爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

31 / 39
二回戦

『さぁて次はいよいよ第二回戦! ここからはタイマンでも強い奴しか残ってねぇぞ!

 今回の体育祭トップの成績! ヒーロー科の爆殺王、爆豪勝己!

 B組唯一の生き残り! 綺麗な花には棘がある、塩崎茨!』

 

「それではスタ――――ト!」

 

 試合が始まるも、展開は一方的な物になった。

 塩崎がツルを伸ばして壁を作っても爆破で焼き尽くされ数秒も持たず、迂回させて襲い掛かっても障害物が何もないフィールドでは不意を打てない。結果、勝己の常軌を逸した反応速度によって全て焼かれ迎撃される。

 また塩崎の“ツル”はデメリットもなく持久戦も可能な万能“個性”であり、凌ぎ続ければいずれ逆転できるという算段もあった。だが勝己もまた過剰な火力を出さない限りデメリットがない“個性”であり、そのタフさは学年一である。相手が悪かったというほかない。

 じりじりと塩崎が押し込まれ続けていく中、実況のプレゼント・マイクが違和感を感じた。

 

『……なんかやたら時間かかってね? 塩崎も一年としちゃすげぇハイレベルだがよ、爆豪ならドカンと場外に押し出せるんじゃ?』

 

『出来なくはないだろうが、塩崎の粘り方次第で加減を失敗する可能性もある。でもってツルを焼き尽くして場外まで吹き飛ばす火力だと体操服じゃあっという間に燃え尽きるぞ。

 体育祭が興行だってのを理解してるからこその振舞いだな。あいつは言動は荒っぽいが、空気を読んでやり過ぎないから担任としては楽で助かる』

 

「余計なこと言わねェでいいんだよ!!」

 

「この大舞台で手加減していたとは事実ですか!? 酷い侮辱です!」

 

「やらかしたら俺が社会的に死ぬだろうがふざけんじゃねェぞクソアマァァアアアッ!!!!」

 

 ハイレベルな攻防が一転、ただの言い争いになった。特に勝己の表情は必死である。

 全国放送の雄英体育祭で女子の服を焼き払ったなど記録に残れば、勝己にとって大きな汚点となるだろう。体が火傷だらけになっていればさらに批判が増すことも想定できる。No.1ヒーローになる為にそんな失態を犯すわけにはいかないのだ。

 観客席ではプロヒーローの一部が「あるある」と笑い、頑固で融通の利かない対戦相手の時に解説されてしまった勝己に同情していた。

 

「どうしても本気は出していただけないようですね。

 では私はリタイアしますので、後日コスチュームを装備し再度試合を挑ませていただきます。敗れるにしてもあなたの全力を体感し糧とさせていただきたいので」

 

「……ああ、もうそれでいい! 試合に関しちゃいつでも受けるが、他の奴の訓練相手とかもやれよクソが!」

 

「わかりました。ではそういうことでミッドナイト先生、お願いします」

 

「塩崎さんリタイア! 爆豪くん三回戦進出!」

 

 

 

 

 

 

 

 

『さっきはちょい締まんねぇ終わり方だったが次こそは!

 “強個性”対決から一転、武術使い同士の対決だ! 尾白VS結城!』

 

『超常黎明期以降、武術は一気に廃れたから結構レアな試合だ。派手さはないかもしれないが、わかるやつには見物だぞ』

 

 武術とは効率よく体を動かし相手を倒すための技術だ。

 しかし超人社会な現代、体のサイズや手足の数、特殊能力が異なるなどよくあること。効率のいい体の動かし方や制圧の仕方も、人によって大きく異なる。そのせいで多くの武術は「実用性のない物」になってしまったのだ。“無個性”や異形要素の少ない“弱個性”向けにわずかに残っただけマシだろう。

 そしてそんな「役に立たない物」を鍛えて大舞台に上った者同士でのガチバトル。雄英体育祭でも早々見れない好カードだ。

 

「ではスタ―――ト!」

 

 双方合図と共に駆け出す。

 先手を取ったのは尾白。友奈にはない巨大な尻尾で足元を薙ぎ払う。

 身体能力は“ワン・フォー・オール”の分友奈の方が明らかに高いが、リーチと重量は尾白に分がある。転倒はしないものの、尾の強打で脚が止まる。

 

「(跳んで避ければ狙い目だったけど、そううまくはいかないか! それでも脚は止まった、ここで畳みかける!)」

 

 尾を戻すと同時に体を押し出し、拳で殴り、脚で蹴り、尾を叩きつける。一般入試の鉄製ロボットごときでは何度もスクラップになる攻撃だが、尾による攻撃以外では友奈に有効なダメージは見られない。呆れるほどの頑丈さだ。

 逆に反撃で繰り出された友奈のパンチとキックを尾白は尾以外では完全には防げない。“個性”の差が大きすぎるためだが、それでも凌げている尾白を褒めるべきだろう。

 初動こそリーチの差で尾白が制したものの、そこ以外は完全に友奈のペースで試合は進む。

 そして遂に尾白が防御に使った尾が友奈に掴まれてしまった。

 

「勇者、投げっ!!」

 

 腕力に任せて思い切り振り回し放り投げる。

 尾白もヒーローの卵だけあり、空中で態勢を立て直しスタジアムの壁に器用に着地する。普通なら戦闘続行は十分可能だが、ルール的には決着だ。

 

「尾白くん場外! 結城さん三回戦進出!」

 

『地味ながら見ごたえのある試合だったぜ!』

 

『単純な身体能力強化の結城はともかく、尾白は完全な人型ではない分まだまだ粗削りだったな。来年はさらにいい試合をしてくれるだろう』

 

 

 

 

 二回戦第三試合、八百万VS常闇。

 二回戦第四試合、轟VS芦戸。

 この二戦は「中・遠距離攻撃持ちが圧倒的に有利」という面がもろに出ることになる。

 八百万は“創造”する間もないダークシャドウの連撃に倒れ、芦戸も溶解液を出す以上の速度で凍らされリタイア。波乱を起こす余地を残さない速攻だった。

 

『これでベスト4が出揃った! これで受賞は確定だが、それで満足なやつぁいねぇよな!? 最高の試合を期待してるぜ!!』

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。