爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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体育祭前2

 昼休み。

 小休憩中は大人しかった生徒たちも、興奮冷めやらぬ様子で一か所に集まって話し込んでいた。

 

「なんだかんだテンション上がるなオイ!

 活躍して目立ちゃプロへのどでけぇ一歩を踏み出せる!」

 

「ああ! ヒーロー志望として燃えないわけがないな!」

 

「私もー! 子供のころからの憧れの舞台だし、やっぱ目立ちたいよね!」

 

 ヒーローを志す少年少女にとって雄英体育祭は特別だ。3年生の体育祭が超常黎明期以前のオリンピックなら、1年生のそれは甲子園だろうか。それくらい憧れるイベントなのである。

 だがこの雰囲気に乗れない者も当然いた。

 

「私は透明人間として目立つべきか目立たずにいるべきか悩むとこなんだよねー。好成績狙えば目立たない感じになっちゃうし、目立とうとしたら強みなくなっちゃうからさー」

 

「おおう、割と深刻な悩みだな……」

 

 葉隠の悩みに一同困る。あちらを立てればこちらが立たず、どちらを選んでも問題が残る悩みだからだ。目立たない行動をしても問題ないくらいの順位が取れる身体能力があれば良かったのだが、個性把握テストでは峰田に次いで下から二番目。これでは楽観のしようもない。

 皆が黙ってしまった時、友奈が単純明快な意見を出した。

 

「私はカメラとか気にせず全力で挑んだ方がいいと思うな! だってそっちの方が絶対楽しいもん!」

 

「お、おー。友奈ちゃん的にはそんなもんなの? 体育祭って大イベントだよ?」

 

「? 私はそんなものだと思うよ。やりたいことやりたいようにやって、心から笑ってる人は強いんだから! ね、かっちゃん」

 

 将来を左右する大イベントで楽しさを優先する友奈に葉隠は結構押されている。周りも迷うことなく楽しさ優先な友奈に若干引き気味だ。

 友奈はその空気に気づくもスルーして、勝己に話を振った。

 

「まぁそうだな。渋々やるよか楽しんでた方がいい結果は出る。だから俺は本当にやりたくないことはやらねェ。結果に繋がらねぇからな。

 だけどそれ以前に気にすることあンだろうがアホか」

 

「アホとはなんだー! そこまで言うからには理由あるんだよねッ!? 教えて!!」

 

「プライドねぇのかてめぇ?

 簡単なこったろ。観客とスカウトは何を見に来んだ? 俺らが“個性”ガンガン使ってガチでやりあってるとこ見に来んだろぉが。だってのに目立つの重視でふざけてる透明人間いたら白けるわ」

 

「あ、ああーっ!! それはマズイ! やらかしたら将来詰むぅっ!!??」

 

 雄英体育祭は大イベントだ。功績は勿論、失態も全国放送で流れてしまう。

 “個性”を制御しきれず全裸を晒すくらいならまだ「未熟」で片づけてもらえるが、ふざけた言動や奇抜な髪型などで悪目立ちしてしまったら目も当てられない。初回で付いた悪評はなかなか消えることなく汚点として残るだろう。

 

「鼻眼鏡とか考えてたけど無し! 真っ当に行こう、真っ当に!」

 

「……考えてた目立ち方鼻眼鏡だったのか。どっちみち普通にやった方がましだったっぽいな」

 

 葉隠の目立つための策を聞いて真剣に聞いていた男子たちの空気が弛緩する。

 そんな中でも友奈はマイペースを崩すことなく、次の案の相談を女子たちに持ち掛けていた。

 

「でもさ、競技以外では目立っていいんだよね? たしかそういうのあったはずだし」

 

「ええ、全員参加のレクリエーションがあったはずです。ですがアレはルールで動きが決まっていていますし、その範囲内で変わったことをした程度では目立てないのでは?」

 

「だよねー。去年の放送だと差が大きくならないように“個性”に制限付いてるの多かったし。ヒーロー科としてはいまいち?」

 

「んん~なんかないかなぁ?」

 

「なんかやんならさ、チアリーダーとかどう? 衣装揃えて応援したら結構目立つと思うぜ」

 

「上鳴、あんたそれ自分が見たいだけじゃないの?」

 

 女子の相談に上鳴が軽い調子で割って入る。

 下心を隠そうともしていなかったので耳郎に突っ込みを入れられたが、他の女子たちの反応は割と良かった。

 

「あ、それ良さそう! 透ちゃん動き大きくて動作で感情表現上手だし、透明だから衣装も目立つよ!」

 

「私もそういうの得意ー! 案外いいんじゃない!?」

 

「確かにレクリエーションの間中やることあるわけじゃないし、いいじゃない!!? やったろ!!」

 

「ケロケロ、透ちゃんこういうの好きね」

 

「あの、私、そういうのはちょっと……」

 

「私も……」

 

「えー、ヤオモモも耳郎ちゃんも一緒にやろーよー。ほら、盛り上げ上手もヒーローの資質の一つだって! 麗日もなんか言ってやって!」

 

「……アピールチャンスは一つも逃しちゃダメ! 皆で頑張ろう!!」

 

「う、麗日? 顔が全然麗らかじゃないよ……?」

 

 否定的なのが二人いるが、八百万は押しに弱いようだし、耳郎は服装が嫌なだけでヒーロー志望だけあって目立つのが嫌いなわけではない。女子の話し合いはチアリーダーやる方向でまとまりそうだ。

 

「俺ら男子はどうすんだ? オイ尾白、砂藤、なんか言いたいことありゃ言え」

 

「うぇっ!? なんで俺ら?」

 

「テメェらは目立てなさそうだから親切で言ってやってンだ。活躍しても流されそうなモブ面しやがって。影薄いんだよ」

 

「尾白はともかく俺は濃い方だと思うんだが……」

 

「俺はともかくって酷くないか……? それに顔は言うなよ! どうしようもないだろ!」

 

「タラコ唇なだけじゃねェか。“個性”も性格も技能もヒーロー科としちゃ特徴がねェうえに華がねェんだよテメェらは。このまま埋もれたくなきゃ俺が協力してやる気になってるうちになんか考えとけ」

 

 考えた結果、結局男子は特に何もやらないことに。

 尾白曰く、実力をアピールするのに専念したいとのこと。放課後、一緒に特訓をすることが増えました。

 





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