目色が変わった日   作:カナーさん

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 あの異変の中に起きた事件からしばらく経った。

 魔理沙とかのギクシャクした空気はある程度ほぐれ、時々ではあるけどパチュリーのところにも顔を出したりしてる。

 

 相変わらず私の胎内(なか)には彼が居る。

 

 とても中二くさいと彼に言われたりしたけど私もそう思う。魔獣や神獣を飼っている奴と同列は気に入らない。のでデコピンでサービスしてあげた。

相変わらずデコピン痛みを堪え悶えるのはもはや日常とかしていた。

 

 あれから私は全力を出していない。練習の弾幕ごっこでは本気までは出すのだが、それ以降は機会がなかった。

 まあいいことだ。弾幕ごっこが普及してる中、全力を出す機会なんて会ったらそれはそれで問題でしょうし。

 

 そういえば、彼が「弾幕ごっこに精をだすなんて意外だな」っと言っていた。意外なのかな…?

 それはともかく、弾幕ごっこに興味がなかったのは確かだ。美しさを競うというのは俯瞰できる私ならより綺麗に見えるだろうけど、生憎その頃は彼に、とくに黒い拘束具と自身の眼に興味があったからね。

 私の性質といえばいいのか、一旦興味や惹かれるものがあると他に目もくれず、最後まで突っ走るまでやり続けちゃうのよね。

 逸れたわね、弾幕ごっこに対して意欲的なのはまたまた、彼が関係している。

 

 彼の仮説、理論。とくに言葉に由来して現象を引き起こすというのには魔法とは別のアプローチだったので面白そうだった。真実かはともかくね。

 それを確かめる為に色々試してみた過程で、彼は私の視界が観えることが発覚した。

 彼はいわく「テレビを見ているような感覚で流し見じゃなくてじっくりと観てる感じ。だからか少し疲れる」らしい。

 …まあ一部発言は置いといて、この視覚共有が発覚したのでテストのつもりで弾幕ごっこを続けていた。

 

 私の能力上死角はない。故に弾幕ごっこなんて比較的、吸血鬼のスペックもあってか簡単ではあった。ただ、見えているのにも関わらず被弾は零にはならなかった。視界が広くても意識が向いている範囲外までは流石に無理だったのか避けきれなかった…

 …のだが、ある日彼が「〜方向から弾来てる!」とかを突然発言した時から被弾数は減っている。当初は突然声が聞こえたので驚いたわね。

 

 そういう事もあって弾幕ごっこを続けていた。でもこの一週間くらいはやってないわね。記録は取り終わったしね。

 

 だからそうね。そんな中、少しばかり暇になってベットに横になっている時、八雲紫が紅魔館に来た。

 

 今日も私の姉は…事務仕事かしら?いつも道理なにかを執務室?で作業していたわ。身長に合ってない椅子に座り、机でなにかを書いている姉の机の前から数歩くらいに場所に八雲紫は現れた。

 

 八雲紫の印象だけど、私の後処理とか色々手を回していたので印象自体はあの事件以降はいい。…少なくとも事件中の行動で印象は最悪だけど。

 だから、今回の来訪は賢者としての仕事で来たのだろうと、自室のベットでボケェーと傍観していた。

 

 二人はなにかを話していたが途中から姉の方がヒートアップしていた。…私についてなにか無視出来ない事でも八雲紫が言ったのだろう…。そこまでは比較的平和的だった。

 その後が驚きで、なんと八雲紫が姉を攻撃した。

 

 私は八雲紫の弾幕ごっこを見たことがないから一概には言えないけど、少なくともごっこという雰囲気ではなかった。

 

 とはいえ、私は何もしなかった。パチュリーや十六夜咲夜に教えたり、私自身が馳せ参じるなんて全く考えていなかった。彼からは「薄情だな」と言われたけど「なんか文句ある?」って返したら『なんもないよ母さん』なんて(わる)あがきみたいに言って口を閉じた。彼の冷かしは相変わらず独特だ。

 少なくとも私は自分より幼い外見の相手に「母親」呼びは出来ない。外ではヤバイ奴と認識されてるし。実の母ならわからなくはないけど…。

 

 …最後まで私は腰を上げなかった。それは私が予想していた事態を上回る事が起きていたからだし、動く必要性がなかったからだ。

 

 最初は確実に八雲紫が有利だったし、私もそうなる事は予想していたし、途中まではそうだった。

 

 違和感と覚えがある、と思ったのは同時だった。

 

 姉は吸血鬼の私から見ても異常な再生力と剛力と速度で八雲紫と戦っていた。

 

 最初は私の方が(まさ)っていた力も時間が進むにつれ、前よりも筋力も機敏性も私に追いつかんばかり。

 そして覚えのある。異常な再生速度。

 その再生力と筋力と機敏性の強化はすぐに結びつかなかった。

 けど筋力と機敏性が上がるにつれ、再生速度も事件よりも速くなっていたことにより関連付けるしかなかった。

 

 まただ。八雲紫が策を巡らして姉に私から見ても致命傷を負った。なのにその傷は瞬く間に再生、修復して傷を負う前とは比べるまでないほど、見違える動きで八雲紫を追い詰めていた。

 

 姉は八雲紫と戦う前より明らかに強くなっていた。

 

 鮮血を自身の城《からだ》に汚す《ながす》ほど強くなっていく姿は…私とは違う…本物の夜の支配者の吸血鬼に相応しいと思った。

 

 「それは少し違うと思うよ?」

 

 その考えは彼に否定された。

 

 「強くなるって点に関しては否定しないけど、それは血を採取するだけで死を何度も超越できるものなのかい?命をストックして、とかならまだ話はわかるけど、姉さんは自分の血でしょ?」

 

 「…そうね。吸血鬼としての常識は欠けてる私だけど、それに関しては同意するわね。他者の血ならともかく自分の血…ないわね。でもだとしたら…」

 

 「ヤサイ人でもない限りあり得ないから結局ここに行き着くのか…君と同じような変質が姉さんにも起こっていると考えるべきか」

 

 彼が呆れたように言う。

 

 「……」 

 

 野菜人ってなに?

