特に何もないので、本文どうぞ。
どうでしたか?面白かったら、幸いです。
最近、あおいがあおいじゃない気がする。
何を言っているのか分からないが、とにかくそんな気がする。
話しているのも、目に見えているのも、全部あおい、のはずなんだが。
いつも通りの会話をしている筈なのに、違和感を感じてしまう。
俺は、おかしくなったのだろうか。
・・・ある日
俺は涼川さんから休みを頂き、その日だけは掃除がなかった。
いつもこの時間は、掃除をしていたので、何をしようか、どこへ行こうか。特に用事もないので、とりあえずぶらぶらすることにした。
「...どうせだったら、溜めといたプリキュア全部一気に見ちまうか?...いや、でも今からだと間に合わない気が...」
いつの間にか、スターライト学園を出ており、周りは来たことのない場所だった。
やべぇ、迷子った。
地図を探そうと、目線を周りに向けようとすると、ちょうど後ろを向いたとき。
「どこかに地図は、ってうおう、びくった...」
そこには何故か、あおいがおり、ニコニコと微笑んでいた。
その笑顔がなぜか、いつもの笑顔には見えず、どこか黒ずんだような笑みだった。
「ハチマン。どうしたの、こんな所に来て」
「あ、あぁ。たまたま今日、涼川さんから休みをもらってな。何をしようか考えてたんだよ」
「そうなの?じゃあ、一緒にいい?私も今日仕事が休みなの」
「いや、まぁ、別にいいが」
「ありがとハチマン♪」
楽しそうにはにかむあおい。
でも、やっぱり....ーー「ね、ハチマン」
「どうした?」
あおいに問われて、思考が止まる。
「ハチマンはさ。例えば、いちごやユリカ..ちゃん、おとめちゃんに、美月..さん、他にも何人か。いま言った子達が、一斉にハチマンに告白したら....どうする?」
「.....は?」
突然の謎の質問に、俺は固まって、思わず歩くのを止める。
「二回も言わないし、逃がさないよ?ちゃんと答えて」
あおいはスタスタと歩いていく。迷うことなく、歩いてどこかへ。俺もそれについていこうと、歩くのを再開する。
あおいが怖い。
「....俺は。多分、選べないと、思う。誰かを選ぶのは...俺には、無理..だと思う」
「....そっか。ハチマンらしいね」
「ま、まぁ、そもそも、あいつらが俺のことを告白なんて、するわけないだろ。俺だぞ?」
「.....そうだね、いちご達は告白しないと思うよ」
「だろ?...というか、そもそも何でこんな質問した、ん、だ」
あおいにそう語りかけようとして、俺は体の向きをかえる。だが、そこにあおいはいなかった。
「......あおい...?」
風のごとく。気付いたら、あおいの影も形も無くなっており、周りには俺一人だった。
「....どういう、ことだ?」
「ハチマン」
「ーー!あおい?!」
耳元であおいの声が聞こえた。と思いきや、あおいの姿はそこにはなく、脳内にはあおいの俺を呼ぶ声だけが、反芻していた。
「あおい?!」
「ハチマンは優しいよね。...でもさ、それは特別な誰かを作らない、ってことだよね。ハチマンはみんなを傷つけたくないから、複数から言われたら、絶対に選ばない。決めない」
「......」
見えないが声だけは聞こえるなか、あおいのその言葉に俺は、黙ってしまう。それと同時に、なんとなくこの声は、いつものあおいのような気もした。
「ううん、ハチマン。あなたは悪くない。あなたの今までの経験が、体験が、そうさせているんだよね」
「...それは」
「でもね、ハチマン。人の想いって、年々大きくなるものなんだよ?」
「なんの、話だ...」
少しずつ、あおいの声が小さくなっていく。なんだかそれが、あおいという。昔から一緒だったあいつが。
俺から消えていくような気がして、背筋に寒気が走った。
「でも私は我慢した。いちご達を、精一杯応援したくて。ハチマンに幸せになってほしくて。...でも、想いは小さくなるどころか、どんどん大きくなっていった」
「あおい、待て」
「私の中のハチマンは大きくなっていった。それでも、それでも....」
「あおい、一回姿を見せてくれ!落ち着いてくれ!」
声の出所を探るが、所々からあおいの声が聞こえて、特定ができない。
「我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢して我慢した」
「あおい!」
「でもハチマンの周りには、いろいろな子が集まって来て。ハチマンを理解してくれる子が増えてきて。それで、私だけじゃなくなったんだって思って。じゃあ、私の。私がいる意味って、あるの?」
「頼むから落ち着いてくれ....!」
「そう思ったら胸がちぎれそうなぐらい痛くて。その時に、ね。この子が生まれたの。私の、嫌な部分。隠してた部分。...ううん、ずっと気付いてた。この子がいることは」
もう、俺の声はあおいには届かないのか....!
そう絶望しかけた時、前方にあおいの姿が確認できた。
「あおい!」
「もう私だけじゃ無理なんだ、ハチマン」
「無理じゃない!今からでもーー」
なんとかなる、と言おうとしたとき。あおいの姿が消え、俺の隣に急に気配を感じた。
「もう、無理なんだよ。ハチマン」
バチッ!という音がし、俺の意識が持ってかれる。
「あ....お、い....」
「ごめんね、ハチマン。いちご達には、手紙を送っておいたから、大丈夫だよ。....じゃあ、行こっか」
「や、め....ろ....」
そこで俺の意識は完全になくなった。
ーーあおいヤンデレEND~一緒に...~
どうでしたか?面白かったら、幸いです。
では、また。