ISだが、機体は岩男でも問題ないよな?   作:暁楓

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 更新がISばっか。やらないよりはマシだと言い訳。
 リアルでは遊戯王やってるのですが、最近最新パックでクリフォートとファーニマルをそれぞれ作りました。
 召喚師のスキルとディスク高すぎ。ファーニマルはデッキパワー低すぎ。
 やっぱ征竜が一番経済的でしかも強い。テンペストとタイダル除外してばっかだけど。主力がランク4と8のエクシーズだけど。


第二十三話 抜き調整って言ったらポケモンが思い浮かぶんだけど、他に何あるん?

 俺の腕が治った。

 月曜の放課後のことである。ようやく左肩が解放された。解放されて数日は派手に動かさないように制限されたが、大会当日までには平気になるらしい。

 で、今日はその翌日の火曜日。今日は第六アリーナにて高速機動についての授業である。今度の日曜日に開催されるキャノンボール・ファストに向けてのものだった。

 

「それじゃあ、まずは専用機持ちの皆さんに実演してもらいますね!」

 

 そう言う一組副担任、山田真耶先生の手が向く先にいたのは、俺とセシリアであった。

 

「まずは高速機動パッケージ『ストライク・ガンナー』を装備したオルコットさん!」

 

 ブルー・ティアーズのビット兵器全てを推進力に回した構造となっているらしい『ストライク・ガンナー』。その速度は現在の第三世代機の中でも上位に位置するとか。

 見た目的には腰部に連結したビット兵器がスカートに見えなくない。

 

「それと、通常装備ながら非常に高い機動力を持つ傘霧くん! この二人に一周してきてもらいましょう!」

 

 頑張れー! という応援の声に手を振って返す。そして空中のスタート地点へ。

 通常、ISの高速機動時には専用の補助バイザーを用いるものだが、そこは最速機エックス、最初から高速使用である。俺にとっては結構慣れた視界だ。

 

『颯斗さん、病み上がりとはいえ手加減しませんわよ』

 

 セシリアからのプライベート・チャネルだ。楯無さん以外では初めてかも。

 ええと、プライベート・チャネルの使用イメージはどうだったかな。確か教本では頭の右後ろ部分で通話だっけ? 俺の場合は確か……あれだ、頭に電波塔を立てて念力送ってるようなイメージ。どうしてこうなった。

 

『それでいい。エックスの速さを比較検証できる』

 

『ふふふ、その余裕も今のうちでしてよ』

 

『安心しろ。余裕なんて最初っから欠片もないから。エックスの得意分野が来て勝てると思ってたがそんなことなかったかもしれない』

 

『……不憫ですわね』

 

 一週間のブランクは俺にはかなり厳しいんだよなぁ……。どこまでいけるのやら。

 っと、もうすぐスタートだ。

 

「では……3・2・1・ゴー!」

 

 フラッグの合図と共に飛翔、そして一気に加速する。

 エックスと共に何度も見てる超音速の世界を駆けていく。

 もうすぐコーナーだ。できるだけ速度を緩めずに曲が……り?

 

(危ねえ危ねえ危ねえっ!!?)

 

 減速と旋回を急ぐ。予想以上に大きく外側に流れていき、危うくモニュメントに接触しそうになる。危ねえ、ちょっとの接触でも超音速では大事故に繋がりかねなかった。

 速度を出しすぎたか? コース取りが甘かった? 考えられる原因はいくらかあるが、いずれにしてもブランクで感覚が鈍ってるのは事実だ。こりゃホントにやばいな。

 

『お先に♪』

 

 俺がコースから外れている間に、セシリアがインコースを取って俺を追い抜いた。

 

「負けるかっ」

 

 今回は勝ち負けではないのだが抜かれたままではいられない。機体の制御、特に速度に注意しながらセシリアの後を追う。

 

『追い抜かせてもらうぜ』

 

『なら、次のコーナーでまた逆転させていただきますわね』

 

 直進では俺、カーブではセシリアと前後を何度も変えながらタワー頂上から折り返し、今度は地表を目指す。

 最後は両者ほぼ同時に地表に到着……だが、

 

「うおっとと」

 

 俺はギリギリ、地面に足をつけての停止となった。パラシュートで降りる時のように、勢いで少し(ISにとっての少しは人間にとってはそれなりになる)の距離を走ってようやく止まる。セシリアは余裕の地上十センチストップ。

 本来なら安全のためにセシリアのように地表から十センチ以上の距離で一旦止めることが必要だ。俺は奇跡的にクレーターができなかったが、その決まりを破ったことに変わりはない。

 

 スパァンッ!

