目色が変わった日 作:カナーさん
…今ほど私は姉に対して…吸血鬼レミリアに驚きを示したことはないだろう。
私の十八番である破壊を…私の常識を破壊したのは金輪際きっと…
✝
血に濡れたような紅魔館とその主を破壊しながら行われた理由のよくわからない弾幕
色とりどりのこの目で見たことない花火のような弾幕。弾き弾かれる、お互いを見て魅せ合う【弾幕ごっこ】はいかに相手を害するかという一点に凝縮された醜い【弾幕戦】に様変わりしていた。
まあ、何度かは"そう"なるだろうとは思っていたがまさか妖怪の賢者がそれを破るとは思っていなかった。
文献などを漁ってみたが八雲紫がそんな行動をとるような…むしろそれを積極的に廃させようとする筈だ。少なくとも文献からはそう読み取れた。
彼女はこの幻想郷についてわざわざ暇つぶしなのか本当か裏付けできないような情報を話したりするらしい。
それは創設者だからなのかはともかくこの地を好いている。それは確かの筈だ。
だからこの地を害する虫を除去しようとするのは理解できる。
それを姉が犯したなら_過去の侵したことは置いといて_道理だ。私も援護してもいい。姉の
だが…少なくとも客観的に見てこれは八雲紫に非難があるだろう。目を持つ私だからこそ言える。この外の視点を持つ私だからこそだ。私がこう思うのだから八雲紫の友好関係にある者達はともかく、他のこの地の住民はどう思うだろうか。
開戦の狼煙を上げたのは八雲紫だ。無論姉だから『またやらかしたのか』と周りがそれで済む話なら問題はなかった。
が、少なくとも今回姉は比較的、いや、妹の私から見ても相当大人しかった。それを鳴りを潜めていたとあの姉ならっと、断言仕切れないことを仕出かしていたことに頭を抱えるばかりだが、今回に限っては白だ。
鬱陶しい限りだが姉は
今回の姉は八雲紫に対して
忌々しいことだが身内だからこそ姉は無実だといえる。
そうなれば必然、なぜ八雲紫は姉を襲ったのか?という疑問が浮かび上がる。八雲紫のことだから何かしらの裏付けがあるはずである。だからそのデマの情報源を締め上げるのが一番なのだが…一つ。
そう一点だけ。デマ情報でもなんでもなく八雲紫が正しいとこじつけることができるモノがある。
八雲紫自身が脅威だと認識した者…私だ。
自身のスキマをこっぴどく破壊され続けたならそれはそれは脅威度は跳ね上がるだろう。
私を監視しようと展開しようとするはしから破壊現象が起きて、涙目になったのは私と彼の心のアルバムにしっかりと保管するからどうか安心してほしい。彼が現像していたが、彼はまだ人間として活きているから、どうか寛大な心で許してやってくれ。
私だって最初彼を恐れていたのだから気持ちはわかる。私の場合は害することがないと気付けたからこそ安心できた訳だが、八雲紫の場合は違うのだろう。私の周辺のみスキマを展開できないのは幻想郷の外にまで干渉できるのだから見逃してほしいものだが、まあ、範囲内で能力を完封されたらたまったもんじゃないと思う。私だってそうだからね。理解できない、計り知れない脅威。
そう、私一人でこのざまだ。それが私と同じ気配をその姉が醸し出したら笑えないだろう。私なら表情筋が死んで真顔になる自身がある。私の例なら姉が二人…やめ。
つまりデマでもなんでも無くて八雲紫が脅威になりつつある芽を摘みに来たというなら総合性がある。
管理者として、目に余るのは私だけで充分だろう。いや、私だからまだ堪えられたのだろう。少なくとも姉と違いポカしないのだし、なにより出て来ない。それがむしろ負担を与えていただろうが当分の間は大人しいと八雲紫は考えたのだろう。
そう私だけなら、なにも問題はなかったのだ。
それがレミリアだったのが問題だったのだ。
八雲紫のことだから、私が考えようもしない要素もあったのだろう。
もしかしたら私の同じ思惑かもしれないな…。
✝
直前のことは今、起こったことのせいで、脳内のあった暫定や思いを真っ白にするくらい吹き飛ばした。
八雲紫がスキマで外に送ったのか、物理的に飛ばしたのかはわからないが、昼間の太陽光が殺人光とかしている空間に姉は飛ばされた。
