爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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USJルーム襲撃事件1

 委員会決定から数日後、PM0:50。

 週に2回ある実習の時間だ。まだ雄英内の設備については説明を受けていない場所も多いため、教室で授業は始まる。

 

「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイト、そしてもう一人の三人体制で見ることになった。

 内容は災害水難なんでもござれ、人命救助(レスキュー)訓練だ」

 

 相澤が「RESCUE」と書かれたプレートを掲げる。

 それを見て人助けには不向きな“個性”持ちの上鳴が厳しそうな顔をした。

 

「レスキュー……今回も大変そうだな」

 

「ねー!」

 

「バカおめー、これぞヒーローの本分だぜ!? 鳴るぜ! 腕が!」

 

「水難なら私の独壇場ケロケロ」

 

 上鳴に芦戸が同意したが、逆に切島と蛙吹はやる気満々で答えた。

 だが話の途中で私語をされて相澤は不機嫌そうだ。ギロリと睨みつけられ、四人とも背筋を正して話を聞く体勢に戻った。

 

「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。

 訓練場は少し離れた場所にあるからバスに乗っていく。以上準備開始」

 

 相澤は遅れた者がいれば置いていくタイプの教師だ。皆、手早く準備しようとコスチュームを担いで更衣室へ向かった。

 勝己も更衣室に着くなりコスチュームを広げ、取捨選択を開始した。

 

「(コスチューム、正直スーパーボール入りの籠手が邪魔だ。完全に戦闘用だし、救助活動するならない方がいいな。

  だが先公が三人体制に『なった』って言ってたし、こないだのこともある。片方だけでも持ってくか。邪魔なら捨てて授業終了後回収すりゃいい)」

 

 つい先日、雄英高校に侵入者が現れた。

 結局のところ侵入したのはただのマスコミだったとのことだが、一マスコミ程度に雄英バリアーを突破できるとは勝己には思えなかった。教師たちは何も言わないが、きな臭い事態に発展しているのだろう。

 そこへ本来の予定から変更しての三人体制での授業。何か起こると警戒はしているが、何が起こるかはわからないため一応の措置といった感じだと勝己は予想した。

 

「(友奈と―――八百万辺りには一応伝えとくか。他は知っても無駄に混乱するだけだ。あの二人が知ってればクラス中が混乱するこたぁねぇだろ)」

 

 考え事をしながらテキパキと準備を進める。これが杞憂なら普通に授業があるのだ。No.1ヒーローとなるため全てを自らの糧にしないといけない。遅れて置いてけぼりを食らうなど御免だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すっげー!」

 

「USJかよっ!?」

 

 演習施設に到着すると、それを見たクラスメイト達が歓声を上げた。

 実際に体験すれば地獄なのだろうが、遠目に見る分にはまるでテーマパークのごとき施設だったのでそんな感想でも仕方ないだろう。

 

「水難事故、土砂災害、火事etc.

 あらゆる事故や災害を想定し僕がつくった演習場です。

 その名もウソの事故や災害(USJ)ルーム!」

 

「「「「「「(USJだった!)」」」」」」

 

 宇宙服のようなコスチュームに身を包んだ教師の解説に、生徒たちはまさかそのままとは思っておらず驚愕した。

 また一部の生徒は説明よりも教師の方に興奮し盛り上がっていた。

 

「スペースヒーロー「13号」だ!

 災害救助でめざましい活躍をしてる紳士的なヒーロー! 私好きなの13号!」

 

「わかる! かっこいいよね!」

 

「13号、オールマイトは? ここで待ち合わせる予定だが」

 

 盛り上がる生徒をよそに、相澤はこの場にいるはずの同僚について13号に尋ねる。

 その結果は芳しくないものだったようで、何か言いながら指を三本立てていた。

 周りにその意味はわからないが、勝己と友奈は理解した。オールマイトはおそらく活動制限時間の3時間をほぼ使い切ってしまったのだろう。事件が起こっていたのでつい駆けつけてしまったのだろうが、それで教師としての職務を放棄している辺りオールマイトにヒーロー以外の仕事をする適正はなさそうだ。

 

「仕方ない。始めるか」

 

「そうですね。では始める前にお小言を一つ、二つ……三つ……四つ……」

 

「「「「「「(増えてる)」」」」」」

 

 長話が来そうだと生徒たちは身構えたが、すぐに相澤が寝袋に入ろうとしないのに気づいた。どうやらこれは13号なりの冗談の類のようだ。

 冗談に気付かれた13号はカウントを切り上げて本題に入った。

 

「えー皆さんご存知かとは思いますが、僕の“個性”は“ブラックホール”。

 どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」

 

「その“個性”でどんな災害からも人を救い上げるんですよね!」

 

「ええ。

 しかし簡単に人を殺せる力です。ヒーロー科に入学できた以上、皆さんも同様の力を持っていることでしょう。

 超人社会は“個性”の使用を資格制にし厳しく制限することで一見成り立っているように見えます。

 しかし一歩間違えば容易に人を殺せる“いきすぎた個性”を個々が持っていることを忘れないでください。

 相澤さんの体力テストで自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験できたかと思います。

 この授業では心機一転!

 人命の為に“個性”をどう活用するかを学んでいきましょう。

 君たちの力は人を傷つけるためではなく、救けるためにあるのだと心得て帰ってくださいな。

 

 以上! ご清聴ありがとうございました!」

 

「ブラボー! ブラーボー!」

 

「ステキー!」

 

 生徒たちから拍手が響く。友奈も大きく拍手していたし、勝己も一応拍手していた。こういう考えもヒーローには大切と理解はしているのだ。

 拍手がやむと、手すりに腰かけていた相澤が授業を開始しようとした。

 

「そんじゃあまずは……」

 

 開始しようとしていきなり止まった。生徒たちも相澤が注視する方を見てみると、何やら黒いモヤのようなものが発生している。

 モヤは広がり、中から人影が現れた。

 血相を変えた相澤が、初めて聞く大声で生徒たちに指示を出す。

 

「一塊になって動くな!

 13号! 生徒たちを守れ!

 アレは(ヴィラン)だ!!」

 

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