IS〔インフィニット・ストラトス〕 〜復讐か叛逆を選択する少女〜   作:アリヤ

11 / 24
物凄く遅くなってしまい、申し訳ございません。

本当でしたら3月には書き終わっている予定だったのですけど、なかなか執筆に回せる時間がなくて、気付いたら4月の下旬です。

というか、内容的にも全然進んでないですね……本当でしたら次回まで続かせる予定はなかったのですがね……


第十話

「…………」

 

 一夏がラウラに気付かれた一件があったその日の夜、シャルロット・デュノアは現在、寮内にあるテレビにて放送されている速報ニュースを見て、あまりにも理解が追い付いていなかった。

 ニュースの内容はデュノア社社長――ジル・デュノアの夫人であるアリゼ・デュノアが、会社の資金を横領していたという内容だった。

 そんな気配は何一つなかった筈だ。何らかの気配があったら情報が回ってくるようなものであるし、昨日まで普通に定時報告をしていたくらいだからこそ、今ニュースで放送している情報は本当なのかと思ってしまった。

 本来ならばすぐに連絡を取って確認を取るべきであろうが、そんなことすら考えが浮かんでいないほど、衝撃的なニュースであったが、連絡をすぐに取るという選択をしなかった理由はもう一つあった。

 

「ほら、面白いことになったでしょ?」

「…………」

 

 そう――先ほど面白いことが起こるとシャルロットに伝えた少女――織斑一夏と一緒にいたことが理由であった――

 

 

--------------------------------------------

 

 

「お、やっと来た。ちょっと待ちくたびれたわよ」

 

 シャルロット・デュノアが自分の寮に戻ってくると見知らぬ女性――織斑一夏が堂々とベッドの上でうつ伏せの状態で待ち、顔だけをシャルロットに向けていた。

 いつもなら他人の部屋で立ちながら待っている一夏で、今回もそのつもりでいた筈だが、夜になってもシャルロットが自分の寮に戻ってこず、痺れを切らしてベッドにダイブしてしまったのだ。

 寮の自室に戻ってきたら見覚えのない人物が自分のベッドを占領されており、足をばたつかせながらあたかも自分のベッドかのようにのんびりとしていた。あまりにも状況が理解できていないシャルロットは、彼女がどのように入ってきて、彼女が一体何者なのかという考えすら出てこなかった。

 

「ん? もしかして私の顔になんか付いてるかしら?」

 

 シャルロットがずっと自分の顔を見てきていることに気付いた一夏は、まるで何事もないかのように友達感覚みたいに言う。その言葉を聞いて、シャルロットはようやく状況を整理することができた。 

 

「だ、誰なの? ここの学園の生徒ではないよね?」

「……へぇ、私がこの学園の生徒ではないという事は解るのね」

 

 初めて会っただけでIS学園の生徒ではないということに見抜かれたことに、思わず笑みを浮かべた一夏だったが、すぐにベッドのばねを利用してそのまま立ち上がり、近くに脱いであった靴を履いてからシャルロットの方へと顔を向ける。

 

「それで、どうして私がIS学園の生徒ではないと思ったのかしら?」

「……こ、この学園に来る前に、ある程度の生徒の事は調べたから……」

 

 シャルロットは正直に話すか少し迷ったが、たとえ嘘を吐いたところで気付かれるのは想像がつき、正直に話すことにした。

 しかし、シャルロットが調べたという方法はここに来る以前の情報であり、正直には話しているが彼女がそもそもこの学園の生徒ではないことを会う前から知っていた。彼女がIS学園に突如現れた無人機を生身でISの兵器を使用し、倒してしまったことはすでに世界中に知れ渡っている。あの試合には各国の権力者たちが観戦していたのだから、見られていないわけがなかった。

 けどそんなことは一夏も知っているだろうと、シャルロットは思っていた。にもかかわらず、IS学園の生徒ではないと思ったのかという理由を聞いてきたのは解らないが、とにかく目の前にいる彼女には知られてはいけない事があったがために、どのように知ったとかの詳しい理由については言わなかった。

