特に報告することはないので、本文を見てください。
では、どうぞ。
「.....う...お、おい。星宮?あおい?紫吹?大丈夫か..?」
いま、何がどうなっているのか、さっぱり分からない。
荷物やら何やらが、色々と落ちてきたせいで、体も起こせない。
「だ、大丈夫だよハチ君...」
「こっちも大丈夫、ハチマンは?」
「俺も、大丈夫だーー....あ?なんだこれ」
無事を確認している際に、俺の手に何やら柔らかいような固いような、何やらよく分からない物の感触がする。
「この部屋にこんな物あったかーー」
「ひゃあ?!」
突然。驚いたような声がした。発生源はおそらく、紫吹だ。
「紫吹、か?大丈夫か?」
「い、いや、何かが私のーーんっ?!」
「お、おい?!本当に大丈夫か?」
おかしい。今回は俺も何かよく分からないものを触ったら、何もしない方がいいということをふまえて、何もしなかったのに。
何故だ?
「だ、誰だ!!私の、わたーーあひゃ?!」
....何故だろう。卑猥にも聞こえるけど、何か「美しき刃」やらと呼ばれている奴が、こんな風な声を出すと...何だか変な気分になる。
「ほ、本当に誰なんだ...!や、止めーーあん?!」
「も、もう止めてくれ!いちごか?!あおいか?!それともお前か?!誰でもいーーうにゃあ?!」
「....わ、私が何をしたっていーーひゃあ?!そ、そこは本当にーーはんっ?!」
いや本当にマズイから。もう一人の八幡が目覚めちゃうから。
「とりあえず、出れるやついるか?!」
「わ、私出れそう。いちごは?」
「...ん..。私は、ちょっと無理そう、かな.. ?」
「分かった。じゃあ、私から...。ーーよいっ、しょ!!」
声だしと共に、あおいが勢いよく出ていく。そしてそのまま星宮を助けにいく。
「....お、収まった....のか?よ、よかーーうぁ?!」
あおいが出たのにも、関わらず、相変わらず紫吹は嬌声を出し続けている。
ということは、あおいではない、のか。
「いちご?出すよ?」
「...あ....。う、うん。いいよ。引っ張って」
あおいが星宮の手を持って力強く引っ張る。すると、少し手こずりながらも、星宮が出てくる。
「よいしょ、っと。ありがと、あおい」
「こ、これで残るはお前だけだ!これでもおこーーあん?!...お、お前か?!」
「いや違うっての...!星宮とあおい。俺も出してくれ」
二人にそう言うと、両手を引っ張り、俺を上げる。
「.....と」
「ほ、ほらっ!お前が出た瞬間に収まっーーやぁ?!...な、何で..?」
やはり。というか、大方分かっていた。
「紫吹。おそらく、お前がさっきから苦しめられているのは...人ではなく、ただの物だぞ」
紫吹なそれを聞いて、出れるようになった体を、スーッと抜いていく。
そこには、やはりというべきか。紫吹の周りにだけ小物等が、置いてあった。
気付けなかったのは、錯乱状態にあったからだろう。少しでも落ち着いていれば、すぐに気付けただろうことだ。
「.......」
紫吹はそのまま無言状態のまま、枕を掴んだと思うと...
