ISだが、機体は岩男でも問題ないよな?   作:暁楓

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第二十七話 運命力が足りない!(小並感)

 授業合間の休み時間に黛先輩が来た。

 

「やっほー、織斑くん。傘霧くん」

 

「どうも、黛先輩。どうかしたんですか?」

 

「いやー、ちょっと二人に頼みがあって」

 

「頼み?」

 

「そうそう。あのね、私の姉って出版社で働いてるんだけど、専用機持ちの、しかも男の二人に独占インタビューさせてくれないかな?」

 

 これが雑誌ね。と言って黛先輩は雑誌を取り出した。

 あれ、これって確か原作では一夏と箒が行くんじゃなかったっけ。

 

「えっと、これIS関係なくないですか?」

 

「あれ? 二人はこういう仕事初めて?」

 

「俺は一度ありましたよ。一夏はどうだか知らないけど」

 

「じゃあ織斑くんに教えるね。専用機持ちって普通は国家代表かその候補生のどちらかだから、タレント的なこともするのよ。こういうモデルとか、国によっては俳優業とか」

 

「そうなのか? 颯斗」

 

「そうだな。インタビューのあとに撮影とかあった」

 

 シエルさんから聞いた話だが、あの夏休みの時のインタビューや撮影で俺の特集として組まれた雑誌が、過去に類を見ない売り上げを叩き出したらしい。冬休みにまたインタビューさせてほしいとかネージュさんが言ってたそうだ。

 

「取材の依頼が来てる時点で大丈夫だとは思いますけど、俺、日本出身とは言え他国の取材に答えて大丈夫なんですか?」

 

 黛先輩にこちらからそう質問する。念のため。

 

「基本こういうのは受ける本人の自由なんだけど、颯斗くんはちょっと特殊ってことで、一応社の方からギリシャに確認をとったらしいよ。結果としては、本人の意思に任せるって回答だったって」

 

「そうですか。返事は今ここでした方がいいんですか?」

 

「今すぐじゃなくていいけど、できれば今日中がいいなぁ」

 

「じゃあ、放課後までに決めときます」

 

「お願いね。じゃ!」

 

 颯爽と黛先輩は教室から出て行った。

 黛先輩の後ろ姿を見送ってから、一夏に振り返る。

 

「さて、一夏。お前としてはどうしたい? 今のうちに決めちまおうと思うんだが」

 

「え? そうだな……正直、あんまり気が乗らないんだよなぁ。颯斗はどう思うんだ?」

 

「俺としては今回のこれは受けるべきだと思う。俺達は男性の操縦者っていう異例の存在なんだし、この手の話はこれからいくらでも聞くことになると思うぜ。相手は知り合いからの紹介だから安全についての心配は少ないだろうし、勝手を知ってる俺もいる。一夏にとっては理想的な条件なんじゃないのか?」

 

「なるほど。でも、一応それらを全部断るってのもできるんじゃないのか?」

 

「無理臭くね? いつどこでどうやって取材を取り付けてくるかわからないし、こういうのってしつこいってよく言うだろ。全部かわそうとするより、ほどほどに答えてやる方が気持ち的には楽だと思うけど」

 

「うーん……」

 

「ま、深く考えず一度は経験しとくかって感じでいいと思うぜ」

 

「……そうだな。じゃあ、一回ぐらいは受けてみようかな」

 

「じゃ、そういうことで黛先輩には伝えとくぞ」

 

 ちょうど予鈴が鳴ったので席に戻る。早いうちに決まったので、昼休みにでも黛先輩のクラスに向かおう。

 ……そういや、報酬ってどうなるんだろ。場合によっては俺と一夏でディナーになるのか。ホモォになるのは避けたい。

 

 

 

   ◇

 

 

 

 放課後。俺は生徒会室にいた。なぜって、生徒会役員だから。

 主な仕事として書類と格闘中。今度行われる全学年合同タッグマッチの資料作成とか各部活の経費の入力とかその他諸々。一緒に書類を片付けている楯無さんはこの間の事件の報告書とかに追われているんだろうなぁと思う。

 

「ん? どうかした? 颯斗くん」

 

 なんとなく楯無さんを見ていたら、視線に気づいたらしい楯無さんにそう尋ねられた。

 

「ああ、いえ。大変そうだなぁと思って」

 

「実際大変なのよねぇ。労ってほしいぐらいだわ」

 

「具体的には?」

 

「んー、肩揉み?」

 

 なぜに疑問形。

 そんな話をしていると、黛先輩がやってきた。

 

「やっほー。あ、傘霧くんいたいた」

 

「どうしたんですか、黛先輩。ひょっとして、取材の件でなにか?」

 

 思い当たる節を適当に言ってみる。ちなみに、取材を受けるという話は既に済ませてある。

 

