ISだが、機体は岩男でも問題ないよな?   作:暁楓

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 第五話。今回は短いです。


第五話 この小説の作者って、単語とその意味は知ってるのに元ネタ知らないんだぜ? ダサくない?

「楯無さん」

 

 声をかける。

 

「なぁに? 颯斗くん」

 

 テーブルを挟んで向かい側にいる楯無さんが頬杖をつきながらにっこりと訊いてくる。これだけを見ると恋人同士に見られる……かな? どうでもいいけど。

 俺は、頭の中で思っていたことを口にする。

 

「なんで、こんな中途半端なタイミングで休み与えられたんでしょう」

 

「んー。軽く盗聴もしたからわからなくもないけど、君には教えられないかなぁ」

 

「さいですか」

 

 まあだいたいわかるけどな。あと、何気にとんでもない発言を聞いた気がしたが、気のせいだ。きっと。

 IS委員会に出て四日目。未だに全ての勧誘が終わっていないのだが、今朝突然の休日を与えられた。現在、楯無さんと二人で近くの繁華街に来ている。

 このタイミングで予想できる理由といえば、『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』の暴走事件だろう。確か、福音の操縦者……あれ、誰だったっけ。まあいいや。その人の査問があるから、関係ない俺達はとりあえずは外しておく……といったところか。

 まあ、休暇を取れるのはこちらでもありがたい。考えておきたいこともあったし。

 

(オメガ、か……)

 

 俺は転生前にオメガを選んだ。しかし、この世界でISに生まれ変わったオメガの性能を聞いてどうするべきかまだ迷っている。

 やはり遅いというのが足を引っ張っている。通常のISの基準以下だというオメガの機動力では、被弾は避けられない。ゴーレムⅢ相手にそれは間違いなく致命的だ。防御が堅くても、篠ノ之束の造るISがそれを超えることは容易いはず。……うーん、どうしようかな……。

 

「楯無さん」

 

「うん。今度は何かな?」

 

「やっぱり、ISで身を守るって言ったら防御力よりも速度の方がいいんですかね?」

 

「“自分一人”を守るんだったら、基本的にはね」

 

 そう答えて、さらに続けた。

 

「でも、もし敵の射線上に仲間がいたら? その仲間が相手に気づいてなかったり、動けなかったとしたら? “自分と共に仲間を守る”ために防御力を選ぶっていうのは、それはそれでいいことだと私は思うわよ」

 

「自分一人だけではなく、自分と仲間を守るため……」

 

 そこは考えてなかった。なぜか自然に、一人で戦うことを前提に考えていた。仲間と一緒に戦うことだってあるのだ。というか、だいたい一夏は誰かと共闘してるじゃないか。

 そして七巻の話から先は俺も知らない世界となる。その時に必要となるのは仲間との連携になるだろう。その時に、仲間を守れるように……というのもいいかもしれない。

 シエルさんも、誰かを守るということを考えてオメガを造っているのだろうか。元であるはずのロクゼロのシエルの人格を考えたら可能性としては十分あり得る。

 

「どう? お悩み解決には役立った?」

 

 思案している俺を微笑ましく見つめながら、楯無さんが訊いてきた。

 

「……はい。参考になりました」

 

「そっか。じゃあ、そろそろ観光を再開しましょ。行ってみたいところとかあるのよ」

 

「はは、そうですね」

 

 俺達は椅子から立ち上がった。

 その後荷物持ちやらされるのは、まぁ……運命的なやつなんだろうか。

 

 

 

   ◇

 

 

 

 IS委員会六日目。ん? 五日目? 勧誘だけだったから省略させてもらった(キング・クリムゾン!)

 今日の午前中で最後の国の勧誘も終わり、俺は今、部屋で一人になっている。そう、一人。護衛もいない。

 目の前の机には、高級そうな感じの紙とペン、そして投入口があって施錠されている箱があった。

 この紙に国の名前を書いて、投入口に入れてしまえば、それで俺の所属が決定される。決定されるまでの間は俺は外部との連絡は一切断たれる。楯無さんがいないのもそのためだ。代わりにこの部屋や扉の前などには防犯カメラが設置されているらしい。

 ペンを取る。高級そうな見た目に違わず、重さが手に伝わってきた。

 もう答えは定まっている。迷うことはない。

 紙にペンを走らせ、紙を折り畳んで投入口に入れる。

 箱を持って立ち上がり、扉へ。そしてノックする。

 

「終わりました」

 

 俺のその声で扉が開き、黒服の人が姿を見せる。

 確認させていただきます。と黒服が言い、箱を受け取ってそれを揺らす。カラカラと乾いた音が鳴った。

 確かに受け取りました。と黒服が言った。もう一人の黒服が顔を見せ、それではこちらです。と俺を案内する。

 これで、俺は今日から――。

 

 

 

   ◇

 

 

 

「――という一週間だった。その前の特別講習と合わせてこの二週間、まともに休めてねえ……」

 

「はは、そりゃお疲れ」

 

 帰国した翌日。早速の授業日は時差ボケで遅刻ギリギリになりつつも、なんとか一年一組に辿り着いた。実に二週間ぶりの教室だ。

 二週間ぶりの自分の机に突っ伏しながら話す俺に対し、話相手であり、隣の席である一夏は俺が買ってきた土産をしまいながら、俺の話を苦笑しつつも聞いている。

 こうして話してみて知ったが、一夏は聞き上手だ。いいタイミングで相槌を打ったり言葉を返してくれるためとても話しやすい。加えて家事全般が得意で勉強ができて身体能力も良し。これはモテるのも納得だ。限りなく恋に関して疎いことだけが本当に残念だ。

 

「でも、これでようやく俺達と一緒に授業受けれるんだろ? ……と言っても、もうすぐ夏休み入っちまうけど」

 

「ところがどっこい」

 

「え?」

 

「専用機が届いたら、今度はISを俺用に調整する日々が来る。またしばらく休めなくなりそう……夏休みも一部パーだってよ……」

 

「うわあ……」

 

 この世界って、ここまで大人の事情に振り回されるようなとこだったっけ……?

 部屋割りもIS特訓に楯無さんがコーチやるってことでまたしばらくの間楯無さんとの相部屋。美人と一緒にいられるっていうのは嬉しくない訳じゃないけど、落ち着けるかどうかで言ったらいい加減男同士で気兼ねない生活をしたいというのが割と切実な話。

 

「ああ、そうだ一夏。専用機届いたら模擬戦の相手頼まれてくんない?」

 

「模擬戦? ああ、俺でよかったらいつでもいいぜ」

 

「頼まぁ……」

 

「いつまでだらけている。授業を始めるぞ」

 

 スパーン、と俺の頭に織斑先生の出席簿アタックが炸裂した。




 作者はキング・クリムゾンの元ネタがわからんとです。ダサいです。
 次回は彼の元に専用機が届きます。所属はわざわざ伏せた書き方したけど、もうわかりきったことだよね。
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