爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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騎馬戦2

『よォーし組み終わったな!!? 準備は良いかなんて聞かねぇぞ!!

 いくぜ!! 残虐バトルロイヤルカウントダウン!!』

 

『3!』

 

「よーし、行っくよーーーっ!」

 

「ええ結城さん!」

 

「騎手は俺なんだがな」

 

「元気出セヨ」

 

 常闇チーム

 ・常闇 180P

 ・結城 205P

 ・摸武 135P

 TOTAL 520P

 

『2!!』

 

「狙いは一つだ……」

 

「勿論、わかっているとも!」

 

「せっかく別のチームになったのです。一矢報いてやりましょう」

 

「俺も試合中にアホにならない程度に頑張らせてもらうわ」

 

 轟チーム

 ・轟   200P

 ・飯田  185P

 ・八百万 125P

 ・上鳴   70P

 TOTAL 580P

 

『1!!!』

 

「やるこたぁわかってんなテメェら」

 

「ああ、狙うは総取りの一人勝ち」

 

「足を止めずに動き続ける!」

 

「相手の足は何度でも止めてく! 基本を忘れず攻撃的に、だろ!」

 

 爆豪チーム

 ・爆豪 1000万P

 ・瀬呂   175P

 ・障子   145P

 ・芦戸   110P

 TOTAL 10,000,430P

 

『START!!!!』

 

 誰とも組めなかった峰田が早々にロボットから伸びたワイヤーアームで回収される中、いよいよ騎馬戦が始まる。

 まず最初に狙われるのは当然勝己だ。

 

「実質それ(1000万)の争奪戦だ!」

 

 鉄哲が騎手を、骨抜、泡瀬、塩崎が騎馬を務めるB組チームの騎馬が真っ先に突っかかる。その左横からは蛙吹チーム(騎馬:耳郎、砂藤、口田)が隙を狙っている。

 

「いきなり二組。どうする爆豪?」

 

「跳び越えてついでにハチマキ奪う。着地に備えろ。障子は舌と耳警戒だ」

 

 言うや否や勝己が手を下向きに構えると、骨抜が地面を柔らかくするより先に前転するように飛び上がった。

 

「んなっ!?」

 

「ハチマキ寄こせやオラァッ!」

 

 頭上を跳び越えながら、鉄哲のハチマキを奪いにかかる。

 鉄哲は騎馬に負担をかけ過ぎないよう、腕部と頭部だけを鉄化して迎撃するが当然ながら踏ん張りが効かない。慣れない頭上からの攻撃と言うのもあって、迎撃は軽く受け流されハチマキを奪われることになった。

 

「幸先いいなァ高得点ハチマキゲットだ!」

 

「舌もイヤホンジャックも来なかったな」

 

「この速攻ならそりゃそうだ! 反転めんどいし梅雨ちゃんより先に他取りに行こう!」

 

「後ろ騎馬の脚だけでもテープで縛っとくぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところ代わって実況席。

 

「ヒュー、やるなぁ! 爆豪チーム早々にハチマキ奪取ゥッ!」

 

「爆豪の本領は空中戦だ。重りが付いていようが頭上取られた時点で分が悪い。迎撃じゃなく体を屈めてハチマキを守ることに徹するべきだったな」

 

 モニターには開始早々にハチマキを奪い取る爆豪チームが映し出されていた。

 しかしそれだけではなく、フィールドの各所でハチマキの奪い合いが発生している。開始早々乱戦状態だ。

 

「そういやよぉイレイザー? 選手宣誓で真っ先に爆豪に挑戦状叩きつけたやつどうなってる!? 俺どいつか忘れちまってよ!」

 

「忘れんな。あいつだ、赤谷チームの騎手」

 

 相澤の指示に従い、カメラロボが赤谷チームを中心に映像を流す。

 そこでは騎手が盾を構えて相手の攻撃を防ぎ、もう片方の手からワイヤーを射出しハチマキを狙ったり騎馬を地面に縫い留めたりと器用に立ち回っていた。

 

「サポート科だったか! 便利そうなアイテム使ってんな! あいつの“個性”は!?」

 

「ねぇよ。“無個性”だ」

 

「『『『『『『ッ!!!???』』』』』』」

 

 プレゼント・マイクと画面の向こうの視聴者たちに動揺が走る。

 “個性”持ちと“無個性”の肉体的な違いを超常黎明期以前の常識で例えると「猛獣と人間」になる。つまり遊びでじゃれついても死にかねないくらいの差だ。そんな肉体しか持たない者が雄英体育祭でこうして活躍できているのだから目を疑うのも当然だろう。

 

「まぁ“無個性”と言っても騎馬の三人が上手く援護している。今の状況も他より連携が上手いだけと言えるな」

 

 後ろ騎馬の慄木(おののき)恐介(きょうすけ)の“個性”は“恐怖”。文字通り標的に自身のことを怖いと思わせる“個性”だ。これにより相手の騎手は赤谷に碌に集中できていない。

 もう一人の後ろ騎馬は黒田(くろだ)時覚(ときさと)。“個性”は“体内時計”。自身や周囲にいる者の体内時計を狂わせ、走馬燈のごとく思考を加速して考える時間を稼いだり、逆に遅くして全てが超スピードで動いていると思わせたりできる。これによって赤谷は考える時間が与えられ、冷静に最善手を打つことが出来ていた。

 最後に前騎馬の尾白。後ろの二人が肉体的には強い方ではないので、騎馬の要になっている。またピンチになれば彼が尻尾で赤谷を動かして一旦距離を取り、すぐに戻して反撃に移らさせていた。

 

「それにしたって無謀過ぎるぜ! 軽く殴られただけで死にかねぇぞ!?」

 

「そうだな。だが“無個性”の身でヒーローを目指す手段としては合理的だ。サポートアイテムを作るにも金が要るが、ただの“無個性”に金を出してくれるスポンサーなんかいない。それするくらいなら同じ道具を“強個性”持ちに渡すからな。だが雄英体育祭優勝っていう肩書があればワンチャンくらいはある」

 

「……お前見込みのない奴は早々にヒーローになるの諦めた方がいいって考えじゃなかったっけ? キャラ違くね?」

 

「俺が何言おうが諦める気ねぇだろアイツは。それにヒーローを目指す手段も真っ当な方法、騎手を任されるだけの準備も運もあった。開発者になるにしてもヒーローの視点を知ってることは無駄にはならないし、ルール違反しない限りは応援してるさ。応援だけならタダだ。

 何より夢を叶えられたならアイツは誰より雄英生の鑑だったってことだからな」

 

「……んなガキもいるんだなオイ。今年の一年はA組だけじゃねぇな!!

 って言ってる間に赤谷ハチマキ取られてんじゃねぇか!!」

 

「頑張ってはいるがそんなの全員同じだからそういうこともある。時間はまだあるんだ、気にするほどでもない」

 




 というわけで今回の内容は「ヒロアカ世界で“無個性”がヒーローになるためには」のこの二次創作での設定でした。

 『最低条件』が雄英体育祭優勝とか言うクッソ険しい道。しかもヒーローになってからの方がもっと過酷でしょう。そりゃオールマイトも“無個性”じゃ無理って言います。

 この道を進むために必要なのは「やる」「なる」って断言できる決意だと思います。
 「やってみなきゃわからない」って運任せや「ヒーローになれますか?」って尋ねる他人頼りじゃ無理な進路です。

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