 

「馬鹿者。いきなり地面に足をつけるな」

 

「すいません……」

 

 つまり、こうなる。具体的には織斑千冬先生からの出席簿制裁が来る。

 

「モニュメントに接触しかけもしたな? 機体制御がなってない。キャノンボール・ファストまでにはうまく制御しろ」

 

「は、はい」

 

 厳しいが正論。甘んじて受ける。せっかく自分の土俵で戦えるのに、この制御技術では本当に負ける。なんとかしなくては。

 織斑先生による開始の号令を受けて、生徒達が一斉に動き始める。

 俺もその場でエックスの出力調整をやってると、山田先生がこちらにやってきた。胸元が開いたISスーツだが気にしない。ウチの同居人のちょっかいに比べたらマシだ。

 

「傘霧くん、先ほどの実演は危なっかしかったですけど、加速の思い切りの良さは私は評価しますよ」

 

「はあ、ありがとうございます。でも今回の大会では少し速度を落とした方がいいですかね? 安全もありますし、落ちた分はコース取りを良くすれば」

 

「確かに、それもそうですね。調整の仕方はわかりますか?」

 

「ええ。シエルさんにも教えていただいてますし」

 

「アランソン局長ですね。一点特化でクセの強い機体が多いですが、ヴァルキリー入賞の機体を手がけたこともあるすごい方ですよ!」

 

 へえ、そうだったのか。過去の機体探ったらやっぱりロクゼロが出てくるのかな。

 

「ああそれと、少し関係ないことをお聞きしたいのですが……」

 

 山田先生が歯切れ悪くそう訊いてきた。恥ずかしいことなのか、顔が若干赤い。

 

「その……私のISスーツ、新調した方がいいのでしょうか。織斑くんが私の、む、胸を意識しちゃうみたいなんですが、傘霧くんはどうなのかなって……」

 

「あー……俺の場合はですね、その、多少の刺激には慣れたと言いますか……山田先生は俺と楯無さんが同居状態であるのは知らないんですか?」

 

「ああ! そうでした……って、刺激に慣れたってどういうことですか!? まさか、更織さんと……あああんなことや、こ、こんなことも……」

 

「やってませんから」

 

「何してるんですか山田先生……」

 

 おおう、山田先生の後ろに織斑先生が。ちょっと俺もびびった。

 

「あ、いや、これはですね……」

 

「山田先生、訓練機組の指導に向かってください。傘霧、お前はスラスターの追加などをしないのであれば織斑、篠ノ之と意見交換をしてこい。というか、二人に出力調整を教えてやれ」

 

 厳しい(確信)。

 という訳で二人して腕組んで唸ってる一夏、箒の元へ。

 

「ようお前ら、織斑先生の命によって出力調整を教えにきたぞ」

 

「ああ、颯斗。ちょうどよかった、どういう調整をすれば勝てるかわからないんだ。頼む、アドバイスをくれ」

 

「オーケー、今から言う数値を教えてくれ、現時点でのエネルギー効率を計算する」

 

「計算して出るものなのか?」

 

「出なかったらやらない。IS用の計算式ってものがある」

 

 本来なら二年から学ぶものだが、その二年とよく一緒になってるため教えてもらった。エックスの出力調整をする時に度々使っている。ちなみに機体の調整自体もシエルさんや楯無さんの助けが多いが結構やってる。

 紙とペンを取ってきて、ガリガリと計算式を書いていく。

 

