PSYCHO‐PASS 2219   作:凡人 軍人

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キレイだったヒト【上】

『―――――えー、全身サイボーグ技術が国民に普及してから、十年がたちました。……しかし、残念ながらサイボーグ化によって、犯罪係数を意図的に操作可能であるという噂が皆様の間で流れているとき聞きました。そのような噂は事実無根です!シヴュラシステムはサイボーグであろうと非サイボーグであろうと、公平に裁くシステムであることを、ここに宣言いたします!』

 

*****

 

『サイボーグ化したやつで潜在犯落ちした奴はこれまでに前例がないらしい。』

 

『そりゃまだ普及してから十年しかたってねーからじゃね?そろそろ一人くらい出るでしょ?』

 

『にしても出なさすぎだろ。非サイボーグ民は一年間で結構摘発されるじゃん。』

 

『まずサイボーグ民と非サイボーグ民の比率考えてみろよ。普及したっつっても手術だけで200万、さらにサイボーグ関連機材で毎年50万はかかるんだろ?俺らには手の届かない代物だろ。』

 

『現市川内閣の大臣は全員がサイボーグ、そしてあいつらは今まで色相が少しでも濁ったことが一度もない。』

 

『それってどこ情報?マジだったらヤバくね!?』

 

『それサイボーグと関係あるん?』

 

『ちなみに農林相の林美智子は学生時代に潜在犯落ちしかけた前科アリ。あとサイボーグ化する前は色相の変化半端ないって言われてたらしい。』

 

『だからそれどこ情報かはっきり言えよ……』

 

『とりまシヴュラはクソ。あれで幸せだって感じてる奴は洗脳されてる。』

 

『あと、これは噂でしかないが、サイボーグの中にはパラライザーとエリミネーターが効かない奴があるらしい。……まあ、都市伝説並の噂だがな。』

 

*****

 

『サイボーグ技術の普及によって、人類は決して朽ちることのない肉体を手に入れ、ついに死というものから解放されました。』

 

『サイボーグ技術とシヴュラシステムによってより快適で、安心して暮らせる社会を作りましょう!』

 

*****

 

【PM 08:00 東京】

 

夜、まばらではあるが、自動車が走っている環状道路の上を、サイレンを鳴らしながら二台の車両とドローンが物凄い速度で走り抜けた。

 

車両はパトカーと、そして、執行官を輸送するための大型輸送車であった。

 

「西ノ宮さん、この事件、どう思います?」

 

「どう思うもなにも、ただの気の狂ったやつとしか思えんだろ。それ以外に何かあるのか?」

 

「いえ……そういう訳では……」

 

「なら取り敢えず行くしかないだろ。エリアストレスだってハンパじゃない。レベル4警報が発令されてる。」

 

パトカーの中で、二人の監視官が話し合っていた。

 

一人はかなり若い女性で、もう一人は先程西ノ宮と呼ばれた、30台であろう男性だった。

 

彼らは三十分前、ショッピングモールでナイフを持って暴れている人間がいるとの通報を受け 、現場に急行しているところだった。

 

「尾沢監視官、配属から一ヶ月もたってないのに、こんな事件が発生して、困惑している気持ちは分かる。だが、君はただ執行官に指示を出してやればいい。いつもと同じだ。そう、考え込むな。」

 

「は……はい……」

 

『監視官、お話し中のところ悪いけど、ちょっといい?』

 

助手席にあるモニターに、女性の顔が映し出された。

女性は二十台後半であろうか、かなり化粧が濃い印象であった。

 

「大丈夫だ分析官。話してくれ。」

 

『犯人の身元が判明したわ。名前は島原 安彦年齢は28。シヴュラの職業診断で大手製薬メーカーへの適正を認められ入社。しかし、今から一ヶ月前に色相の悪化という理由でクビになって以来、家に引きこもっていたらしいわ。』

 

「……なるほどな。犯行の動機はシヴュラの診断への怒り、そこから色相が濁らない人への妬みに繋がった……ってとこか。」

 

西ノ宮は考え込みながら言った。

 

『あと、例のショッピングモールだけど、かなりヤバいわね。外からは完全に封鎖してるけど、中にいる逃げ遅れた人達、精神的にかなりキてるわ。エリアストレス値が上昇し続けてる。』

 

「それはマズいな……。尾沢!あとどれくらいで着く?」

 

「……はっ、はい!えーっと……もうすぐです!あと五分もしないで着きます。」

 

「分かった。到着次第すぐに出るぞ。速やかに犯人を確保する!」

 

「……り、了解!執行官にもそう伝えます。」

 

そこから少し市街地を走り、車両は一つの大型ショッピングモールの前で停車した。

 

ショッピングモールは普段の賑やかさとは異なり、周りには公安局のドローンが配置されていた。

 

そして、西ノ宮と尾沢がパトカーから降りると、後方に停車していた輸送車の後部……その重苦しそうなハッチが、ロックを解除され、ゆっくりと開いた。

 

ハッチが開ききると、中から四人のスーツを着た男女が降りてきた。

 

一人はボサボサの長い茶髪と隈のある目をした男性、そして、それと対照的に短く刈り上げた黒髪と鋭い目付きが特徴的な男性であった。

 

残りの二人は、ショートカットの赤い髪と優しそうな丸い目の女性と、背中の真ん中辺りまで伸びた金髪と鋭く、青い目をした女性であった。

 

そして彼らこそ、執行官である。

 

彼らは潜在犯でありながら公安局に所属し、武器を持って同じ潜在犯を狩ることで社会貢献を為す……そのため彼らは人々から、猟犬と呼ばれ恐れられていた。

 

全員が集まると、西ノ宮は言った。

 

「全員集まったな!状況に関しては分かっていると思う。現在、このショッピングモールはこの時代に似合わぬ卑劣な犯罪者によって占拠されている。当然、中には善良な一般市民が犯人に怯えながら中に留まらされ続けている。彼らを一刻も早く解放するため、犯人にドミネーターの裁きを食らわせてやれ!」

 

西ノ宮は強く、そう言ってから、少し間を置いて、つづけて言った。

 

「ただし……もしも、彼らの中に犯罪係数が規定値を越えたものがいた場合は……容赦なく、それを撃て。」

 

そう西ノ宮が言い終えると、彼の近くに黒い大型のケースがやってきた(車輪がついたケースのため、正確には走ってきた、の方が正しいが)。

ケースは彼の前で止まると、自動で開いた。

 

そしてその中から出てきたモノこそが、監視官と執行官にのみ持つことが許された銃、『ドミネーター』である。

 

携帯型心理診断鎮圧執行システム、通称『ドミネーター』

銃を向けた対象の犯罪係数を観測し、潜在犯であれば無力化、時にはその命さえも奪う。

 

潜在犯にのみ有効な、最強の矛である。

 

西ノ宮がケースからドミネーターを取ると、それに続くように、尾沢、そして、執行官の面々がドミネーターを取っていった。

 

「二手に別れて行くぞ。中里、三島は俺に付いてこい。門倉、笹木は尾沢に付いていけ。しっかりと新人のフォローをしてやれよ。」

 

「「「「了解。」」」」

 

「さあ、行くぞ―――――!」

 




初めてなので拙い文章ですが読んでいただけたのなら幸いです。
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