 

「ふ~ん、なるほどね……」

 

 シャルロットがボロを出さないかと緊張をしていると、一夏はシャルロットが言った理由に納得し、まるで自分の家のように近くにあった椅子に座った。シャルロットが現れたというのにもかかわらず、ごく普通の生徒のような行動をするものだから、シャルロットは思わず拍子抜けしてしまっていた。

 

「で、先ほどの質問以外で聴きたいことはないのかしら? いろいろとあるとは思うはずなのだけど……」

「……と、とりあえずは大丈夫かな?」

「とりあえず、ね……まぁいいわ。どのみち質問してくる内容なんて、どうして侵入してきたのとかそのような質問でしょうし、そのことも含めて答えてあげるわ。面白いことになるから」

 

 意味深な笑みを浮かべつつ、一夏はシャルロットが聞きたかったであろうと思われる内容を話し始めた。

 

「まず、先ほど聴いてきた質問に答えるけど、簡潔に言えばあなたに会いに来る必要があったから。というか、これ以外の理由でこの寮に来るような理由なんてなさそうなものだけど」

「な、なんで、僕なんかに?」

 

 一夏から返ってきた答えに、シャルロットはなるべく表情に出ないように質問をする。

 自分がこの学園で行おうとしていた目的に気付かれてしまったのかと内心焦っていたが、まだ焦るには早いと考えた。まだ彼女が来た理由もシャルロットに用事があったことくらいしか知らず、本題の内容についてはまだ何一つ答えてなく、どうでもいいような答えだけが返ってきていたくらいだ。とはいえ、そのような原因を作った一つとして、シャルロットが質問をしていなかったこともあるのだが……

 

「それは……って、もうこんな時間なの? 本当なら先に話しておきたかったけど、時間が押してきているし、とりあえずはテレビを付けるわね」

 

 一夏はテレビの近くにあったリモコンをもって、勝手にテレビの電源を付ける。シャルロットは彼女の一つ一つの動作が部屋に忍び込んできたようには見えなかったがために、思わず日常の風景のように錯覚をするが、すぐにテレビの方へと視線を向けた。

 テレビの画面ではいつも通りニュース番組を行っていただけで、これと言った変化があったわけでもない。一体、彼女が何を見せたがっていたのだろうかと疑問に思っていると、突如テレビのキャスターが少し慌て始めつつも、速報ニュースの情報を述べ始めた。

 

『速報です。ISの開発企業であるデュノア社の社長――ジル・デュノアの夫人でありアリゼ・デュノア氏が横領を行っていたという情報が入ってきました――』

 

 

--------------------------------------------

 

 

 そして現在に至る。

 一体何が起こっているのか、シャルロットはニュースの内容が信じられず、何一つ声を出せずにニュースの内容を凝視していた。

 シャルロットが驚いているのも無理もない。あまりにも唐突すぎる内容で、理解することにすら時間を要する必要があった。

 

「時期に逮捕されるでしょうね。横領していたという情報が流失しただけだから、たとえデュノア社の社長が庇ったところで株主が黙っているわけがないし」

 

 一夏は今後デュノア社で起こるだろう事を予測し、シャルロットに話した。

 一夏がシャルロットに話しかけたこともあってか、シャルロットは落ち着きを取り戻し、彼女に聴かなければならないことを問い詰め始めた。

 

「……なんで、こんなニュースが流れるって知っていたの?」

「そりゃ、この事件を引き起こすきっかけを作ったのが私たちだから。というか、そうでなければここにいる理由が説明つかないでしょう?」

「こんなことを起こして、何が目的なの?」

「単純に私たちの邪魔となるものを、法律に則って排除しただけだよ」

「だったら、どうして僕に会う必要があったのさ!! 僕を嘲笑いにきたとでもいうの!!」

 

