「じゃあ早速、最終種目進出者を上から順に実況が読み上げていくわよ!」
『第一位爆豪チーム!』
「ハチマキ集まんなかったクソァッ!」
「おしかったな。まさか黒田があそこまで出来るとは」
「確かにすごかった。あんだけの人数いっぺんに止めるとか無茶苦茶だわ」
「手疲れたー」
まず最も多くのハチマキを集めた爆豪チームが呼ばれた。
1000万Pのハチマキを誰にも取られないままの勝利なので十分すごいことなのだが、騎手の勝己が本気で悔しがっているのでいまいち喜べていない。
『第二位、常闇チーム!』
「どうにか、残せたな……!」
「モウヤリタクナイヨ!!」
「ごめんなさい、私が結城さんに付いていければ爆豪くんからも逃げきれたのに……」
「乃子ちゃんのせいな訳ないよ。最後のは障子くんの包囲もすごかったし、何よりここまでハチマキ集められたのも乃子ちゃんのおかげなんだから!」
第二位はアサシン戦法でハチマキを荒稼ぎした常闇チーム。
閃光で
『第三位、赤谷チーム!』
「やった……ここまで来れた……!」
「赤谷ィ! 一番攻撃受ける騎手をよくやり切ってくれた! 黒田も尾白もありがとな!」
「俺もお前らと組めて良かったよ。てか黒田のやつ大丈夫か?」
「………………………………………………………………………………」
第三位は最後の最後でハチマキを獲得した赤谷チーム。
最大の功労者である黒田は目が虚ろで話しかけようが何の反応もない。一人で立つことすら出来ないため、赤谷と慄木で肩を貸していた。
「で次は最後までハチマキ持ってた轟チームなんだけど……生き埋めにされて進出させるのも問題ね。それに常闇チームが三人だから一チームだけ進出させると数が半端だわ。
って、そういえば赤谷チーム、黒田は午後の部までに復帰できそう? 無理そうなら代わりの人員選んどかないと駄目なんだけど?」
「えーと、ちょっとここまで大人数の時間を操作してたとこ見たことないのでなんとも……」
「ただ人数多い程復帰に時間かかるし、復帰しても本調子とはいかないんで予備を選ぶって感じで処理してもらえると助かります」
黒田の個性“体内時計”は自身の体感時間を操作して考える時間を確保したり、他人の体感時間を操って行動を阻害することが出来る。ただしやり過ぎると自身の体感時間が乱れ、正常に周囲を認識できなくなってしまうのだ。その上意識がある程度戻った後も、酔ったような感覚が結構長く続く。
その報告を聞いたミッドナイトは少し考えた後、鞭を鳴らして判決を告げた。
「んー、悪いけど予備とかは無し! 黒田くんはここでリタイアとして扱わせてもらうわ! さっきのアレでアピールとしては十分だし、彼が全力を出したことを後悔しないよう報いることを約束します!
と言うわけで! 第四位の轟チームと彼らをギリギリまで追い込んだ鉄哲チームから六人!! 最終種目に進出してもらうわ!!!
0P同士、衆人環視の中で蹴落とす人間を選びなさい!」
ミッドナイトが煽るがこれで本当に言い争いになれば恥の上塗りだし、最終種目でパッとしない結果で終わればさらにドンッである。当然ながら言い争いにはならない。
むしろ自分が進出することが納得できず、辞退するものが現れた。
「なら僕がリタイアする。骨抜くんの柔化に捕らわれたのは機動力担当の僕の落ち度だ。これで進出するわけにはいかない」
「なら俺もやめとく。騎馬の一人ってだけで活躍はできてねーし、タイマンなら鉄哲の方が強い。勝ち目があるやつに賭けるさ」
飯田と泡瀬がリタイアを申し出た。
飯田は自責の気持ちが強いが、泡瀬はもっと打算だ。触れているモノをくっつける“溶接”という“個性”を使うのだが、例年通りだと最終種目のガチバトルでは余計なものが何も置いていない。道具の持ち込みもなしなので、本領発揮とは程遠いのだ。なので恥の上塗りを避け、仲間思いな面を押し出すアピールを行ったのである。
「じゃあこれで決まり! 時間もないし、もう異論は認めないわ!」
『以上16名が最終種目へ進出だあああーーーーーっ!
一時間ほど昼休憩を挟んで午後の部だぜ! じゃあな!!』
昼休憩終了。
『さぁさぁ皆楽しく競えよレクリエーション!
それが終われば最終種目、総勢16名からなるトーナメント方式!!
一対一のガチバトルだ!!!』
「それじゃあ早速組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!
レクに関しては進出者16名は参加不参加は自由よ。息抜きしたい人も温存したい人もいるしね。
では一位のチームから順に来て頂戴!」
勝己からくじを引いていき、結果がモニターに映し出されていく。
最終的に組はこうなった。
第一試合 障子 VS 爆豪
第二試合 塩崎 VS 上鳴
第三試合 尾白 VS 鉄哲
第四試合 結城 VS 骨抜
第五試合 赤谷 VS 八百万
第六試合 常闇 VS 摸武
第七試合 轟 VS 慄木
第八試合 瀬呂 VS 芦戸
勝己は第一試合から騎馬戦のチームメイトとの試合だ。
友奈はB組の骨抜との試合。普通に強いんじゃなく、支援タイプの強さなので圧勝か完封されるかのどちらかになるだろう。
勝己としては友奈には赤谷と戦ってもらいたかったが、別のブロックになってしまったので戦うことはないだろう。
勝己が友奈と関わらせたくないのは、強いヴィランより狡い奴、卑怯な奴だ。根が善良過ぎる友奈にとってそういうやつは天敵なのである。
しかし他人の夢を踏み潰してでも我を通す強かさを身に着けることが出来れば、辛くともやりあえるようになるかもしれない。
だから勝己は友奈が赤谷に勝てれば肩を並べて戦うことを認めるつもりだったのだが、こうなっては仕方がない。試合の中で直接気持ちをぶつけ合い、どちらが我を通すか決めるしかないだろう。
『これで決まりだぁっ!
じゃあトーナメントはひとまず置いといて、イッツ束の間楽しく遊ぶぞレクリエーション!』
「よーし、後のことは忘れて遊ぶぞー!」
「余興だろぉが手ェ抜かねぇぞ! 何の勝負だろぉが勝つのは大好きだ!」