「そうなのよ。報酬のことを言い忘れちゃってたのに気がついて。すでに頷いてくれたけど、とりあえず教えとこうと思ってね。はい、これ」

 

 言われて渡されたのは『テレシア』という高級ホテルをパンフレットだった。写真で見るからに豪華だ。

 

「このホテルのディナー招待券が報酬よ。傘霧くんと織斑くんそれぞれにペア一組分ずつあげるって話だからさ。誰か誘っていってね」

 

 なるほど、俺と一夏それぞれが誰か誘えるようにしてあるのか。そいつは助かる。

 えーっと……あ、『当ホテルのレストランでは指定外の衣服でのご入店をお断りさせていただく場合があります。あらかじめご了承ください』って書いてある。さらに女性にはドレスの貸し出しがあることも。しかしこれはよく読まないと気づかんな。後で一夏に教えてやろう。

 

「昼休みの時の説明含めて、何か質問ある?」

 

「あー、いえ。特にないです」

 

「そう? じゃあお願いね。それじゃ!」

 

 颯爽と去っていく黛先輩。多分次の目的地は一夏が貸し出されている武道館。

 ドアが閉まった辺りで俺は楯無さんに振り返り、ヒラヒラとパンフレットを振った。

 

「行きます? これ」

 

「あら、私と行きたいの? 簪ちゃんを誘えばいいと思うんだけど」

 

「日頃世話になっているお礼ぐらいいいでしょう? というか、俺は一夏みたいに器用になんでもできる訳じゃないんで、これぐらいしかお礼できそうにないんですけど」

 

「そういうこともないと思うんだけどなぁ。まあ、ここはお言葉に甘えようかしら。しっかりエスコートしてね♪」

 

「はいはい。エスコート術でも勉強しておきますよ」

 

 いつもの感じでそう答え、互いに仕事を再開する。

 アトラスさんの話の件もあるし、オメガのことに取材と、忙しくなりそうだ。

 

 

 

   ◇

 

 

 

 翌日。四時限目終了して昼休み。

 今朝はSHRにて全学年合同タッグマッチの説明があった。そしてそれは同時に、今日がアトラスさんの言ってた『更識姉妹にタッグ組ませようぜ作戦』の決行日であることを意味している。命名はアトラスさん。

 まず作戦のために俺が昼休みに入ってやるべきことその一。一夏を誘う。

 

「一夏ー。食堂行こうぜー」

 

「おう。なんだかんだでお前から食堂に誘われるのは初めてじゃないか?」

 

「お前と違って忙しいからな」

 

「俺だって忙しいっての」

 

 こうして誘うと、勝手にこのクラスから四人ほどさらに釣れる。

 

「一夏。私も同席させてもらうぞ。その……弁当を作りすぎてな。欲しいなら、分けてやらんこともない」

 

「一夏さん、わたくしもよろしいでしょうか? 偶然、たまたま、こういうものを作る機会がありまして、一夏さんに味わっていただきたいと……」

 

「一夏、僕も一緒にいいかな? その、話したいこともあるし」

 

「一夏、話がある。行くぞ」

 

 やってきた奴らは全員こちら側に引き込む。作戦をより確実に、かつ円滑にするためだ。

 

「おう、俺もお前らに話があるから。じゃあ行こうぜ」

 

「一夏! 食堂行くわよ!」

 

 あと、二組のチャイナ娘もだ。

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

「――で、話って何よ?」

 

 それぞれの昼食をテーブルに置いて、六人は俺の方を見る。

 簪やアトラスさん、楯無さんはまだいない。俺がこいつらを説得する時間として少し遅れて来る手筈となっている。

 

「単刀直入に言う。簪と楯無さんがタッグマッチでペア組むように協力してくれ」

 

「それは、なんでそんなことを?」

 

「まあ早い話、姉妹二人の仲を改善させようっていうアトラスさんからの提案でな……」

 

「具体的にはどうするつもりなんだ?」

 

 と、箒。質問があったので回答する。

 

「楯無さんはともかく、簪を納得させるために、このメンバーと簪、楯無さん、アトラスさんでクジ引きをしてだな……」

 

「「「「「却下」」」」」

 

 と、一夏を除く五人。早ぇよ。

 理由を訊くが、五人揃いに揃って理由が「一夏と組むから」とのこと。一夏と組みたいがために運に任せたくないらしい。わかってはいたが。

 どうにかこの五人を納得させねばならない。もうすぐアトラスさん達がやってくるはずだ。

 

「よーしわかった。じゃあ一つ確かめよう。……一夏、お前はこのメンバーから一人タッグに選ぶとしたら誰がいい?」

 

 話からはずしていた一夏にそう尋ねると、五人が物凄い眼光で一夏を睨んだ。一応、彼女達としては自分を選んでくれるという期待の眼差し……だと思う。怖いけど。

 しかし、そんな目で睨まれて顔をヒクつかせた一夏の返答はというと……

 

