爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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準決勝戦2

「うああああぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 友奈から黒い何かが放たれる。

 “ワン・フォー・オール”発動中に体から何かが漏れることも稀にあったが、その場合は桜色の雷光のような光だ。どう見ても暴走していた。

 

「クソがッ! 何が起きてやがる!?」

 

 至近距離にいた勝己は一度光に弾き飛ばされるが、すぐに立て直して光を爆破する。

 爆風を受け黒い何かは撓み、一部だが弾き飛ばせた。感触からして常闇のダークシャドウ同様の不思議物体であり、物理攻撃は有効なようだ。

 

「相澤ァッ! すぐに降りてこい! 俺がコレどけっから“抹消”しろ!! 寝かして暴走続いたら友奈がヤベェ!!!」

 

『もう向かってる! つーか対処は俺ら教師がやるから爆豪も退h―――』

 

「大、丈夫ッ!!!」

 

 勝己と教師たちが対処に動くが、友奈の声がそれを遮る。

 

「こんなので終わったりしない……! 出来るのに人任せで守られてるだけなんて、ヒーローじゃない! 私も、ヒーローになるんだ!!」

 

 友奈の叫びと共に黒い何かが元の桜色の輝きを取り戻していく。

 そのまま友奈の背後で輪になり、巨大な腕を象る。

 (うつわ)に収まらず無秩序にあふれ出していたモノはすでになく、完全に制御下に置いたのが見て取れた。

 

「待たせてゴメン! ここからが本番だよ!!」

 

「……はっ、言うじゃねぇか! おい審判! 続行すンが文句ねェな!?」

 

「制御はできてるみたいだし、視聴率ヤバいことになってるらしいから止めらんないわ! イレイザーはこっちで止めとくから再開しなさい!!」

 

 やけくそのように下された判決を聞いて、戦いが再開される。

 先手を取ったのはまたも勝己。焼き直しのように収束爆撃が友奈の足元を狙うも、今度は空を飛んで回避された。

 

「勇者パーーンチッ!」

 

「真っ直ぐ過ぎンだよッ!」

 

 唐突に得た飛行能力に周囲は驚くが、勝己は気にせず反撃する。

 一発は巨腕の迎撃、もう一発は友奈への直接攻撃だ。

 巨腕への攻撃は形を崩し威力を削ぎ落すも防ぎきるには至らず、友奈への攻撃は突如現れたデフォルメされた牛っぽい謎生物が展開したバリアに弾かれた。

 

「硬ェなオイッ! ならこうだ!!」

 

 爆撃の反動で距離を取って友奈の攻撃を回避し、上を取った。

 そのまま爆撃を連打して勝己が上、友奈が下の状況を維持しつつ圧倒的な攻勢に出る。

 友奈も当然やられるがままなんてことはなく、巨腕でラッシュを叩き込み自由な軌道で飛べる利点を活かして上を取ろうとする。

 

「オラァアアアアアアアッ!」

 

「やああああぁぁぁぁぁっ!」

 

 爆撃と拳撃の応酬が繰り広げられる。

 戦況は友奈の有利。じわじわと勝己は上へと押し上げられていく。飛行の自由度の差は勝己のセンスと先に上を取ったことで補われているが、“個性”の出力差がもろに出ていた。

 

「(やっぱ起きてたみてェだな、“個性”の覚醒! ジジイ(グラントリノ)の話じゃ火事場の馬鹿力らしいが、ここで起こせるたァ予想外だ!)」

 

 個性因子誘発物質(イディオ・トリガー)―――通称“トリガー”―――という違法薬物がある。名前の通り投与することで“個性”を強化する薬物だ。

 脳内麻薬の過剰分泌説や強い意志自体が“個性”の活性剤として機能する説など諸説あるが、死に瀕してもなお諦めずヴィランを打倒し民衆を守ろうとするヒーローが同様の効果を起こすことが稀によくある。これを“個性”の覚醒と言い、歴戦の大物ヴィランには「手負いのヒーローが最も恐ろしい」と感じる者もいる所以だ。