殺人光というのは比喩ではない。夏の日差しは私達でも殺人光となりゆる暑さを秘めているが、吸血鬼になるとそれは一気に冗談ではすまなくなる。
✝
姉は過去のアレの時、私は久しくやり切った。周りには姉妹喧嘩といわれているが実際は一方的な暴力で、殺さないよう加減はしただけのそれだけだ。
能力は解放していたし、ぶっちゃけ四肢が使えなくする気…とはいわないが今まで貯めた負債を半分くらい叩き返した。
まあ、姉はしぶとくて問題なく四肢は使えたが、変わりに姉に消えない傷を付けれた。
その一つが太陽に対する耐性だった。
前の姉は太陽光に照らされるとその部分から煙を上げていたのだが、アレ以降だとより酷くなっていた。
私はそれを秘密の部屋で見ていたが、今ほどではないが驚いた。
ズルっ
今まででも数度しか見たこともない姉の絶句した顔。
太陽に照らされた部分の羽だけが煙すらあげずに、高温で真っ赤になった鉄のように、溶かされた蝋のように原型を崩してずり落ちた。
落ちた肉片がGを潰した音のような音で、落ちて形の崩れたケーキのように
ヌチャっ
と地面を汚した。スムージーのようにドロドロとした羽だったモノを姉は、脳が追いついてないのかグチュグチュと進行形で溶け爛れる肉片を見下ろしていた。
この時、頭は真っ白で私の中にある何もかもが理解を拒絶していた。
沈黙と硬直が流れる。
溶け落ちた断面から溢れ出る再生の靄と死滅を煙を上げる腐肉から溢れ出す腐臭。
靄と煙が混ざり、異様な異臭とどんよりとした空気を放ち、それで姉は現状を理解した。してしまった。
「__________!?」
その声にならない悲鳴を聞いて私は我に返った。
✝
冗談で終わらない。例え八雲紫が知らなくとも今の姉にとって太陽光は通常の吸血鬼よりも堪え難いトラウマになっていた。だからそれが尚更驚きを助長させる。
太陽に、より嫌われている。裏返せばより強力な吸血鬼と言うことをにもなるがそんなのこじつけだ。
実感を得たことはなかったし、外に出る機会も以前より少なくなった。
人間でいうなら目印の付いた地雷が埋まった公園で遊ぶような感じだろうか。
一歩間違えれば致命。しかも気を付けるのは自身だけでなく周りにも敏感にならなければいつ他人に起爆されるかわかったものではない。しかも起爆した本人には影響のない姉だけを襲う爆弾。
確殺の光。瞬時に肉体を溶かし尽くす輝き。
世界が一変したことだろう。
だが、その後の一番のショックはこんな地獄に私を連れ出そうとしていたことだった。
こんな世界を無知のまま引きずり出そうとしていたのを姉はかなり後悔していた。
そのせいで一時期不安定だった。その時ばかりは私も心配した。だから__
__吸血鬼が太陽光を浴びても平然としている。
この状況には本当に時が停まったようだった。
後ろから入る光で影ができる。
位置的に背後から照らす太陽を浴びたレミリアの影が八雲紫を捕まえるように覆っていた。
…言葉を失った。目を見開いたまま硬直していた。八雲紫も同じだと思う。
それはそうだ。レミリアは今妖怪として異質なのだ。
吸血鬼にとって太陽とは絶対でなくてはいけないのだ。決して抗うことのできぬ性。吸血鬼が吸血鬼足らしめる要素をレミリアは捨てたのだ。
決して無効とはいかないのだろう。
現にレミリアは昼間の外に出ることを嫌がっていた。だから今まで室内に持ち込んでいたのだから太陽に対するトラウマも健在のはずだ。だがレミリアの表情に変化は見られない。
それがより疑問を大きくさせる。
彼が言っていた能力の…本質の変質。この域だと変質というよりは変異だろう。
「…………………………」
わからない。なにがあそこまで変異させた?関係ある筈だ、吸血鬼が太陽を克服するようなナニカ。
私はなにかに取り憑かれるように、停まった自答を続ける。
力、スピード、再生、耐性。
…強化系だろうか。いや成長…耐性を獲得するなら進化だろうか。それなら姉はもはや吸血鬼ですらないかもしれない…。
…思い出してみよう。彼の吸血鬼が出てきた話を。
吸血鬼、運命、太陽、克服、身体能力
…アーカード。彼の話だと太陽の下で活動できる吸血鬼で一番の特徴が命のストック数。そして吸血鬼としての身体能力は高かった筈。
