もこういうのをやりたいな〜って……」

 

「い け な い で す よ ね ?」

 

「は、はい……」

 

「う……うい。そう思います〜」

 

 ……よし。あ、ちなみにかっきーとは俺のあだ名で、傘霧からきているらしい。

 

「はい、という訳で生徒会と先生の清き意見によってこれらは却下」

 

「いや……かなり脅迫じみてなかったか?」

 

 ん? おかしなことを訊くなあ一夏は。脅迫なんてそんな物騒なことしてないし、俺は誠実な意見を求めただけじゃないか。

 

「あ、一夏はこれらを自ら進んでやりたかったのか? ああ、そりゃあ悪いことをしたかな」

 

「次の意見は何かあるかー?」

 

 逃げたな。

 ……しかし今のはちょっと強烈だったか。意見が出なくなってしまった。

 

「メイド喫茶はどうだ」

 

 いや、いた。原作通りのことを言う、キャラ的に少しばかりシュールな人が。つまりはラウラだ。

 

「客受けはいいだろう。それに、飲食店は経費の回収が行える。さっき話で出た通り外部からも人がくるのだから、休憩所としての需要も少なからずあるはずだ。健全性についても、あくまでメインは喫茶でありコスプレとしてメイド服ということであれば問題なかろう?」

 

 そう言ってラウラはこちらに視線を送ってきた。

 

「え? ああ、それなら許容範囲内だと思うぞ。あくまで喫茶店だし」

 

「僕もそれがいいと思うな。一夏と颯斗には執事か厨房を担当すればいいんじゃないかな」

 

 シャルロットの援護射撃は見事に一組女子にヒットし、それぞれが妄想し始める。これは、俺も執事でいくことになりそうか。まあ、ツイスターやら王様ゲームよりは遥かにまともだ。

 そのまま、一組の催し物はメイド&執事喫茶で決定となった。

 

 

 

   ◇

 

 

 

 一夏は織斑先生へ報告へ、一組女子はそれぞれの担当にわかれて喫茶に必要な道具の検討会議。

 そして俺は、一夏の付き添いで現在職員室前で待機中。

 手伝いをしようかとは思ったがこういうのには詳しくない上、女子達に言わせるとどこかにつくと他が自分達の作業に集中できなくなるだとか。力仕事など、男子の手が必要になったら動くとして、現在は比較的自由とされていた。

 

「あ、颯斗くん」

 

「楯無さん? アトラスさんも」

 

 一夏を待っていると、現職を含む歴代生徒会長二人がこちらにやってきた。

 

「よ。何してんだ?」

 

「一夏の付き添いです。今、一夏が織斑先生に報告をしてるところなので、ここで待ってるんですよ」

 

「そうなのか。じゃあ俺達もここで待つか」

 

「訓練についての話ですか?」

 

「そんなところよ。あ、颯斗くんには先に言っておくけど、明日からはIS特訓は朝だけにするわ」

 

「どうしてですか? って……学園祭ですよね」

 

 簡単に行き着く答えを言うと、『御明察』と書かれた扇子を広げた。この文字入り扇子の仕組みってどうなってるんだろう。

 

「ええ。高校一年生としては最初で最後の学園祭だもの、目一杯楽しんでもらいたいわ。その代わり、朝はとっても厳しくいくわよ〜?」

 

「今までのはまだぬるかったんですか……」

 

 戦慄していると、扉が開いて一夏が出てきた。

 

「やあ」

 

「よっ」

 

「……………」

 

 二人の先輩に、一夏は何とも言えない顔に。というか、

 

「先輩相手に無言はないだろ。挨拶しろよ」

 

「……どうも」

 

「なんか警戒してるみたいだね。どうしてかしらね?」

 

「それを言わせますか……」

 

「楯無を警戒すんのは勝手だが、俺との契約忘れてはいねえよな? 布仏妹経由でお前暇だって聞いたし、これから訓練やるぞ」

 

「布仏妹……?」

 

「お前がいつものほほんさんって呼んでる子のことだ。三年の姉がいるんだよ」

 

「なんで颯斗が知ってんの?」

 

「その姉も生徒会だから」

 

「ああ、なるほど」

 

「それはいいとしてIS訓練だ。お前にゃ強くなってもらうぜ? さ、行くぞ」

 

 アトラスさんを先頭に四人で移動を開始する。

 途中で運動系や格闘系の部活の刺客が楯無さんに襲いかかったが、会長の仕組みを説明すると共に楯無さんはそれらを撃退していった。しつこいのが癇に障ったのか、たまにアトラスさんが代わって叩き伏せていた。

 

 

 

   ◇

 

 

 

「さ、訓練だ。『シューター・フロー』で円上制御飛翔(サークル・ロンド)を行ってもらう」

 

「シュー……何?」

 

 アトラスさんから言い渡された内容に、一夏は半分も理解できていなかった。

 しょうがないので俺がもう一度言う。

 

「シューター・フローで円上制御飛翔。射撃型のバトルスタンスだ」

 

「え? 白式は格闘型だけど……」

 

「射撃武器もあるだろうが。それよりまずは聞け」

 