「えーっと、確か公式がこれだからそれに数値を当てはめてだな……これがこれで、こうなって……あれ、数値がおかしいような……あ、これ計算式違った」

 

「おい、大丈夫なのか?」

 

 箒からそう言われる。口調からして呆れから来た言葉のようだ。

 

「すまん、今度こそ合ってるはずだ……合ってる……よな?」

 

「うおい」

 

「いや、一夏。お前、どういう方針でこんな調整した?」

 

「《雪片弐型》を封印して速度全振り。強いて言うなら颯斗を抜くのを目指した」

 

 納得と同時に頭が痛くなった。

 

「……ああ、そうか。いや、でもダメだろこいつは。気づけよ」

 

「ど、どうした?」

 

「一夏、簡単に言おう。これじゃあゴールテープ切れない可能性が高いぞ」

 

「えっ」

 

「エネルギー効率が悪すぎる。これじゃあ下手に妨害受けるとそれでもうゴールできなくなるぞ」

 

「マジで!?」

 

「マジで」

 

 一夏の調整は確かにエックスを超える速度を数値として叩き出していた。

 しかし、エネルギー効率が見事に投げ捨てられていた。コースアウトなし妨害なしでなんとか持つぐらいの状態だった。

 キャノンボール・ファストは他機に対する妨害がありだ。むしろ妨害し妨害を避けながら走るのが重要と言っていい。当然、エネルギー配分も多少の妨害を受けること前提で行うものである。

 つまり、一夏の配分はその前提を捨てたものになっているのだ。一応、理由を並べたら理解できない訳ではないが、これでは勝つどころか完走できるかどうかの話になる。

 

「修正するぞ。コンソール調整だけでいけるかな……」

 

 しかし今になって整備に呼べるような暇人はいない。アルカディアスタッフも忙しいし。なのでコンソール調整だけでどうにかするしかない。

 とりあえずまず速度。本当なら高機動調整後の誰かを抜ける調整をしたかったが、わざわざ敵にスペックデータくれる訳ないので、山田先生の教導用ラファールのデータを一夏に持って来させ、それを暫定基準として抜くように調整。

 これで余った分をまずは腕装備《雪羅》に回す。威力は相手を押し飛ばせる程度に、必要最小限にしておく。あとは速度の追加や補助システムやその他に分配。原作を考えて戦闘力をこっそり上げとくのも考えたが、調整した数値を元に戻すのは簡単なのでやめた。

 

「こんなもんか……?」

 

「これで大丈夫なのか? 随分速度が減ったみたいだけど」

 

「だから雪羅使えるようにしたんだろが。とはいえ速度は結構落ちたから、一回乗れ。その後の調整はそっちでやってくれ」

 

「い、一夏! ならばわ、私が相手になってやろう!」

 

「え、でも箒は颯斗に調整頼まなくていいのか?」

 

「後でいい! ほら行くぞ!」

 

 一度乗れと言ったら、箒が一夏を引きずっていった。

 後でいいという思考はいかんと思うが、紅椿は弄る気にならんな。そもそも俺整備科じゃないからね。それに束印の専用機を弄るなんて、ぶっちゃけ怖いし。色んな意味で。

 とりあえず今は相手がいなくなって自分に集中できるようになったため、エックスの調整に集中しよう。

 

 

 

   ◇

 

 

 

「なんとか大会までの準備はできたな」

 

「うん……その、最後までこっちに付き合わせて……ごめんなさい」

 

「いいって。こっちの調整にも付き合ってもらったんだし」

 

 大会前日。俺は簪の機体調整と特訓をアリーナと整備室が使えるギリギリまで付き合い、現在は一緒に食堂に向かっていた。

 打鉄弐式、及び高速機動パッケージ『電光石火』は日曜日に一気に完成、それから今日までずっと機体調整と簪の特訓の日々だった。付き合ったおかげで機体スペックが大体わかった。

