IS〔インフィニット・ストラトス〕 〜復讐か叛逆を選択する少女〜   作:アリヤ

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第二十二話

「ふぅ、戻ってきたわね」

 

 翌日、一夏は束が居るラボにシャルロットを置いてきて、IS学園の屋上に転移していた。

 転送装置を使うだけでIS学園へ簡単に来れるので、今までのようなIS学園に侵入するような行為をする必要がなくなったのはかなり便利だった。

 

「さて、楯無が動けない今の内に……」

「ほう、今の内に何をしようというのだ?」

「それは……えっ」

 

 思わず答えそうになったが、いつから居たのか解らないが、一夏にとって聞き覚えのある声が聞こえてきた。一夏がその声が聞こえてきた方向へ向こうとしたが、その前にその人物から鋼鉄が入っているんではないかと思ってしまうほどの出席簿の隅で、一夏の頭が叩かれた。

 

「いっ!?」

「突然現れるな、愚妹」

 

 一夏は余りの痛さに、思わずしゃがんで涙目になっていたが、愚妹という呼び方をされたことからして誰が居たのか解り、その人物の顔を見上げた。

 

「直接会うのは四月の上旬以来だな」

「な、何で千冬姉が屋上に……」

「私だって外の空気を吸いたくて屋上くらい出るさ」

 

 屋上に居たのは一夏の姉である織斑千冬で、一夏としてもまさか千冬が屋上に居るとは思わなかった。

 また、確かに転移すれば便利であるが、今回のように屋上に居るという可能性が考えると、余り多用するべきではないと思った。千冬だったからまだ良かったが、関係ない生徒が屋上に居る可能性もあるので、IS学園にあるカメラで屋上の様子を確認してから転移しようと、反省した。

 

「それで、また束のお使いか?」

「……どちらかといえば私用かな」

「私用だと?」

「そう。楯無が独房室にいる間にと思ってね」

「やはり楯無が無断で追っていたのは貴様だったか」

 

 予想はついていたが、千冬は溜め息を吐きながら言う。多分、楯無がIS学園に帰った際に、楯無の処分を行ったのが千冬で、その原因が一夏を関わっていると確認できたから、溜め息を吐いたのだろう。

 

「それで、楯無はどうしています?」

「無断外出と学園外でISを使用したことによって、反省文と明日まで独房室で反省させている。あれでも生徒会長の筈だが……」

「生徒会長があれだと、苦労しますよね。自分勝手過ぎて」

「もう少し、集団行動をして欲しいところだ」

 

 今度は一夏も一緒に楯無のことで溜め息を吐いた。姉妹揃って楯無の行動は余計なことを増やしてくるので、なんとかして欲しいと思っていた。

 

「……さて、私はこれで――」

「何自然と侵入しようとしている」

 

 一夏が自然な形で屋上を後にしようとしたが、千冬が見逃すはずがなく、一夏の襟首を捕まれていた。

 

「……やっぱり逃がしてくれないよね」

「当たり前だ。何度もIS学園に侵入していることは知っている。ラウラの一件は感謝しているけどな」

「なら、ラウラを救ったお礼として」

「そういう理由で私が見逃すと思っているのか?」

「……ですよね」

 

 このままでは目的の場所に行けず、一夏はどうやって千冬から逃げるか考えた。全力を使えば逃げられなくないが、目立つような行動は避けたいところで、体力を使って逃げるのもなるべく控えたいことだった。

 IS学園の監視を始めてから、一夏自身の症状が悪化していることは一夏が一番解っていた。シャルロットの勧誘をした後に起こった吐血以降、薬の飲む間隔が短くなっていたからだ。監視する前は一日に一錠飲む程度で済んでいたが、最近は一日に二錠飲むことが増えていた。IS学園に侵入することを繰り返してから逃げ回ったり、ISと戦ったりするようになったからだと一夏は気づき、なるべく体を動かさないように気にしていた。そのため、千冬から逃げるために走ることだけはしたくなかった。

