爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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障害物競走1

「さーて、それじゃあ早速第一種目行きましょう!

 いわゆる予選よ! 毎年多くの者が涙を飲むわ!! さて運命の第一種目!!

 今年は……コレ!!!」

 

 ミッドナイトの司会に合わせ、モニターにでかでかと『障害物競走』と表示された。

 

「計11クラスでの総当たりレースよ! コースはこのスタジアムの外周約4km!

 我が校は自由さが売り文句! ウフフフ……コースさえ守れば何をしたって(・・・・・・)構わないわ!」

 

 なお去年も予選で似たような説明がされたが、レース中は何をしても許されたが体育祭終了後に除籍になった生徒もいる。ヒーロー候補がダーティすぎる戦法取るのはアウトだった。当然である。

 

「さあさあ位置につきまくりなさい……」

 

 スタートゲートが開き、明かりが一つ消える。スタートゲートはヒーロー科の生徒が並んでいた場所の後ろにあり、ヒーロー科有利な状況だ。

 明かりがさらに一つ消える。サポート科、普通科もスタートゲートに近寄ってくる。経営科だけは少し離れて観戦の構えを崩さない。

 そして妙に時間がかかったように感じる中、最後の明かりが消えた。

 

「スタ――――ト!」

 

 ミッドナイトの合図を受け、選手たちが一斉に駆け出した。

 人数に対して小さなスタートゲートでは人が詰まり、思うように前に進むことが出来ないでいる。

 そんな中、人混みも無視して真っ先に突き進む者がいた。

 

「ハッハー! 先頭走ンのは俺だァ!!」

 

 勝己は掌で起こした爆発でゲートに殺到する者達の頭上を飛び越え、そのまま着地することなく空へと上昇していく。どうやら走ることなく空路で行くつもりのようだ。

 他の者がどうにかゲートを超えたとき、勝己は一人グングンと加速していく。スタート早々、完全な独走状態だ。

 

「させる、か……クソ!」

 

 轟が勝己を追おうとしたが、スタートゲートを超えた途端に目に入った第一の障害を見て断念した。

 

『さぁいきなり障害物だ! まずは手始め……

 第一関門、ロボ・インフェルノ!!

 っていきなり一人飛び越えやがった! せっかくの障害無視はひでーぜ!』

 

 プレゼント・マイクの解説通り、巨大なロボットがコースを埋め尽くす。

 一般入試の時の0P仮想敵「エグゼキューター」だ。その足元には1P仮想敵「ヴィクトリー」が待機しており、地上を進む限り迂回できるスペースなど一切残っていない。対ロボットだと“個性”が活かせないから普通科やサポート科に入り、体育祭で逆転を狙った生徒には嫌がらせとしか思えない関門だ。

 しかしこの金がかかった関門も勝己にとっては障害になり得ない。スタートゲート同様にロボットたちの頭上を既に悠々と通り抜けている。

 巨大なロボットの脅威と先頭に振り切られる焦りから皆が悩み足を止める中、一人駆け抜ける者がいた。

 

「勇者、パーーーーンチ!」

 

 友奈の拳がヴィクトリーを吹き飛ばし、ピンボールのように数体まとめて破壊する。

 オールマイトの予想通り、10%まで引き出された“ワン・フォー・オール”であればこの程度は簡単なことだ。

 そのまま流れるようにパンチとキックで群がってくるヴィクトリーを破壊し、エグゼキューターの足元を突き進む。友奈が通った後にはヴィクトリーのいない空間が出来上がっていた。

 

『勇者パンチってブレイブのフォロワーか!? 1-A結城! ロボットごときものともしねぇ! だがこいつぁ悪手じゃねぇか!?』

 

 友奈が切り開いた道を大勢の選手が走る。

 エグゼキューターはその巨体ゆえに小回りが利かず、こんなに多数を狭いコースに並べればなおさらだ。その隙を埋める予定のヴィクトリーがいなくなったことで、一般入試を潜り抜けたヒーロー科は勿論、A組と訓練を受けていた普通科やサポート科の生徒も簡単に通り抜けることが出来ていた。

 傍から見ると友奈だけが疲労して、振り切るどころか他の選手をアシストしてしまった状況だ。

 

『他人を蹴落とそうとしてねぇんだろうな。先頭を追いかけるのに最速の手段がコレだったってことだろ』

 

『あくまで狙うは一位ってか! いいじゃねぇかそういうの! だが先頭はすでに第二関門突破してるぜ!? 気張りなリスナー!!』

 

