IS〔インフィニット・ストラトス〕 〜復讐か叛逆を選択する少女〜   作:アリヤ

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本当は二話くらい続けて書こうと思ったけど、いろいろと考えた結果、一部内容を成しにしてこうなった。

学園編はなるべく内容を削りたいという気持ちがあり、理由としてはこの物語の本格的な内容が学園編の後だからです。

もちろん、それまでに必要な内容は書かなければなりませんので、余り削ることはないのですけどね。

次回は事後処理的な内容になると思われ。

それではどうぞ!!



……14kb、まさか第一話以上の文字数になるとは^^;


第四話

「さて、ここからが私の仕事ではあるのだけど、もう少し様子を見ていようかな?」

 

 一夏は突如現れた所属不明のISを見て迎撃の準備をしようと思ったが、この場には専用機を持つISが2機存在している。代表候補生がどれくらいの実力を持っているのかを確認するためには、状況的に良いだろうと思い、もう少し様子を見ようと考えていた。あの全身装甲(フル・スキン)のISは、一夏の実力を確認する為に束が用意したISだという事を一夏は知っており、そのために一夏はアリーナにいる。しかしあのISは一夏の持つ力に合わせて強化されているものだと思っているので、そのISに対して代表候補生がどれくらい対抗できるのか、一夏は興味を持っていた。

 一夏が様子見しようとした大きな理由はそれだが、小さな理由としてもう一つある。それは幼馴染である凰鈴音の実力がどれくらいなの力なのか気になり、自分の為にどれくらい力を身に付けたのかと思い、少し様子を見たいと思ったからだ。

 

「まぁ、いつでも出られるように準備はしておこうかな? これと言って準備することもないのだけどね」

 

 そんなことを呟きながらも、一夏はセシリアと鈴がどのように戦うのか、アリーナの屋上から見ることにした――

 

 

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『セシリアさん、鳳さんっ!! 今すぐアリーナから脱出してください!! これから先生達が鎮圧しにそちらへ向かいます!!』

「とは言うけども、今逃げたら観客席にいる生徒に被害が及ぶ可能性があるのだけど」

「凰さんの言う通りですね。私たちが離脱してしまいましたら、誰が生徒を守るのですか?」

『それは……』

 

 セシリアと鈴は自分たちだけ先に脱出したら、生徒達が巻き込まれるだろうと思い、それまでは脱出するつもりはなかった。

 二人に脱出するように言った山田真耶だったが、このまま二人を脱出させれば生徒たちの身に危険があるのは確かだった。そのため、セシリアと鈴の言葉に何も言い返せなくなっていたが、真耶の近くにいた千冬が二人に話しかけた。

 

『……セシリア、凰。時間は稼げるか』

「もちろん!! 時間は稼げる以前にセシリアと一緒に倒しちゃうわよ!!」

「そうですわね。仮にも私たちは代表候補生――二人もいれば十分ですわ!!」

『……分かった。では任せるぞ』

 

 通信が途切れ、セシリアと鈴は視線を所属不明のISが居る方へと向ける。アリーナの中央に衝突してから一度も動かず、こちらの様子を伺っているのかと二人は思う。

 そこで何かを考え付いた鈴は即座にセシリアに会話しかける。見た限り襲って来る気配がなく、襲ってこないのならば互いのISについて確認しておべきだと考えた。

 

「ねぇ、今のうちに互いにISの性能について話しておきましょ? あまり教えたくないけど、こっちもさっき使っていた龍砲について教えるから」

「……様子を見た限りだと動く気配がありませんわね。こちらの様子を伺っているのだと思われますが、向こうから動いてこないのならば私たちのISの情報を共有させておく時間はあるかもしれませんわね……分かりましたわ。あちらが動くまでできる限り情報を共有しておきましょう」

 

 鈴の言葉に賛同したセシリアは、所属不明のISが動くまでの間、互いの専用機の性能について個人間秘匿通信――プライベートチャンネルに切り替えて話し合うことにした。

 しかし、セシリアも鈴もそんなに時間を設けてくれるとは思ってはいなかった。こちらから動いてこなければ所属不明のISの方から動いてくるだろうとは思っていたし、互いのISの情報共有も最低限度知っておけばいいと考えていた。そのため、二人が話した内容というのは互いが持っているISの武器の内容だけ情報共有することにしたが、先ほど所属不明のISが現れるまでクラス対抗戦の対戦相手として戦っていたので、詳しく説明する必要性もなく短時間で説明することが出来ると二人は思った。