 余談だが、千冬は一夏が女体化したことによる症状が出ていることを実は知らない。言うタイミングがなかったという理由もあるが、千冬に心配させるようなことだけは一夏にとって避けたいことだったからだ。

 

「さて、私と共に反省室に来てもらうぞ」

「……私が、そう簡単に従うと思うかな?」

 

 一夏はラウラの一件が終えて、IS学園から離脱する際に使用した機械を空間から取り出し、即座に背中に背負った。

 

「なっ、まさかそれで逃げる気か!?」

「うん、このまま掴んでいると燃えるけど良いのかな?」

「……それで私が離すと思うのか」

「……えっ?」

 

 離してくれると思っていた一夏は既に機械を起動してしまったので、起動するまで時間を待つだけになっていた。それが意味をしていることは、千冬がこのまま捕まれていたら危険だということを意味していた。

 

「ちょっ、ちょっと千冬姉!! 本当に危ないから離して!! 既に起動しちゃってるよ!!」

「なら止めればいいだろう」

「一度起動したら、止められないようにされてのこれ!! 本当に危ないし、捕まれていたら私も危険な目に合う!!」

「どうせはったりだろう」

「はったりだというなら、こんなに慌てていないよ!! 最悪死んじゃうかもしれないから本当に離してよ!!」

 

 一夏が慌てて千冬から逃げようと引っ張ったり横に振ったりしているが、千冬の手が外れることがなく、本当に焦り始めていた。

 流石の千冬も、一夏の焦り具合が冗談ではないと気づき、ようやく掴んでいた襟首から放した。しかし時すでに遅く、機械は噴射を始めていて、千冬は寸前のところで回避できたが、放した時が最悪だった。

 その結果、一夏は自分の思い通りに操作する事が咄嗟にできず、宙に浮いたけども操作が狂ってしまい、あらぬ方向にぐねぐねと動きながら飛んでいった。

 

「ちょっ、何でそのタイミングで手を外すの!?」

「……すまん。一夏が言っていた事が本当だと思わなかった」

「くっ!!」

 

 一夏はなんとか操作しようと、頑張り始めた。冷静になれば操作できる筈だと思い、一度操作レバーから手を外してどの方向に飛んでいくのか確認した。その後、垂直に受けるように操作を始めて、なんとか落ち着かせることに成功した。

 

「はぁ……なんか、無駄に疲れた」

 

 一夏は溜め息を吐きながら、現在どこの上空に居るか確認し始めた。IS学園を出たわけではないが、目的地である場所よりも反対方向に飛んでしまったことをなんとか把握することができた。

 

「……このまま地上に降りたら、千冬姉に追いかけられるだろうし、目立つけど飛んで移動するしかないか。なるべく気づかれないように高度を大きく上昇させて」

 

 余り目立つようなことをすれば、最悪ISによる追いかけっこが始まってしまうが、一夏の状態や千冬のことを考えれば、地上に降りるよりも最善だった。

 

「目的地が前に向くようにして、目測である程度の距離を計測……よし、把握したから高度を上げましょう」

 

 一夏はどのくらい前に進めばいいか把握した後、すぐに高度を上昇した。

 IS学園の全体図が見えるほどに上昇していき、雲があるくらいの高さで止まった。

 

「流石にこの服装だと寒いし酸素が薄いね……さっさと進んで降下しよう」

 

 少し上昇しすぎたかと思った一夏だが、とにかく今はさっさと降下したいので、目測で計測したところまで前に移動し、計測した辺りに着いたところですぐさま降下していった。

 降下した場所はIS学園の連絡通路付近で、教室とISの整備室を繋ぐ場所だった。ここで遭遇する人は、基本的にIS学園の教師か専用機持ちの生徒くらいなので、遭遇する確率が少ないという点でも良かった。

 

「さて、一応カメラを見ると、整備室に居るようだね。さて、行きましょうか」

 

