久々なので、八幡が崩れてるかもしれませんが、勘弁してくらあさい。
では、どうぞ。
目をゆっくりと開く。
窓から光が部屋に入り、電気が消えた室内を明るく照らす。
まだぼんやりとしか見えず、目が慣れるまでもう少しかかりそうだ。
そんなとき、ふと一番最初に考えるべきであろうことをいまさら思い付く。ここは、どこなのだろうかと。
順当に考えれば、美月パレスなのだが、そもそも男がそ
こに入ること事態が異質なのだから、学生寮に移動されている可能性もある。
...よし、徐々に慣れてきた。
ぼやけていた光景が、少しずつ明確に写し出されていく。眼鏡をかけているやつはこんな感じなんだろうかと、不意に考え付く。
眼前に広がるは、天井。自分の体を包んでいるのは、布と柔らかいナニか。.....ナニか?
「.....んぁ..八幡...君.......」
幸い。体は触っていなかった。
安心するべきか、残念だと思うべきかは定かではないが、少なくとも捕まる率は減った。
え?そもそもこの場所にいる時点で捕まる?そんなのもとから重々承知している。
艶かしい声をあげ、俺が寝ているベッドに、何故か一緒になって寝ている人物...。神崎さんの姿が、捉えられた。
完全に力を抜いて、油断している。普通はだらしなくなってしまうものだが、流石トップアイドルというべきか。寝顔も綺麗..というよりかは可愛い」
「ぅぇ.....!!」
「...ん?」
なんか神崎さんから、声が微かに聞こえたような。
寝言か?それとも、起きてましたドッキリか?
....いや、なんて悠長に構えている暇じゃない。よくよく考えなくとも、いま俺が置かれている状況は不味い。
ベッドに二人。一人は俺。一人はトップアイドルの神崎美月。周りに人はいない。完全に二人きり。
..これ、ファンに見つかったら死ぬのでは?俺も一ファンだからそう思うけど。
とにかく。
一刻も早く。迅速的に。この場所から離脱しなければ、俺は明日この世にいないかもしれない。それだけはなんとしてでも避けなければ。
「...いま何時だ?」
時計が見当たらない。ここは恐らく美月巴パレスの中。スマホは学生寮だから、確認もできない。
時間が分からないのは中々に不安だったりする。朝目が覚めたとき、なんとなく時間を確認してしまうのもそのためだろう。
ぐっすり寝てしまっている神崎さん。俺が起きたことにも気づかず、一切動かず、寝息だけをたてる。
というか、起きなくてもいいのだろうか。神崎さんは何度も言うが、トップアイドルであり、その仕事は一日...いや、半日マネージャーをしてさらに理解したが、かなり多忙だ。
そんななか、隣で寝ているのはどこからどう見ても神崎さんなのだが....大丈夫だろうか。
「....自分の心配だよな..一先ず」
神崎さんを起こさないように、極力静かに体を起こす。
上半身を起こしたところで、袖をぎゅっ...と捕まれる。誰かと聞くまでもなく、神崎さんだ。
可愛いんだが、その可愛さにやられていたら、俺はポリスメンにやられてしまう。あと、ファンとか星宮とか。星宮に至っては、あれに睨まれるだけで、俺の死期が近付いてくる気がしてならない。まじで怖い。
強引にでもこの場を離れないと...なんか手はないか。
無理矢理引き剥がしている最中に神崎さんが起きると、誤解を招きそうだし、だからといって起こすのも忍びない。
「....仕方ない。体に触れちゃいますけど、少し我慢してください」
一応一声かけてから、掴んでいる手をそ~っと指一本確実に剥がしていく。
なんだか背徳感を感じてしまう気もするが、頭の隅に放り込んでおく。
「ん...あ...はち、まんくん.....」
「......」
心臓に悪すぎる。こんなことして、明日死ぬんじゃないか、そんな錯覚を感じる。
それにしてもこの人、本当にトップアイドルだという自覚はあるんだろうか。
いや、馬鹿にしているとかではなく、男である俺に。しかも、会ってたったの数日。そんな奴にこんな惜しげもなく油断した顔を見せてくるなんて、大丈夫なんだろうか。俺じゃなかったら、勘違いして、速攻で告白して断られるね」
「こ、断ったりなんかしないわ!!むしろ!!.....あ」
「.....神崎さん?」
ガバッと勢いよく体を起こすは...神崎さん。