 そして二人がそれぞれの武器について話が終え、作戦が終えてこちらから動こうとした刹那、先ほどまで全く動かなかった所属不明のISが突然と動きだし、即座に気付いた二人は何が来てもいいように構えた。しかし、所属不明のISは装備されていたビーム兵器をセシリアと鈴に向けることはなく、余りにも見当違いな方向へと構えてすぐさま放った。セシリアと鈴はとっさに逃げ切れていない生徒に向けて放ったのかと思ったが、放った方向には既に逃げそびれた生徒はおらず、それ以前に放たれた方向はアリーナの観客席の上――アリーナの屋根付近だった。生徒に襲撃したのであれば納得が言ったかもしれないが、所属不明のISが取った行動があまりにも意味不明だった。

 

「……一体、あれは何しに来たの?」

「……分かりませんわ。こちらに放ってくると思いきや、別の方向に放ちますし……生徒を襲ったのかと思いきや、そうでもなさそうですし……」

「わざわざ意味のない砲撃はしてこないはず。とすれば……っ!? あの煙の中に、誰かいるっ!!」

「な、なんですってっ!?」

 

 放ったことによって煙が発生していたが、鈴は太陽の光によって何者かの影を一瞬だけ見ることが出来た。セシリアは鈴の言葉で所属不明のISが放たれた方向へと向けるが、影らしきものはすぐには見つからなかった。

 次第に煙が晴れていき、そこでようやくセシリアもそこに人間がいる事に気付く。煙が完全に晴れると、黒髪でIS学園の制服を着た少女が無傷で立っており、所属不明のISの方を見つめていた。

 

「……まったく、そこの代表候補生の実力を見ていようかと思っていたのに、最初っから私狙いですか。まぁ、代表候補生の実力は別に今である必要はありませんから、別に構わないのだけど」

「……誰、あの子」

「織斑先生に……似ていますわ?」

 

 セシリアと鈴は少女の姿を見て驚いていた。千冬みたいなクールさはないが、その顔はあまりにも千冬に似ていた。しかし、IS学園に千冬に似た生徒がいるというのは聞いたことがないし、それ以前に千冬には妹なんて存在しない。存在していたとしても、現在行方不明になっている弟の織斑一夏だ。彼女こそ元々は千冬の弟であった織斑一夏ではあるが、それを知らない鈴にとって千冬の顔に似ていることが気になって仕方なかった。

 その彼女――一夏は所属不明のISをずっと見続けてはいるが、何も行動には移そうとしていなかった。先に動いたのは所属不明のISで、またしても一夏に向けてビーム兵器を使って放った――

 あんなものを生身で受けたら危険だとセシリアと鈴は即座に思うが、一夏はその攻撃をいとも簡単に横に避けた。その避け方はまるでその攻撃が分かっていたかのようで、次々に一夏に向けて放ってくるがそれらも簡単に避け、しかも余裕の笑みを浮かベながら避けていた。

 一夏はこの時点ですでに反撃にすることは余裕だったが、まだ生徒が完全に逃げ切れていないので反撃には出ていなかった。自分の力を使うのはなるべく少人数の方がよろしく、セシリアと鈴を除く生徒全員が逃げ終えてから反撃に出ようと考えた。一夏にとってそれくらいの余裕があり、所属不明のISから避けきれる自信を持っていた。

 それからも一夏に向けて何発も放ってくるが、一夏はそれらすべてを簡単に避けてゆく。あまりにも余裕に逃げている彼女の姿を見ていたセシリアと鈴は、彼女を見ていると根本的な事が覆りそうに思え、避けているだけだというのに彼女の事が恐ろしく思えた。

 

「……なんなのですか、あの子。ISを使っての攻撃を、簡単に避けてしまうなんて」

「ISを部分展開しているわけでもなく、人間の力だけで避けているというの?」

 

 ビーム兵器から放たれる砲撃を完全に避けきるなんて、生身の人間では不可能なはずだ。それなのにもかかわらず、彼女はいとも簡単に避け続け、怪我ひとつもなかった。

 その間にも生徒たちは次々にアリーナから離れる様に逃げていき、ようやくセシリアと鈴以外の生徒の姿が居なくなったのを確認した後、一夏は突然避けることをやめてその場に立ち止まった。恰好の的であるはずなのにも関わらず立ち止まり、案の定その場所に向けて所属不明のISがビーム兵器を構えて一夏が居る所へと放った。一夏はその砲撃を避けようともせず、はたから見れば直撃を受けたかのように見えた。

 

「なっ、あの人は何をやっているのですのっ!?」

「……いや、避けなかったという事は。何かあるはず」

 

