爆豪勝己の幼馴染が結城友奈だったら   作:ぬがー

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中学時代6

「おーい、力あるやつ誰か来てくれ! デカいのがあって邪魔してる!」

 

「わかった! これ片したら行くから待っててくれ!」

 

「こっちはゴミ山が崩れそうだ! 押さえながらゆっくり崩せるやついないか!?」

 

「あっちにできたやついたはずだ! 呼んでくる!」

 

 友奈への“ワン・フォー・オール”継承も済んだ初冬、勝己と友奈はまだ沿岸のゴミ掃除を続けていた。

 といっても二人だけではない。トレーニングには使い終わったし、人を集めて指定していた区画以外もまとめて掃除しようということになったのだ。どうせならそこまでやりたい、という友奈の要望である。

 出資はマイツプロ。チャリティーやボランティアはよくあることだが、稀にオールマイトも清掃活動に参加すると言うのでかなりの人手が集まっていた。

 さらにオールマイトとのコネ作りのためにいくつものヒーロー事務所協力を申し出があった。その結果、監督員が十分確保できたので「申請し許可を得れば、清掃活動に“個性”を使用してもいい」という条件が付いたのも人が集まった理由の一つと思われる。なんでもいいから大々的に“個性”を使いたいという人も案外多いのだ。

 勝己は当初「人が来ない訓練場所がなくなる」と残念がっていたが、次第に清掃活動を楽しみ始めていた。というより別の楽しみが見つかったのだ。

 

「はははははっ、今日も俺が勝ぁつ!!!」

 

「何度も負けるものかっ! 黒影(ダークシャドウ)!」

 

「アイヨ!」

 

 勝己、友奈と同じく静岡県に住むカラスのような頭部をした少年、常闇踏影だ。案外家が近かったらしく、オールマイト見たさに清掃活動に参加していた。

 彼は伸縮自在な実体化した影っぽいモンスター“黒影(ダークシャドウ)”を宿すという“個性”を持っている。この“個性”にはダークシャドウがどれだけ物を持っていようと常闇自身には負荷が一切なく、起点である常闇が動けばダークシャドウも動くという性質がある。

 そのためゴミの運搬で猛威を振るっていたのだが、対抗心を刺激された勝己が持ち前の身体能力とタフさに任せてそれ以上のペースでゴミを運んだ挙句盛大に煽ったのだ。

 常闇も躊躇なく挑発に乗って競いながらゴミを片付けていき、清掃活動終了の時間になれば駄弁ったり雄英受験者同士ということで情報交換をしたりとなぜか友人関係を築けていた。

 

「ちょっと、これ運ぶの手伝ってもらえない?」

 

「はーい! えっと、ここ持てば行けそうですね。せーの!」

 

「「よいしょ!」」

 

 一方、友奈は一般参加の人たちと協力してゴミ掃除に励んでいた。

 オールマイトから“ワン・フォー・オール”を受け継いだとはいえ、すぐに使いこなすなど余程の天才でないとできはしない。発動させれば余りの力に耐えきれず、自滅してしまっていただろう。

 なので意識的に発動することはやめ、普通の子供がそうであるように、体を動かす中で無意識に発動してしまう程度の出力から慣らしていくことになったのだ。

 この方法でもじわじわと、しかしこれまでとは段違いの速度で身体能力が上がっているので、時間があるなら間違った手段ではないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も一日がそうして終わり、さて帰るかという空気になったときにオールマイトがトゥルーフォームでやってきた。

 

「やぁ、二人とも。元気にやってるみたいだね」

 

「あ、オー……八木さん。はい! 順調にゴミは減っていってます! このペースならこの区画もすぐ終わりそうです!」

 

「みたいだね。綺麗になると気持ちがいいものだ」

 

「おい八木、今回は間が開いたがなんかあったんか? まだ続くようなら訓練メニュー考えるのとかはもうこっちでやるが」

 

「気にすることはないさ。清掃活動の書類申請と、こちらの方を連れてくるのに時間がかかっただけだから。グラントリノ、すみませんが自己紹介を」

 

「誰だ君は!」

 

 白髪白髭の小柄な老人がオールマイトの言葉を無視して誰何をする。体もプルプルと震えているし、まともな状態には見えない。

 

「……この爺、ボケが始まってんのか?」

 

「ボケたフリはこの方の定番のおふざけなんだよ。グラントリノ、話を進めましょう」

 

「ったく、ネタ晴らしが早いぞ俊典。俺ぁこいつの師匠の一人のグラントリノ。一応プロヒーローの免許は持ってるが碌に活動してねぇ隠居爺だ」

 

「御冗談を。まだまだ現役でしょうに」

 

「んでその隠居爺がどうしたってんだよ?」

 

「……対外的には君たちと直接の関りがあるのは秘書の八木俊典だけということになっている。マスコミとかヴィランとか、オールマイトとの直接の関りを公表されると色々問題があるからね。ただ“ワン・フォー・オール(個性)”の問題がある以上いつまでもそのままって訳にもいかないし、私が君たちを気にかけても怪しまれないように下準備をしておきたいわけだ」

 

「んで俺に白羽の矢が立った。受精卵小僧、お前“爆破”の“個性”使って三次元的な戦い方するんだろ? 俺も足から空気噴出して似たような戦法を取る。弟子に取ってもおかしくねぇし、兄弟子のオールマイトとコネを作らせても違和感はねぇ。指導も手を抜く気はねぇし、実戦形式でしごいてやる。小僧にとっても損はないと思うぞ」

 

 ニヤリと勝己は裂けるような笑顔を浮かべた。

 基礎トレーニングは嫌いではないし、常闇のような相手と競り合うのも楽しい。だが“個性”を使って戦うのはもっと好きなのだ。

 

「乗った! 早々に底をさらすんじゃねぇぞ爺!」

 

「はっ! 聞いた通り口が減らんな! 早速ボコってやる! 場所移すぞ!」

 

「かっちゃんすっごい楽しそう! よかったね!」

 

「爆豪少年、頑張れ……! 君なら乗り越えられると信じてる……!」

 

 楽し気な子供二人を、ゲロ吐かされまくりトラウマになったオールマイトが震えながら見守っていた。

 




念能力で例えると
ゴンやキルアのように一気に習得しようとしたのがデク。
ズシのようにゆっくり習得しようとしたのが友奈。
念の存在を知ってすぐに四大行全部できたのがオールマイト。
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