…命のストック?…姉の場合ストックというのはなんか違う気がする。どちらかと言うと強くてニューゲームがしっくりくる。
事件の時だって破壊されていくに連れ再生速度もスピードも比例して向上していたと思う。
最後の方なんて破壊した刹那には再生し終わっているのだから縫い付けるしか手がなかった。
運命、強くてニューゲーム、ニューゲーム…新たな命。運………
「命を運ぶ…」
今にも消えそうな小さな声で呟く。
「その通り」
それでも彼はちゃんと掴んだようでそう言った。
「運ばれる命。運び込まれてくる命。吸血鬼は命がストック出来るって実際はどうかは知らないけど、もし、出来るならこれ以上の適合はないと思ってね。
そもそも吸血鬼っていうのは支配者のイメージが強かった。じゃあ支配者だけどこれは肥えた体形が思いすさ浮かんでね、裕福で金にも食べ物にも困らない。なんせ外から運び込まれてくるからね。減る訳ないんだよ。
だから吸血鬼は夜の支配者で食事には困らない。
それが運命に結び付いてしまった。
命のストックのおかげで死んでも生きてるっていうのはその中で魂の循環が起こってるみたいで転生のようだとも思えてきて、この転生っていうと前回の引き継ぎみたいなものだから強くなるのは当然だろうと。
それに夜の支配者ってことは夜そのものが吸血鬼の象徴とも言えるわけで、朝と夜が生と死。いや吸血鬼からしたら逆か。いったら一日の循環そのものが魂の循環ってこじつけが起こってしまってね。それを体内で行える吸血鬼は…って感じでね正直自分でも手がつけれないくらい壮大になっていった
だから、そうだな。
運ばれて来てしまう命。いい血を飲むと強くなる吸血鬼には血を運んでくるこの能力は自動成長に変わってしまったって感じかな。ただ、その発動のトリガーが傷だとはね。これに関してはどうだろう…細胞の死滅といえないでもないけど…」
「……………」
「…まあ、その話はいいか。で、太陽光に晒されているのか。それも多分実際にダメージはある。覚妖怪じゃないから心の中で何を思っているのか、何が渦巻いているのかわからないけど、それでも相当苦痛なのはわかる。
やっぱり姉妹なんだね。堪え方が同じだよ」
「!」
それを聞いて私は彼に向けていた意識を姉に戻した。
もしそうなら
「姉さんはあの時の私と同じく狂っている」
脳裏を掠めるあの事件の時の私。
あの時の私は一つの目的と話になぞるだけの狂気に身を墜とした、ただの化物だった。
世界が一変するあの反転。
目眩のように点滅して、現実と幻想が曖昧になっていく感覚。自分が蕩けて何処にいるのか、何もかも夢のような浮遊感でその中にも自身が混ざっていく恐怖。
妖怪にとって忘れ去られる恐怖に近いかな。
姉さんも
一つは今行ったやつ。
もう一つは私もトラウマになりかけた焼き爛れた羽。
「…疑問が残るなら破壊して見ればいいと思うよ。末端ならそれほど影響はないだろう」
その言葉を聞いて私は何言ってんだこいつ?と思い声に出そうとして___そこでハッと息を呑む。
今の思いは私じゃない。けれど私から漏れ出した言葉だった。
「…やっぱり?そんな顔になるよな。どう思った?」
「…何言ってんだこいつって思ったけど…どういうこと?姉も私を見ているってこと?しかもあなたまで」
「それはないな。だって君の姉だろう?それは君自身がわかっているだろ」
それを言われると私も言葉に詰まる。
うん。姉の嗜好や思考についてはあまり考えないようにしてるけど、それに関しては考えるまでもない。
…少なくともトラウマに私が関係するくらいには私のことを大切に思っている姉だもの。
じゃあいまのはなに。無意識に姉を援護しそうになったこれは。普段の私ならその意見も含めて熟考するのに反射的に反対する思いがうまれてきた。
明らかにおかしい。彼の敵でもないのにそれをなんの迷いもなく反対しようとした。そしてそれを何一つ異常とすら感じず、口を開こうとして__自身の認識の異常に不意に気付いた。後は喉から空気を出すすんでの所だった。
「…というかよくわかったわね」
