大魯帝国、宣戦布告する
「大統領!大魯帝国のものと思われる採掘船が我が領域に無断で侵入しました! 」
ここはバース星団連邦国首都惑星大統領府。バース星団連邦国は我がシェーンベルグ朝銀河帝国の盟友たる国家である。
バース星団連邦は自由主義、民主主義を重んじる国家で、26もの星団など多数の恒星を保有し、バース星域の5分の1を制圧している。
長らく平和であったが、この頃遠方の星では度々大魯帝国の採掘船など民間船に領域を侵されていた。そのため、主星のバース星には毎日軍人やらなんやらが駆け込んで来るのだ。
「またか、外務省に遺憾の意をプレゼントしてやるように伝えておけ」
大統領ベルナールは鬱陶しそうに言う。それも仕方ない。外務省に対応らしい対応をするように要請しても腰抜けだらけでなにもしないのだ。
「大統領!そんな生易しいものではありません!採掘船に混じって魯国の駆逐艦がレーダーに映ったと報告が来ています!」
駆逐艦と聞いた瞬間に大統領は背筋を凍らせた。なぜなら魯国の軍艦は自国を圧倒するからである。駆逐艦であっても油断はできないのだ。軍艦が来たとなるともはや遺憾の意ではすませられないだろう。
「緊急会議を開かせよ。議員を呼び寄せるんだ」
「かしこまりました」
大統領は今の状況に絶望したのか、手や足を異常に震わせていた。
彼にとっては、ほんの数分が何時間にもかんじられる。早く始まれ、早く始まれ、彼はそう念じていた。
「大統領!大変です! アッバス星団独立自治軍が魯国艦艇に攻撃を加えました! 敵の採掘船や漁船を多数撃沈したと……今、領域から撤退しつつあった魯国駆逐艦隊に攻撃、戦闘状態にある……と」
大統領からの返答はなかった。彼には怒りも悲しみもする余裕もなく失神したのだ。
このことは大魯帝国にも諸侯国を通して伝えられた。
「総統、大燕王国より報告が入りました。バース連邦の領域を犯した民間船が無警告で撃沈された模様です。また、大燕王国海軍は懲罰艦隊の派遣を望んでいるようですが、その為には宣戦布告の必要があるため総統からの許可を頂きたいとのことです」
「無警告での撃沈は国際法違反だ。だが、一応彼の国にもチャンスを与えねば……またうるさい列強国が出てくるしな。撃沈された艦船、遺族への賠償金として……5京パーツを求めたら丁度いいだろう」
僅かな周囲の者はその言葉に驚いた。
帝国の戦略は彼の国に宣戦布告することで極東星間国家群を釣り上げるというものである。外交上は敗北だが、そもそもこちらに全く関わろうとしなくなった極東部を制圧するにはそれしかなかった。そもそも銀河で一番働いていない省庁とまで言われる大魯帝国外務省に何が出来るというのだ。折角、最高の餌を手に入れたのに、それを逃してやるとは何と愚かな決断だろうか。
だが、周囲の列強国は一部を除いてハイエナ同然。相手が弱小国だからと言って下手にいきなり宣戦布告などをしていれば立場が悪くなるだろう。こんなことをする理由には我が国の外務省では信用を取り戻すなど水から石油を作るぐらい難しいことも大きいだろう。それを考えれば強ち悪いとは言えない。
「その事につきましては然るべき機関で討議してから……」
「いや、その必要はない。下手に変更されては困るからな」
「了解しました。では陛下に報告を」
「君から頼む。私が行く程の価値はない」
「え、は、はい……」
その日のうちにこの要求はバース連邦政府に通達された。だが、国家予算が何セットも出来る程の金額の要求、吞めるわけがない。
「大魯帝国からの要求を拒絶する」
バース連邦の外務省はこう回答した。それはすぐに大魯帝国総統府に伝えられた。
「総統閣下!バース連邦政府は要求を拒絶しました!」
「まあ、そうだろうな。フフフ……抜け道はあったのだが、金額に圧倒されて気がつかなかったか。奴らの外交力の底が知れるな」
「閣下、どうします?」
「決まっているだろう。だが、もう一度チャンスを与えよう。最後通牒として、先程の金額の賠償、我が国の民間船など艦艇への一切の攻撃の中止、無警告攻撃に関する責任者の引き渡しを要求しよう」
「かしこまりました」
バース連邦政府外務大臣は最後通牒と聞いて卒倒、結局、金額が無理だということで再度拒否、同時に大魯帝国の諸侯国大燕王国の国境に位置するアッバス星団に警戒を命じた。
「閣下、連邦政府は要求を拒否しました!」
「そうか。仕方あるまい。この度の無警告での艦船撃沈は極めて卑怯で悪辣な許されざる行為である。よって我が国はバース星団連邦に宣戦を布告する」
宣戦布告文を伝えるとすぐに大魯帝国は大使を召還した。
ほぼ同時に追われっぱなしであった、士官候補生の練習艦艇という名目で航行中の超老朽駆逐艦16隻が反転し、散開しつつ追撃していた戦艦1隻、重巡洋艦2隻、駆逐艦四隻で構成されるアッバス星団国境警備艦隊に砲火を浴びせた。
どうもこんにちは、伊168です。早速、無能プレイのオンパレードとなりました。スムーズに終わらせるために現実的ではなくなっていたかもしれません。
今後は気分で後書きを書いたり書かなかったりすると思います。