 『電光石火』についてだが、速度を大幅に引き上げるために八連装ミサイルポッド《山嵐》のほとんどを封印。スラスターの大型化と大出力化がなされている。

 結果として、《山嵐》の発射口は左右にそれぞれ一カ所ずつ、最大で同時に十六発が限界になっているが、製作者であるシエルさんは妨害する分にはそれで十分と考えたのだろう。武装としては他にも荷電粒子砲とかあるんだし。

 なお、速度は最速でセシリアより僅かに遅いぐらいか? 安定性が高いらしいのだが、それは打鉄系統故かシエルさんがそう計らったのか。

 

「「「傘霧くん!!」」」

 

 食堂に入るなり、いきなり女子に囲まれた。

 簪、驚くのはわかるが俺を盾にしないでくれ。それと女子達も、それで「あああー!!」とか叫ぶな。ある意味自業自得だ。

 

「ど、どうした?」

 

「私をお姫様抱っこして!」

 

「いいえここは私を!」

 

「いやいやここは一番軽い私が!」

 

「わ、私は二番目でもいいですので……」

 

 どういう状況だ。まったく意味がわからないぞ。あ、鷹月さん見っけ。話を聞こう。

 

「鷹月さん、説明プリーズ」

 

「えっとね、織斑くんがボーデヴィッヒさんをお姫様抱っこして食堂に入ってきたのが始まりで……」

 

「また一夏か! 却下だ! んなもんやってた本人に要求してろ!」

 

 キレ気味になりながら対応して、なんとか女子達を下がらせた。三分ぐらい使った。

 

「やっと行ったか、全く……簪、何食うか決めた?」

 

「……………」

 

「簪?」

 

「……っ!? あ、いや……な、なんでもない、から!」

 

「ああ、うん。なんでもないならいいや。で、何食うか決めた?」

 

「う、うん」

 

「なら早いとこ食券買って食おうぜ」

 

「うん……」

 

 食券買って料理を受け取る。俺が買ったのは日替わり丼。今日は海老天丼だった。かなりでかい海老の天ぷらが二つデデンとご飯の上に乗っかっている。度々思うんだがここの食堂の料理、高校の食堂にしては豪華すぎねーか? ちなみに簪が買ったのはスープカレーだった。うまそう。

 空いてる席に座り、食事を始める。簪がおとなしい性格であることもあって会話がなくなるが、嫌いではない。というか俺、IS学園に来るまで(転生前含む)は基本一人で黙々としている感じだったし。ボッチではないからな。

 楯無さんとの同居や、一夏の周りでよく起きる騒ぎのせいで騒がしいのには慣れたが、こうやって静かに落ち着けるのはありがたい。

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………」

 

「……どうした?」

 

 チラチラと簪からの視線が気になったため、一旦食事の手を止めて尋ねる。

 

「あ、えっと……颯斗くんは、明日の大会、自信……ある?」

 

「自信? そうだな……ないって言う訳にはいかないかな。エックスに乗ってるんだし、性能で見れば優勝候補レベルなんだ。操縦者のせいで負けたとかにはなりたくない」

 

「そう……」

 

「不安なのか?」

 

 コクン、と簪は小さく頷いた。

 

「そうだなー、まあ……最初がうまくいかないのは当然なんだし、あまり思い詰めずにやるのが一番なんじゃない?」

 

「そんな簡単に割り切れたら……苦労しない……」

 

「そう言われてもな……まああれだ、頑張れ。んでもって次に繋げればいいんじゃないかな」

 

「適当……」

 

 ぐっ、これでも今必死にアドバイス考えたのに。

 簪の反応に苦い顔していると、何がおかしいのか簪がクスリと小さく笑った。

 

「でも……ありがとう」

 

「お、おう」

 

「私、頑張る。優勝狙う」

 

「いい心構えだ。だが勝つのは俺だ」

 

 俺の台詞が悪役じみているが気にしないでおこう。明日が楽しみだ。

 ……亡国機業来ないでくんねえかなぁ。




 次こそはMagic gameをと嘘予告。いつの間にかこちらの話が数話分溜まっているという罠。
 すいません、待ってる皆さん。できるだけ早く書き上げます。
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