遅くなって、申し訳ないです。
今回にて序章はおしまい。まぁ、最後に衝撃的な事実が判明します……兎詐偽様には許可を貰っています。
それでは、どうぞ!
エピローグ、もとい後日談。
ガザン率いる盗賊団をに村のハズレにある牢屋に拘束されていた村人達が村に帰ってき、協力して全員を捕縛して魔術師ギルドに報告した。距離もあって数日かかるらしく、その間に壊れた村の修繕や復興を行った。慣れない手つきで修理を手伝うマリアナ達を村人達は嫌な顔一つせずに受け入れてくれた。
件の記憶喪失の青年――ナナシはいつの間にかいなくなってた。元々は身元不明の旅人で禁止区域とされる“聖域”を横断等の罪により指名手配されてる『
そして、魔術師ギルドがガザン達を連行し、マリアナ達が村を去る時が来た。
「此度はありがとうございます」
「いえ、気にしないでください」
村長のお礼にマリアナ達は控えめに返事する。村の壊れた所も無事に直り、訪れた時と同じ風景である。
「結局、俺達は村の修繕を手伝っただけで目的の討伐は殆どアイツが全部やっちまったからな」
「その本人もいつの間にか消えてるし、どこに行ったのかしらね」
件の記憶喪失の青年がいない事を呟くと小さな少年少女が手に花束を持って、ジャックの所へ駆け寄ってきた。
「ねぇ、おにぃちゃん」
「どうしたの?」
「これ!」
少年少女から渡されたのは白、黄色、桃色など色とりどりの綺麗なたくさんの花だった。
「おにぃちゃん達、わたし達を助ける為に来てくれたお礼!」
「ぼくも、大きくなったらおにぃちゃん達みたいな魔術師になるよ!」
「わたしが先よ!」
「ぼくだって!」
お礼と共に見る者が微笑ましくなるケンカを始める二人にジャックは花束を受けとり、二人の頭を優しく撫でた。
「ありがとう」
その感触がくすぐったいのか、それとも照れてるのか恥ずかしそうな表情になってもその手を振りほどこうとは決してしなかった。
村人達の別れを背にマリアナ達は自分達の居場所である学園へと帰っていった。
「二本、余分に多いな」
「どう考えてもアイツの分だよな」
道中、花束の花を数えると二十本あることに気付き、不意に自分達と共に戦ったナナシが頭に思い浮かんだ。
「……今思うと台風みたいに騒がしいヤツだったね」
「そうかしら? 私は心強い味方と思ったわ」
「マリアナさん!?」
「まぁなんにせよ。俺達が任務をこなしていけば会えるだろう。これは会った時に渡すとするか」
各々の感想を言うなか、ジャックは自身の胸に謎の痛みを感じた。傷がまだ癒えてないと判断したジャックは後でマリアナに言おうと考え、思考を止めた。
「……ん?」
「どうしたの?」
森を抜ける手前でオリバーが何かを見つけた。目を凝らして見つめると、それは手に何かを持った人影に見える。
「誰かいるぞ」
その言葉に全員は警戒しながら、進む。
「まさか、盗賊の残党?」
「……にしては……なんか友好的だな」
近付くにつれて人影は手を振る動作を行う。まるで知り合いを見かけたような動きに注意しながらマリアナ達は近付く、距離が近くなっていくにつれ、人影の正体が判明していく。
その正体は女性のような長い金髪に三本のアホ毛が目立つ青年――ナナシだった。
「「ナナシィ!?」」
まさかの人物に驚く四人。四人の反応を尻目にナナシは飼い主の帰りを待っていた犬よろしく、人懐こい笑顔で話しかけてきた。
「よかったぁ。見たことある四人組だと思ったんだ」
「なんでお前がここにいるんだよ! ここにずっと待ってたのか」
ナナシの言葉から我に帰ったオリバーが質問する。するとナナシはどこか悲しそうに話始めた。
「村人達には悪いけどオレがこのままいたら、前に反復横跳びした時に追ってきたヤツらとバッタリ会って問題が起こりそうだったから、一足先に村を出たのは良かったんだけど道に迷って……森を抜け出たけど今度は目的地の方角がわかんなくて、誰か来るまで待ってたんだ」
「……ちなみに、誰も来なかったら?」
「勘で突き進む!」
まさかの方向音痴に思わず頭を抱えたり苦笑したり、信じられないモノを見るかのような反応を見せる四人。そんな四人にナナシは続けて話始める。
「でも良かった。目的地が同じヤツが来てくれて」
「まさかと思うが、お前の目的地って……」
「ギルドリア王国って所だけど?」