 シャルロットの言うとおりだ。一夏が言った理由であれば、遅くても翌日にはそのニュースを知ることにはなるだろうし、わざわざ寮に来て教える必要なんて一つもないはずだ。

 そんなシャルロットの怒鳴り声に対して、一夏は相も変わらず微笑みを浮かべる。それがシャルロットを逆上させるようなものであるにもかかわらず、一夏はそんなことを気にしていないかのようだった。

 そしてそんな反応に、シャルロットは一夏に踊らされるかのように逆上し、一夏に近づいて右手で殴りかかろうとした。

 

「……いきなり殴りかかってくるのはどうかと思うわよ?」

「くっ!!」

 

 しかし、一夏に右手首を左手で捕まれ、簡単に阻止されてしまう。一夏と違い、シャルロットは何か鍛えているわけでもないため、防がれてしまう事は誰もが想像できる。それに、怒りにまかせて殴りかかったところで単調な攻撃になるくらいであるし、防いでくださいと言っているようなものだった。

 

「……別に嘲笑いに来たわけではないわ」

「だったら!! 何しに来たというのさ!!」

「あなたの経歴を知っている。それさえ言えば十分だと思うけど?」

 

 空いていた左手で殴りかかろうとしたシャルロットだったが、一夏の言葉に動きを止めてしまう。その様子を見た一夏は左手に掴んでいた右手首を放し、落ち着いた様子を確認してから、シャルロットに会いに来た理由を話し始めた――

 

「シャルロット・デュノア。あなたはジル・デュノアの愛人との間で生まれた子供。それが気に食わなかったアリゼ・デュノアは、あなたに暴行などを加えていた。間違いないかしら」

「……うん、間違ってないよ」

「なら続けるわ。先ほども言った通り、私たちは今のデュノア社――というより、アリゼ・デュノアという存在が邪魔になる可能性があった。今のデュノア社は実質的にはアリゼ・デュノアの下で動いていることは知っていたし、彼女に反論するものは切り捨てられた」

「その通りだよ。僕がIS学園に転入した理由も君から生身でIS兵器を使える理由をつかむため。第三世代をいまだに作れていないデュノア社にとって、君という存在はたとえ誘拐してでも欲しかった」

「でしょうね。別に誘拐とか技術を奪われるなんていうことは絶対ないでしょうけど、私たちの妨害を行われる可能性を考慮して、阻止する必要があった」

 

 ――毒がある果実というものはね、熟す前に切り落とすべきだけど、そもそも果実が実る前に植物ごと焼くべきなんだよ。

 

 篠ノ之束がよく口にしていた言葉だ。昔はこのような考え方を束はしていなかったが、追われる身となってからこのような考え方を持つようになっていた。

 元々一部の人間しか興味がなく、それ以外の人間には全く持って信用していない束ではあるが、それでも一度だけ危機的な状況に陥った事があった。その時は難を逃れたが、怪しげな動きはすでにつかんでいたのにもかかわらず、そのような状態になってしまった事には自分を恨んだらしい。それ以降、束は果実が実る前に怪しげな動きを知ったのであれば、危険度に関わらず排除するという考えを持つようになった。

 話は戻すが、要するに自分たちの妨げになるからデュノア社を潰したという、あまりにも自分勝手な理由だとシャルロットは理解したが、彼女がここにいる理由とは全く関係ないことで、あまりにも先延ばしされていたこともあってか、もどかしくなって思わず声をあげてしまう。

 

「……結局、僕に会いに来た理由はなんなの!! それが、僕に会いに来た理由にはなってないし、話を聴いている限り目的は終わったように見えるのだけどっ!!」

「確かにそうね。私たちの第一目標はすでに終わったわ。だからシャルロット・デュノアに会いに来たのは別件なのよ」

「別件……?」

 

 いまだに何しに来たのか解らないでいるシャルロットではあったが、突如一夏が椅子から立ち上がり、シャルロットに近づいて手を差し伸べた。

 あまりにも突然のことに、シャルロットは理解できずに思わず首をかしげてしまう。そんな様子を見ていた一夏は思わず笑みが零れつつ、こう言った――

 

「シャルロット・デュノア、私たちの仲間となりなさい。そして共に、世界を変えないかしら――」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。