「え、えっと、そうだな……俺は、颯斗とがいいかなぁ……」

 

 ほらみろ。

 はいどーも。と一夏を再び蚊帳の外に押し出す。

 

「だってよ。なら、クジ引きでチャンスがある方がいいとは思わないか?」

 

「で、ですが……」

 

「それに」

 

 セシリアの言葉を打ち切って続ける。

 

「自分が一夏の運命の人だとか言いたいなら、クジ引きぐらいその運命力で引き当ててみせろ」

 

「運命、力……!?」

 

「クラリッサから聞いたことがある。カードゲームでは永延と好きなカードを引き当て、時には存在しないカードに書き換えることまでもできてしまう、それが運命力だと……!」

 

「ああ、うん。アニメではそういうのるわな。演出上」

 

 クラリッサの好みって、一体何なんだろう。カードゲームアニメも見ているらしい。

 

「とにかく、一夏とペアになる確率は楯無さんと簪を除いて七分の一。ここでその七分の一を引き当てれば運命の人と言える可能性もあるんじゃねぇの?」

 

「でも……」

 

「私は受けよう」

 

 ラウラがそう言い放った。ラウラが折れたことに驚いた俺達がラウラを見ると、彼女の手にはいつの間にかペンが。

 

「私の運命力で、一夏とのペアということに書き換えてみせる!」

 

「書き換えたらアウトな」

 

「なんだと!?」

 

 なんだとじゃねぇよ。ペンは没収する。

 最終手段として、五人に拝み倒しを決行。

 

「頼む。俺が一夏のを引いた時にはこっそりチェンジしてやるから」

 

「そこまで言われると……」

 

「し、仕方ありませんわね……」

 

「今回だけだぞ」

 

「あんたが引いたら、あたしに渡しなさいよ」

 

「抜け駆けは良くないな、鈴」

 

「すまん、助かる」

 

 

 

   ◇

 

 

 

 ……で、アトラスさん達が来て、姉妹を説得して、クジを引いた結果なんだが。

 

 

 

 簪&楯無ペア

 

「……………」

 

「あはは……その、簪ちゃん? そんな不機嫌にならないで、ね?」

 

 ここは計画通り。二人が同じ番号引くように細工したんだから。簪がこの結果に不機嫌そうなのと、同じく簪がこちらに未練がましい視線を向けてくるのは致し方なし。

 

 

 

 セシリア&鈴音ペア

 

「くぅぅっ、なんでこういう時にまでセシリアと一緒でなきゃいけないのよ!」

 

「それはこっちの台詞ですわ!」

 

 これは原作通りといったところか。仲は険悪に見えるが、戦闘になると相性がいい二人だったりする。

 

 

 

 シャルロット&ラウラペア

 

「くっ……私には運命力がないというのか……!」

 

「まあまあ、こうなったら一緒に頑張ろうよ」

 

 これも原作通り。言うことなし。

 そして、残る二組なんだが……

 

 

 

 一夏&アトラスペア

 

「まさかお前と組むことになるとはな……まっ、これから頼むぜ相棒」

 

「えーと……よろしくお願いします?」

 

 

 

 颯斗&箒ペア

 

「」

 

「」

 

 

 

 どうしてこうなった。

 一夏&箒、俺&アトラスさんとかの方が無難だろうに、どうしてここだけ妙なシャッフルが起きるんだよ。なんでよりによって箒なんだよ。

 というか、

 

「運命力なさすぎるだろお前ら……!」

 

 確率にして七分の五、半分以上の確率で五人の内の誰かになるところをなんでこいつらはことごとく外してんだよ。逆に運命を感じるぞ。

 いや、待てよ。ひょっとしてこれは、一夏が次なる攻略をするために引き出した運命力だというのか? なんかそっちの方が説得力あるような気がする。

 

「や、やり直しを要求しますわ!」

 

「スマン、無理」

 

 即答と一緒にアトラスさんは後ろに指を向けた。

 何があると思いきや、その先にはこちらを見る織斑先生の姿。

 

「組み合わせは決定したな? こちらで書類をまとめておいてやるから、その分も訓練に励むように。ではとっとと昼食を取れ」

 

 そう言ってスタスタと歩き去っていく織斑先生を、アトラスさんを除くほぼ全員が唖然とした顔で見送ることになった。

 きっとアトラスさんの差し金だろう。やり直しされて簪&楯無さんペアが崩れないようにするための策なんだろうけど……。

 ズーンと、葬式レベルにまで沈み込んだ箒達。うーん……。

 

「えーと、頑張れ」

 

「頑張れって……」

 

「元はと言えば……」

 

「あんたのせいでしょうが!!」

 

 ぎゃー。とばっちり受けた!




 運命力、大事ですよね。
 そろそろオメガを登場させようと思います。オメガのスペック紹介はだいぶ先を予定してますけど。
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