爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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準決勝戦3

「…………………………………………はっ!? 試合は!?」

 

 友奈が前触れもなく飛び起きた。

 周囲を見渡すと、すぐ近くにオールマイトがいた。マッスルフォームではなくトゥルーフォームの八木さん形態だ。

 

「ああ、目が覚めたかい。リカバリーガール! 結城少女が目を覚ましました!」

 

「今行くよ」

 

「俺も行かせろやッ!」

 

「あんたは検査が済んでからだよ! 大人しくしてな!」

 

 勝己とリカバリーガールの怒声が響き、リカバリーガールだけが友奈のところにやってきた。

 

「どこか痛むところはあるかい? ざっと検査した感じじゃ問題なさそうだったけど」

 

「あ、はい! 大丈夫です! それで試合はどうなったんでしょうか?」

 

「あんたと坊主の大技打ち合いは坊主の勝ちだったよ。地の利を得てたのが大きかったね。

 それであんたはガス欠で気絶。坊主があんたを拾って降りて決着だよ」

 

「あぅ……負けちゃった……」

 

「まぁ勝敗と認めるかどうかは別さ! 爆豪少年! 判定をどうぞ!」

 

「この状態で言わせる気か!? せめて拘束解けやコラァッ!!」

 

 勝己の叫び声だけが響く。どうやら勝己は移動できない程度には拘束されているらしい。

 

「検査終わってないのに解けるわけないだろう? いいから早く言ったげな!」

 

「ぐぎぎ……ッ!

 ……あんだけのことが出来たんだ。認めるしかねぇ友奈の勝ちだ」

 

「HAHAHAHAHA! 良かったじゃないか結城少女! 君の意志が爆豪少年の決断を曲げさせたんだ! これは誇っていい―――ってどうしたんだい結城少女!?」

 

「あ、いえ、ホッとしたら気が緩んじゃって……。良かった、本当に嬉しいです」

 

 力が抜けて友奈はベッドに倒れ込んだ。もう一度起き上がる元気はなさそうだ。

 まぁ“個性”の覚醒は死に掛けてようやく起こせる非常事態、一度落ち着けば動けなくなるのが普通であり、未だピンピンしている勝己のタフさが異常なだけだ。

 

「それであの、かっちゃんはなんで拘束されてるんですか?」

 

「それが試合が終わっても体が元の大きさに戻らなくてね。“個性”の発展は覚醒で感覚掴んでいつでも使えるようになったってのもよく聞くんだけど、体格とかは落ち着いたら戻るのが普通なんだよ。レアケースだし体育祭続行するなら一応健康診断しておくべきってなったのさ。

 まぁたぶん体力が有り余ってたせいでそのままで定着したとかだろうし、今のところ悪い所は見つかってないから問題ないと思うよ」

 

「そうですか」

 

 待つことしばし、機械でデータを取り終わったようで勝己も解放された。

 改めて見てみるとやはり大きくなっている。180cm前半くらいにはなっているだろうか。

 

「かっちゃんとの差が大きくなった……。やっぱり私ももうちょっと身長欲しいな~」

 

「友奈は中二の頃からあんまり背が伸びてねぇしな。まぁじわじわとは伸びてるし、これからだろ」

 

「爆豪少年、お疲れ。どうだい調子は?」

 

「もう違和感もねぇし、戦う分には問題ないぜ。ただ痣は体が冷えたら消えてた。体温上がって本調子になった時だけ浮かび上がるっぽいな。後は腹減ってるくれぇだ。

 それよか体がデカくなった分、“個性”や身体能力の伸び代もデカくなったって実感がある。トレーニングしてェ」

 

「試合は金の問題が絡むから許可するけど、特訓とかはデータの解析結果が出るまではやめときな。勝手にやったら本気で怒るよ」

 

「……うっす」

 

 リカバリーガールのガチ過ぎる目に思わず勝己も一瞬で落ち着かされた。

 オールマイトは空気を入れ替えるべく、部屋の隅にあったモニターを友奈も見れる場所に移動させた。

 

「ま、まぁ試合でも見てイメトレでもしてよう。空中戦用カメラ設置とかで時間稼ぐとは言ってたけど、ここから会場に戻ると終わってるかもしれないしね」

 

「? ここスタジアムの出張保健所じゃないんですか?」

 