 セシリアは一夏の行動に驚いていたが、鈴はその様子を冷静に判断していた。自分から自殺しに行くほど馬鹿だとは思えないし、何か策があって彼女はそのような行動をとったのだろうと鈴は思った。

 煙によって一夏の姿を確認することが出来ないが、直後に変化が起こる。一夏のいるところから銃を放つ音が鳴り響き、煙の中から対IS用くらいの大きさの銃弾が所属不明のISに向けて飛んでいった。所属不明のISはすぐに反応して銃弾から避けようとするが、突然銃弾が分裂し、それぞれが方向を多少変えて所属不明のISへと突き進んでいた。所属不明のISは何とかよけようとするが、避けきれることなんて不可能であり、散乱した銃弾の半分は受けることとなった。絶対防御によって貫通するという事はなかったが、散乱銃の割にはダメージが大きく、シールドエネルギーをかなり減らせることが出来た。

 

「……散弾銃。見た感じそのようですわね」

「えぇ。多分彼女がISを展開して使ったのだと……っ!?」

「凰さん? 一体どうしました……なっ!?」

 

 一夏の周りを舞っていた煙がようやく晴れ、鈴がそちらの方を見て驚いた。セシリアも鈴の驚く顔を見て鈴が向いている方向へと向けたが、一夏の姿を見て鈴が驚いている理由がすぐに理解する。煙を晴れた時の一夏の姿は特に変わって居なかったが、彼女が持っている右手の物に驚きを隠せなかったのだ。

 一夏が持っていたもの――それはIS用の武器であり、しかも素手でそれを握っていた。セシリアと鈴は最初見たときISを部分展開しているのだろうと思ったが、よくよく見ると素手で握っていることに気づき、先ほどの銃弾を素手で放っただと思って驚きを隠せなかった。

 

「うーん……もっと張り合いがあると思ったんだけどな…… とりあえず、さっさと終わらせちゃいますか。あ、そこの二人、当たったらごめんね」

 

 一夏はセシリアと鈴に一度謝ってから、所属不明のISに向けて握っているIS用の武器から銃弾を放つ。しかも今回は一発ではなく、三発続けて放った。

 所属不明のISはそれをどうにかして避けようと行動するが、先ほどと同じように完全には避けきれず、途中で散乱して先ほどと同じように半分くらい当たっていった。しかし、先ほど放った銃弾とは多少性能が違っており、当たった銃弾は所属不明のISの機体を貫通させて通り抜けていた。

 それを見ていたセシリアと鈴は驚きを隠せなかった。シールドエネルギーが0になったわけでもなく、絶対防御も働いていなかったからだ。すぐに最初に放った散乱銃とは違うことに気づき、放たれた散乱銃の銃弾を見ていると、なぜかワイヤーが伸びていた。

 

「これは……ワイヤーですか? どうして、銃弾と繋がっているのでしょうか?」

「それは簡単だよ。最初に放った銃弾は確かに散乱銃と同じような性能を持っているけど、今はなったのは三発同時に放ち、それぞれの銃弾がワイヤーで繋がれ、散乱したとしてもそれぞれの銃弾にワイヤーが繋がれているわけ。しかもエネルギーシールドや絶対防御すら無視するという性能が付いていて、機体ごと貫通させるわけ。もっとも、散乱銃と同じ原理で細かいからISを破壊させるとまではいかないのだけどね。また、あのワイヤーはIS用の武器を使ったとしても絶対に切れることはないから」

「ってちょっとまて、貫通させたという事は……」

「そう、避けられた銃弾と貫通させた銃弾は全てワイヤーによって繋がられているから、その場から移動することもできない。あの銃弾は地面に衝突したらその場で固定されて動かなくなるし、いわば格好の的。まぁ、さっきの私もそんなことしていたけど」

 

 一夏は淡々と解説しているが、セシリアと鈴にとってあまりにも衝撃的だった。銃弾一つ一つにワイヤーが繋がっているというのであれば、先ほど一夏が使った攻撃は一発でも当たってしまえと、移動することもできないという意味を指していたからだ。

 先ほど一夏が格好の的になってはいたが、所属不明のISが今なっている格好の的とは全く持って意味が違う。一夏の場合は避けることもできたはずなのにその場で立ち止まったが、所属不明のISの場合は避けることすらできない状態だ。

 

「これで身動きは取れなくなったはず。呆気ない気がするけど、仕方ないことにしよう」

 

 すると一夏は持っていたIS用の武器が一瞬にして姿を消した。そして数十秒もしないうちに刀みたいな形をしたIS用の武器を右手に持ち、所属不明のISに向けた。

 しかし、ビーム兵器は動かせる状態であり、例えその場に動けなくても一夏に向けて何発も放ってくる。一夏はそれを簡単にかわしつつ、その場から跳ぶ。

 跳んでいる中で攻撃をよけることもほとんど不可能だというのにもかかわらず、一夏は一瞬にして横に避けて続け、なぜだか目を瞑っていた。

 