「そりゃ…あ~んされてるみたいにアホ
「…………………………」
「それと歯並びは問題なしかな。欠けてるとかもなさそうだし健康的だと思うよ」
………………………………………
……………グッと左手を思いっ切り握り締める。
すると私の視界には突然、左腕にダイナマイトでも埋め込まれていたかのように二の腕から爆ぜ、それに驚いた姉と八雲紫が目に映る。
…少しスッキリした。
握り締めた手を開く。するとジワッと毒々しい血が平を伝って流れ落ちようとしていた。
それを無言で拭った。
おそらく指を折りたたむ時に引っ掻いたのだろう。そんでもって拳を作るまで平の皮膚突き、肉まで引き剥がして…骨まで抉っていた。
その時点気付いていいものだがそのまま握り締めていた。数秒だが、骨まで届いたままの爪を埋めるように肉が盛り上がり再生したため、握るときよりも多くの肉を引き千切りながら無理矢理開いたため平に水を掬ったように沸騰しているかのような熱い血が表面張力抉られた平の中に溜まる。
その溜まった血を眺めていると私の中で様々なモノが溢れてくる。
…昔はこんな色じゃなかったんだけどなぁ…緑色とかじゃないだけマシなのかな…
視界に映る飛ばされた姉の前腕に意識を向ける。
「…………………………」
「…おい何観てるんだ?」
爆ぜた前腕の断面を眺めているのに気付いた、いや、気付いていたが微動だにしなかったからさっきの謎の援護のことも懸念して声をかけたのだろう。
「なんでもないわ」
「いいや、なんでもある。それをどうするつもりだ?」
彼は私の胸を指差す。疑問に思って目線を下げるとさっきまで見ていた姉の左前腕を指先を下にして断面が顔から見えるよう両手にマイクのように持っていた。
「…え?」
思わず声が口からこぼれた。
それは何もかもが異常だった。それはいつの間に持っていたとかどうやってこの空間にとか…なぜこんなにも…涎が垂れて来そうだとか渦巻いて訳がわからなかった。
✝
フランドールによって左腕が爆ぜたレミリアはその隙を突かれ、四方八方から千紫万紅の弾幕が襲い掛かり機動力を封じていた。
それでも八雲紫は攻撃を止める気はなかった。
川に流される木の葉のようにモミクシャにされているがあの睥睨したような瞳、油断できない。
…ここまでして堪えない打たれ強さは上位の鬼を凌いでいる。
それに…と爆ぜた左腕に見る。
あれはフランドールの能力。援護…とは考え辛いわね。茶々入れ…こっちに矛先が向くのは不味い。
いやそこは問題だがもっと重要なこと…爆ぜた腕の治りが遅い。遅いというよりは再生すらしてない?血は止まっているが脅威だった再生力が尽きた…。
…もしかして効いている
可能性としては充分あり得る。もしそうならフランドールの手を借りなければならないがそれは絶望的だった。事件でフランドールは八雲紫を見限っていた。攻撃されていないだけマシということだろう。
ゴトッと視界が傾いた。
瞬時にスキマに移動する。だが右の二の腕から引っ掛けたような痛みが走る。見ると数本の
先程の動きで傷を広げたのか指先が震える様子が、死んだ虫や捌かれた魚がピクピクと動き回るようだった。
八雲紫は右腕を断とうとした。そしてもう一つに頭を巡らしていた。
だがそれは無駄に終わる。
「そんなに急がれてどうなされたのですか?」
ゴキッと傾いたときのなにかが潰れた音ではなく、折れた音が八雲紫の首から響く。
だが八雲紫はその場で静止。スキマを閉じ、何事もなかったように目の前に現れた人物に目を細める。
この人物に距離をとっても無意味だからだ。
「いえいえ、予想以上に早い到着でしたk__!」
遮られた。突然、現れるように口の中に数本のナイフと自身の左手を詰め込まれたからだ。
ガリッと押し込まれた爪が口内を抉る。
ジーンとした痛みが血とともに拡がり、指とナイフを伝って外に流れ出す。
そんな状況でもすぐにナイフと手を出そうとはせず、目を前の人物_十六夜咲夜に目を向けていた。
いや、それは違った。確かに姿には見覚えがあるが、それでも明らかに可笑しかった。
この十六夜咲夜は数日前に見た彼女に比べ風貌が違っていた。
簡潔に言うなら大人になっていた。