元気よく声を出している。いやー、トップアイドルは朝から綺麗な声が出ますね。ハハー。
「ど、どうしたのかしら八幡君。目が怖いわよ?」
「目はデフォルトです。それよりも神崎さん。起きていたんですか?」
「い、いまよ?いまちょうど起きちゃったのよ。たまたま。たまたま、ね?」
「....神崎さん」
「わ、分かってくれーー」
「ちょっと月影さん呼んできて叱ってもらいますね」
「やめてぇ!!それはやめて!!謝る!!謝るから!!」
俺のなかで神崎さんストッパーが、月影さんに決定した瞬間だった。
ーーーーー
なんであんなことをしたのか。理由を尋ねてみたところ、遊び心が働いてしまった結果らしい。
なんでも、家族以外に異性の人と一緒に寝たことがないらしく、一緒に寝てみたかった。そして、俺がいつ気付くか黙って見届けていた。ようするに、面白そうだからやってみただけらしい。
所々嘘が混じっている気がしないでもないが、ここは大人しく飲み込んでおく。
「..それで、あの後。結局どうなったんですか?見たところ場所は変わっていなさそうですし、ここまで運んでくれたんですか?」
「えぇ、まぁ....。月影さんは帰ってもらったし、星宮は.. .うん。えっと、帰ったら気を付けなさいね」
「......もう、ここ住んでもいいですか」
「...へ?!」
なにが起きたか分からないけど、絶対にやばいのは確定した。次会ったら死ぬかもしれない。おまけであおいもついてくるかもしれない。別理由で。
ふえぇ..帰りたくないよぉ....。
「はぁ....聞きたいことは他にもありますけど、置いとい.....なにしてるんですか」
「ここに住む?八幡君が?確かに嬉しいけどまだ早いというか、時期尚早というか。心の準備とか...」
なにやら顔を真っ赤にしてぶつぶつ喋り始めた神崎さん。早口でまくしたててますけど、どこのいろはすですか。
にしても、大のファンだった神崎さんを目の前にしているのに、意外にもスン...としてしまっている。この人の適応力もそうだが、俺も俺で慣れるのが早い。
「あの、神崎さん」
「へあ!!は、はい!?なにかしら?!」
どうして俺よりもテンパっているんだろうか。
そして何故顔を赤らめながら、覚悟を決めたような表情を見せているのだろうか。
俺はまた何かやらかしたのだろうか。
「え、えっと、ですね...」
「え、えぇ....」
ごくりと生唾を飲み込む音がする。それがどっちなのかは分からないほど、緊張感が室内に走る。
「その、きょ、今日って、仕事とか大丈夫なんですか...?」
「ごめんなさい!!まだ私達にはまた少し早いっていう.....え?仕事?」
「はい。昨日も午後休だったんで、大丈夫かなと......なんで不機嫌そうな顔してるんですか」
「...いーえ。なんでもないわ」
その割には顔が怖いんですが。魔王の風格が隠れ見えているんですが。どこのはるのんですか、それ。
「仕事なら心配しなくていいわ。あの会見で、仕事にちょっとだけ影響が出てね。しばらく開けざるをえないのよ。だから大丈夫なの」
不意に出てきた会見という言葉によって、俺がどんなことをしでかしたのかをもう一度改めて認識する。
俺はこの人の積み上げてきたものを、もしかしたら全て崩れさせてしまうかもしれない。
「...っ....それは、その...本当にすいまーー」
「いいの」
「それでも、俺のやったことは神崎さんのこれからのアイドル活動に支障を....」
「あぁもう焦れったいわね。私が良いって言ったのよ?それをどうして八幡君があれこれ言うのかしら?」
「.....」
はぁとため息をついてから、言葉を続ける。
「...それにね、八幡君」
不意をつくようにスルリと、
「私だって嫌いな人のことを、擁護するほどいい人じゃないわ」
俺の耳元まで近付いてきて、
「だからこそ。あの時、どんなに捻くれたやり方でも、私を助けてくれた八幡君は」
神崎さんは聞くだけで、
「私からすれば白馬の王子さまに見えたわ」
脳が蕩けるような声音で、
「乙女っぽいって思う?でもね、八幡君。女の子はいつだって」
こう囁いてきた。
ーー
どうでしたか?面白かったら、幸いです。
ストーリーの組み合わせ難しい。時系列とか、気にしないでください。お願いします。
では、また。