「いくよ、雪片弐型(ゆきひらにがた)――」

 

 刹那、ゆっくり所属不明のISに近付いていた一夏だったが、近づく速さが突然と変化し、かなりのスピードで近づいていく。そして目の前に来た直後に刀みたいな形をしたIS用の武器――雪片弐型から突然と青白く輝きだし、その輝きのまま所属不明のISを人間でいう腰にあたる部分を真っ二つに切り刻んだ。そのまま一夏はアリーナの地面に着地し、雪片弐型を消滅させた。その直後、真っ二つに切り刻まれた所属不明のISは爆発はしなかったが、切り刻まれた上半身は滑り落ち、下半身はその場でずっと立ったままだった。

 彼女と所属不明のISの戦闘をずっと見ていたセシリアと鈴は、余りにも人間業からかけ離れている一夏を見て驚きつつも、彼女に恐怖を覚えた。IS用の武器を素手で使い、IS並みの力を持っている彼女と戦うことになったのを想像し、勝てるような見込みがなかったからだ。ビーム兵器の砲撃を一夏は簡単に避けていたが、ISを使っても上手く避けられる事は難しい。二人にはそれが見ていて分かったくらいなのに、一夏はそれを容易く避けてしまうので、彼女の存在が余りにも恐ろしかった。

 一方の一夏はこれ以上動くことはできないだろうという事を確認し、確認が終えると所属不明のISから離れていった。

 

「さて、やる事終えたことだし、教師に私の存在がばれてしまったから、そろそろ離脱しましょうか」

「……ま、待ちなさい」

 

 一夏はアリーナから出ようとした直後、突然鈴が声を震わせながらも一夏に話しかけた。

 一夏は鈴が自分を呼び止める言葉を聞き、歩き出そうとしていた足を止め、甲龍を展開している鈴の方へと振り向く。なるべく短めな内容だという事を祈りながらも、一夏は鈴の言葉を待った。

 

「あ、あんた、一体何者なわけ? 生身でISの武器を使いこなすなんて……」

「……私が言うと思うの? 聞きたいならば力づくで……と言いたいところだけど、はっきり言ってやめた方が良いわよ。あなた達は私に勝てないから」

「っ」

 

 何も言い返せなかった。もしセシリアと鈴があの所属不明のISと戦う事となったとしても、何とかして勝てるかもしれないと思うくらいで、それを圧倒的に倒した彼女に勝てるはずがなかった。

 その現実が、鈴にとってとても悔しかった。自分よりも強いものが世界にはたくさんいることは理解していたが、いざ目の前に見られると、自分の無力さを実感してしまったからだ。このままでは行方不明となった一夏を救うことはできない、鈴はそう思ってしまった。

 

「では、二つだけ聞きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか」

「……内容によっては答えるよ」

 

 鈴が悔しがっているのを気にせずに、セシリアは一夏に質問をしてもよろしいかと聞いた。

 一夏は一度どうしようか考えたが、すでにこの場に居る時点で疑われるのは変わりがない。任務的にも極秘なほどでもないので、答えられる範囲だけ答えようと思った。

 

「一つ目は、あのISはあなたにしか攻撃を仕掛けてこなかった。その理由だけでも教えてくれませんか?」

「……それは、分からないよ。元々別目的でIS学園に居たというのに、まさか私にしか攻撃をしてこないのだから、こっちも驚いたくらいだし」

「ではもう一つ目、どういう目的でIS学園にいるのですか?」

「IS学園の生徒……というのは、通じないか。詳しくは言えないけども、ここの教師や生徒には手を出すつもりはないよ。それだけは言っておく。信じるかどうかは任せるけども」

「嘘をついているような感じではありませんわね。分かりました、IS学園に危害を加えないというのは信じましょう」

「ありがとう。それじゃあ、私は行くね」

「ま、待ちなさい!! まだ私の話は終わって――」

 

 鈴は一夏がこの場から居なくなるとすぐに気付き、一夏に話しかけようとする。しかし一夏は先ほど鈴の言葉で足を止めたが、今度は鈴の言葉を無視してアリーナから一瞬にして姿を消し去った。

 アリーナの中にはセシリアと鈴の二人だけとなり、ISを解除はしたがそこから一歩も動かなかった。それは、千冬からの声が聞こえてくるまで、二人はその場で立ち尽くしていた――

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