 ロボットに手間取る間に勝己はガンガン進んでいるとアナウンスが流れる。

 ゲートを出ていきなり第一関門だったのだから、実は第十関門まであって、第二関門突破でもそこまで進んでいない可能性はある。だがその逆の可能性だってあるのだ。

 喧嘩を買う価値もないと言い切られた轟は、その言葉が事実だったと証明するかのような状況を打破すべく最速での移動を開始する。

 

『おおっ!? 氷の連続精製で移動か! 速ぇ上に残った氷が後続にとってすげー邪魔!』

 

『ロボットがいなくなったから取れる手だな。障害物がある状態だとぶつかって怪我、最悪脱落もありうる』

 

 友奈と轟が勝己を追いかけ、後続を振り切って突き進む。

 しかしまだまだ“個性”を掌握しきれていない友奈と本領は固定砲台な轟。彼らでは高速機動タイプの勝己の背中を発見することはできなかった。

 

『1-A爆豪、二位以下に大差をつけて今ゴール!! 空飛べるってのはやっぱりずりぃな!』

 

『プロの世界でも空を飛べるってのはデカい武器だ。それを使って何が悪い』

 

「クソッ、ゲート越える前に足止めしておくべきだったか!?」

 

『1-A轟、音声拾われてるぜー。 実際どう思うよイレイザー?』

 

『まぁ一位を取らせたくないならそれしかなかったな。他の奴は爆豪もろとも轟に凍らされるの警戒して足止めはやらなかったし。ただその場合、轟も予選で脱落することになっただろうが』

 

『どのみち防ぎようなかったか! まぁ気にすんなリスナー! こりゃあくまで予選! 通過の定員に入ればそれでオーケーだ!!』

 

 ここでの順位は大きな影響はないと実況は語るが、そんなことで納得できるような奴は首位争いをやろうとしない。

 とはいえ決まってしまった順位を覆す手段もない。友奈も轟も二位を勝ち取るため次の障害物に備えて余力を残して走り続けた。

 

『トップ素通りのせいでようやく紹介だぜ第二関門! 落ちればアウト! それが嫌なら這いずりな! ザ・フォーーーール!!!』

 

 長い階段を上った先では峡谷のごとく地面が掘られており、数十の足場がロープで繋がれていた。これを伝って移動しろと言うことだろうが、空を飛べる勝己には何の障害にもなっていない。あの速度での突破も納得だ。

 この障害を見て轟は進むことを躊躇った。氷をロープに纏わせて道幅を広げれば難なく進めるが、友奈に殴り砕かれ揺らされると落下してしまう可能性がある。迂闊に先行はできなかった。

 友奈はと言うと轟を警戒する必要もなく、助走をつけて大ジャンプで近くの足場に飛び移った。そのままピョンピョンとロープを無視して足場を跳び進んでいく。

 

『結城一歩リード! 轟も結城が進んだのを見て進み始めたぞ!』

 

『ここで轟が先行するのは危険過ぎるから、合理的な判断だな。……っと、ロープに纏わせた氷は溶かして進むのか。ここでは結城に近づけない以上、後続に道を残さず順位を維持するのもまた合理的だ』

 

 相澤の解説は間違えてはいないが、半分しか当たっていない。ロープの氷を溶かしたのは後続に道を残さないと共に、氷結の使い過ぎで下がった体温を戻すためだ。後の追い越しを狙っての行動である。

 

「……ッ!」

 

 だが友奈の進む速度が想定より速い。障害物競走も終盤に入って温存はやめるのは予想していたが、それを超える速さだ。体温の調整をしていては間に合わない可能性が高い。

 最初から炎と併用していれば、今のように立ち止まる必要もなかった。憎き父や宣戦布告を受けることすらしなかった勝己の言葉通りの現実に歯噛みしながら、轟は行動を縛った上での最適解を出すことに専念した。

 

 

 

 

 

 

 そして迎えた最終関門。

 

『最終関門! 一面地雷原!! 怒りのアフガンだ!!!

 地雷の位置良く見りゃわかるし威力は大したことねぇ! だが音と見た目は派手だから失禁必至だz……って結城地雷無視して進んでやがる!!』

 

『爆豪と幼馴染らしいし、あのくらいの爆発なら慣れてんだろうな。言った通り威力控えめで、結城ならバランス崩しても立て直しは簡単で探す方が面倒なくらいだし』

 

 友奈の爆走が止まらない。轟との差を詰めさせることなく、ゴールゲートを潜り抜けた。

 

『1-A結城、第二位! 1-A轟、第三位! ここからは団子状態だし、順位などは後でまとめるからとりあえずお疲れ!!』

 

 

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