“なぜか”突然、デモ隊が暴動を起こしたためバルサ大将は襲われ、軍法会議は先送りとなった。そのため予定を繰り上げて予算会議が行われることになった。統合参謀長フォンテーヌが進行を星団艦隊司令長官ヴァンサン、空軍最高司令官ミュレー、陸軍最高司令官グーチィなどが参加した。突然の繰り上げだったが遅刻するものもおらず会議は予定時間より余裕をもって始めることができた。
「これより統合予算会議を始める。まず、海軍から意見を提出せよ」
ヴァンサン大将は用意された資料の中でも一際分厚いものを持って自信満々に話し始めた。
「まず、そちらの資料に目を通されたい。この前の敵艦隊16隻との戦闘の際の各艦種での損害とこちらの与えた損害ですが、敵駆逐艦の装甲は我が駆逐艦の7サンチレールガンを全く寄せ付けず、巡洋艦の8又は15サンチレールガンで工作艦を撃沈、数十発で駆逐艦を撃破できる程度。戦艦や巡洋戦艦の20或いは23サンチ砲だと数発で大打撃を与えることができます。ミサイルに関しては当たれば大破させることができますが敵のレーザー照射の精度は高く費用対効果は最悪です」
室内は静まり返った。ただ水を飲む音だけが聞こえるのみだった。資料を読み進めて行けば行くほど水の量が減って行く。特に陸軍側は顕著だった。
「しかし通常の戦艦は燃費が悪く、足手まといになります。しかし駆逐艦以下の艦船はそもそも戦力になりません。よってここは巡洋艦、巡洋戦艦に予算を集中すべきです。よって戦艦の開発・造船予算250兆パーツ全てと駆逐艦の予算の内50兆パーツ、合わせて300兆パーツをそれぞれに半分づつ配分し陸軍の戦車開発予算のうち50兆パーツを電探開発にミサイル予算のうち100兆パーツを衛星砲と小型加速器の開発予算に回し、陸軍の破壊光線開発を停止し空軍にその予算を回すべきです」
彼が座るとまだ尻の青い空軍最高司令官ミュレーは微笑んで彼にサムズアップをし、逆に陸軍最高司令官は眉を釣り上げた。
「では、異論のある者は挙手せよ」
参謀長はやや溜息交じりに言った。瞬きする間も立たないうちにグーチィは手を挙げた。これにミュレーは脊髄反射的に反応するな老いぼれというような目を向け、グーチィもこの最高司令官の若さを嘲笑うような目で返した。
これまでの僅かなやりとりだけで軍内での対立の酷さを物語るには充分すぎるものだったであろう。
一隻の傷ついた駆逐艦が一等惑星穎陵の宇宙港に着いた。中から慌ただしく軍服を着た男が走り出る。大きな口、角ばった輪郭、鋭い目付き……そう、本来は大燕王国
「副総統閣下自らお越しになるとは……」
副総統ともあれば権威は皇族を除けば帝国第2位である。それが七大諸侯国で最も田舎である大燕王国に足を運ぶなど本来はない。それが張の報告を待ちわびているという。そこまで重視されては、少しでも曖昧だったり間違った報告はできない。張は先ほどまでも経験を忘れまいと必死で暗唱した。
もうすぐ多数対多数の戦いになります!