自分達の居場所である方向と同じことにジャックとオリバーは眉間の皺を深くし、マリアナはおもしろいモノを見たかのように微笑み、メイナードは何かを考える仕草を見せた。
「……」
「嫌な顔しないでくれよ。目的地まで乗り物になって運ぶからさ。頼む!」
「それで手を打とう」
「メイナード!?」
まさかの了承にオリバーとジャックがメイナードにくってかかる。ナナシはホッとしたのか嬉しさで赤黒いスライムになって、プルプルと震えていた。
「お前マジで言ってるのか? アイツを連れて行くって?」
「学園長に詳しく報告するんだ。そうなるとアイツの存在に遅かれ早かれ気付かれ、接触を考える……ならば彼を学園に誘って保護し、問題を未然に防ぐ為の術などを教えれば良い」
「それもあるが……」
一理ある言葉に勢いを弱くするオリバー、ジャックはスライムとなってプルプルとゼリーのように震えているナナシを睨み付けるように見つめる。
「ん? どうした?」
「とりあえず人型に戻れ」
視線に気付いたナナシにジャックは人型に戻るよう指示する。人型に戻ったナナシにジャックは間髪入れず、二本の花をナナシに押し付けた。
「これは?」
「村の子供達からのお礼」
ジャックの言葉にナナシは受け取った二本の花とジャックを交互に見る。その様子を黙って見守る四人にナナシは朗らかな笑みを浮かべ、ジャックに礼を言った。
「ありがとうな。お前って意外に優しいんだなジャック」
「な!?」
不意打ちとも言える言葉に驚き、その勢いでナナシの頭を強く叩いたジャック。ナナシの言葉に呆然とするオリバーとメイナード、ジャックの反応にマリアナは微笑んだ。
「そんなわけないだろ!」
頭を擦るナナシにジャックは一蹴する。本当ならば、花なんて渡さなくても良いのに渡したジャックの本心は四人にもわからない。
「まったく、突拍子もなく変な事を言わないで欲しいよ」
「いきなり叩くなよ! 痛て、強く叩きやがって……」
「……なに?」
呆れるような雰囲気で終わろうとした矢先に、メイナードはナナシの言葉に見過ごせない事を耳にした。
「
「そのハズだけど……叩かれる瞬間にスライム化したら強制的に解除されたんだ」
メイナードの質問にナナシは答える。叩かれた痛みは収まっていないのか、頭を撫で続けている。
「……」
「……」
「……」
「……え……?」
まるで、衝撃的な言葉を聞いてしまったかのように周りの空気が凍り付いた。四人の反応にナナシは疑問符を浮かべるだけだった。
「どうした?」
「ひ、一つ聞くが、何か身体に変わった事はあるか?」
震える声で質問するメイナードにナナシはしばらく考え、心当たりのある事を思い出した。
「変わった事……あ、そういや村を出てから左肩が変な感じするな」
「ちょっと見るぞ」
そう言ってメイナードとオリバーはナナシの左肩を探る。手に取った服は液体化せずにしっかりと持てる事に興味をひかれるメイナードだが、それは置いとき、一番調べなければいけない事を調べる。細い肉体の左肩には複雑な紋章が刻まれていた。
「……やはり……」
「おい、どうしたんだよ一体?」
「マリアナさん、ジャックを確認してくれ」
「ラックトゥーナくん。背中借りるわね」
予想通りに見たことのある紋章に驚嘆の声をあげるメイナード。わからずに混乱するナナシを尻目にマリアナに指示するオリバー。
マリアナはジャックの背に手を当て、魔力をジャック背中から身体全体に広げる。しばらくして、ジャックの背中から手を離したマリアナは沈痛な表情でメイナードとオリバーに伝える。
「……右肩にあるわ」
「……マジかよ……」
「なぁ、一体なんなんだよ?」
「……聞けばわかるよ」
さっぱりわからないナナシに意気消沈な様子のジャック。メイナードは意を決して二人に伝え始める。
「ジャック、ナナシ、落ち着いて聞いてくれ……お前達は――」
「――主人と奴隷の関係を結んでいる」
沈黙。メイナードの口から放たれた言葉に(スライムなのに)硬直するナナシ。しばらくして、彼の口が動き始めた。
「……え……えぇぇえぇえぇぇぇぇ!?」
響き渡る大声は青く広がる大空に吸い込まれ、消えていった。彼がどうなるかは、ここにいる四人にも、遠くにいる人々にも知らない。
次回から第一章の開幕でございます。
とりあえず生徒や先生をできるだけ多く出したいと考えています。
一話二話使って世界観とかの説明をいれてから、ギルドリア王国の学園に入る事を目標にしています。