 千冬には先ほど遭遇してしまったので、目視で一夏を見続けた可能性があるけど、それでも今日中にやらなければ、楯無が独房室から解放されて尚更面倒になるので、強行突破することにした。

 

「さて、ここね」

 

 誰とも遭遇する事はなく、一夏は整備室の前に着くことができた。一夏は整備室の扉を開け、そのまま目的人物が居る所まで歩いていった。

 学年別トーナメントの観戦しているときに、偶然隣の席に布仏本音を挟んだ先に座った生徒――更識楯無の妹で日本代表候補生である更識簪に――

 

「更識簪」

「っ!? あなたは確かっ!?」

 

 突然声をかけられたことに簪は驚きながら、一夏が居る方向へ振り向いたが、一夏の姿を見てさらに驚いていた。

 簪からしてみれば、一夏は瞳の色が変化したり、ISを開発した生みの親である篠ノ之束の下に居て、生身でIS兵器を扱えるとんでもない人物だからだ。二度と会わないだろうと思っていたものだから、一夏が声をかけてきたことに驚いていた。

 しかし、そんなことを意識していなかった一夏は、簪の驚きを特に気にしていなかった。予想通りだという反応ということもあり、笑みを浮かべていた。

 

「ふふふ、少し前に会ったというのに、物凄い驚きですね」

「……それはそうだよ。あなたの存在は世界的にも有名だから」

「まぁ、生身でIS兵器を使っているところを見せたり、束の下に居ると知ったら有名になりますよね」

 

 それは自分でも目立っているようなことをしていることくらい自覚してると、一夏は苦笑しながら思った。この一年で一夏は世間的に有名人のような存在になるようなことを自分からしていたのだから、否定する必要すらなかった。

 

「……それで、何のようなの。あれから少しあなたのことを調べたけど、生徒ではないのでしょう? だとしたら、整備室になんか用事なんて――」

「あなたに用があるの。更識簪さん」

「え、私っ!?」

 

 自分に用事があると思っていなかったのか、簪は驚いていた。一体自分は何か怒らせるようなことをしたのだろうかと恐れたが、そんな様子を見ていた一夏は思わず微笑んでいた。

 

「別に制裁しに来たわけではないよ。あなたのISを完成させる手伝いをしようと思ったから会いに来たの」

「っ!? どうしてそんなことのために!?」

「私と似ているところがあるからかな? 今回、束さんの指示でもないし、殆ど私の独断で動いているのよ」

 

 似ているところがあると言われて、簪は疑問に思った。どこが似ているのだろうかと思っていて、簪からしてみれば似ているところなんてなさそうだからだ。

 それに、一夏から手伝ってあげると言われたが、簪は一人で自分のISを完成させたかった。姉である楯無に追いつくためには、これしかないと思っていたから――

 

「……悪いけど、手伝ってもらう必要はないわ。私一人で十分だよ」

「……やっぱりそう返してきたか。楯無に追いつくために――」

「……どうして事情を知っているのか解らないけど、そういうことだから」

「その方法では、楯無に追いつけないと知っても、続けるというの?」

「……どういうこと? 努力の無駄だと言いたいわけ?」

 

 簪は一夏の言葉を聴いて、睨み返した。努力の無駄だと言われて、簪が怒らない訳がないのだ。今までやっていたことを全て否定されるようなもので、一夏の発言らさすがに許せなかった。

 しかし、一夏は簪の睨んだ視線に動じることはなく、気にもせずに話を続けた。

 

「そのままの意味よ。姉と同じようなことをしているだけでは、追いつくことなんて一生ないわ」

「……どういうことよ」

「簪が努力しているように、楯無も別のことで努力しているのよ。そんなことでは、追いつくことなんて不可能よ」

「……だったらどうすればいいのよ!! それだと、絶対にお姉ちゃんに追いつけないじゃない!!」

 

