爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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入学初日1

 春。

 それは高校生活の始まり。

 勝己と友奈は時間に余裕をもって、広すぎる雄英高校の廊下を歩いていた。

 

「これからも同じクラスだね。頑張ろうねかっちゃん!」

 

「おう。しっかし、2クラスしかないったって同じ中学の奴固めたままとは思わんかったわ。中学時代確執あったら引きずるじゃねぇか。何考えてんだろうな」

 

 二人とも1-Aクラスになったことを喜びつつ、なぜそんな振り分けかを訝しむ。

 その気持ちはクラスメイトが集まるにつれ、徐々に強くなっていった。

 

「爆豪か。久しいな」

 

「常闇か。お前もこのクラスかよ」

 

「あ、友奈! 久しぶり!」

 

「響香ちゃん! 響香ちゃんもこのクラスになったんだ!」

 

 海浜公園のゴミ掃除で勝己と競り合った少年、常闇踏影。

 同じくゴミ掃除に参加はしていたものの、重量物の運搬で輝く“個性”ではなかったため目立たなかった少女、耳郎響香。

 二人とも雄英ヒーロー科志望ということで勝己、友奈と親交を結んでいたのだが、ボランティア活動の報告は内申書で雄英にも伝わっているはずだ。接点がある者がまたまとめられていた。

 

「そこ集まってどーしたのー!」

 

「いや、知り合いで集まってただけ。ウチは耳郎響香。アンタは?」

 

「私、芦戸三奈! そっちも知り合いで同じクラスに集まったの?」

 

「そっちもって? あ、私結城友奈。こっちは私の幼馴染の爆豪勝己と、イベントで知り合った常闇踏影君」

 

「男二人もよろしくー! あとあそこの赤いツンツン頭、切島って言うんだけど、同中出身なんだ」

 

 軽く視線を向ける程度で済ませる男二人に元気よく挨拶する芦戸。

 そして知り合いでまとめられた事例が増えた。

 

「親交のある人達は一まとめにしてるのかな? でもなんで?」

 

「偉い人は何か考えてるのかなー。先生に聞いたら教えてくれるかな?」

 

 女子三人で少しの間話は続いたが、正解なんてわからないので直ぐに別の話題に移った。

 そしてすぐ蒸し返された。

 

「む! 君は!」

 

「あ゛? 誰だてめぇは?」

 

「ボ……俺は飯田天哉、実技試験で君に指摘を受けた者だ。あの時は手を煩わせてすまなかった。だが君も言葉遣いには注意した方がいいと思う」

 

「………………あん時のか。本当にクラス分けした奴ァ何考えてんだ?」

 

 受験で諍いを起しかけた者も一まとめとか何を考えているのか。集まった者が本気で怪しみ出した時、答えられる人物がやってきた。

 

「お友達ごっこしたいなら他所に行け。ここはヒーロー科だぞ。

 …………ハイ、静かになるまで7秒かかりました。時間は有限。君たちは合理性に欠くね。

 担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

「「「「「「(担任!!?)」」」」」」 

 

 始業時間が来たとかではなく、寝袋に収まった不審者が出て黙った生徒達は不審者からの言葉に驚いて言葉を失い続けている。

 黙った理由はどうでもいいのか、相澤はしゃべりだす者が出る前に指示を出した。

 

「早速だが、体操服(コレ)着てグラウンドに出ろ。個性把握テストを行う」

 

「「「「「個性把握……テスト?」」」」」

 

「入学式は!? ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事に出る時間ないよ。書類読んどけば十分だろ」

 

 高校生活というものを楽しみにしていた女子生徒の言葉をにべもなく切り捨てる相澤。

 そしてとどめのように続けた。

 

「雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側(・・・)もまた然り。

 さっきそこの連中が騒いでいた理由も含め、テストが終わるころには実感できるだろ。じゃ、早よ着替えろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 体力テスト。

