目色が変わった日   作:カナーさん

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時系列は咲夜編が終わった後を予定中…


番外編①

 _どういうことだこりゃぁ

 

 誰の呟きなのかわからないがそれはこの場、全員の気持ちを代弁していた。

 

 「なあ…ここって」

 

 明らかに動揺して震える声で、彼は絞り出したように呟いた。

 

 …言われなくともわかっている。あなたが見ている視界は私の視界なんだから。

 

 映るのは青々と生い茂り辺りを包み込むように木の葉が広がっている。生い茂り過ぎて太陽の陽気すら入って来ない良い環境だが真夏のような肌に纏わりつくような暑さ。

 

 

 それに…なんというのだろうか、煙たいといえばいいのだろうか…あ、息苦しい?あぁこんな呼吸を苦痛に感じるのが息苦しいっていうのね。

 確か霧雨魔理沙が言っていたわね。胞子が飛びに飛んでいる魔法の森って所に住んでいるって…ここなのかしら。

太陽光が入って来ないくらい生い茂っているくせしてジメジメしているとか。茸と胞子から感じる瘴気も彼女が言っていたのと一致するわね。

 

 ……………えぇと、あれだ。彼が言っていた田舎育ちが都会に来ると空気の汚さに驚くとかなんとか。

 ここもそんな感じでいいの…?表現的に…あ、合ってる?なら良かった。

 

 とりかく、ここはその"魔法の森"ってことでいいだろう。まあ、そのどのあたりなのかわからないけど、私には見渡せる眼を持っているから関係ないわね。

 

 …………………………

 

 ……………………………………………………

 

 …………………………………………………………………

 

 「おい?どうした黙り込んで」

 

 私がフリーズしていたからか彼が声を上げてきた。

 

 「…とりあえずこれ見たことある?」

 

 そうして私が映すのは里の近くの寺。

 

 「…記憶にないな。近くに寺なんてあったか?」

 

 やはり私の記憶違いという訳ではないようだ。私の能力ではそこまでが限界だがそれでも記憶の差が激しい。本とかで読んだ時代錯誤に悩む者はこういう感じだったのだろうか。 

 

 「…スッと現場の把握に勤しむのは流石としか言えないな。…でも俺はアレが気になってしょうがないだが」

 

 「そうね…いや、駄目ね。すぐ移動するわ」

 

 視界の端に見慣れた金髪が険しい顔をして、こちらを目指して飛んでいた。

 

 まあ、鉢会うのは嫌だから逃げるけど。私、苦手なのよ八雲紫。

 

 

 

 

 緑の絨毯のように生い茂った森の上空に静止していた。

 なぜ、わざわざこんな所に宴会を抜け出してまで偵察に来ているかというと、この周辺で結界に異常を探知したからだ。

 あまりに些細で藍に頼もうかと思ったがなぜか嫌な予感が紫を狩り立たせた。

 

 だが実際に反応があった地域に来ても特質するものはなく調べた周ったが結界にも森にも異常は見当たらなかった。

 

 ホッと胸を撫で下ろし、宴会の続きっとスキマを展開して戻ろうとした。

 

 _その刹那

 

 ドゴッ

 

 とまるで左胸に風穴を開けられたような痛みが走った。一瞬だった。地雷を踏んだようなあまりに突然のことだった。

それは錯覚で痛いと感じた瞬間には引いていた。だが引いた痛みに変わり今度はない筈の胸の穴から体をトカゲのように粘液性のナニカが這い纏わり付いてきた。間欠泉のように空けられた穴からねっとりとスライムのような瘴気がゆっくりと雨に濡れていく服のように引っ付き、紫の体を包みこもうとしていた。

 

 フゥーっと紫の背後から意図的に耳に息を吹きかけるような息遣いを感じた。誰かがいる。背後に立っている。誰かに見られている(・・・・・・)

 身体が凍った。喉が引く攣って声が出せない。

 虚像の穴から手を入れられ、ヌチュヌチュと体の中を死体のように冷たい手のような何かが臓器を押し進む。何かを探るように(まさぐ)られ…目的の物が見つかったのか止まり、バッと蛇のように心臓へ飛び掛かった。

ガシッと心臓を鷲掴みにされた。握られているのか形容し難い痛いが胸を焼く。

 声と体と命の自由を奪われた。指先すら凍ったように動かすせず__

 

