少々、遅くなってしまいました。
面白いかどうかは、分かりかねますが、よかったら、時間があったら、見てみてください。
では、どうぞ。
これでも、かなりの回数耐えてきたと思う。
筆跡に残していないところでも、かなり耐えてきた。(メタイとか、言わないで)
星宮やらおとめやら、たまにあおいやら蘭やら。そして、最近は神崎さんも。
ベタベタベタベタと、やたらスキンシップが、というかあれは最早スキンシップというのだろうか。
俺はごく普通の一般的な男子だ。
それに、思春期真っ只中の中学生。あんな風に何度も何度も何度も何度も、されると流石に限界だってくる。
なのに、あいつらときたら、言っているのにも関わらず、止めずに、むしろ最近はさらに激しくなっていった。
だからなのだろう。
深夜という人間の精神的にも、不安定になる時間帯で。
さらに、学生寮という実質女子寮に住んでいることもあって。
俺の中にあるリミッターが、ついに崩れたのだ。
「...........」
「.................は、はちま..... 」
「ハチく............」
二人を押し倒した形で、俺は固まっていた。一切そこから動くことなく、かろうじて。ほんの少しだけ、残っていた理性で押さえつけているおかげだろう。
というか、未だに理性が残っているこの奇跡に驚く。
が、それも一時、猶予を少し作るだけ。このまま、何事もなく、時間が過ぎれば、俺はおそらく二人を...。
そんな事になったら、取り返しがつかない。多方面からバッシングを受け、俺はもちろんのこと、二人まで被害がいってしまう。
二人のうち、どちらかでもいい、俺を殴るか、蹴るかしてくれれば痛みで、俺も正気に戻るはずだ。
だが、それも望み薄だ。二人は完全に萎縮してしまっていて、声も出せなくなっている。
本当にそろそろまずい.....!!
頭の中が、オーバーヒートするような感覚が襲い始める。考えがまとまらなくなる。思考が回らない。体が自分のもので無くなっていくように感じる。
いよいよダメかと思った、その時
「ーー美月、明日のスケジュールに、変更があったから...!!」
そこに現れたのは、声から察するに月影さんだろう。聞くだけの情報だと、マネージャーとしての仕事を果たしにきただけらしい。
その声に何か、反応をする前に、腹部に痛みを感じたと同時に壁へと吹き飛ばされた。
まったく容赦はなく、当たりどころが悪かったら、死ぬんじゃないかと思うほどの痛み。骨も折れたのではないだろうか。
だが、助かった。
「はーー.... 」
声を出すことは出来なかったし、痛すぎて出す気にもなれなかったが、どうやら二人から離れることには成功したらしい。
月影さん...ありがとうございます..。
俺がそうしている間に、月影さんは、二人に駆け寄って、青ざめた表情で声をかけた。
「二人とも大丈夫!!」
「ーーほのか、さん...?」
「月影さん.........」
俺が聞き取れたのは、最初のこれだけ。その後は、遅れてやってきた本格的な痛みに襲われ、悶えていたので、聞こえなかった。
五分ほど痛みに悶えていると、何やら喧騒の音が聞こえ始め、なんと言っているかまでは、分からなかったが、月影さんと二人が喧嘩をしているように聞こえた。
ぐぐぐ....と体をなんとか動かして、そちらの方を向こうとすると、ぼやける視界の中、月影さんがこちらに近付いてくる。
俺の前でしゃがむと、何やら腹部あたりを優しく触り始める。一瞬、トドメをさされるのかと思ったが、違く、ケガをしたところを確認しているっぽい。
「......ちょっと、待ってなさい」
二人の前を通りすぎて、どこかへ行くと、そこまで時間はかからずに、箱を持って戻ってきた。
「.........」
腹部をピトピトと、何歳かは分からないが、柔らかいその手で何かを確認した後、箱から包帯を取り出す。
「........ごめんなさい」
手は止めず、包帯を巻きながら、そう謝ってきた。
その顔は、いつものポーカーフェイスを無くした、先のような青ざめた顔をしていた。
「......い、え...むしろ、止めてくれて、ありが、とうございます.....」