 これによって友奈は“ワン・フォー・オール”を「力をストックし譲渡できる」“個性”から「力をストックし、解放、譲渡できる」“個性”への成長をこの場でやってのけた。自覚はないがコレで個人では制御不可能となる“個性”特異点を乗り越え、どれだけ引き継ごうと制御できる範囲で収められる“個性”になったのだ。

 なおどうやって起こしたか友奈本人に聞けば「根性!」とか「なせば大抵なんとかなる!」などと言った答えが返ってくるだろうが、そう簡単に起こせる現象ではない。本来なら死に掛けて後がなくなってようやく出来ることなのだ。

 

「(コレが出来るくれェ強い決意なら俺にゃ止めれねェな。認めるしかねぇ、俺の負けだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  なら目標変更だ。友奈が戦場に出てもヴィラン共がアホなこと考えれねぇくらい絶対のヒーローに俺がなりゃいい。そのための手段だって今示されてんだ問題ねェ。

  友奈には出来た。オールマイトだって出来たらしい。凡百なヒーローでも追い詰められりゃ出来たんだ。なら俺に出来ねェ理由は一つもねぇ!!

  自分(テメェ)原点(オリジン)思い出せ! そんで気合いと根性と魂込めて、いっちゃん気に入った言葉を叫べば今ならイケる!!)」

 

 勝己の原点。

 友奈を救けようと思った時、オールマイトの勝利する姿に憧れた時。どちらもスタート地点と呼べるだけの物だが、原点は違う。

 友奈にヒーローだと言ってもらったあの時だ。あの時から勝己の夢に芯が通った。自分で目指し、友奈がヒーローと呼んでくれた在り方を貫くため、どんなに高く厚い壁でもぶち壊して夢に向かって突き進むのみ。

 

「Plus Ultra!!」

 

「うわぁっ!?」

 

 いきなりの大爆発にたまらず友奈も押し戻される。

 そして勝己の姿を見て、もう一度驚くことになった。

 

「かっちゃん大きくなってない……?」

 

 トリガーには使用者の肉体を異形化させ、同時に大きくするものがある。勝己の覚醒の仕方はそれに近かった。

 背丈も含めて体が一回りは大きくなり、体温は上昇し、手の甲に爆ぜる炎のような痣が浮かび上がっていた。そして何より大きいのは“個性”の出力上昇と、出力器官の追加だ。

 

「細けぇ事気にしてる暇はねェぞ!」

 

 勝己の足の裏(・・・)で爆発が起きる。掌で起こすソレに比べれば劣るが、覚醒前の爆破に迫る火力は有った。

 その反動で急降下し、友奈に大爆発を叩きつける。

 

「ぐぅっ……!」

 

 牛のような謎生物がまたバリアを張って防ぐも、防ぎきれず友奈にダメージが入り、下に押し込まれた。

 勝己はと言うと爆発の反動でさらに高く飛び上がっていた。

 おそらく次に勝負を決める大爆撃を放つためだ。回避できるように打つことはないだろうし、これで決着がつく。友奈としても大火力の打ち合いは望むところだ。

 勝己は足の裏からの爆破と掌からの爆破で渦巻くように急降下してくる。友奈もまた迎え撃つべく拳に力を集めて上昇していき、ついに互いを射程に収めた。

 

榴弾砲着弾(ハウザー・インパクト)!!!」

 

「勇者、パーーーンチ!!!」

 




かっちゃんと友奈の強化回でした。
「力をストックして解放」はだいたい大赦が勇者に説明したとおりの『満開』。使い手が未熟なので桜色に光る謎物質だけど、完成するとゆゆゆの『満開』になる。
力が十分にストック出来てなくても凄く頑張れば『満開』は出来るが、代わりに歴代継承者の残留思念が『散華』していく。全員いなくなってまだやったらゆゆゆ式。ただし生命保持機能は無いので心臓散華とかしたら死ぬ。
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