爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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入学初日2

 雄英高校の初日が終了した。

 勝己が自由な校風を満喫すべく、職員室で雄英のルールについて色々と聞き出してから教室に戻ると、まだ多くのクラスメイトが教室に残っていた。

 ただし重苦しい空気はそのままだ。復帰のチャンスはあるとはいえヒーロー科でい続けた方が訓練等で有利なのは変わらないし、何よりクラスメイトを弾き出して(・・・・・)しまったというのが存外堪えたらしい。不意打ちじゃなければ多少はマシだったと思うが、その想定はしても無駄だろう。

 友奈が頑張って空気を紛らわそうとしているが、皆暗い表情を浮かべ消沈している。勝己としては面白くない光景だった。

 

「んだこの空気! 通夜かっ!」

 

「似たようなもんじゃね……?」

 

「つーか爆豪お前どこ行ってたん? あんなのあった直後に元気すぎねぇ?」

 

「これ貰いに行ってたんだよ。てめぇらがウダウダやってる間にな!」

 

 ゾンビのような表情で蠢くクラスメイトに勝己が貰った書類を突き付ける。

 書類には「体育館・運動場使用届」と書いてあった。

 

「何だコレ」

 

「見たまんまだ、体育館とグラウンドの使用届。授業で使って設備の説明受けるまではダメらしいが、それ以降ならコレ出して教師の許可取れば使用可能だとよ。放課後訓練するかどうかどころか、できるかどうか調べる時点から生徒の自由ってすげぇだろ」

 

 聞きにすら来ない奴には本来教えないらしい。雄英は潤沢な資金を持っているが「自分から行動しない奴には注ぎ込んでも無駄」という考えによるものだ。

 

「俺ァこいつで今日の状況をさらに加速させる!」

 

「「「「「はぁっ!?」」」」」

 

「この使用届出せるのはヒーロー科だけだがな、練習相手を普通科から募集することもできんだよ! 受験は不合格だったのに雄英に来た、諦めの悪ィ対人特化に援護特化、搦め手特化! 碌に訓練受けてねぇ現状じゃヒーロー科で相手見繕うよかいいのが見つからぁ!

 でもってこれは危険がないか教師が見張る! 受験じゃ評価されなかった連中が日の目を浴びるんだ、受験に受かっただけで浮かれた連中なんぞガンガン抜かれていくだろうよ!」

 

 一呼吸入れて、息を落ち着ける。全員注目してるし、もう怒鳴る必要はなかった。

 

「今んとこ俺らは受難を一つ越えただけだ。まだ特別な立ち位置ってわけじゃねぇし、競う相手が多いに越したこたぁねぇ。上がってくる奴がいること喜べや。

 それに落ちたやつにしたって気にする必要もねぇ。てめぇらだって落ちたら這い上がるだろうが。心配とかするだけ無駄だ。

 わかったら辛気臭い顔やめてさっさと帰れウゼェんだよクソども」

 

 なんでここまで言って最後に無駄な罵倒はいるかなーという呆れ顔を全員が浮かべた。笑ってるのは友奈だけだ。

 とはいえ全員ある程度元気は取り戻したらしい。勝己の言葉は最後だけ無視して質問攻めを始めた。

 

「なぁこの書類俺らももらえるのか? それとも成績上位者だけ?」

 

「普通科に人員募集ってどうやってんの?」

 

「申請は何日前くらいまでにやるんだ? てかもう予約入れたりした?」

 

「一気に喋んな! 書類はヒーロー科なら誰でももらえる! 人員募集は教師申請書出しときゃ学校のサイトに掲載か、条件に合った奴に教師から連絡がいく! 体育館とかは一週間前から申請出来て、手が空いてる教師がいれば当日申請でも可! ……てかこんなん俺じゃなくて職員室行って聞いてこいやっ!

 俺ァもう帰るッ! 行くぞ友奈!!」

 

「うん。じゃあ皆、また明日」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆元気になってよかったね」

 

 帰りの地下鉄で揺られながら、友奈が会話を切り出す。勝己もニヤリと笑って答えた。

 

「踏み台の跳ねが悪くちゃ俺が困るからな。せっかく先公がピリピリしたいい空気作ったってのに、腑抜けどもが湿らせやがってよぉ。あのままじゃこっちまで萎えら。

 ま、クラスの意識が足引きや蹴落としじゃなくて競争に向いた。あんなんあった後としちゃ上出来か。足止めはしてくれてて良かったわ」

 

「私はクラスの子とお話ししてただけだよ?」

 

「じゃあそういうことにしとく。それよか職員室でいい話が聞けたぞ。クラスの連中に話すのはまだ早いやつ」

 

「? 何?」

 

「仮免試験だ。本来なら二年の六月に受けるらしいが、実力が足りてると判断されりゃ一年の九月の試験を受けられるってよ。おまけに仮免取った後なら一年でも“郊外活動(インターン)”で現場に出ていいんだと。

 要は結果さえ出しゃカリキュラム前倒しにしまくるってのもイケる。雄英卒業して即事務所立ち上げるつもりだったが、これなら予想より準備はやりやすそうだ。自由な校風を売り文句にするだけはあったな」

 

「おお、やったね! じゃあ私、普通科の子から一緒にサイドキックやれそうな子探してみる! “個性”があればチャリティーや奉仕活動だけじゃなくて、救助活動とかもいけるもん!」

 

「サイドキックか。救助活動するならチーム単位で動けた方がいいし、メイン業務に加えるなら一人二人抜けても機能するようにしねぇとな。となると初期投資多めにかかりそうだし、スポンサー探しに割く時間増やすべきか?」

 

「そういうのこそ先生に聞いてみるべきじゃない? 卒業生で色々見てきてるだろうし」

 

「それもそうだな。ならこの話はここまでだ。帰ったら明日の予習すっぞ。終わったら菓子出してやる」

 

「はーい」

 




皆が除籍されずに済む方法を探すんじゃなく、蟲毒の壺を大きくするかっちゃん式の解決策。
復習も兼ねてヒーロー科の実習内容を普通科に指導しておけば、誰がいつ入れ替わっても問題なしです。
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