 

 

 

 私は自身を俯瞰するような形で周りを見渡していた。

 

 

 「…やっぱり見たことない顔ばっかり。この辺はたまに霧雨魔理沙の様子を見るついでだったから注視してないけど…やっぱり変よ。なにかが違う」

 

 「石みたいな色合いの服の子は見たことないし、資料でも見た記憶がないね。別の書物には載っていた可能性はあるけど、少なくとも読んでない知らない子っていうのは確かだね。っと何処に向かっているんだい?」

 

 「博麗神社よ。宴会してるみたいで結構な人数がいるわね。姉とか咲夜がいるし、そっちに向かってる」

 

 ただ…咲夜が若返っている…違うな戻っている。大人っぽい咲夜じゃなくて何時もの咲夜だ。他の人もいるから空気を読んであの姿になっているのかな?

 

 「そういえば太陽光は大丈夫なのか?いつも屋内にいるから気にすることじゃないから忘れてたけど」

 

 「私からしたら死活問題よ。安心して、ちゃんと対策しているから」 

 

 ここに来るのはあまりに唐突でいきなりだった。自室のベットからここに飛ばされたから何一つ持って来れなかった。持ってこれるなら傘がほしいわね。お気に入りの傘。姉とお揃いのやつ。あれがないのは痛いわね。

 

 とそんなことを駄弁っている間に博麗神社上空に来た。少し下では弾幕ごっこが繰り広げられ、それを肴に酒を浴びるように飲んで盛り上がっていた。

 こんな真っ昼間から酒臭くて上空にいる私にもその匂いが届く。

 

 真下でやってる弾幕ごっこを避けながらゆっくりと地上へ下降していく。

 

 「あれ?フラン?来ちゃ駄目って言ったのに来ちゃったの?」

 

 フレンドリーに血のようなワインの入ったグラスを揺らしながら声をかけてくる。私と似た帽子と服を纏い少し酔っているのか、顔を綻ばせて「しょうがないなー」なんて呟いている。

誰かに持ってこさせたのかこの場で浮いている椅子にふんぞり返ってこの場を楽しんでいるようだった。近くに見慣れたメイド服が、日が当たらないように傘を差して佇んでいた。咲夜の従者としての姿勢は姉はあまり褒めないが私は尊敬している。今みたいに場に合わせることも出来るしね。こういう場であの姿だと姉はいい顔しないだろうから今の若いするをとっているのだろう。

 

 「姉…ほろ酔いよね?少し聞きたいことがあるのだけど」

 

 「うーん?」なんて気分がよいのか軽いノリで返事をしてくる。

 

 確定だ。ここは私の知っている幻想郷じゃない。姉の反応で確信した。

 

 …少なくとも私の姉なら例え酔っていても吸血鬼としても風格を漂わせるほど真面目に取り繕うとする。例え酔っていてもだ。泥酔まで行くと流石に無理だと思うがほろ酔い程度なら姉はちゃんと私に目線を合わせ見てくれる。

 

 目の前にいる姉はどうだ、顔こそこちら向けているが目は私を捉えきれていない。私の姉なら意地でも合わせようとする。

 

 「お姉様ー?」

 

 するとひどく聞き馴染みのある声が私に届く。

 ドカドカと不機嫌そうな足音が近付いてくる。

 

 「あ!いた!やっと見つけたよー。もー置いていくなんてひどいよ!」

 

 私は後ろから聞こえる声に顔を向けずに咲夜を見ていた。あの咲夜でもあんな驚いたような顔をするんだ、っと見つめていた。あ、驚き過ぎて傘を落としそうになってる。

 

 「妹様が二人?でも…え?」

 

 …本当に面白いね。キョロキョロと私と後ろの娘に視線を…なんて言うんだっけ…まあいいや、咲夜のあんな表示は珍しいから堪能しとこう。

 

 「もーどうしたの咲夜?私はここだよ?咲夜も酔っちゃたの?」

 

 そう言いながら近付いてくる声。タッタッとそのまま私の横を通り過ぎた。

 

 可愛らしいわね。クマのヌイグルミを持って小さい歩幅で一生懸命駆け寄っていく。子鹿が頑張って親鹿に寄っていく感じかしら。何気ない光景だけど尊いものね。

 