 一夏の言葉に、簪は思わず大声を出して言い返した。その反応も一夏の予想通りたったが、簪の言葉を待つことにした。

 

「私は昔からお姉ちゃんと比較され続けた!! 特にISが登場してから、お姉ちゃんは自分で専用機を作成したり、IS学園で最強になるまでの実力を持っていた!! それなのに私は一人で何かできるわけではなかった!!」

「…………」

「挙げ句の果てにはお姉ちゃんから、

『あなたは何にもしなくていいの。私が全部してあげるから。だからあなたは無能なままでいなさい』

 って言われたのよ!! ふざけないで!!」

「……ようやく本音が聴けたわね。やっぱり、あなたは私に似ている」

「……ぇ?」

 

 一夏が言ったことに、簪は思わず一夏の方に顔を向けた。一夏言葉はあまりにも理解できず、どうしてそのようなことを言ったのか知りたかった。一夏の表情は同情のような視線ではやく、悲しそうな笑みを浮かべていたから――

 

 

「……あまり私の素性を話すことはしたくないのだけど、私って簪と同じで姉が居るのよ。姉は強いおかげで、私はいつも周りから比較されていた」

「姉ってもしかして……」

「さすがに顔立ちからして解っちゃうよね。まぁ、そういう予想をしている人はたくさん居ると思うから、気にしてないのだけどね」

「で、でも、あの方に妹は――」

「わざわざ伏せてくれてありがとう。確かに妹ではなくて弟しか居なかったよ。流石にその辺のことを話すことはできないのだけど、妹が居たと思ってちょうだい」

「……納得いってないけど、とりあえず解った」

 

 とりあえず妹が存在していたという認識にしてもらった後、一夏は話を戻した。

 

「私は比較され続け、努力しても認めてもらえる人は姉と友達以外にいなかった。結局、姉と違う方法で努力しなければ、意味がなかったのよ。しかし、私にはそんなものなかった。同じ土俵ですら立つことが出来なかったから、比較できなかったというのもあるのだけどね」

「そんなことがあったの……」

 

 同じ土俵に立てなかったと聴いて、簪は一夏のIS適性が悪かったのだと理解した。正確なことを言えば、男性だったからISを扱えなかったというのが正しいのだが、ややこしくなるので敢えてIS適性が悪かったと思わせた。もちろん、一夏の言った言葉に嘘があるわけでもないが。

 

「だけど簪の場合は同じ土俵で姉と勝負できる。日本代表候補生なのだから、日本代表になれる可能性だってある。そのためには、姉とは違った方法で勝たなければならない。同じ方法では、勝ったところで評価されることは少ないわ」

「でも、そんな方法なんて……」

「姉をIS学園最強の座から降ろせばいいのよ。そのための力と兵器を与える代わりに、IS開発を手伝わせて貰ってよろしいかしら? 最も、努力するのは簪だけどね」

 

 一夏の言葉に、簪は惹かれていた。楯無を最強の座から降ろさせる――確かに楯無を越えるには最善な選択肢だった。

 たからこそ、簪が一夏の提案に断る理由なんて、どこにもなかった――

 

「……解った。あなたの提案を飲んであげる」

「それでいい。あと、この兵器は置いておくね。多分、簪には必要になるものだから」

 

 そういって一夏は空間を歪ませ、そこから三つのIS兵器を取り出した。簪はそれらの兵器を見て、あまりにも見覚えのある兵器だったため驚いていた。

 

「春雷・改と夢現・改。そして、山嵐・改。兵器の性能は後で確認して。それとこれ」

 

 それと一夏はまたしても歪ませた空間から一つの紙を取り出し、簪に渡した。

 

「……まさかこれ!?」

「打鉄弐式の設計図。倉持技研からデータをハッキングしたものだから本物よ。まったく、素直に倉持技研に任せてあれば専用機として前から使えたというのに」

「……だって、お姉ちゃんを越したかったから」

 