 そう言って先輩に任せる。

 

「それだけじゃないんだがな。射撃武器に重要なのは面制圧力だ。だが荷電粒子砲は連射がきかねえから面でバラまくんじゃなく、点で狙わなければならない。しかし資料を見てみたがお前の射撃技術ではそれは期待できない」

 

 きっぱりとダメ出ししたよこの人。一夏もたじろいでる。

 

「なので、敢えて近距離で叩き込む。まあ具体的には見ればわかるだろ。じゃあ楯無、いくぞ」

 

「ああ、アトラスさんはここで一夏くんに解説してあげてください。昨日のうちに颯斗くんに円上制御飛翔は教えてあるので彼に復習もかねてやらせます」

 

 楯無さんはそうアトラスさんに待ったをかけた。確かに、昨日の特訓ではそれをやった。結果としてはかなりダメな感じだったが……。

 ちなみに楯無さんが一夏と呼んでいることについてだが、それはこのアリーナに来る途中で呼び方が訂正されたと説明しておく。

 

「ん、そうか? じゃあ拝見させてもらうぜ」

 

「じゃあいきましょうか、颯斗くん」

 

「あ、はい」

 

 エックスを展開。壁を背に、ミステリアス・レイディを纏った楯無さんと向かい合う。

 

「颯斗くん、昨日と同じく、左手は連射型、右手は集束型でね」

 

「了解です」

 

 連射型はデフォルトなので、右手のレンズだけを集束型に変更する。

 

「始めます」

 

「ええ。一夏くん、よーく見てね〜」

 

 円上制御飛翔開始。互いに右方向へと動き始める。俺は右手のエネルギーを集束しつつ左手を楯無さんに向け、楯無さんはガトリングランスを俺に向けている。

 

「いきますよ」

 

「いつでもどうぞ」

 

 ある程度加速してから、互いに相手を狙って射撃を開始した。相手の射撃を回避するために加速を行いつつ、こちらも相手に当てるべく連射する。時折、集束を完了した右手の集束弾を発射する。

 

「おっとと」

 

「颯斗くん、飛行制御が疎かになってるわ。集中しなさい」

 

「はい!」

 

 時々もたついて楯無さんに注意されつつも、減速しないように加速と射撃をより強くしていく。

 

 

 

   ◇

 

 

 

「これは……」

 

「一夏でも理解できたみたいだな。あれはマニュアル制御と射撃を両立させてんだ。相手の弾に当たらず、かつ相手にこちらの弾が当たるように、同時にその両方に思考を割きながらだ」

 

 機体を完全にものにしてねーと成り立たねーよ。とアトラスさんは続けた。

 目の前で行われている颯斗と楯無さんでの円上制御飛翔。二人は相手を狙いつつ相手の射撃に当たらないように加速を続けている。

 相当難しいことだというのは俺でもわかった。楯無さんは平然としているが、颯斗は体がぐらついたり射撃がたまに止まってしまったりしている。

 

「ふむ、まだ危なっかしいが、継続できてはいるな。思考の完全分割がまだできてないってところか」

 

 アトラスさんは颯斗の様子を見ながらそう分析する。

 常に平静であり、感情的にならず、二つ以上のことを同時に考え続ける。……これは、頭が痛くなりそうだ。

 

「基礎や経験は勿論だが、さらに上を目指すとなるとこういったマニュアル制御や分割思考も必要なんだよ。分割思考については俺みたいに十分割、二十分割しろなんて言わねーが、三分割ぐらいはなんとかしてみせろ」

 

「は、はい……って、え? 二十!?」

 

「おう。昨日の試合で言えばクアッドブラスターの各砲門とソドム&ゴモラの射撃と反動制御、相手の攻撃の回避、重心バランスの制御、移動制御、相手の行動予測、エンターテイメントな勝利の仕方の模索、相手との会話……ざっと考えて、あの時は最大で同時に十六分割やってたな。射撃と反動制御は砲門や両手それぞれで別物と考えて」

 

 やってたなって、そんな他人事みたいに言われても……。

 

『ぐへぇ!!』

 

 ズドーン、という衝突音が聞こえてきた。

 見ると、壁際で颯斗が倒れていた。壁に衝突した跡があることから、制御に失敗したのか射撃を受けてしまったのか、それで壁に激突してしまったらしい。

 

「は、颯斗、大丈夫か!?」

 

「楯無ー。記録は伸びたのかー?」

 

『ええ、順調に伸びているわね。一夏くんも、頑張って強くならないとダメだぞ☆』

 

 それはわかったけど、颯斗の助けにいかなくてもいいのか……?




 いつから颯斗が部活等に所属していないと錯覚していた?
 一夏は部活動側の事情を知らないから無所属になっていましたが、颯斗の場合は楯無さんから事情を聞いた上で原作知識により所属を決めていました。なので颯斗は華麗に回避しています。まあその分これから生徒会として立ち回っていきますが。
 さて、前回の後書きで申し上げた原作ブレイクの話ですが、問題なさそうなので決行することにしました。まあひどくはならないように努力いたしますので、生暖かく見守って頂ければ幸いです。
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