 バリンッ!と甲高い音が嫌に響いた。

 それは姉の足元から鳴り響いた物で姉の持っていたグラスがない。落としてしまったのか。

 全く…ほろ酔いだからっといって注意散漫になっている。ま、大抵は咲夜が気付いて対処するから鈍っていただろうし、しょうがないね。

 

 …と、今気付いた。咲夜もフリーズしているが姉もフリーズしてた。咲夜が面白いものだから気付かなかった。まあ、咲夜は割れた音で我に返ったようだけど、姉は未だに固まったままだ。

 

 そんな二人の様子が可笑しいのに気付いたのかその目線の先を見ようとこちらに顔を向ける。

 

 普通の人なら毎朝洗面所で歯磨きする時にいつも会っているような__とか言えるのだろうか生憎私は吸血鬼。鏡には映らない。でもそうだね…俯瞰して見た時の私と同じ顔が目の前にいた。

 

 「え?」

 

 どうやら向こうも気付いたようだ。…あぁそうか。咲夜が悩んでいた理由がわかった。私は分身は出来るからか。確かにまさか本物のフランドールスカーレットが二人もいるとは思わないだろう。私だと姉が、あっこれは前もした。やめよ。

 

 じゃないと目の前に迫っているフランドールスカーレットに解体されそうだしね。

 

 「……………」

 

 ズドンっと腹に響く音が今度は私の足元から鳴り響いた。

 

 私が迫ってくるフランドールスカーレットを踵落としの要領ではたき落とした。

 

 …モロ頭を捉えたちゃった。

 

 私の足裏から頭蓋骨を踏み抜いた感触が納豆のように粘り付いていた。

 

 あたりにシンッとした空気が流れる。あんなに騒がしかったお祭り騒ぎは強面先生に怒鳴られたように静まり返った。

 

 参ったな。どういう訳か、姉に似た不快感があったせいで姉と同じ対応をしてしまった。

しかも叩き落とすだけのつもりが予想していたよりフランドールスカーレットが脆すぎて完全に破壊してしまった。

 

 そして、ワンチャンもこれで潰れた。もしかしたら性格の違う分身でこの世界はドッキリとかそういう甘い考えは完全に破壊された。

 

 靴にへばり付いた血。これが私の分身なら前までのこんな健康的な血の色をしていない。こんな普通の血の色じゃないんだ私は。

 

 「…なに暗くなってんだ。それは俺のせいだろ?なんでそんなまるで自分のせいみたいに思ってんだよ」

 

 「…ここが私の居た場所じゃないってところに少しね…」

 

 おそらくここのフランドールスカーレットは受け入れられたのだろう。

受け入れて抱き締めてほしくて、受け入れてくれて抱き締められたフランドールスカーレット。それがここでの彼女なんだ。私とは違う。

 

 「そんな平行世界では生きていた家族に会ったみたいな反応するなよ。確かにここは可能性の一端の世界だろうけどそんなのまやかしだろ?なんせ自分達が起こらなかった世界なんだ。いくら別世界でそれが起こっていても此処は俺達が居た世界じゃないだから意味がない。ただ悲しさと虚しさが深まるだけだ」

 

 ……本当に彼の言う通りだ。よくわからないけど悲しみと胸の苦しみがなぜか蠢いている。なんだこれ?

 

 「フラン!?」「妹様!?」

 

 私にとっては永い永い時間だった。けれどこの世界にとってはほんの一瞬の出来事だったのだろう。

私からしたら今更だがフランドールスカーレットに駆け寄っていく。

 

 …というかなかなか再生しないな。まあ、姉が異常なだけでこれぐらいが普通なのかな?姉に慣れちゃってわかんないや。

 

 「妹様に化けた者よ正体を表わせ!」

 

 チラッと声の聞こえた背後に顔を向けた。やっぱり紅美鈴だった。多分フランドールスカーレットの付き添い出来たのだろう。まあ、私のことだから置いて行ったのだろうけど。

 

 「妹様のフォーオブアカインドは性格の違う分身達だけどオリジナルにここまで攻撃的な者はいなかった。

 それに…あなたから発せられる禍々しい気が妹様でないという証明だ。

早くその姿を解けば___」

 

「これが元々の姿なんだけど」

 

 紅美鈴の言葉を遮るように私はそう返答した。

 というかこっちの彼女は分身は個体事で性格が変わるの!?なにそれ面白そうじゃん!