「..............ごめんなさい」
ぐるぐるとしばらく巻くと、今度は後ろにいた二人がこちらに近付いてきた。
「...........八幡君、その.....ごめんなさい」
「...........ハチ君......ごめんな、さい.......」
腰を曲げて謝るその姿に、俺はすぐさま、別にいい、と言おうとしたが、咄嗟に動いたため、腹部に痛みが走る。
「ーーぐ.....」
「.....移動しましょう」
肩を貸してもらいながら、なんとか立ちあがり、俺はソファに連れてかれ、寝そべさせられる。
どんな素材で出来ているのかは、分からないが、明らかに高そうだった。理由は簡単。俺が寝そべった瞬間に、体がどこまで沈むのかという勢いで、その柔らかい体を俺の形に変化させたからだ。
そんな柔らかいソファに寝そべる俺を、三人の女性が異様な空気で見続ける。
「..........その、私の勘違いで、いきなり蹴るだなんて.....」
「ううん。ほのかさんは悪くない。私が、八幡君をからかいすぎたせいで.....」
「い、いえ、お二人のせいじゃ、ないです。私がハチ君とずっと一緒にいたのにも関わらず.....」
それぞれがそれぞれを庇いながら、ひたすらに謝り続ける。その光景は端からみれば、大分異質だ。
ちょっと長く話すから、深呼吸をして....。
「....月影さん」
「ーーっ」
呼び掛けると、一瞬ビクッと体を震わせる。怒鳴られると思ったのだろう。怒られると、そう思ったのだろう。
「その、気にしないで下さい」
「...........え...?」
「神崎さんと星宮を、理由が理由とはいえ、襲っていたんです。それを知らなかった月影さんなら、尚更、それこそ蹴り飛ばしてでも止めるのは、仕方がなかったんです」
月影さんはマネージャーだ。神崎さんの未来を背負っていると言っても、過言ではない。
いつから一緒なのかは、俺には分からない。それでも、神崎さんのマネージャーを一日だけやらしてもらった時に、なんとなくだがこの二人は、信頼という強固な絆で結ばれていると。
なんともくさいセリフで、いつもの俺だったら絶対に言わないだろう。だが、これを言わないと、月影さんは罪悪感に苛まれてしまう。
「...でも」
「大丈夫です。もし、それでも何か言うのであれば...」
「わ、私に出来ることなら何でも、や、やるわ...」
月影さん。いくら年下とはいえ、それはダメです。思春期真っ只中の男の子にそんな事を言ったら、何をされるか分かりませんよ。
「そこまで、気負わないで下さい。そうですね.......今度、神崎さんの話を聞かせてください」
「.....................え?」
大分間があった後に、月影さんは呆気を取られたように、ポカーンとした顔をする。
「あぁ、いえ。プライベートの事を隅々まで、とかそういうのではなくてですね。俺、神崎さんのファンなんです」
「あ、ありがとう.......」
後ろで神崎さんが顔を赤らめて、照れたように顔を隠す。......やばい、癒される。
じゃ、なくて。
二人には聞こえないように、月影さんの耳元まで移動....しようと思ったが、出来なかったので、少し近づいてくださいと、小声でいう。
「.....?」
ハテナを浮かべながらも、言われた通り近づいてくる月影さん。
「ーーお互い、神崎さんのファン同士、話し合いませんか?」
「ーーっ!」
ビクッと一瞬その場で、魚のように跳ね、俺の顔を何度も、ジロジロと見てくる。
あれ、違ったか。
「もしかして、勘違いでしたか?」
「..........そうよ」
後ろの二人には、主に神崎さんにバレないように、ボソッと呟き、こちらも顔を赤らめる月影さん。
........ぅあ...やばい、意識が....。
「じゃ、あ....そういう...こと、で.....すいません、少し、寝ます.....」
「本当にごめんなさい。....それと、お休みなさい」
薄れ行く意識のなかで、月影さんが微笑んだように見えたのは.....気のせいだろうか。
それを確認すると、俺は意識を失った。
どうでしたか?面白かったら、幸いです。
では、また。