 簪がしょんぼりした顔をしていたのを見て、一夏はちょっと言い過ぎたかもと思って反省し、少し誉めることにした。

 

「まぁ、努力しようとしたのだから仕方ないか。とりあえず今日はその設計図と兵器を入れるようにしておきなさい。明日以降は流石に来ることは難しいけど、電話や機体のプライベートチャンネルを使って指示するから。あ、ちなみに電話といっても、整備室やアリーナのカメラを見ながら指示する形だから、心配しなくても大丈夫よ」

「でも、アリーナの申請とかは?」

「それはこっちでしておくよ。それじゃあ今日は失礼するね」

「あ、あの!!」

 

 一夏が帰ろうとすると、簪が声をかえてくれた。これから簪が言おうとしている言葉は、一夏でも想像できたことなので、一夏は振り向かずに簪の言葉を待った。

 

「こ、ここまでしてくれてありがとう!!」

「別に私は助言しただけだよ。私に従ったのは簪自身だし、救ったわけではないよ」

「それでも、ありがとうって言いたいの……」

「……解った。素直に感謝されておくから。それじゃあ、また明日――」

 

 簪からの感謝を聴き終えた一夏は、整備室を後にした。

 整備室の出入り口が閉まることを確認した後、先ほどから出入り口辺りで出待ちしていた人物に、一夏は話しかけた。

 

「まったく、わざわざ隠れずに堂々と出入り口の前で待っている人が居ますか?」

「ここに居るだろう?」

 

 そこに居たのは、先ほど一夏が屋上で遭遇した人物である千冬で、一夏と簪の会話を盗み聞きしていたのだと一夏は思った。

 とはいえ、今回の話は元々千冬にお願いする予定だったから、一夏にとって盗み聞きしてくれていた方が手間を省けたので、ありがたかった。

 

「……盗み聞きしていた通り、アリーナの申請お願いできますか? クラス別トーナメントの後ですし、かなり空いているでしょう?」

「確かに空いているが、私が素直に従うとでも」

「それだったら束さんにお願いして、アリーナ申請がされていたことにするだけです。シャルロットの外出申請の時みたいに」

「はぁ……まぁ、今回は目を瞑ってやる。更識妹の為にやっているようだからな。一夏が渡したIS兵器の申請もしておくが、日本政府と倉持技研が何か言ってくる可能性があるぞ」

「それはありのまま公表して大丈夫ですよ。束さんが開発したIS兵器を私が簪に渡したと言っておけば、むしろ喜ぶでしょうし」

「なるほど。個人的に更識妹に渡したと知らせれば、世界各国が苦情を言うことがないと」

「流石に日本政府へ文句を言ってくる可能性は捨てきれないですけどね。けどそれくらいの文句で束さんの兵器を貰えるのですから、苦でないと思いますし」

 

 日本政府ならば、束からIS兵器を貰えるようなものなので、他国からの苦情なんて気にしないだろうと一夏は考えた。苦情の代わりに貰えるものは、お釣りが出るくらいである束製のIS兵器だから、他国の苦情なんて耐えられるだろうと。

 

「それと、二週間程度外部から指導する事になりますけど、大丈夫ですよね?」

「通信での指導くらいならば問題ない。侵入して指導するというのであれば問題だが」

「了解です。事務手続きの件は千冬姉に全てお願いするね」

「今日の侵入は見逃してやる。ただし、明日からは更識姉に気をつけることだな」

「どのみち大掛かりなことをするのですから、気づかれるのは承知の上ですよ。それに、簪は自ら楯無に決闘を申し込むと思いますから。それではまた」

 

 一夏は全てを告げ終えると、持っていた携帯型転送装置で、一夏が拠点にしている場所へと戻っていった――

 

「……さて、少し忙しくなるぞ」

 

 一夏が突然居なくなったことに驚きもせず、千冬は自分のやるべきことを済ませるために、職員室に戻っていった――

 

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