爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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体育祭開幕

 参加種目の決定。

 それに伴う個々人の準備。

 2週間はあっという間に過ぎ、ついに迎えた雄英高校体育祭当日。

 1年A組のメンバーは控え室に集まり、入場の時を待っていた。

 

「コスチューム着たかったなー」

 

「公平を期すために着用不可なんだよ。鍛えた自分の“個性”だけで挑めってさ。サポート科も自作したアイテムだけらしいし」

 

「となると挑む気がない経営科は置いといて、強みがない普通科が一番不利なはずなんだよな。なんか今年はおっかないの何人もいたけど」

 

「普通科もヒーロー科に編入できるよう強“個性”持ちを面接で通したりしてたらしいからなぁ。気ぃ抜いてたら俺らもやべーよ」

 

 緊張を紛らわせるため雑談に興じる者がいる。

 無言で精神を研ぎ澄ます者がいる。

 落ち着けず掌に人と書いて飲んでいる者もいる。

 そんな中、入場直前に轟が勝己と友奈に話しかけた。

 

「爆豪、結城、お前らオールマイトに目ぇかけられてるよな。

 成績か将来性か他に何かあるのか、理由を詮索する気はねぇが……お前らには勝つぞ」

 

「おお!? クラス最強決定戦か!? なんでか結城巻き込まれてるけど」 

 

「無愛想な感じだったけど轟も案外熱いじゃん! 楽しくなってきた!!」

 

 突然の宣戦布告に盛り上がるクラスメイト達。

 しかし当の本人たちはそんな空気ではない。

 轟の目はここにはいない誰かへの憎悪で曇り、勝己と友奈を無視してその後ろにいるオールマイトへと喧嘩を売っていた。

 友奈は轟の目を見て心配する気持ちが隠せず表情に現れ、勝己は苛立たしさを隠しすらしない。

 

「俺に宣戦布告すんのは望むとこだけどよぉ……どこ見て言ってんだクソが」

 

「あ?」

 

「喧嘩売ンなら相手見ろや。んなよそ見したままじゃ他の誰かに足元掬われて終いだ。買う価値もねぇ」

 

「んだと……ッ」

 

「ちょ、落ち着けって! 爆豪もあんま煽り過ぎんな!」

 

 上鳴が轟を抑えるも、勝己は気にもかけず取り合わない。特に煽ってる気もないからだ。

 

「本戦上がってまだ言えりゃ受けたらァ。それまで精々気ィ張っとけ。他の連中も行くぞ、入場時間だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『雄英体育祭!!

 ヒーローの卵たちが我こそはと鎬を削る年に一度の大バトル!!

 どうせテメーらアレだろこいつらだろ!!?

 ヴィランの襲撃を受けたにもかかわらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!

 ヒーロー科!! 一年!!! A組だろぉぉ!!?』

 

「持ち上がられ過ぎて申し訳ないんだけど」

 

「俺ら避難しただけだったもんなぁ……」

 

「公表されてる情報だけだとそういう評価になるのはわかるんだけどさぁ……! マイク先生事情知ってるんだから手心加えるとかないの?」

 

 盛り上がる会場とは裏腹に、A組のテンションは一気に下がった。

 先日のUSJルーム襲撃事件、対外的には「オールマイトがA組の指導中にヴィランが襲撃。生徒の迅速な行動もあり全員逮捕」くらいしか情報が流れていない。なのでA組全員が頑張ったみたいに思われているのだ。

 実際のところ活躍したのは黒霧を倒した勝己、通常の機器よりジャミングに強いサポートアイテムによって早期に連絡を入れた上鳴、避難誘導を手伝った八百万と友奈くらいである。他は避難誘導に従っただけだ。

 パニックを起こさず、先走って殴りにも行かず誘導に沿って行動できたというのは評価ポイントなのかもしれないが、ヒーローの卵としてそれで納得できる者はいなかった。

 

『次ヒーロー科B組! 続いて普通科C・D・E組! サポート科F・G・H組も来たぞー! そして経営科I・J・K組だ!』

 

 A組に比べ明らかに雑な紹介で他のクラスの生徒が入場していく。

 当然不満はあるようで、B組はひそひそと相談を続けていた。

 

「……物間、やっぱ俺も参加するわ。さすがにこれは我慢できねぇ」

 

「オッケー。大人数でやった方が効果は大きいだろうからね。歓迎するよ」

 

 一方普通科。

 彼らは反応が真っ二つに分かれていた。

 かったるそうな態度を隠すこともなく、嫌々勝ち目のない体育祭に参加している者が7~8割。名門校という理由で入学し、ヒーロー事務所の事務員や警察などの公務員を目指している者たちだ。彼らにとって体育祭は他の誰かが称えられるだけの面倒なイベントである。

 残りの2~3割は称えられたA組を見て瞳をギラつかせている者達だ。A組と共に放課後の自主訓練を行った連中であり、体育祭が終わるころにはあの歓声を自分の物にしてやるという欲望が抑えきれずに表情に出ていた。

 

 そんな風にざわついた空気を引き締めるように、主審を行う教師―――18禁ヒーロー「ミッドナイト」―――が鞭を鳴らして開会式を進行した。

 

「選手宣誓!! 選手代表!! 1-A、爆豪勝己!!」

 

 勝己が呼ばれ、檀上に上がる。ヒーロー科一般入試首席合格者が選手宣誓を行うのが毎年の恒例だ。なお2年生以降は昨年の優勝者が選手宣誓を行うのだが、今年は昨年度優勝者がヒーロー科を除籍になっていたのでもめたとオールマイトが愚痴っていた。

 A組一同嫌な予感がする中、勝己が選手宣誓を行った。

 

「宣誓。俺が一位になる」

 

「絶対やると思った!!」

「調子乗んなよA組オラァッ!」

「どんだけ自信過剰だよ!!」

 

 A組からのツッコミと、B組からのブーイングが響く。そんな中、ヒーロー科以外からも大声を上げる者がいた。

 

「僕だって負けやしない!! 君も乗り越えて一位を取ってみせるッ!!」

 

 一人が一位を取る宣言をしたのを皮切りに、サポート科と普通科から次々と名乗りを上げる者が現れた。始めブーイングしていたB組が引くほどの熱量だ。

 それを聞いた勝己の顔には心底楽しそうな凶悪な笑みが浮かんでいた。

 

「上等だッ! 雄英の校訓(プルスウルトラ)忘れんじゃねェぞテメェら!!」

 

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