爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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騎馬戦3

「クソッ、やられた……ッ!」

 

 騎馬戦も折り返しを過ぎた頃、轟チームは窮地に陥っていた。

 1000万Pを有する爆豪チームは機動力があり過ぎて捕捉できず、常闇チームは摸武がいるせいでどこにいるのかすら判然としない。

 そのせいで数チームを返り討ちにし、ハチマキを奪取した轟チームに0Pが群がってきていたのだ。特に厄介なこの騎馬も含めてだ。

 

「案外簡単に沈めれたね。じゃ塩崎、あとよろしく」

 

「ええ、任せてください」

 

 B組の鉄哲チームだ。

 骨抜の“柔化”によって轟チームの騎馬は足が沈み固定され、塩崎の“ツル”によって休みなく攻められ続けている。

 轟がツルを凍らせて砕くことでどうにか防げているが、“個性”の発動にデメリットのない塩崎の方が持久力が高い。攻め落とされるのは時間の問題だろう。

 

「後先考える余裕はねぇか……。八百万、棒をくれ!」

 

「はい!」

 

 渡された棒を鉄哲チームがいる左側の地面に当て、逃げ場を残さない大規模な凍結で鉄哲チームをまとめて氷漬けにする。騎馬戦をしている間は溶かす余裕などないだろうし、爆豪チームを追うとなれば邪魔になるかもしれないがこのままやられるよりはマシだ。

 他の騎馬が凍結を警戒して及び腰になっているうちに地面から抜け出さなくては勝ち目がない。幸い地面を固くするのはできないようなので、脱出自体は妨害がなければ容易だろう。

 だが現実はそううまくはいかなかった。

 

「冷てー。でもそんだけだね。相性良かったみたい」

 

「なんだとっ!?」

 

 氷塊全てではないが、鉄哲チームの騎馬が通れる程度の量の氷が柔らかくなり崩れて道が出来た。

 骨抜の言う通り相性が悪すぎる。轟が炎を使わない限り、この相性差を覆すことは不可能だろう。

 

「じゃ再開ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いつまでやってんだ轟チームに鉄哲チーム、あとハイエナ共!? もうとっくにハチマキなくなってんぞ!!?』

 

「「ッ!!!???」」

 

 轟が慌てて頭と首元を確認する。

 プレゼント・マイクの実況通り、そこにはハチマキが一つもつけられていなかった。

 

「また摸武の奴か! もうこいつらに構ってる場合じゃねぇぞ!」

 

「わかった! じゃあこれで最後の嫌がらせだ! 塩崎!」

 

「ええ、わかってます」

 

 骨抜が柔らかくした土を塩崎のツルで掬い上げ、大波を作り出す。それは轟チームに降りかかり、氷で防がれた。その防いだ氷ごと地面に沈んでいく。

 

「よし、これならもう動けないでしょ。早くハチマキ取らないと」

 

「常闇チームはどこいるかわかんねぇ! 爆豪チーム狙うか!」

 

「いや、分けて考える必要はなさそうだ」

 

「あ?」

 

「見りゃわかる。それより早くいくぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺のために集めてくれてありがとよ! 貰ってくぞオラァッ!」

 

「くっ……!」

 

「モウヤダ! 逃ゲタイ!」

 

 残り時間もあとわずか、勝己が閃光と爆音をまき散らして猛然と攻め立てる。

 対象は爆豪チーム以外で唯一のハチマキ持ちの騎馬、常闇チームだ。

 モブキャラ化したまま友奈の機動力と常闇の射程でハチマキを荒稼ぎしていたが、終盤に入ってついに爆豪チームに捕まった。モブキャラ化はあくまで見分けづらくするだけなので、友奈を勝己が見分けられないはずもなくあっさりと看破され追い詰められてしまったのだ。

 そこからはもう一方的だ。

 常闇のダークシャドウは閃光ですっかり萎縮し、騎馬が離脱しようとしても障子の腕が邪魔で逃げきれない。

 とうとう勝己の指が常闇の持つハチマキに引っかかった。

 

「……ぐぅッ!」

 

「ああ゛!?」

 

 常闇が強引に体をよじり、全てのハチマキが取られないように動く。

 結果、ハチマキは一つだけ外れて地面に落ち、常闇チームの騎馬が崩れることになった。

 

「審判! この場合どうなる!?」

 

「落ちたハチマキは今からロボットが放り投げるわ! 落下し始めたら取ってよし! キャッチしたチームのモノよ!」

 

 爆破で近づいてくる騎馬を牽制しつつ発した質問にミッドナイトが答えた。

 見てみると先ほどまで遠巻きに撮影していたロボットが猛スピードで近づいてくる。こいつが打ち上げるのだろう。

 

「どうする爆豪!?」

 

「どうするもねぇ! 俺ァ復帰し次第常闇のハチマキを狙う! 瀬呂! テメェが上のハチマキ狙え!」

 

 行動方針はあくまで全取り。そこはブレない。

 一方他の騎馬はというと、無理して勝己と常闇からハチマキを奪うより空中のハチマキの奪い合いに備えた。2チームを除き0Pの現状、これを取れば3位で勝ち上がれる可能性が高いからだ。

 

「塩崎、頼むぞ!」

 

「お任せを!」

 

「梅雨ちゃん、頑張って!」

 

「ちょっと遠いけどやってみるわ」

 

 未だ拘束されておらず、近づけた騎馬たちからツルや舌が伸ばされる。

 そしてその全てが空を切った。

 

cだおsgんヴぉsんvじょsvfs(全員速めた! あと任せたぞ!)!」

 

「黒田くん無理させてゴメン! でもこれでハチマキ、取れた!」

 

 後方の赤谷チームからワイヤーが伸び、ハチマキをさらっていく。

 他の騎馬たちはまだ黒田による妨害―――体感時間の短縮。赤谷への援護とは逆に、全てが高速で動いているように感じる。―――によって動くことが出来ない。

 そして常闇チームは妨害に巻き込まれたことで騎馬を組むのに失敗。立て直しもできていない。

 爆豪チームは動き出していなかったので転倒こそしていないものの、身動きが取れる状況ではなさそうだ。……なさそうなのだが勝己だけは赤谷チームをしっかりと見据えている。体育祭前の訓練でも思考できないまま反射だけでボコられたことすらあったし、何らかの対策を身に着けていてもおかしくない。危険は冒さないという選択肢を赤谷チームは選んだ。

 赤谷チームは他の騎馬から距離を取り、ようやく他の騎馬たちが元の感覚に戻ったところで主審からの宣言が響いた。

 

「TIME UP!!! 全員プレーをやめなさい! 結果発表を行うわ!!」

 




 かっちゃんは特訓期間の間に黒田の「体感時間短縮」「体感時間延長」を受けたことで感覚を覚えて、走馬燈状態に自由になれるようになってます。
 それで「体感時間短縮」は中和できてるので、欲張ってハチマキ取りに行ったら反撃受けてました。
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