「爆豪少年の検査が出来る設備があるの、校舎の保健室だけなんだよ。結城少女も連れてきたのはついでだね。起きた時、爆豪少年いた方がいいと思ったし」

 

 雑談をしながらモニターのチャンネルを三年生の試合から一年生の準決勝第二試合に切り替える。

 モニターには氷に埋め尽くされたフィールドと、その上で氷山に登りながら戦っている轟と常闇が映されていた。

 

「おおード派手! 見ごたえある試合だね!」

 

「上は常闇が取ってンな。観客からは轟有利に見えるかも知れねぇが逆だなコリャ」

 

「氷使いは寒さに耐性がある場合が多いしね。轟少年は片方だけだと逆だから、このままだと常闇少年が粘り勝ちそうだ」

 

 ダークシャドウは影っぽい謎物体故に凍らない。周囲を氷で閉じ込められようと、伸縮自在なので隙間を作って脱出も容易だ。大氷撃が繰り出されても、上に登って乗り越え反撃に移っていた。

 常闇はダークシャドウを上手く盾に使いながら、頭上から強打を叩きつけ続ける。轟がこの状況を打破できなければ、そのまま常闇が勝つだろう。

 

「しかしその割には常闇少年に苛立ちが見える。爆豪少年、結城少女、何か心当たりはないかい?」

 

「それは、えっと……」

 

「友奈は言いづれェみてェだから俺が言うが、本気で挑んで舐めプしてる相手にギリギリで勝ててもクソほども嬉しかねェだろ。轟にも事情はあんだろうが、知ったこっちゃねェムカつくだけだ」

 

 他人と競うことなど碌にやったことがないオールマイトには理解しづらい感情だったが、勝己にはよく理解できた。相手が自分のことを無視したまま、形だけの勝利を恵まれても納得など出来はしない。怒り狂って場外乱闘を始めかねないくらいの屈辱だ。

 それは真摯にヒーローを目指す常闇にとっても同じであり、ついに苛立ちに耐えかねたのか怒声をマイクが拾い始めた。

 

『ふざけた真似をするのもいい加減にしろッ!』

『炎も使えば俺など圧倒できるだろう! なぜしない!?』

『氷だけで勝つならいい! 俺が未熟だっただけだ!! だが負けなどしたら絶対に許さんぞ!!!』

『何のためにここに立っている!? 答えろ轟ィッ!!!』

 

 怒声と共にダークシャドウの攻撃がさらに苛烈になっていく。

 と言うより轟の動きが鈍り防御に意識を割かなくてよくなった分、積極的に攻めているだけだ。

 もはや誰が見ても勢いは常闇にある。このまま勝負が決まるだろうと思ったその時、轟が最後の反撃に出た。

 

『黙れぇぇぇぇえええええっ!!!!!!』

 

 今轟が打てる最大規模の氷撃が放たれる。

 常闇は当然回避したが、氷がたくさん創られ過ぎているのがマズかった。ぶつかり、砕け、轟は勿論上を取っていた常闇も氷山の崩落に巻き込まれ押し潰された。

 

『セメントス! 救助を!!』

 

『もうやってます!!』

 

「ああっ!? 常闇君も轟君も大丈夫かな!?」

 

「最低限の防御や受け身はやってんだろ。心配いらねェよ。それよかダブルノックダウンの場合はどうなんだ?」

 

「ダブルノックダウンの場合は後で簡単な勝負して決めるよ。とはいえあの二人は得意分野が噛み合わないし、じゃんけんとかの運試しになるんじゃないかな?」

 

「延長戦は無しか。ならもういい」

 

「対戦相手は気にならないのかい?」

 

「どっちが相手でもねじ伏せて勝つだけだ。これ以上情報入らねぇなら見てても変わんねぇよ。

 それより服がきついし腹減った。試合前に服調達してなんか食いてぇんだよ。空きっ腹じゃ力が出ねぇ」

 

 連戦となると第二試合の勝者が不利過ぎるので決勝戦まで時間はあるが、万端の準備を行うには少ない。両方の対策をイメージしておけばいいだけだと勝己は保健室を出ていこうとする。

 その勝己に友奈が最後のエールを送った。

 

「かっちゃん。見てて楽しい試合、期待してるね!」

 

「ハッ、軽く面倒なこと言ってくれんな。まぁいい任せとけ。ヒーローらしい完全勝利ってやつを見せてやらァ!」

 

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