霧雨魔理沙の側にいても違和感のない少女が八意永琳や紅美鈴のようなスラッとした大人の女性らしい体つきと雰囲気を持ち合わせていた。
一番近いのは八雲藍だろうか。とにかくそんな風格を漂わせていた。
それを見た八雲紫は次の手に移ろうとして___出来なかった。
ゾワッとうなぎを背中に入れられたようなヌメリにピンッと背筋が伸びた。あの感覚だ。葬式のときのようなどんよりとした息苦しい空気。空気が実態を持ったような圧迫感。理由はないがなぜか見られているという不快感。
…これはフランドールの
そこで八雲紫は意識を失った。
✝
「よかったのかい?」
「……………」
それは別に姉達を助けようと思ってやったわけじゃなかった。八雲紫を助けるつもりで私は八雲紫を破壊した。
おそらく私か誰かがあそこで介入しなければ八雲紫は
それはとても困る。別に彼女に思いれなんかはこれっぽっちもないが彼女がいないと、ある程度調和がとれたこの幻想郷にヒビをいれるだろう。
あの場を私が壊すことで姉が意図を汲みとってくれるだろう。忌々しいけどわかってくれるはず。現に八雲紫にあれ以上の危害を加えていない。
…まあ何かしら仕込みそうだがそこは預かり知らぬところ。八雲紫のことだから念に念は施しているだろうから、直に八雲藍辺りが回収に来るだろう。
さて、では後回しにした私にとっての一番の問題_咲夜についてだ。
「…で、咲夜にはどんな誇張をしたのかしらね…終わったと思ったらまた次の問題が出てくる…いやじゃないけど休憩させてほしいわね」
私が弱音に近いことを言うのが意外だったのか彼はポカーンとした表情を向けていた。
「…………なによ」
「いや、意外でね。君なら新たな
……………私を研究者と勘違いしてない?
いや、まあ、紛いなことはやってるけども…う〜ん。他者から見たら"そう"なのかな。
「そういやー話変わるけど、どれ食う?」
そう言って差し出したのは中にチョコ、クリーム、ソーセージの入ったパンがそれぞれ二つずつ乗かっている皿だ。
確か四つだけ残して後で食べるんだっけ。なら…
私と彼が手に取ったのは同じチョコが入ったパンだった。それも同じ奴を手に取ろうとしているのに彼が気付いてもう一つのほうに手を伸ばしていた。
「あ、だよね。チョコ選ぶと思った」
「…まあ私達、意外に付き合い長いものね。お互いの趣向くらいなんとなくわかるものじゃないの?」
「そこら辺はよくわからないな。でもなんか意気投合してるって感じ良くない?ほらこれが家族ならあれだけど俺達は数年の付き合いだから、それでここまで相手のことをわかってるってなんか良くないか?」
語彙力はどうしたんだろうか。
つまりお前なら立ち上がると信じていたぜ!とか次なにをするか長年の経験でわかる夫婦とかそういうのが好きなのかな。
まあ、でもこれが買い物とかで恋人なら確かにいい雰囲気にはなりそうだ。趣味趣向が合う的な感じでより深まる想い…。
「まあ、いいんじゃない?」
このタイミングで言うのは違うと思うけどね。
…………………………。
この空間を瞳で見渡す。
今の所綻びはないがこの場所いつか埋まるのだろう。これはコンタクトレンズと同じだ。変えないと傷んできてより状況を悪化させる。
ここも同じだ。本来なら点検が必要なのにそれが出来ない。悪化させるというのも不味い。それはつまり傷で傷は瞬時に治ってしまう。その度肉に押されこの部屋は圧迫していくだろう。
後何年保つだろうか。後何年彼は人間として活きられるだろうか。
私の後どれくらい…彼の友達でいられるだろうか。
これについては解きたくないな。
そんなことを思ったせいか顔向けできない。
ちょうど、咲夜の登場で感情の放流が霧散した姉の腕が転がっていたのでそれを睥睨する。
その時になったらどうなるのだろうか。
………………久しぶりに
そんなことを美味しそうにパンを味わっている彼の横で真面目に考えていた。
…レミリアの羽が爛れるシーンに納得がぁ…なんかもうちょっと言い方ないかな…?
もう令和ですね。これからも自己満の作品をよろしくお願いします。
咲夜まで回収したら、ネタがもう…旅でもさせようかな。