 

 

 …ともかく私と同じ変質してようがまいが姉の変化には非常一一に、興味がある。

 彼が呆れた訳がわかった。恐らく新しい玩具を見つけた子供のように目が煌めいているだろう。姉に冷めていた私が、手のひら返しのように熱を持つことに欲に忠実だと呆れていたんだろう。

 

 「さて、あなたの考えを教えてくれるかしら?私と類する変質なら、いったいどんな話を姉に連想したのかしら?」

 

 「………。…話じゃあないんだ。既存の話じゃなくて姉さんが元来から持ち合わせているものを誇張したんだ」

 

 「前置きはいいわ。私の時だって第一印象から結び付いたんでしょ?」

 

 彼は少し震えていた。取り返しのつかない事仕出かしてのではっと未来に怯えているようだった。

 

 「……違うんだ。君の場合はない(・・)ものを押し憑けて変質したんだ。でも姉さんは違う。姉さんの場合はある(・・)ものを変質させたんだ。能力っていうその者に密接に絡まったものを変質させてしまったんだ…!」

 

 「…新情報にツッコミをいれたいけど、後ね。

姉は運命を操るっていう確率操作能力でしょ?それにどんな印象を抱いたっていうのよ。昼間なのに夜より活き活きした吸血鬼になるようものって」

 

 「…答えを言っていいのか?君が求めているものを教えていいのか?」

 

 さっきまでの震えてなんて演技だったかのようにケロっとそんな事を聞いてきた。そんなの決まっている。

 

 「駄目に決まってるでしょ。言われるまで忘れていた私が言えたことじゃないけど…私が解くわ」

 

 興味をもったのは私。ならちょうどいい問題なのだから私が解くのは道理。

 欲求を先行させていたけど、私は答えを知るのではなく答えを導き出す方が好きだった。

 

 常にある本と違って、いつ起こるかわからない災害のように、いや、起こることがわかってる分まだ、ましかな。

 私が巻き込まれた現象は起こるかすらわからなかったんだ。逃すまいと張り切り過ぎちゃったな。

 

 …彼の話に意識を向け過ぎて姉の戦いを見ていなかった。気付いて見てみるとまだ終わってなかった。

 

 そこで気付いた。あの二人は室内で事を行ったが、どうしてまだ室内で戦っているんだろう?そもそも部屋として原型を保っている方がおかしいんだ。原型といっても外と内を別ける壁と周りの部屋の壁を破壊して一つの大部屋として纏めた場合の壁と…。十六夜咲夜とか大丈夫かなこれ…。大部屋として使われるのかな…。

 

 姉が駆けるとその轍は薙ぎ倒され、衝撃波に襲われた。姉の城が原型を留めず破壊され、瓦礫に変わっていく。

 

 それが逆再生の如く修復されていく。

 この光景を見て姉が紅魔館(しろ)と同期していると考えていたけど…。もしかしてパチュリーがなにか施していたとか…ありえるわね。

 この現象自体は魔法でも可能だしね。

 

 

 

 

 戦いは八雲紫が予想がしていたより少しばかり悪くなっていた。

 フランドールは気付いていたが、この部屋を中心として辺りは外部と隔離されていた。増援を避けるためとレミリアを逃さないために。

 最初の奇襲でレミリアを外に飛ばす予定だったのだが、どういうわけか、この部屋は術式がないのにも関わらず修復され、あまつさえ、聡明な賢者の八雲紫でも解明出来なかった。とはいえ、感じるものは同じだった故に、なにが干渉しているかはわかっていた。

 

 あのフランドールとレミリアから感じる同質のものがこの部屋に染み付いていた。

 戦慄した。背後をとったと思ったのが実は囲ませていたなんて…だから戦闘なんて荒い手段に出たが八雲紫は若干後悔し始めていた。

 

 あの異変の中で見せた異常な回復力と成長力。とくに成長性は際だって異質だった。何千年生きた吸血鬼と並び立つ力を見せたのだ。何百年程度の吸血鬼の小娘が。

 異質な成長。だが成長するには回復が必要なのを八雲紫は見抜き、ここで戦い、そして確信した。

 勝てる戦いだと。

 

 簡単なのだ、成長力が脅威なら成長させなければいい。怪我を負わせない…例えば腕に隙間を展開して怪我をさせずに腕を切断したり…。空間干渉できる八雲紫なら、例え蝙蝠になろうとも楽勝であった。

 

 予想外があるとするなら怪我の判定が自身の意思に関わらず本体から数メートル離れた場合も認識された事だろう。 

 それと室内で戦う予定ではなかった。今のレミリアはこの部屋の広さだと刹那の間に到達するので八雲紫でも無視できない状況だった。

 

 幸い能力で別空間に移動できたので回避は問題なかった。

 無論外に誘き寄せる、強制移動も考慮したがその間に結界が壊される危険性があった。

 

 

 

 戦いは泥沼とかしていた。立て直しをしなければレミリアに負けてしまうのは八雲紫でなくとも丸わかりであった。




情景?とかを積極的に書かないから楽。
けれども物足りない感がありますね…。
次回はフランの謎解きと描写に力を入れたいですね(力を入れるとはいってない)。
もう一つの完全趣味である断章のグリムを合わせた作品も興味があったら覗いてやってください。
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