 超常黎明期以前から行われており、現代でも行われている“個性”禁止のテストだ。異形型などの場合は普通にやっても優れた結果が出すぎて“個性”使用扱いとなるため、画一的な記録を出させて一応の平均を作るためだけのテストである。

 それを“個性”を存分に使用して行い、自身の「最大限」および「何ができて」「何ができないか」を知るのが個性把握テスト。

 相澤曰く、それがヒーローの素地を形成する合理的手段、らしい。

 生徒達も楽しみつつも真剣にこなしていき「型破りだけど面白い先生じゃんか」などと思い始めていた。

 

「ハイ、これで全員の測定が終了。これ結果ね」

 

 相澤が持った装置からトータルの順位が空中に投影される。

 一位は生物以外なら何でも作れる万能の“個性”である“創造”によって、種目に合わせた道具を作った推薦入学者の八百万百。

 二位は“爆破”の“個性”による投擲や高速移動と高い身体能力で好成績を残した一般入試首席合格者、爆豪勝己。

 三位は氷の連続精製や氷塊による圧迫、勝己に迫る身体能力を持つ推薦入学者、轟焦凍。

 この三名の名前が大きく表示され、そこからは皆同じ大きさだ。

 そして最下位は峰田実となっている。自分にはくっつかずに跳ねる“もぎもぎ”を作れる“個性”で反復横跳びでは好成績を残したものの、小柄すぎる体格が仇となり他の成績は低かったためだ。

 

「えー先生の当初の予想通り、推薦入学者と首席合格者がぶっちぎり。ぶっちぎり過ぎて問題だと思うわけだ。これじゃあ切磋琢磨することも難しい。

 そこで思い出してほしいんだが、テスト開始前俺は何て言った? 葉隠」

 

「え、えーと、雄英の校風は自由。先生側もまた然り、でしたっけ?」

 

「そう。生徒の如何は先生の自由(・・)

 というわけで最下位の峰田」

 

「オイラ?」

 

「そうお前。成績不振によりヒーロー科から除籍処分とする」

 

 空気が凍った。

 突然の除籍宣告に生徒たちは茫然としている。

 そんな中、一般受験を受け、クラス分けに疑問を持っていた勝己だけは担任の裁定に納得していた。

 

「なるほどなァ。受験が雑だったのも、クラス分けが適当なのもそういうことか。ヒーロー科からの除籍と普通科からの移籍が繰り返される前提ってわけだ」

 

「察しがいいな。とはいえここ数年の一般受験が雑だったのは関係ない。ただのクレーム対策で合理的な試験ができなくなってただけだ。今は現場で修正してる状態でな。

 話を戻すが、峰田には明日から普通科に通ってもらう。

 それを見て普通科の奴らも察するだろう。ヒーロー科の席に空きができたことを。実力を示せば席を奪えるチャンスがあることを。

 入学の段階でこれだけ差ができてしまってるんだ。下位の16名には緊張感を持って取り組んでもらいたい。

 上位3名もうかうかしてると追い抜かれて蹴落とされることを忘れるな。

 諸君らが一名でも多く残り、試験担当の教師の目が節穴でなかったと証明されることを願ってるぞ。去年のようにクラス総入れ替えは勘弁してほしいし。

 以上だ。個性把握テストはこれにて終わり。

 教室にカリキュラム等の資料あるから目ぇ通しとけ」

 

 勝己以外は誰も言葉を発することができないまま、相澤は去っていった。

 




推薦だけでなく一般入試からもとび抜け過ぎた実力者がいたので、全員のケツに火を着けた相澤先生。見込みありの最下位いなかったから峰田見逃す理由もなかったし。
なお勤続年数に比べて異常に多い除籍指導数はヒーロー科と普通科を行ったり来たりしたやつもいるためとしています。
具体的にはメンタル完璧でも“個性”を使いこなせてなかったルミリオン、“個性”は強くてもノミの心臓サンイーターなど。
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