いきなり攻撃するのは不味かったなー。いやでもあっちから仕掛けてきたし、私は悪くないよね。

 

そんなことは置いといて、性格がバラけるのかーつまり明確な意思があるってことか!子供ぽいとか泣き虫とか強情とか。…え?セックスピストルズ?え、なにそれ(ドン引き)。よくわかんないけど性格が違うって興味がある!見たい!

 

 そう決意をしていると私の目の死角から無数のナイフが襲ってきた。とはいえ、生憎今の私は___私達に死角はないんだ。

 

 「頭上と左右の後ろから無数のナイフが飛来中。数は数えるのが馬鹿らしいほど…DIOか?」

 

 最後のはよくわからなかったけどいつもの事だから気にしない!悪いけど、私はパチュリーノーレッジの元で魔法を習った事があるのよ。だからこの程度、苦ですらないわ。

 

 …なるほど。今のは牽制ってわけね。紅美鈴の後ろに

十六夜咲夜(・・・・・)レミリアスカーレット(・・・・・・・・・・)とフランドールスカーレットがいきなり現れた。

 

 時間停止は相変わらず厄介だ。流石に一瞬で解体され尽くされると私もかなり戸惑うし、咲夜のナイフは痛い。

 

 ふん。参ったな。どうしよ。どうしたらいい?

 

 「俺に聞くな。取り敢えず相手落ち着くまでは堪えるしかないだろう」

 

 私好きでもないことを、しかもいつ終わるかわからないこと待つの嫌いなんだけど。

 

 「だいたいの人がそうだから安心しろ」

 

 あ、そう?それはよかったわ。

 あ、これだけは言わないと

 

 「一様言っとくけど襲ってきたのはそっちよ?これは正当防衛だわ」

 

 「黙りなさい。私は私の妹を傷つける奴はどんな奴でも許さないわ。決して。それが霊夢でもね」

 

 …私の姉より常識がないんじゃないかな?

 まあ、話を聞く気がないっていう点はやっぱり私の姉なんだなぁと思うけど。私の姉は聞く気がないように見えるだけなのだけど…こっちは暴走気味ね。

 

 




一日クオリティー。
しかも終わらないっていうね。
そういえば皆さんから見てフランドールは姉のレミリアのことどう思ってるとお考えですか?
姉を毛嫌いしている妹っていう風に思っているならそれは事件があった幻想郷での紅魔館組以外での印象ですね。
この話でもあったように何気姉とお揃いの傘がお気に入りだったり結構姉の事を好きなんです。
姉が妹の事を好き過ぎてウザがってますが。
残念なレミリアって結構好きです作者は。そんでもって時々見せる吸血鬼相応の風格…。好き(直球)


あなたが見ている視界は私の視界なんだから
作者はこれを文章に出力したときグレンラガンを思い出しました。

「」がある場合と無い場合
「」があるのは彼が声を張り上げている時。伝えようとしている時。無いのは独り言くらいの声量。

見に覚えのない寺
永夜抄までで花映塚はまだだったため知るはずがない。

苦手な八雲紫と酷い目にあう八雲紫
藍を置いて一人で来た。それが八雲紫不在の時期を長引く理由となった。

石みたいな色合いの服
永夜抄の時期にいたの…?今作ではいるということで。見たことないだけだった。

姉の反応で異世界と決めつける
信頼ともいえる。いや実績か?対応だけ見たら普通にいい姉だった。でもウザい。

クマのヌイグルミ
これは趣味が同じという象徴で出した。

迫るフランドールスカーレット
必然だった。大統領は関係ない。

頭蓋骨を踏み抜く
作者は球磨川先輩と蛾々丸のシーンを思い出した。

納豆のように
吸血鬼からすれぱ嫌な物という象徴で登場。いかに嫌だったかの表現。出来てないけど。

普通の血の色
お前の血の色は何色だ?

分身に個性があることに興味を示す
紅美鈴の言葉はほとんど届いていない。だって本物だし。
ちなみにセックスピストルズは知らない。だがセクハラかそれに通ずるなにかだと思った。

無数のナイフ
やはりネタは通じなかった。
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