「ーーー!!!!」
投げる、ではなく、ベッドに飛び込んで、顔を埋める。
「.....とりあえず、落ち着くまでまつか」
『うん』
満場一致で、待機することに決定した。
・・・しばらくして
「...すまない......」
落ち着いたのか。紫吹は枕から顔を起こし、今度は抱き枕としながら、こちらに謝罪する。
「...いや。俺は大丈夫だ」
何とも言えないような顔をして、ペコリと頭を垂れて、もう一度言葉には出さずに謝罪する。
「..私も、急に押し掛けてごめん」
「...それはーー、別にどうでもよくはないが、大丈夫だ」
「私はーー....いちごを止められなくて、ごめん?」
「ちょ、ちょっとあおいー!そんな言い方ないよー!」
「ーー....ふふっ」
『...?』
星宮とあおいは紫吹が笑ったことで、ハテナを浮かべながら二人で見合わす。そして、もう一度ハテナを浮かべて頭を傾ける。
「いや、何でもない。仲が良いんだな...」
「うん!あおいとは幼馴染だよ!あと、ハチ君も!」
「そうか。.....ウラヤマシイナ」
「?何か言った?」
「いや、何でもないよ」
最後にボソッと呟いたが、何を言ったのかわからなかった。
そして、星宮に話した後。俺の方を向く。
「すまなかった。疑ったり、犯罪者を見るような目で見たりして」
「....え、なに。俺のこと犯罪者だと思っていたの?」
「だから悪かった。....それで、今さらなんだが、お前の名前を聞いてもいいか?」
「あ、あぁ、そういえばそうか。...俺は比企谷八幡だ」
「あたしは紫吹蘭...って、あたしの名前はいちご達とのやり取りで言ってたな...。まぁいいか」
....ほっ....良かった。何とかなった。もうダメかと思った。警察行きも覚悟していたから、尚更良かった。
だから今しかない...!
「.....で、だ。紫吹はここをーー」
「蘭でいい」
「は?」
「だから、蘭でいい」
「な、何で...?」
「いちごとあおいが名前で呼ぶんだ。もう一人ぐらい増えたって別にいい」
そう言い、頬を心なし赤くしながら、名前呼びを許可する紫吹。
「そ、そうか。...りゃ、りゃん?!」
「...ふっ.....はははっ!」
「....笑うな」
「りゃんって何だ、りゃんって。緊張し過ぎだ」
「...うるせぇ、こちとら、万年ボッチなんだよ」
何で噛んじゃうかな...と思いながら溜め息を吐くと、紫吹が、俺との顔の距離を十センチしかないほど、近付いてくる。
「ーー慣れてからでいいよ、八幡」
「ーー!!」
ゾクゾクゾクと背筋になにかが走る。
顔が近いと言ったが、気付かない内に自分の口元を耳元に近付けて、囁くように話し、フ~ッと息をかける。
耳が弱いのでこれはかなり破壊力がある。
「.....からかうなら、止めろ。本気になるぞ....」
「ふふっ。八幡は耳が弱いんだな。何か得した気分だ」
「だから、そういうのは止めーー!」
紫吹と話していたとき、後ろから何やら殺意を感じた。
恐る恐る見てみると...
「...何だよ」
「...ハチ君の鈍感」
「...バカ、ボケナス、八幡」
「いや、八幡は悪口じゃないんだけど...」
二人の機嫌が最高潮に悪い。反対に紫吹蘭の機嫌が最高潮とは言わないが、そこそこ良い。
「...で?八幡は私のことを蘭と読んでくれないのか?」
「.....蘭」
「......あ、あぁ..」
おそらく、紫吹は蘭とすぐには呼ばれないだろうと思っていたのだろう。というかもうすぐに話を終わらせて、星宮とあおいの機嫌を直さないと、ヤバい。主に俺の生命が。
「話を戻すぞ。...それで、蘭はここに俺が住むことを許可してくれるのか」
「...あぁ、何だ。...それなら今更だ。別にあたしがあーだこーだ言っても無駄だろ?....それに、他の奴ならまだしも....別にお前なら良い」
「お、おう。ありがとな...」
「....ハチ君のたらし..!」
「ハチマンの馬鹿...!」
二人は不機嫌のままだが、とりあえずはまぁ...良かったのか。
「八幡、これからよろしくな」
「ハチ君、たまには私たちの部屋に来てね」
「ハチマン、絶対に問題とか起こさないでね」
...良かった、のか?
ーーそういえば、俺が触っていたものは、何だったのだろうか。
どうでしたか?面白かったら、幸いです。
では、また。